※本記事は、レカム株式会社 の有価証券報告書(第32期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. レカムってどんな会社?
情報通信機器の販売やBPR事業を国内外で展開するソリューションプロバイダーです。
■(1) 会社概要
1994年に設立され、2004年にヘラクレス市場へ上場しました。2013年に事業持株会社体制へ移行後、2017年には中国子会社の株式形態変更やベトナム現地法人設立など海外展開を加速させました。2022年に東証スタンダード市場へ移行し、2024年にはシンガポールの企業を子会社化してAIサーバー事業へ参入しています。
従業員数は連結484名、単体38名です。筆頭株主は創業者兼社長の伊藤秀博氏で、第2位は顧客資産の管理等を行う楽天証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤 秀博 | 6.28% |
| 楽天証券 | 4.74% |
| SBI証券 | 1.99% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名、計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長兼グループCEO兼海外事業本部長は伊藤秀博氏です。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊藤 秀博 | 代表取締役社長兼グループCEO兼海外事業本部長 | 1985年新日本工販(現フォーバル)入社。1991年アイシーエス設立。1994年同社代表取締役社長に就任。2006年よりグループCEOを務める。 |
| 砥綿 正博 | 取締役常務執行役員CFO兼経営管理本部長 | 2007年同社入社。セントリックス取締役等を経て2015年同社取締役復帰。2022年より現職。 |
| 加藤 秀人 | 取締役(監査等委員(常勤)) | ディーエムエス等を経て2008年同社入社。法務部長等を経て2015年より現職。 |
社外取締役は、三宅伊智朗(元アリアンツ生命社長CEO)、山口義成(エヌイーエス代表取締役)、嶋津良智(元リンク代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内ソリューション事業」「海外ソリューション事業」「BPR事業」を展開しています。
(1) 国内ソリューション事業
LED照明等のエコ商材、ビジネスホンやデジタル複合機、RPA、ウイルス除菌装置「ReSPR」等を販売しています。直営店、フランチャイズ加盟店、代理店のチャネルを通じて、中小企業等の顧客に対し情報通信機器や脱炭素化商材を提供しています。
収益は、機器等の販売代金および保守サービス料からなります。また、顧客への販売は主にリース会社を介して行われます。運営は主にレカムジャパン株式会社、株式会社レカムIEパートナーなどが担っています。
(2) 海外ソリューション事業
ASEAN地域、中国、インドにおいて、LED照明等のエコ商材、ReSPR、業務用エアコン、情報通信機器等を販売しています。日系進出企業やローカル企業に対し、省エネソリューション等を提案しています。
収益は、機器の販売代金等からなります。運営は、レカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司をはじめとする海外現地法人が各国で行っています。
(3) BPR事業
グループ内の管理業務受託のほか、顧客からのアウトソーシング受託、業務改革の提案コンサルティングを行っています。RPAやAIを活用したDX化推進提案も実施しています。
収益は、業務受託料やコンサルティング料等からなります。運営は主にレカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司やレカムBPO株式会社などが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上収益は増加傾向にあり、特に当期は大きく伸長しています。利益面では変動があるものの、当期は増益となり回復基調にあります。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 66億円 | 89億円 | 95億円 | 117億円 | 131億円 |
| 税引前利益 | 1.5億円 | 4.6億円 | 4.9億円 | 3.1億円 | 4.5億円 |
| 利益率(%) | 2.3% | 5.1% | 5.2% | 2.6% | 3.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -3.2億円 | 3.5億円 | 3.1億円 | 0.8億円 | 2.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益の増加に伴い売上総利益も増加していますが、営業利益率も改善しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 117億円 | 131億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 32億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.6% | 24.1% |
| 営業利益 | 2.7億円 | 4.1億円 |
| 営業利益率(%) | 2.3% | 3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が12億円(構成比43%)、その他が5億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
海外ソリューション事業が大幅な増収増益となり全体を牽引しています。国内ソリューション事業は減収減益、BPR事業は減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内ソリューション事業 | 45億円 | 41億円 | 4.2億円 | 1.9億円 | 4.7% |
| 海外ソリューション事業 | 67億円 | 84億円 | 3.4億円 | 4.9億円 | 5.7% |
| BPR事業 | 7.1億円 | 6.9億円 | 0.3億円 | 0.1億円 | 1.7% |
| 調整額 | -2.0億円 | -1.6億円 | -5.3億円 | -2.8億円 | - |
| 連結(合計) | 117億円 | 131億円 | 2.7億円 | 4.1億円 | 3.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動はマイナス、財務活動はマイナスであり、本業で稼いだ資金で投資や借入返済を行っている健全型です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.4億円 | 4.7億円 |
| 投資CF | -13億円 | -3.3億円 |
| 財務CF | 8.2億円 | -4.4億円 |
企業の収益力を測るROE(親会社所有者帰属持分利益率)は3.9%で市場平均(7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る親会社所有者帰属持分比率は39.8%で市場平均(48.5%)を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、顧客に「最適な情報通信システムの構築」「最大限の経費削減のお手伝い」「迅速かつ安心していただける保守サービス」を提供することを通じて社会に貢献することを企業理念としています。国内からグローバルでのソリューションプロバイダーとなることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「人財」に重きを置き、グループの成長を支える長期的な人材育成方針を策定しています。また、経営の透明性を確保するため、外部取締役を過半数以上登用し、コンプライアンスとリスクマネジメントの強化、環境・社会に配慮した責任ある経営に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な事業拡大による企業価値の向上を目指しており、2027年9月期を最終年度とする「2025-2027年中期経営計画」を掲げています。
* 売上高成長率:20%以上
* 売上高営業利益率:10%以上
* ROE:20%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
グローバル事業展開を推進するため、営業社員の採用と教育を強化し、グローバルで活躍できる人財を輩出することを最重要課題としています。また、ビジネス領域を国内からASEAN、グローバルへと拡げ、ダイレクトマーケティングによるソリューション事業を推進します。
* 国内ソリューション事業:脱炭素化商材を中心に独自商品・サービスを開発し、ストック収入を拡大。
* 海外ソリューション事業:ASEAN諸国等へ進出し、M&Aやアライアンスによりローカル市場への展開を推進。
* BPR事業:RPAやAIを活用したDX化推進提案を実施し、請負業務の増加を図る。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
グローバル事業展開推進のため、営業社員の採用と教育、トレーニングを実施し、グローバル人財の早期輩出を目指しています。また、社員一人ひとりの目標を支援するキャリアパス設計や、AI活用スキル等の習得支援、四半期ごとの評価とフィードバックなど、社員エンゲージメント向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 43.3歳 | 8.8年 | 5,360,000円 |
※平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は従業員規模等の理由により公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均研修受講時間(95%)、社内研修修了率(95%)、フィードバック実施率(94%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) リース契約を用いた販売に係るリスク
国内および海外ソリューション事業において、エンドユーザーに対し主にリース契約を介して販売を行っています。経済情勢によるリース料率の変動や審査状況の変化、法規制の変更等により、リース契約での販売が困難になった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人財の確保及び育成に係るリスク
専門性を持ちソリューション提案ができる人財の確保・育成を重要視しています。新卒・中途採用や育成プログラムに取り組んでいますが、計画通りに人員確保や育成が進まない場合、事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定人物への依存について
創業者であり代表取締役の伊藤秀博氏は、経営戦略や営業等において中心的役割を担っています。組織的な経営体制の構築を進めていますが、同氏が何らかの理由で業務執行困難になった場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 情報漏洩に係るリスク
事業の性質上、顧客や取引先の個人情報・機密情報を保有しています。情報セキュリティ管理の強化や社員教育に努めていますが、サイバー攻撃等による情報漏洩が発生した場合、信用の低下や損害賠償責任等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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