※本記事は、株式会社システムソフト の有価証券報告書(第44期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. システムソフトってどんな会社?
テクノロジー事業によるシステム開発やSaaS提供と、DX推進を支援するオープンイノベーション事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1983年に福岡市でソフトウェア開発・販売を目的に創業し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2005年にAPAMAN(現EL CAMINO REAL)の子会社となり、2016年には東証一部へ指定替えを行っています。その後、2023年にスタンダード市場へ移行しました。直近では2025年にfabbit事業の一部を譲渡し、JPAX FUND等を子会社化するなど事業ポートフォリオの再構築を進めています。
連結従業員数は58名、単体従業員数は55名です。筆頭株主は同社の親会社等であったAPAMAN(現EL CAMINO REAL)で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| APAMAN | 10.25% |
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 6.74% |
| 野村證券 | 5.13% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は吉尾春樹氏、代表取締役社長はOngole Pavan氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉 尾 春 樹 | 代表取締役会長 | 1983年日本電気入社。1992年同社入社。取締役企画部長、常務等を経て2005年代表取締役社長。2017年取締役会長。2020年代表取締役社長を経て2025年1月より現職。 |
| Ongole Pavan | 代表取締役社長 | 1997年Infosys入社。DeNA、ソフトバンクを経て2015年Airi Capital設立President。2024年同社取締役、2025年1月より現職。 |
| 石 川 雅 浩 | 取締役 | 2004年アパマンショップネットワーク(現APAMAN)常務取締役。2005年同社取締役就任。以降、APAMANグループ各社の役員を歴任し、2016年12月より現職。 |
| 大 村 浩 次 | 取締役 | 1999年アパマンショップネットワーク(現APAMAN)設立、代表取締役社長。2005年同社取締役会長。2013年1月より現職。現在はEL CAMINO REAL代表取締役等を兼任。 |
| 泉 和 文 | 取締役監査等委員 | 1980年福岡相互銀行(現西日本シティ銀行)入行。九州リースサービス監査部長、常勤監査役を経て2019年同社入社。2024年12月より現職。 |
社外取締役は、高橋裕次郎(高橋裕次郎法律事務所代表弁護士)、浅子正明(元監査法人トーマツ社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「テクノロジー事業」および「オープンイノベーション事業」を展開しています。
■(1) テクノロジー事業
Web技術をベースとするシステム開発に強みを持ち、不動産、情報通信、生損保、教育分野等の顧客に対してシステム開発及びソリューションサービスを提供しています。また、賃貸不動産情報サイトの運営に加え、RPAソリューションサービスや「SSクラウドシリーズ」を含めたSaaSの提供も行っています。
収益は、顧客からのシステム開発受託料や、SaaS等のサービス利用料から構成されています。運営は主にシステムソフトが行っているほか、連結子会社のSS Technologies、マムクリエイト等がそれぞれの専門領域で事業を展開しています。
■(2) オープンイノベーション事業
DXの活用を推進したオープンイノベーションの提供や、アライアンスサービス、FA(ファイナンシャル・アドバイザリー)などのコンサルティングを行っています。スタートアップ企業への事業立ち上げ支援なども手掛けています。
収益は、コンサルティング等の対価として顧客から受領する手数料等が主な源泉です。運営は主にシステムソフトが行っています。なお、レンタルオフィスやコワーキングスペース等の運営事業については、2025年2月に事業譲渡を行いました。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。特に直近では事業構造の変革や事業譲渡の影響もあり、売上規模が縮小しています。利益面では、かつては黒字を確保していましたが、直近2期は営業損失および経常損失を計上しており、苦戦が続いています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 49億円 | 47億円 | 34億円 | 23億円 | 14億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 4億円 | 1億円 | -5億円 | -5億円 |
| 利益率(%) | 7.0% | 8.0% | 4.0% | -21.6% | -33.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.4億円 | 0.7億円 | -1億円 | -10億円 | -3億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の傾向を見ると、売上高の減少に伴い売上総利益も縮小しています。販売費及び一般管理費は削減傾向にあるものの、売上総利益の減少幅を補えず、営業損失が継続しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 14億円 |
| 売上総利益 | 5億円 | 4億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.8% | 26.7% |
| 営業利益 | -4億円 | -5億円 |
| 営業利益率(%) | -18.0% | -36.0% |
販売費及び一般管理費のうち、株式報酬費用が2.6億円(構成比30%)、役員報酬が1.6億円(同19%)を占めています。なお、前連結会計年度に主要費目であった給与手当等は金額的重要性が乏しくなったため記載が省略されています。
■(3) セグメント収益
テクノロジー事業は売上の減少が見られ、セグメント損失となっています。オープンイノベーション事業も事業譲渡等の影響により減収となり、損失を計上しています。全体として両セグメントともに厳しい収益状況が続いています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| テクノロジー事業 | 16億円 | 10億円 | -1億円 | -0.7億円 | -6.4% |
| オープンイノベーション事業 | 7億円 | 3億円 | -0.4億円 | -0.5億円 | -14.5% |
| 調整額 | -0.0億円 | -0.0億円 | -2億円 | -4億円 | - |
| 連結(合計) | 23億円 | 14億円 | -4億円 | -5億円 | -36.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のCF状況は「事業検討型」です。本業の営業キャッシュ・フローがマイナスとなる一方、投資有価証券の売却や事業譲渡などにより投資キャッシュ・フローはプラスとなっており、資産の整理や売却によって資金を確保している状況がうかがえます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | -5億円 |
| 投資CF | 3億円 | 4億円 |
| 財務CF | 8億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-5.9%(計算値)であり、マイナスのためスタンダード市場平均(7.2%)を下回っています。一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は83.3%で、スタンダード市場平均(48.5%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「優れたIT技術により、お客様の問題解決に真摯に取り組み、お客様、そして社会に必要とされる会社として貢献すること」を経営理念として掲げています。この理念のもと、企業価値のさらなる向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、ITエンジニア等の人材こそが顧客へ提供する価値の多くを生み出す源泉であると考えています。そのため、人材開発や育成による高付加価値化、報酬水準の見直し、労働環境の整備などを通じて、社員のエンゲージメントを高めることを重視する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、「売上高」「営業利益」「営業利益率」を重視すべき経営指標として掲げ、これらの拡大を目指しています。当面の目標として営業利益率の向上を掲げ、新しい収益源を開拓しながら企業価値を高めていく方針ですが、具体的な数値目標については記載がありません。
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的成長に向けた事業ポートフォリオの再構築と戦略的M&Aを最重要課題として推進しています。特にAIやDX、クラウドネイティブ技術など成長分野において、高い技術力を持つ企業や優秀なデジタル人材を獲得するためのM&Aを機動的に実行します。また、既存事業の選択と集中を徹底し、収益基盤の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループの成長には優秀な人材の確保が必要不可欠としています。事業戦略に沿った採用施策の強化および社員教育の充実を図り、多様化する顧客ニーズに対応できる人材を育成する方針です。また、激しく変化する環境に対応できる柔軟な組織づくりを目指し、人材の確保と育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 35.5歳 | 6.6年 | 4,704,000円 |
※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、入社3年以内定着率(88%)、時間外労働時間(8.0時間/月)、平均年齢(35.5歳)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人財の確保・育成
事業拡大や企業運営において優秀な人財の確保が極めて重要です。必要な人財を適時適切に確保できない場合や、有能な人財が流出した場合には、業務運営や事業展開に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) コンピューターシステムや通信ネットワーク
同社の事業は通信ネットワークに依存しており、災害や事故等により切断や支障が発生した場合、事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、アクセス集中による負荷や電力供給停止等でシステムが作動不能になった場合、サービス停止により業績やブランドイメージに影響を与える可能性があります。
■(3) インターネットの利用環境
インターネット関連事業を主たる事業としているため、新たな規制の導入や環境の変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、クラウド事業において他社の画期的なサービスの出現や需要の変動があった場合も、業績に影響を与える可能性があります。



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