cotta転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社cotta の有価証券報告書(第27期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. cottaってどんな会社?
同社は、お菓子・パン作りのための材料や包装資材を扱うECサイト「cotta」を運営する企業です。BtoBからBtoCまで幅広く対応し、近年はM&Aにより人材領域や美容領域へも事業を拡大しています。
■(1) 会社概要
1998年に大分県津久見市で設立され、鮮度保持剤の通信販売を開始しました。2005年に福証Q-Boardへ上場し、2006年にはECサイト「cotta」を開設しました。2013年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、事業基盤を強化しています。2024年にはシステムエンジニアリングサービスを行うTERAZおよび美容商材を扱うワークス・グループを連結子会社化し、事業ポートフォリオを拡充しました。
2025年9月30日時点で、連結従業員数は163名、単体では35名です。筆頭株主は代表取締役社長の黒須綾希子氏で、第2位は佐藤嵩大氏、第3位は資本業務提携先である事業会社の不二製油です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 黒須綾希子 | 11.15% |
| 佐藤嵩大 | 5.54% |
| 不二製油 | 5.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長は佐藤成一氏、代表取締役社長は黒須綾希子氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 成一 | 代表取締役会長 | 1980年三星入社。1998年同社設立に伴い代表取締役社長就任。プティパ、周陽商事などグループ各社の社長を歴任し、2020年1月より現職。 |
| 黒須 綾希子 | 代表取締役社長 | 2007年インテリジェンス入社。2010年同社入社。TUKURU代表取締役社長を経て、2020年1月より現職。 |
| 吉田 史大 | 専務取締役 | 1989年大分交通入社。2005年同社入社。商品センター部長、プティパ代表取締役社長、周陽商事代表取締役社長などを経て、2020年7月より現職。 |
| 後藤 眞二郎 | 取締役総務部長 | 1988年エドウイン入社。2003年同社入社。商品開発部長、データ管理部長を経て、2012年5月より現職。 |
| 黒須 則彦 | 取締役EC事業部統括責任者 | 2007年ユアサ商事入社。アクセンチュアを経て、2016年TUKURU入社。2021年12月より現職。 |
社外取締役は、兒玉和男(元関西マテック常務)、岸原稔泰(グロースアシスト代表取締役)、秋吉英矢(元大分銀行支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「菓子・パン資材及び雑貨等の販売事業」、「人材ソリューション事業」、「美容関連用品等の販売事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 菓子・パン資材及び雑貨等の販売事業
製菓・製パンに関連する包装資材や食材を主力商品とし、個人経営の和洋菓子店や一般消費者向けに販売しています。ECサイト「cotta」を通じた販売が中心であり、小ロット・短納期・低価格を強みとしています。また、生協会員向けの企画提案型商品販売も行っています。
収益は主に商品販売収入です。運営は同社に加え、食材加工を行うプティパ、EC運営のTUKURU、食材卸売の周陽商事、雑貨販売のヒラカワおよびアスコットなどが行っています。
■(2) 人材ソリューション事業
リモートワーカー向けのエージェントサービス「Remoters」を運営し、システムエンジニアリングサービス(SES)事業を展開しています。登録者5,000名超の人材リソースを活用し、場所に縛られない柔軟な人員提供を行っています。
収益は、顧客企業からのシステム開発支援等の案件受託による報酬です。運営は主にTERAZが行っています。
■(3) 美容関連用品等の販売事業
美容サロン向けに、シャンプーやカラー剤などの材料・機材の卸売から経営支援までをトータルサポートしています。専門商品のほか、海外からのオリジナル商品も取り扱い、ロングテール型の品揃えを強みとしています。
収益は主に美容関連商品の販売収入です。運営はワークス・グループが行っています。
■(4) その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、インターネットメディア事業、太陽光機器事業、資格・有料動画事業などを展開しています。
収益は各事業におけるサービス提供対価や商品販売収入です。運営は同社およびグループ各社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は過去5期間で93億円から137億円へと拡大傾向にあります。特に当期はM&Aの影響もあり、売上規模が大きく伸長しました。経常利益は5億円から8億円前後で推移しており、当期は増益となりました。当期利益は2億円から3億円台で推移しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 93億円 | 88億円 | 86億円 | 90億円 | 137億円 |
| 経常利益 | 4.9億円 | 5.8億円 | 8.3億円 | 5.3億円 | 7.7億円 |
| 利益率(%) | 5.2% | 6.6% | 9.6% | 6.0% | 5.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.3億円 | 1.6億円 | 3.5億円 | 2.3億円 | 2.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も28億円から41億円へと増加しました。売上総利益率は31.5%から29.7%へとやや低下しましたが、営業利益は4.8億円から7.7億円へ拡大し、営業利益率は5.3%から5.6%へ改善しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 90億円 | 137億円 |
| 売上総利益 | 28億円 | 41億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.5% | 29.7% |
| 営業利益 | 4.8億円 | 7.7億円 |
| 営業利益率(%) | 5.3% | 5.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び雑給が9億円(構成比27%)、広告宣伝費及び販売促進費が3億円(同10%)を占めています。売上原価は売上高に対し70%の構成比となっています。
■(3) セグメント収益
主力の菓子・パン資材事業は堅調に推移し、全体の利益を牽引しています。新規連結の人材ソリューション事業と美容関連用品事業も黒字貢献しており、事業ポートフォリオの分散が進んでいます。その他の事業も一定の利益を確保しています。
| 区分 | 売上(2025年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 菓子・パン資材及び雑貨等の販売事業 | 89億円 | 7億円 | 7.6% |
| 人材ソリューション事業 | 12億円 | 0.4億円 | 3.7% |
| 美容関連用品等の販売事業 | 34億円 | 0.7億円 | 2.1% |
| その他 | 2億円 | 0.6億円 | 33.3% |
| 調整額 | - | -0.8億円 | - |
| 連結(合計) | 137億円 | 8億円 | 5.6% |
※データがない項目は「-」で表示しています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、事業活動を通じて資金を獲得し、将来の成長に向けた投資や財務基盤の強化を行っています。
営業活動では、本業で得た利益や資産の活用により、前年度を大きく上回る資金を獲得しました。一方、投資活動では、事業拡大のための子会社株式取得や固定資産への投資により、多額の資金を使用しました。財務活動では、長期借入による資金調達や借入金の返済、配当金の支払いなどを行いました。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 9億円 |
| 投資CF | 0.1億円 | -28億円 |
| 財務CF | -4億円 | 24億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「たくさんのつくりたいをかなえる」をビジョン、「つくる喜びと食べる幸せを世界にめぐらせる」をパーパスに掲げています。製菓・製パン業界におけるマーケットリーダーとしての地位確立を目指しています。
■(2) 企業文化
BtoC向け事業において、「だれかを想う。またつくりたくなる。」というお客様の気持ちを支える会社でありたいとの願いを込めています。顧客ニーズに沿った付加価値や利便性の高い商品、動画配信等のサービス提供を通じて、顧客の想いに応える姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画(2023-2026)」の達成に向けて事業を展開しています。お菓子・パン作りといえば「cotta」と想起させる圧倒的なブランド構築を目指すとともに、新たに連結化したグループ企業とも一体となり計画推進を図っています。また、次期中期経営計画(2027-2029)の策定も進めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
成長戦略として、M&Aによる事業領域の拡大を掲げています。シナジー効果や戦略との整合性を重視し、人材ソリューションや美容関連等の新規領域へ進出しています。また、物流体制の効率化に取り組み、新潟や大分への拠点分散や出荷体制の強化により、繁忙期の需要増に対応できる供給体制の確立を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
性別や年齢等の条件による制約を設けず、必要な専門的知見や能力を持つ人材を採用しています。自律的な自己研鑽やキャリア構築を支援する風土と枠組みを整備するとともに、働き方の多様性を尊重した労働環境の改善を実施し、持続的成長を支える人材への積極的な投資を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 42.4歳 | 10.7年 | 5,875,320円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 40.0% |
なお、男性育児休業取得率、男女賃金差異については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 在庫リスクについて
商品は見込生産や仕入を行い在庫として保有するため、需要予測の乖離や販売不振により過剰在庫や在庫不足が発生する可能性があります。プライベートブランド開発や大量仕入により在庫金額が増加傾向にあり、適切な在庫管理ができない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 売上原価等の上昇について
商品仕入原価に加え、配送費やピッキング作業の人件費等が利益率に影響します。配送業者の料金改定や作業効率の低下、また輸入品やプラスチック製品における原油価格・為替変動による調達コストの上昇が価格転嫁できない場合、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 電子商取引(EC)を取り巻く事業環境
主力事業はECによる受注・販売が基盤となっており、EC市場の拡大が不可欠です。社会構造の変化やインターネット取引トラブルの増加、または大手プラットフォーマーの動向などにより市場環境が悪化した場合、事業運営に支障が出る可能性があります。
■(4) システムの障害について
事業運営は基幹システムやECサイトに依存しており、システム障害やサイバー攻撃によるダウン、情報漏洩等が発生した場合、機会損失や信用の失墜を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。サイバーリスク保険等で対策していますが、全ての損害を補填できる保証はありません。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。