※本記事は、株式会社ピクセラ の有価証券報告書(第44期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ピクセラってどんな会社?
パソコン周辺機器やデジタル家電の開発・販売を行う企業です。近年はデザイン家電やWeb3事業への転換を進めています。
■(1) 会社概要
1982年に設立され、2002年に東証マザーズ市場へ上場しました。2004年には東証市場第一部へ指定されています。2018年に株式会社A-Stageを子会社化して家電事業を拡大し、2020年には家電ブランド「Re・De」の製品販売を開始しました。2025年にはポイ活アプリ等の新規サービスを開始しています。
現在の従業員数は連結50名、単体32名です。主要株主は証券会社や信託銀行が上位を占めています。筆頭株主はインターネット証券会社である楽天証券で、第2位も同様にインターネット証券会社のGMOクリック証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 楽天証券 | 2.56% |
| GMOクリック証券 | 1.19% |
| 三菱UFJeスマート証券 | 1.04% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は藤岡毅氏です。社外取締役比率は10.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤岡 毅 | 代表取締役社長 | 株式会社エス・エス・ディ代表取締役、同社経営企画本部長、M&A戦略本部長、代表取締役などを経て、2023年2月より現職。 |
| 上田 賢嗣 | 取締役 | 同社ソフトウエア開発本部長兼インターメディアプラットフォーム開発部部長、製品事業本部ソフトウエア開発部部門長などを経て、2024年4月より現職。 |
| 廣岡 大輔 | 取締役 | 同社製品事業本部製品開発部門ハードウエア開発部部長、次世代技術開発部門部門長などを経て、2023年2月より現職。 |
| 遠藤 暢克 | 取締役 | 株式会社ワイズ・コーポレーションなどを経て同社入社。執行役員法人営業本部長などを経て、2023年2月より現職。 |
| 成田 友依 | 取締役 | パンテック・ワイヤレス・ジャパン株式会社などを経て同社入社。経営企画本部営業企画部部長などを経て、2024年11月より現職。 |
| 岩井 亨 | 取締役 | 四方工業株式会社などを経て同社入社。経営企画本部経営管理部部長、株式会社A-Stage取締役管理部長などを経て、2024年11月より現職。 |
社外取締役は、真鍋孔明(株式会社PocketPlot代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「AV関連事業」および「家電事業」を展開しています。
■(1) AV関連事業
デジタルテレビチューナー、IoT製品(LTE対応ホームルーター等)、Web3関連サービス、ポイ活アプリなどを提供しています。主な顧客は個人消費者および法人です。
製品販売による収入や、ライセンス使用許諾料、アプリ内での広告配信収入などを主な収益源としています。運営は主にピクセラが行っています。
■(2) 家電事業
「Re・De」ブランドを中心とした調理家電、理美容家電、生活家電(冷蔵庫、洗濯機等)の企画・開発・販売を行っています。主な顧客は個人消費者です。
家電量販店やECサイトを通じた製品販売による代金を主な収益源としています。運営は主に株式会社A-Stageが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失の計上が続いており、厳しい経営状況が継続しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 33億円 | 20億円 | 15億円 | 12億円 | 10億円 |
| 経常利益 | -9億円 | -13億円 | -13億円 | -8億円 | -8億円 |
| 利益率(%) | -26.8% | -62.9% | -86.2% | -72.8% | -81.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -13億円 | -9億円 | -18億円 | -12億円 | -6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少しましたが、売上総利益率は改善しています。営業損失は依然として発生していますが、その幅は縮小傾向にあります。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 12億円 | 10億円 |
| 売上総利益 | 2億円 | 3億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.8% | 27.7% |
| 営業利益 | -8億円 | -8億円 |
| 営業利益率(%) | -72.8% | -79.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が2.0億円(構成比19%)、研究開発費が1.4億円(同13%)、販売促進費が1.3億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
AV関連事業は売上高が減少し、損失幅が拡大しました。一方、家電事業は売上高が増加し、損失幅は縮小しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| AV関連事業 | 7.0億円 | 5.0億円 | -0.4億円 | -1.6億円 | -30.9% |
| 家電事業 | 4.6億円 | 5.0億円 | -3.4億円 | -2.0億円 | -41.0% |
| 調整額 | - | - | -4.7億円 | -4.4億円 | - |
| 連結(合計) | 12億円 | 10億円 | -8億円 | -8億円 | -79.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業赤字を資産売却+借入で補填している「救済型」です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -7億円 | -10億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | 0.0億円 |
| 財務CF | 8億円 | 15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)はデータなしのため評価できませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「社会・環境と調和する自律した個の力を結集し、次世代スタンダードとなる新価値を創出する」という経営理念を掲げています。この理念に基づき、事業活動を通じて新たな価値の提供を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、ウェルネスブランド「Re・De」において、「心地をリデザインする」というコンセプトを掲げています。機能だけでなく、日常の「触り心地・使い心地・居心地」といった体験価値を重視し、生活に寄り添う製品づくりを行う文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、新規成長戦略として「ウェルネス・ヘルスケア×Web3」を掲げています。AIやIoTを活用した製品開発、ブロックチェーン技術によるデータ管理などを推進し、Web3ヘルスケア分野でのリーディングカンパニーを目指しています。また、ブランド価値向上と顧客基盤拡大による中長期的な企業価値向上を図ります。
■(4) 成長戦略と重点施策
AV関連事業では、TVチューナー中心から「ウェルネス・ヘルスケア×Web3」領域へシフトし、健康行動を価値に変換するプロジェクトやポイ活アプリ等のソフト収益を強化します。家電事業では、理美容家電やオーガニック製品への注力に加え、「Re・De」ブランドの台湾などアジア主要地域への展開を進め、収益拡大を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、経営理念に基づき、多様な人材が活躍できる組織づくりを目指しています。性別や国籍、キャリア採用を問わず多様な人材活用を推進するとともに、リモートワークとリアルコミュニケーションを併用した働きやすい環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 47.6歳 | 17.8年 | 6,029,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 製品の需要変動リスク
同社グループが属するデジタル機器市場は需給変動が大きいため、需要の急激な変化が業績に影響を与える可能性があります。市場動向に応じた開発資源の配分や生産委託の調整等の対策を講じていますが、予測を大幅に下回る需要減が発生した場合、余剰在庫等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 継続企業の前提に関する事象
同社グループは8期連続で営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しています。事業転換、ブランド戦略の遂行、資金調達等の施策を実施していますが、これらが計画通りに進まない場合、財務状況に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) 競合と価格競争リスク
デジタル機器市場は競争が激しく、常に価格低下圧力にさらされています。原価低減や高付加価値化に努めていますが、市場からの価格低下圧力や顧客からのコストダウン要求により十分な利益確保が困難になった場合、業績に悪影響を与える可能性があります。また、技術革新への対応遅れによる競争力低下のリスクもあります。



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