※本記事は、株式会社コナカ の有価証券報告書(第52期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コナカってどんな会社?
紳士服の製造・販売を中心に、飲食や教育などの多角的な事業を展開する企業グループです。
■(1) 会社概要
1952年に神戸で洋服店として創業し、1973年に横浜市で株式会社新紳(現コナカ)を設立しました。1991年にグループ合併を経て現在の体制となり、1996年に株式を店頭公開、2000年には東証一部(現スタンダード)へ上場しました。2016年にカスタムオーダーブランド「DIFFERENCE」を出店し、2024年にはサマンサタバサジャパンリミテッドを完全子会社化するなど、事業ポートフォリオの再構築を進めています。
連結従業員数は1,882名、単体では980名です。筆頭株主は代表取締役社長の湖中謙介氏で、第2位はコナカ従業員持株会、第3位は個人株主の寺田和正氏となっています。創業家や従業員が主要株主として名を連ねる安定した株主構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 湖中 謙介 | 6.77% |
| コナカ従業員持株会 | 5.36% |
| 寺田 和正 | 5.09% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長CEOグループ代表は湖中謙介氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 湖中 謙介 | 代表取締役社長CEOグループ代表 | 1982年日本テーラー入社。常務、専務を経て2005年より社長。サマンサタバサジャパンリミテッド会長等を兼任。2019年より現職。 |
| 古屋 幸二 | 取締役専務執行役員 | 1991年酒田時計貿易入社。アガタジャポン副社長等を経て2018年同社入社。経営企画室長等を歴任しサマンサタバサジャパンリミテッド社長を兼任。 |
| 中川 和幸 | 取締役常務執行役員CMO商品事業本部長兼スーツセレクト事業本部長 | 1995年同社入社。商品事業本部長、コナカ事業本部長などを歴任し、KONAKA(THAILAND)取締役を兼任。2024年10月より現職。 |
| 湖中 龍介 | 取締役常務執行役員CFO管理本部長兼財務部長 | 2002年同社入社。情報システム部長、管理本部副本部長、財務部長などを歴任。アイステッチ監査役等を兼任。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、太田彩子(ベレフェクト代表取締役)、大門あゆみ(法律事務所UNSEEN代表弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ファッション事業」「フードサービス事業」「教育事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ファッション事業
ビジネスウェアや関連用品、バッグ、ジュエリー、アパレルの企画・製造・販売を行っています。主なブランドとして、紳士服の「コナカ」「フタタ」、セレクトショップ業態の「SUIT SELECT」、カスタムオーダーの「DIFFERENCE」、および「サマンサタバサ」などを展開しています。
主な収益は、店舗およびECサイトでの商品販売による代金です。運営は、紳士服関連を同社およびKONAKA(THAILAND)CO.,LTD.が担い、リユース・リフォーム事業を株式会社アイステッチが、バッグ・ジュエリー等を株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドおよび株式会社バーンデストローズジャパンリミテッドが行っています。
■(2) フードサービス事業
とんかつ専門店「かつや」やからあげ専門店「からやま」などのフランチャイズ店舗を運営しています。多角化の一環として、食の分野での事業展開を行っており、幅広い顧客層に対してサービスを提供しています。
収益源は、一般消費者からの飲食代金およびテイクアウト商品の販売代金です。この事業の運営は、子会社であるコナカエンタープライズ株式会社が行っています。
■(3) 教育事業
バイリンガル幼児園「Kids Duo International」や英語学童保育「Kids Duo」などの教育施設を運営しています。グローバル社会に対応できる人材育成を目指した教育カリキュラムを提供しています。
主な収益は、生徒の保護者から受け取る入会金や月謝、教材費などの教育サービス対価です。運営は、フードサービス事業と同じくコナカエンタープライズ株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は600億円前後で推移していましたが、直近では555億円まで減少しています。利益面では経常損失が続いており、厳しい状況が見られますが、当期は固定資産売却益等の計上もあり、親会社株主に帰属する当期純利益が黒字に転換しました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 586億円 | 632億円 | 658億円 | 631億円 | 555億円 |
| 経常利益 | -65.2億円 | -21.9億円 | -6.9億円 | -11.6億円 | -3.5億円 |
| 利益率(%) | -11.1% | -3.5% | -1.0% | -1.8% | -0.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6.5億円 | -18.1億円 | 2.0億円 | -88.8億円 | 4.4億円 |
■(2) 損益計算書
減収に伴い売上総利益も減少しています。営業損失は継続していますが、赤字幅は縮小傾向にあります。売上高の減少に対してコストコントロールが進められているものの、依然として営業段階での収益改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 631億円 | 555億円 |
| 売上総利益 | 369億円 | 333億円 |
| 売上総利益率(%) | 58.5% | 60.0% |
| 営業利益 | -13.5億円 | -7.7億円 |
| 営業利益率(%) | -2.1% | -1.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が102億円(構成比30%)、賃借料が102億円(同30%)を占めており、人件費と地代家賃が大きな負担となっています。売上原価は222億円で、売上高に対する原価率は40.0%です。
■(3) セグメント収益
直近の2025年9月期は、物価上昇等による消費マインドの抑制等の影響を受け、主力のファッション事業が減収となったものの、事業全体の損失幅は縮小し、連結全体の営業損失は前期から改善する結果となりました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ファッション事業 | 601.6億円 | 523.1億円 | -14.7億円 | -8.7億円 | -1.7% |
| フードサービス事業 | 20.1億円 | 21.6億円 | 0.8億円 | 0.8億円 | 3.5% |
| 教育事業 | 9.6億円 | 10.2億円 | 0.4億円 | 0.3億円 | 3.0% |
| 調整額 | - | - | - | - | - |
| 連結(合計) | 631.3億円 | 554.9億円 | -13.5億円 | -7.7億円 | -1.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
直近の2025年9月期のキャッシュ・フローは、資産の入れ替えによる資金流動性の適正化と財務基盤の強化が進む状況を示しています。
投資CFは、有形固定資産や投資有価証券の売却等により10.3億円のプラス(資金回収)となりました。この回収資金や本業で得た資金を原資として、長期借入金の返済を中心とした財務CF(△12.3億円の支出)に充てています。これらの結果、手元資金は約10.2億円増加しており、堅実な資金繰りが行われています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2.3億円 | 12億円 |
| 投資CF | 20億円 | 10億円 |
| 財務CF | -48億円 | -12億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.9%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、創業以来の商売の原点である「信用・奉仕・地域社会に貢献」を経営理念の柱としています。これを確実に実行するために、従業員の人間力向上を図り、顧客・株主・取引先に安心、信頼、満足を提供し続けることを経営方針として掲げています。
■(2) 企業文化
「人を大切にする会社」という企業文化の維持・浸透を重視しています。経営理念にも掲げる「人材の育成」を重視し、従業員を「人財」と捉え、一人ひとりに目を向け個々の能力が最大限発揮される職場づくりを目指しています。階層別・役職別の勉強会や研修会を通じてレベルアップを促進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、会社資産の有効活用による資産効率の確保および株主資本の成長性の観点から、以下の指標を重要経営指標として位置付け、収益性を重視した効率経営を図り、継続的成長を実現する考えです。
* 営業利益
* ROE(自己資本純利益率)
■(4) 成長戦略と重点施策
働き方やライフスタイルの変化を捉え、事業ポートフォリオの見直しによる経営資源の最適配分を進め、採算性向上と収益基盤強化に努めます。デジタル技術活用とDX推進により、業務効率化と顧客体験価値向上を図ります。サマンサタバサグループについては、店舗・ブランドの効率化を含む抜本的な構造改革を実施し、利益構造の強化を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中長期的な企業価値向上に向け、「人を大切にする会社」という文化の維持、人材の多様性確保、人材育成を重要視しています。健康経営を推進し、定休日新設や短時間勤務制度の拡充、正社員登用制度の活用などを通じて働きやすい環境を整備し、社員のエンゲージメント向上に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 42.7歳 | 19.6年 | 4,538,040円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.7% |
| 男性育児休業取得率 | 122.2% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 70.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 90.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員における女性比率(19.0%)、離職率(4.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気変動及び季節的要因について
主力であるファッション事業は、季節的変動があり、第4四半期の売上割合が低くなる傾向があります。また、国内外の景気、消費動向、天候不順等の影響を強く受けます。冷夏や暖冬などの天候要因や消費マインドの低下は、売上に大きな影響を与え、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) サステナビリティ課題について
気候変動、資源枯渇、人権侵害といったサステナビリティ課題への対応が不十分な場合、人材確保の困難化、取引停止、行政罰、ブランド価値の低下などを招くリスクがあります。特に気候変動対応やサプライチェーンにおける人権配慮などは、社会的要請が高まっており、適切な対応が求められます。
■(3) 為替変動のリスク
グループの業績および財務状況は為替相場の変動による影響を受けます。外貨建取引から発生する資産・負債の円換算額や、外貨建てで取引される商品・原材料の価格が変動する可能性があります。為替リスク軽減のための手段を講じていますが、相場の変動が業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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