PLANT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

PLANT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、衣食住の生活必需品を網羅的に扱うスーパーセンターを地方中心に展開する企業です。2025年9月期の業績は、売上高が前期比0.8%減、営業利益も5.7%減とやや軟調でしたが、当期純利益は268.0%増の大幅な増益を達成しています。


※本記事は、PLANT の有価証券報告書(第44期、自 2024年9月21日 至 2025年9月20日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. PLANTってどんな会社?


福井県を拠点に、食品からDIY用品まで扱う大型スーパーセンターを全国のルーラル地域(地方)に展開しています。

(1) 会社概要


1982年に株式会社みったとして設立され、家庭用品販売を開始しました。1990年にホームセンター業態、1993年には現在の主力であるスーパーセンター業態の店舗を出店し、事業の柱を確立しました。2000年に株式を店頭登録し、その後2013年に東証一部へ上場、2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。現在では全国に23店舗を展開しています。

同社(単体)の従業員数は651名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の有限会社ワイ・ティ・エーで、第2位は創業者の三ッ田勝規氏、第3位は従業員持株会となっており、創業家と従業員が主要な株主構成を占めています。

氏名 持株比率
有限会社ワイ・ティ・エー 29.32%
三ッ田 勝規 4.78%
PLANT従業員持株会 4.11%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は三ッ田泰二氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
三ッ田 泰二 代表取締役社長 1993年同社入社。取締役商品本部食品部長、商品本部長などを歴任し、2017年取締役副社長に就任。2025年9月より現職。
熊谷 健太 取締役副社長 セブン‐イレブン・ジャパンを経てFrancfrancで常務執行役員を務める。2022年同社入社、経営戦略室長を経て2025年9月より現職。
山田 准司 専務取締役 福井銀行出身。2015年同社入社、経営企画室長、管理本部長などを歴任。2025年3月より現職。
三ッ田 佳史 取締役 1991年同社入社。各店店長や商品本部ノンフーズ部長、店舗運営本部長などを経て、2017年から社長を務めた後、2025年9月より現職。


社外取締役は、市橋信孝(ユアーズホスピタリティマネジメント代表取締役)、大森望央(amite代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーセンター事業」および「その他」事業を展開しています。

スーパーセンター事業


生鮮食品を含む日常生活用品全般を、ワンストップで提供する大型店舗「スーパーセンター」を運営しています。都市部から離れたルーラル地域(車で20~30分圏内に3~5万人の人口がある地域)に立地し、衣食住のあらゆる部門にわたる生活必需品を網羅的に取り扱っているのが特徴です。

収益は、一般消費者への商品販売による対価が中心です。主要品目は、青果・精肉・惣菜などの「フーズ」、日用品・DIY・園芸・衣料品などの「ノンフーズ」に大別されます。また、ガソリンスタンドやフランチャイズ店(書籍、100円ショップ等)も運営しています。運営はPLANTが行っています。

その他


スーパーセンター事業に含まれない付随的な事業として、不動産賃貸業を行っています。

収益は、テナント等からの賃貸料収入です。同社が保有する店舗スペースや土地の一部を外部に賃貸することで収益を得ています。運営はPLANTが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は950億円から980億円前後で安定して推移しています。2025年9月期は前期比でわずかに減収となりました。利益面では、経常利益が20億円前後で推移しており、利益率は2%台を維持しています。当期純利益については、2025年9月期に13億円を超え、過去5期間の中で最も高い水準となりました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 962億円 953億円 975億円 986億円 978億円
経常利益 17億円 15億円 18億円 22億円 21億円
利益率(%) 1.7% 1.6% 1.9% 2.3% 2.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 3億円 2億円 4億円 13億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微減となり、売上総利益もわずかに減少しました。しかし、売上総利益率は約23%の水準を維持しています。営業利益については、20億円台を確保しているものの、前期と比較するとやや減少しました。全体として、収益性は安定していますが、成長性においては横ばいの傾向が見られます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 986億円 978億円
売上総利益 227億円 223億円
売上総利益率(%) 23.0% 22.8%
営業利益 21億円 20億円
営業利益率(%) 2.2% 2.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が91億円(構成比45%)、減価償却費が13億円(同6%)を占めています。売上原価については、商品売上原価が売上原価合計のほぼ100%を占めています。

(3) セグメント収益


2025年9月期の品目別販売実績を見ると、主力のフーズ(食品)部門、およびノンフーズ部門ともに前期比で大きな変動はありませんでした。フーズは微減、ノンフーズは微増となっています。全体としては、生活必需品の需要に支えられ、底堅い売上を維持しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
フーズ 665億円 652億円
ノンフーズ 316億円 321億円
不動産賃貸収入 4億円 4億円
連結(合計) 986億円 978億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業で現金を稼ぎ(営業CFプラス)、それを将来の成長投資に回し(投資CFマイナス)、借入金の返済なども進めている(財務CFマイナス)ことから、「健全型」と言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 25億円 23億円
投資CF -8億円 -32億円
財務CF -24億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


地域住民のニーズに沿った豊富な品揃えと、徹底したローコスト・オペレーションによる低価格での商品提供を通じ、「生活のよりどころとなる店」を進化させ続けることを経営方針としています。また、生活必需品をワンストップで提供し、地域に一つあれば生活に不便を感じさせない「頼れる存在」であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


地域社会との共生、従業員の働きやすい職場環境の整備、取引先との信頼関係構築、商品の安全性確保、法令遵守の5つを行動規範として定めています。特に、「安さの質」と「価値の発信」を意識し、買物を義務から楽しみへと変化させるような、驚きやワクワク感を提供する姿勢を重視しています。また、変化に対し迅速かつ柔軟に対応する柔軟性も大切にしています。

(3) 経営計画・目標


収益力の強化を最重要課題とし、生活必需品の価格優位性を保ちながら収益性を高めることを目指しています。また、資本コストや株価を意識した経営を実現し、企業価値の向上に取り組んでいます。

* 営業利益率:3%以上の達成
* PBR:1倍

(4) 成長戦略と重点施策


収益力の強化に向け、「利益構造改革」と「繁盛店作り」を重点施策として掲げています。生産性向上やDX活用による販管費抑制で利益構造を改革し、販売力・商品力・接客レベルの向上により競争に強い店舗作りを進めます。また、低価格と付加価値の両立を追求し、商圏と客層の拡大を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員が安心して働き、自律的に成長できる環境づくりを目指しています。若手にはジョブローテーション、中堅以降はマネジメントかスペシャリストを選択できるキャリア構築を支援しています。年功序列を廃し、個々の強みに応じた人材支援を行うとともに、新卒・中途採用や非正規からの登用、障害者雇用など、多様な人材の確保と活躍推進に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 45.9歳 14.7年 6,312,868円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.5%
男性育児休業取得率 78.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.3%
男女賃金差異(正規雇用) 81.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 95.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、指導職女性社員比率(22.4%)、障がい者雇用率(3.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競争の激化


生活必需品を低価格で提供していますが、多様な業態の競合店が出店し競争環境は厳しくなっています。新たな競合の出店や価格競争がさらに激化した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) EC市場の拡大


リアル店舗での事業を主力としていますが、EC市場の拡大が続いています。ネット販売も開始していますが、他社やネット専業企業へ消費者が流出し、拡大するEC需要を獲得できない場合、業績に影響が出る可能性があります。

(3) 自然災害・感染症等に関するリスク


国内広域に店舗を展開しているため、大規模な自然災害や事故、または新たな感染症の流行が発生した場合、店舗の営業継続、商品調達、物流、従業員の確保などに支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 企業運営に関するリスク


金融機関からの借入金を主な資金調達手段としているため、金利動向や金融市場の混乱、業績悪化による信用力低下などが資金繰りに影響する可能性があります。また、財務制限条項への抵触や、固定資産の減損処理、システム障害や情報漏洩などもリスク要因として認識されています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。