※本記事は、ユーラシア旅行社 の有価証券報告書(第40期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ユーラシア旅行社ってどんな会社?
自然や文化をテーマにした企画重視の海外旅行商品を展開する旅行会社です。子会社を通じて添乗員派遣も行っています。
■(1) 会社概要
1986年に海外旅行専門会社として設立されました。1995年には添乗業務を行う子会社ユーラシアサービスを設立。2001年に日本証券業協会へ株式を登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2022年の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。
同社グループの従業員数は連結で93名、単体で47名です。筆頭株主は創業者で代表取締役会長CEOの井上利男氏、第2位は有限会社ホワイトサクセス、第3位は個人株主の塩田和嗣氏となっており、創業者が過半数の株式を保有するオーナー企業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 井上 利男 | 50.11% |
| ㈲ホワイトサクセス | 11.22% |
| 塩田 和嗣 | 2.30% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名、計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役会長CEOには井上利男氏が就任しています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井上 利男 | 代表取締役会長CEO | 1984年日ソ旅行社入社。1986年同社設立に伴い代表取締役社長に就任。1995年ユーラシアサービス代表取締役社長就任。2024年12月より現職。 |
| 山田 則子 | 取締役社長COO | 1993年同社入社。総務課長、ユーラシアの旅事業部副本部長を経て、2023年専務取締役および同事業部本部長に就任。2024年12月より現職。 |
| 杉浦 康晴 | 取締役CFO | 2003年新日本監査法人入所。2008年杉浦康晴会計士補事務所設立。2018年公認会計士登録。2019年同社取締役管理部長に就任し、2024年12月より現職。 |
社外取締役は、河井良成(株式会社ヘキサゴンキャピタルパートナーズ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「旅行業」および「その他」事業を展開しています。
■旅行業
自然・文化・芸術・人間をテーマに、全世界を舞台とした観光内容重視の海外旅行商品を企画・販売しています。知的満足や精神的な喜びを求める円熟層を主な顧客としており、免税店への立ち寄りを省いて観光時間を充実させるなど、独自のライフバリュー創造を目指した上質なツアー運営を特徴としています。
収益は主に顧客からの旅行代金によって構成されています。運営は同社が旅行商品の企画・販売を担い、連結子会社のユーラシアサービスが、同社の独自ツアーや旅程を熟知した専属添乗員の派遣を行っています。
■その他
旅行業に関連する付帯サービスとして、旅行傷害保険等の代理店業務を行っています。
収益は保険会社等からの手数料収入が主となります。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第36期から第38期にかけては損失を計上していましたが、第39期に黒字転換を果たしました。直近の第40期では売上収益が48億円規模まで回復し、営業利益および経常利益も黒字を維持しています。コロナ禍の影響を脱し、増収増益基調で推移しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 2.2億円 | 5.0億円 | 29.5億円 | 46.0億円 | 47.9億円 |
| 経常利益 | △1.1億円 | △1.1億円 | △0.5億円 | 1.2億円 | 1.2億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | 2.6% | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | △1.2億円 | △1.2億円 | △0.6億円 | 1.2億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は約17%から約19%へと改善しました。営業利益率も小幅ながら上昇しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 46.0億円 | 47.9億円 |
| 売上総利益 | 7.8億円 | 9.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.9% | 18.9% |
| 営業利益 | 1.1億円 | 1.2億円 |
| 営業利益率(%) | 2.3% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3.4億円(構成比43%)、広告宣伝費が0.6億円(同8%)を占めています。また、営業費用(売上原価相当)の内訳としては、地上費が20億円(構成比52%)、航空運賃が17億円(同43%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力の旅行業における販売活動が堅調に推移し、売上高は増加しました。その他事業(保険手数料等)も増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 旅行業 | 46億円 | 48億円 |
| その他売上 | 0.1億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 46億円 | 48億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フローを示しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.5億円 | 1.5億円 |
| 投資CF | △0.4億円 | △0.2億円 |
| 財務CF | △0.2億円 | △0.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「新しいライフバリューの創造」を目指し、海外旅行において知的満足や精神的な喜びを強く求める円熟層を対象とした独自の旅行企画を販売しています。自然、文化、芸術、人間という知的テーマを重視した商品展開を行っています。
■(2) 企業文化
人づくりにおいて、経営における「公正(フェア)さと透明性と説明責任」を重視する文化があります。これは従業員のみならず企業活動に関わる全ての人々に対して果たされるべきものとしています。また、人材の知力とサービス力を高めるため、IT技術を積極的に活用した知恵の共有や、学習・教育のモチベーション向上に力を入れています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、資本コストや株価を意識した経営の実現を図るべく、以下の経営指標を目標として掲げています。
* ROE:10%以上
* 配当:連結株主資本の10%以上(DOE10%以上)
■(4) 成長戦略と重点施策
チケット仲介業ではなく、独自の専門領域を持つプロデュース能力で差別化を図る方針です。知的・精神的円熟層というコアターゲットの支持を集めつつ、その顧客層を着実に拡大することを中長期的な戦略の中心に据えています。
* DX/AIを活用した売上向上や経費削減への投資
* インバウンドや富裕層の個人旅行、インフルエンサーとの企画商品開発
* 創業40周年記念商品の企画
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社独自の旅行商品を担う「人材」の知力とサービス力を高めることを最大の経営課題と位置付けています。知恵の共有のためにIT技術を活用し、学習や教育のモチベーション向上に注力しています。また、公平な人事評価と人材育成を重視し、入社時研修の充実や継続的な学習に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 39.3歳 | 14.0年 | 5,389,666円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 68.4% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | -% |
| 男女賃金差異(正規) | -% |
| 男女賃金差異(非正規) | -% |
※同社は女性活躍推進法の規定に基づき、管理職に占める女性労働者の割合のみ公表しております。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 国際情勢や自然災害の影響
同社グループは海外旅行の企画・販売を主事業としており、戦争、紛争、テロ事件、自然災害などにより海外諸地域の安全性が損なわれる事態が発生した場合、ツアーの催行中止や顧客心理の悪化による需要低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動リスク
海外旅行商品の仕入原価において、地上費(現地での費用)など外貨支払いの割合が高いため、外国為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。為替予約等で対策を行っていますが、想定を超える大幅な変動があった場合には影響を受けるリスクがあります。
■(3) 感染症拡大の影響
新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、世界的なパンデミックが発生した場合、渡航制限などの措置が取られることで、同社グループの事業活動や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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