※本記事は、まんだらけ の有価証券報告書(第39期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. まんだらけってどんな会社?
まんが古書やアニメグッズ、TOYなどのコレクターズアイテムを買取・販売する、日本最大級の古書店です。
■(1) 会社概要
1980年にまんが古書店として創業し、1987年に会社設立しました。2000年に東京証券取引所マザーズへ上場を果たし、2015年には市場第二部へ市場変更を行いました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。独自のPOSシステムによる単品管理と専門知識を持つスタッフによる査定を強みとしています。
同社(単体)の従業員数は420名です。筆頭株主は創業者の古川益蔵氏(会長)で、第2位は現代美術家・村上隆氏が代表を務める有限会社カイカイキキです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 古川益蔵 | 33.97% |
| 有限会社カイカイキキ | 3.54% |
| まんだらけ従業員持株会 | 1.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性14名、女性2名の計16名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は田中幹教氏です。取締役13名のうち社外取締役は3名で、社外取締役比率は23.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 古川益蔵 | 代表取締役会長 | 1970年水木プロダクション入社。1980年まんだらけ創業。1987年同社設立に伴い取締役、1990年代表取締役社長を経て、2023年より現職。 |
| 田中幹教 | 代表取締役社長 | 2001年同社入社。Web制作部長、取締役、副社長を経て、2023年より現職。 |
| 小山雄介 | 取締役副社長 中野店長 | 1998年同社入社。グランドカオス店長、取締役を経て、2020年中野店長、2023年より現職。 |
| 西田貴美 | 専務取締役管理部門統括 | 1983年藤沢薬品工業入社。1995年同社入社。取締役大阪店店長、管理部門副統括を経て、2022年より現職。 |
| 竹下典宏 | 常務取締役コンプレックス店長 | 2001年同社入社。2008年コンプレックス店長、2014年取締役を経て、2022年より現職。 |
| 野久尾亮 | 常務取締役うめだ店長 | 2005年同社入社。2015年うめだ店長、2019年取締役を経て、2022年より現職。 |
| 大井健一朗 | 常務取締役 | 1993年有限会社コスギヤマ入社。2005年同社入社。札幌店長、取締役を経て、2022年より現職。 |
| 川代浩志 | 取締役経理本部長 | 1984年千葉興業銀行入社。税理士事務所を経て2000年同社入社。経理部長、取締役を経て、2023年より現職。 |
| 香西陽 | 取締役渋谷店長 | 2004年同社入社。2012年渋谷店長となり、2014年より現職。 |
| 安永誠 | 取締役京都店長 PUCK2店長 | 2003年同社入社。名古屋店長、取締役を経て、2023年京都店長。2024年取締役再任、2025年より現職。 |
社外取締役は、青木義治(元青木呉服店代表)、伊奈さやか(弁護士法人リーガルジャパン所属弁護士)、芳原勝伸(公認会計士芳原勝伸事務所代表)です。
2. 事業内容
同社は、「コレクターズアイテム買取販売」および「その他」事業を展開しています。
■コレクターズアイテム買取販売事業
まんが古書、アニメーション関連グッズ、TOY、同人誌などのコレクターズアイテムを中心に、アンティークやドールなど幅広い中古品を取り扱っています。マニアックな希少品から最新の商品までを対象とし、一般顧客やコレクターを主な顧客としています。
主な収益源は、店舗および通信販売(Webサイト)における商品の販売代金です。商品の大半は一般個人からの買取によって調達しています。また、自社主催のオークション大会の開催や、出版物の発行も行っています。運営は同社が単独で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は第35期の96億円から第39期の152億円へと一貫して右肩上がりで成長しています。利益面では、第37期以降に利益率が10%を超える高水準で推移していましたが、第39期は人件費増や仕入強化などの影響により減益となり、利益率は11.5%に低下しました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 96.3億円 | 105.9億円 | 128.4億円 | 144.6億円 | 151.8億円 |
| 経常利益 | 5.7億円 | 9.1億円 | 18.5億円 | 20.6億円 | 17.5億円 |
| 利益率(%) | 5.9% | 8.6% | 14.4% | 14.2% | 11.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3.6億円 | 5.9億円 | 12.5億円 | 13.8億円 | 11.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上総利益率は54.8%から54.6%へとわずかに低下しました。販管費の増加により営業利益率は14.4%から11.8%へ低下しており、事業拡大に伴うコスト負担が増していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 144.6億円 | 151.8億円 |
| 売上総利益 | 79.2億円 | 83.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 54.8% | 54.6% |
| 営業利益 | 20.8億円 | 17.9億円 |
| 営業利益率(%) | 14.4% | 11.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が20億円(構成比31%)、雑給が10億円(同15%)を占めており、人件費の負担が大きい構造です。売上原価については、商品売上原価が69億円(構成比99%以上)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、品目別の売上動向を見ると、「TOY」が全体の過半数を占める主力商品であり、前期比でも堅調に推移しています。「本」や「同人誌」も安定的に成長していますが、「出版物」は減少傾向にあります。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 本 | 15.1億円 | 16.3億円 |
| TOY | 82.1億円 | 85.3億円 |
| 同人誌 | 14.6億円 | 15.3億円 |
| 出版物 | 0.8億円 | 0.7億円 |
| その他 | 31.9億円 | 34.3億円 |
| 連結(合計) | 144.6億円 | 151.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)を使って借入金の返済(財務CFマイナス)や設備投資(投資CFマイナス)を行っている「健全型」のパターンです。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.9億円 | 2.2億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | -3.9億円 |
| 財務CF | -12.1億円 | -3.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、まんがやアニメーション関連商品をコレクターアイテムとして掘り起こし、適正な価値の追求と市場創造を通じて「メインカルチャー化」を促進することを目指しています。時代を超越して受け継がれる文化を育成・保護する企業としての成長を経営方針として掲げています。
■(2) 企業文化
同社は、商品価値の適正な評価と発信を重視する文化を持っています。独自開発のPOSシステムにより全店舗で情報を共有し、適正価格での買取・販売を徹底しています。また、顧客とのコミュニケーションから得られる情報を経営資源とする「お客様の声」を重視し、専門知識を持つ人材が現場で価値判断を行う体制を構築しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、具体的な数値目標は定めていませんが、人材教育、システム開発と安定運営、店舗展開と通信販売の拡大を柱として事業を推進しています。本業である中古品事業の推進を通じて社会貢献度の向上に取り組む方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
国内大都市圏への新規出店を継続するとともに、通信販売機能の強化・拡充を進めています。特に海外顧客向けの多言語対応Web通販やオークションサイト「毎日オークション」を通じて、グローバルな市場開拓を推進しています。また、増加し続ける商品情報の管理と適正な価値判断のため、独自POSシステムの機能向上と安定稼働に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
商品の適正な価値判断ができる人材の確保と育成を最重要課題としています。顧客とのコミュニケーションを通じて情報を収集・発信できる能力や、市場創造の企画開発が行える人材を求めています。そのために研修制度の充実を図り、販売・買取の現場での指導を通じて専門知識と情報分析力を高める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 37.9歳 | 11.2年 | 5,031,594円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 28.2% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 88.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 101.7% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 取扱商品の特殊性と価格変動
同社が扱うアンティーク品やコレクターアイテムは、価値や流通量が極めて流動的です。ネット上での情報拡散により価格高騰や流通量減少が起きやすく、これに伴う仕入・販売価格のコントロールが困難になる可能性があります。この機能不全は、仕入減少や販売鈍化を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 仕入の安定確保に関するリスク
商品の仕入は一般顧客からの買取に大きく依存しており、メディア化などのブーム終了後に売却需要が急増する傾向があります。これに対し適切な量的コントロールと価格統制が必要ですが、専門知識を持つ担当者の不足や情報入手遅延が生じた場合、適切な仕入活動が停滞し、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 代表取締役会長への依存
希少性の高い特殊な原稿や原画等の価値評価において、代表取締役会長である古川益蔵氏への依存度が高い状況にあります。業務体制の移行を進めていますが、同氏に不測の事態が生じた場合、鑑定業務や仕入活動に支障をきたし、業績が影響を受ける可能性があります。



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