※本記事は、株式会社システムソフト の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
システムソフトグループは、Web技術をベースとしたシステム開発に強みを持つテクノロジー事業と、DXを活用したオープンイノベーション事業を展開しています。不動産、情報通信、生損保、教育分野など幅広い顧客にシステム開発やソリューションサービスを提供しています。
単体従業員数は55名、連結従業員数は58名です。セグメントはテクノロジー事業、オープンイノベーション事業の2つです。
主な国内グループ会社は、SS Technologies(不動産DX・システム開発)、全管協ポータルサイト(ポータルサイトの運営)、akibaco(ソリューションサービス)などです。
システムソフトグループは、M&Aによる事業規模拡大や新規事業の立ち上げ、佐賀開発センターの開設を進めました。また、前期に事業継承(吸収分割)を実施し、一部事業の再編を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社システムソフトは、ITサービス業として、人材を重要な経営資源と位置づけています。同社グループでは、ITエンジニアがその能力を最大限に発揮できる環境を重視し、持続的な成長を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が6.6年、平均年齢が35.5歳となっており、比較的若い年齢層で構成されながらも、一定の定着傾向が見られます。ITエンジニアの専門性を重視する事業特性から、個々のスキルアップとキャリア形成が期待される環境です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,704,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.6年 |
| 平均年齢 | 35.5歳 |
| 単体従業員数 | 55人 |
| 連結従業員数 | 58人 |
| 単体のグループ内比率 | 94.8% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的成長と企業価値向上を実現するために、人材を重要な経営資源と位置づけています。急速に進化するIT市場において優位性を築くため、人的資本の最大化を経営の最優先事項としています。
幅広い技術領域と顧客のビジネスに精通したITエンジニアの確保が不可欠であり、DXやAIの拡大により、より高度な技術が求められる環境です。多様な人材が活躍できる環境の整備と個々の能力を最大限に発揮できるよう、人材開発や育成、職場環境や制度設計の整備に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均年齢 | 35.5歳 |
人材育成
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員一人あたりの研修時間 | 9.75時間 |
| リスキリング達成率 | 8.6% |
定着率
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 入社3年以内定着率 | 88% |
労働環境
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 時間外労働時間 | 8.0時間/月 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
システムソフトは、テクノロジー事業とオープンイノベーション事業の2つのセグメントで事業を展開しています。同社グループは、Web技術を基盤としたシステム開発とソリューション提供を主軸とし、DX推進やコンサルティングサービスも手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に情報サービス産業において事業を展開しています。企業の生産性向上や事業拡大を目的としたシステム投資意欲が高い状況が続いており、生成AIの進化と普及が業務効率化に貢献しています。一方で、DX推進のためのデジタル技術に精通した人材不足が課題となっています。
テクノロジー事業
Web技術をベースとするシステム開発に強みを持ち、不動産分野、情報通信分野、生損保分野、教育分野等のお客様に対し、長年にわたってシステム開発及びソリューションサービスの提供を行っています。賃貸不動産情報サイトの運営に加え、RPAソリューションサービスやSSクラウドシリーズを含めたSaaSの提供にも注力しています。収益は、システム開発、ソリューションサービス、賃貸不動産情報サイト運営、RPAソリューション、SaaSの提供から得ています。
オープンイノベーション事業
同社グループが得意とするDXの活用を推進したオープンイノベーションの提供、アライアンスサービスやFA(ファイナンシャル・アドバイザリー)などのコンサルティングを行っています。収益は、これらのコンサルティングサービスや、レンタルオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィス、会議室、イベントスペース、フランチャイズ事業の運営から得ています。
当連結会計年度の外部顧客への売上高は、テクノロジー事業がオープンイノベーション事業を上回る規模となっています。両事業ともに、前連結会計年度に比べて売上高が減少しました。同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、国内市場が中心です。当連結会計年度では、Apaman Networkと三菱電機ソフトウエアが主要な顧客となっています。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| テクノロジー事業 | 15.8億円 | 10.5億円 |
| オープンイノベーション事業 | 7.3億円 | 3.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期間の業績を見ると、同社グループの売上高は減少傾向にあります。経常利益は直近2期間で損失を計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益も同様に損失が続いています。
前連結会計年度には多額の減損損失を計上したことで、親会社株主に帰属する当期純損失が大きく膨らみました。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失額は前期に比べて減少しています。営業活動によるキャッシュ・フローは当連結会計年度で減少に転じています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 49.2億円 | 47.0億円 | 33.9億円 | 23.1億円 | 13.7億円 |
| 経常利益 | 3.4億円 | 3.8億円 | 1.4億円 | △5.0億円 | △4.6億円 |
| 経常利益率 | 7.0% | 8.0% | 4.0% | △21.6% | △33.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.8億円 | 2.0億円 | 94百万円 | △15.3億円 | △2.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 6.15 | 2.37 | 1.10 | △18.06 | △3.04 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたりの売上高は、2024年9月期から2025年9月期にかけて減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期に引き続き損失となっており、損失額は拡大しています。
同社グループは経営資源の再配置や生産性の向上に努めていますが、事業構造の変革やデジタル技術に精通した人材不足による採用・育成コストの高騰が、これらの指標に影響を与えていると考えられます。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 35.0百万円 | 23.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △6.3百万円 | △8.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動や投資活動において資金の流出が見られる状況です。手元資金の状況や自己資本比率から、現在の財務基盤を確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高水準を維持している一方で、収益性を示すROEはマイナスとなっています。手元資金は減少傾向にあり、今後の事業運営における資金の動向が注目されます。これらの状況は、長期的な雇用や給与の安定性を検討する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 43.7億円 | 43.5億円 |
| 自己資本比率 | 82.4% | 83.3% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -5.9% |
| 現金及び預金 | 34.7億円 | 32.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期にマイナスとなりました。これは主に税金等調整前当期純損失の計上や法人税等の支払額によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の売却による収入により資金が増加しています。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や社債の償還により資金が減少しています。これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローはマイナスとなっており、資金の流出が続いている状況です。このような資金の流れは、コスト削減圧力が高まる可能性を示唆しており、転職を検討する際には留意すべき点となります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.1億円 | △5.2億円 |
| 投資CF | 2.8億円 | 4.1億円 |
| 財務CF | 8.2億円 | △1.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 8.9億円 | △1.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
インターネット市場の成長鈍化や景気変動の影響を受ける可能性があります。また、クラウド事業における企業間競争の激化や、他社の画期的な商品・サービスの出現により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
優秀な人材の確保と育成が事業拡大や企業運営において重要であり、必要な人材を確保できない場合や有能な人材が流出した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
株式会社システムソフトは、優れたIT技術を通じて顧客や社会の課題解決に貢献することを経営理念に掲げています。持続的な成長と企業価値の向上を目指し、人材を重要な経営資源と捉え、その育成と活躍を重視する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「優れたIT技術により、お客様の問題解決に真摯に取り組み、お客様、そして社会に必要とされる会社として貢献すること」を経営理念としています。この理念に基づき、更なる企業価値の向上を目指しています。
持続的な成長を実現するため、既存事業の選択と集中を徹底し、戦略的なM&Aを推進しています。特にAIやDX、クラウドネイティブ技術など、将来の成長が期待される分野での競争力確立を図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念に基づいた企業活動を実践し、社会と自らのサステナビリティ実現に向けた取り組みを推進しています。先行き不透明な経営環境に対応するため、迅速な意思決定と実行を重視する経営を推し進めています。
人的資本の最大化を経営の最優先事項と位置づけており、ITエンジニアが創造性を最大限に発揮できる環境整備に注力しています。多様な人材が活躍できる環境を整え、個々の能力を最大限に発揮できるよう、人材開発や育成、職場環境や制度設計などの整備に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的成長に向けた事業ポートフォリオの再構築と戦略的M&Aの推進を重点課題としています。特に、高い技術力を持つ企業や優秀なデジタル人材の獲得を目的としたM&Aを機動的に実行する方針です。
また、人材の高度化も重要なテーマです。幅広い技術領域と顧客ビジネスに精通したITエンジニアの確保、DXやAIの拡大に対応できる高度な技術を持つ人材の開発・育成に力を入れています。報酬水準の見直しや労働環境の整備を通じて、社員のエンゲージメント向上を図っています。
さらに、課題解決能力の強化と拡張、人材の確保と育成、ガバナンスの高度化、事業ポートフォリオの最適化も今後の重点テーマとして掲げています。事業戦略に沿った採用施策の強化や社員教育の充実を図り、多様化する顧客ニーズに対応できる人材を育成し、柔軟な組織づくりを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
システムソフトは、監査等委員会設置会社として、取締役会による監督機能の強化と迅速な経営意思決定を両立させる体制を構築しています。監査等委員である取締役が取締役会で議決権を持つことで、経営の透明性と健全性の確保を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
システムソフトの筆頭株主はAPAMANであり、事業会社が主要な株主として名を連ねています。その他、日本マスタートラスト信託銀行などの機関投資家や野村證券といった金融機関も上位株主として同社を支えています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| APAMAN | 10.25% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.74% |
| 野村證券 | 5.13% |
なお、APAMANは2025年10月1日付でEL CAMINO REALに社名変更しています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は吉尾春樹氏、代表取締役社長はOngole Pavan氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉尾 春樹 | 代表取締役会長 | 1983年日本電気入社。1992年同社入社後、取締役企画部長、代表取締役社長などを歴任。2014年アビスパ福岡取締役、2024年SS Technologies代表取締役を経て、2025年同社代表取締役会長より現職。 |
| Ongole Pavan | 代表取締役社長 | 1997年Infosys入社。Cisco Systems、DeNA、ソフトバンクを経て、2015年Airi Capital設立President。2018年MFV Partners Partner。2024年同社取締役を経て、2025年同社代表取締役社長より現職。 |
| 石川 雅浩 | 取締役 | 2004年アパマンショップネットワーク常務取締役。2005年同社取締役。2016年同社取締役。2017年DigiIT取締役。2025年APAMAN取締役を経て、同社取締役CFOより現職。 |
| 大村 浩次 | 取締役 | 1999年アパマンショップネットワーク設立代表取締役社長。2005年同社取締役会長。2013年同社取締役。2018年Apaman Network取締役会長。2024年Japan Capital代表取締役を経て、2025年EL CAMINO REAL代表取締役より現職。 |
社外取締役は、高橋裕次郎氏(高橋裕次郎法律事務所代表弁護士・監査等委員)、浅子正明氏(公認会計士・監査等委員)です。
同社は2024年12月18日より監査等委員会設置会社へ移行しています。監査等委員である取締役が取締役会における議決権を持つことで、取締役会の監督機能強化とコーポレート・ガバナンスの充実を図る体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
システムソフトの役員報酬は、月例の固定金銭報酬を基本としています。役位や職責、在任年数、会社の業績などを総合的に考慮して決定されており、業績連動報酬は定めていません。これは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を重視し、経営戦略や業績達成への動機付けを図るためです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.5億円 | 29.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 3.6百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 11百万円 | 1.5百万円 |
なお、同社は2024年12月18日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しています。有償の新株予約権は報酬等の総額には含められていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。