※本記事は、株式会社IC の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ICは、ソフトウェア開発からインフラ設計構築、システム運用支援、ITコンサルティングまで、幅広いITソリューションを提供しています。また、自社製サービスの開発を通じて、多様な業種・業態のITニーズに応えるITサービスも展開しています。
単体従業員数は722名、連結従業員数は807名です。セグメントは情報サービス事業の1つです。
主な国内グループ会社は、シルク・ラボラトリ、フィート、日本画像配信などです。
当連結会計年度では、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得が行われました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
情報サービス事業を展開するICは、人材を重要な経営資源と位置づけ、社員の成長と働きやすい環境づくりに注力しています。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社グループの職場環境の傾向を把握できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ICでは、従業員の平均勤続年数が長く、比較的安定した環境でキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も一定の水準にあり、幅広い年代の社員が活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,019,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.0年 |
| 平均年齢 | 39.2歳 |
| 単体従業員数 | 722人 |
| 連結従業員数 | 807人 |
| 単体のグループ内比率 | 89.5% |
ICでは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)の企業年金制度から、2024年10月30日より確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の企業年金制度へ移行しました。この制度は同社に適用されており、連結子会社は中小企業退職金共済制度等に加入しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。年金資産は35百万円となっています。当連結会計年度における確定拠出制度への要拠出額は66百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ICは、経営理念として掲げる「社会への奉仕」「株主様への奉仕」「社員への奉仕」に基づき、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、活力ある企業集団であり続けることを目指しています。
中期経営計画『co-creation Value 2025』および『Growing Beyond 2028』では、「社会課題解決に向けた新規ITサービスの創出」を掲げ、持続可能な社会の実現に向けた新たな価値創出に取り組んでいます。
具体的には、多様な人材の確保として新卒・中途採用の拡大や女性社員の採用比率向上を推進しています。また、新人研修から階層別研修、DX推進に向けた技術力向上研修、次世代マネジメント層向け外部研修など、多様なニーズに合わせた質の高い教育を実施しています。
社員が健全に働ける職場環境の整備にも注力しており、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定、勤怠管理システムによる長時間労働の抑制、健康経営の推進、社員エンゲージメント施策などを実施しています。これらの取り組みにより、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」にも認定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 58.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 74.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 0.0% |
多様性・登用
女性社員比率は、女性活躍推進企業データベースにて開示済の「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の目標値」を記載しています。
| 指標 | 目標 | 実績 |
|---|---|---|
| 女性社員比率 | 13.0% | 15.7% |
人材育成・エンゲージメント
女性社員の平均勤続年数は、女性活躍推進企業データベースにて開示済の「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の目標値」を記載しています。
| 指標 | 目標 | 実績 |
|---|---|---|
| 女性社員の平均勤続年数 | 7.0年 | 6.7年 |
健康・安全
| 指標 | 目標 | 実績 |
|---|---|---|
| 予防接種の接種率 | 80.0% | 13.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ICは、情報サービス分野において、ソフトウェア開発からインフラ設計構築、システム運用支援、ITコンサルティングまでを幅広く手掛けるITソリューションと、自社製サービスを提供するITサービスを展開しています。同社グループは、顧客のITニーズに総合的なソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、情報サービス事業を単一セグメントとしており、ITソリューション事業とITサービス事業の二つの事業部門を通じて収益を上げています。ITソリューション事業は、ユーザーの事業所内または同社内でソフトウェア開発を行う業務と、情報システムの運用管理やサーバ・ネットワークの設計構築を行う業務で構成されています。この事業は、官公庁・自治体、情報・通信メディア、金融・証券・保険といった幅広い顧客層からの受注を収益源としています。
ITサービス事業では、各種業界のニーズに合わせた自社製サービスの開発、販売、導入支援を行っています。主力サービスには、クラウド型チケット販売サービス「チケット for LINE Hybrid」や「らくらく入場サービスHINORI」、スポーツ・教育領域向けの個人能力開発支援システム「iDEP」などがあります。また、連結子会社である株式会社フィートを通じて、聴覚障がい者コミュニケーション支援アプリ「こえとら」や「SpeechCanvas」、騒音環境下での音響収音装置「Sound Pipette」も提供しています。
直近の連結会計年度では、ITソリューション事業が同社グループの収益の大部分を占めており、前期と比較して売上を大きく伸ばしました。一方、ITサービス事業は、セグメント間の連携強化による事業構成の最適化を進めた結果、主要顧客の開発業務の一部をITソリューション事業へ戦略的に移管したことにより、前期から売上が減少しています。同社グループは、本邦以外の外部顧客への売上高がないため、海外比率はなく、為替リスクの影響は受けません。また、日立グループが主要な顧客の一つであり、同社グループの売上高に占める割合は大きい傾向にあります。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| ITソリューション | 9兆404億円 | 9兆9,674億円 |
| ITサービス | 2,497億円 | 1,687億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間において売上高が継続的に増加傾向にあり、直近の連結会計年度では過去最高の売上高を達成しました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も、一時的な変動はあったものの、直近の連結会計年度では前期から大きく増加しています。これは、IT投資需要の増加という事業環境を背景に、同社グループが中期経営計画に基づき研究開発や人材育成、顧客課題解決型ソリューションの推進を着実に進めてきた結果であると考えられます。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 81.1億円 | 84.9億円 | 85.6億円 | 92.9億円 | 101億円 |
| 経常利益 | 6.7億円 | 7.1億円 | 4.8億円 | 5.5億円 | 6.1億円 |
| 経常利益率 | 8.2% | 8.4% | 5.6% | 5.9% | 6.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.9億円 | 5.3億円 | 3.7億円 | 3.8億円 | 4.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 63.32 | 68.99 | 49.06 | 51.65 | 65.31 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しており、生産性が向上している傾向を示しています。これは、売上高の成長に従業員数の増加が伴いつつも、効率的な事業運営が進んでいることを示唆しています。また、従業員1人あたり営業利益は前期から横ばいとなっており、収益性の維持に努めていることがうかがえます。これらの指標は、同社グループが持続的な成長と収益体質の強化を目指していることを示しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 12.2百万円 | 12.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 0.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ICは、事業活動で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況です。現在の財務基盤と資金の流れから、同社グループの安定性を確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ICの財務基盤は、自己資本比率が73.9%と、プライム市場の非製造業平均(24.2%)を大きく上回る水準で推移しています。純資産も増加傾向にあり、安定した経営基盤を示しています。
ROE(自己資本利益率)は7.8%で、プライム市場平均(9.4%)を下回っていますが、前期からは改善しています。手元資金である現金及び預金は37.4億円を確保しており、事業運営における資金の安定性が見られます。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 60.3億円 | 64.3億円 |
| 自己資本比率 | 74.3% | 73.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.4% | 7.8% |
| 現金及び預金 | 40.7億円 | 37.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
ICのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは1.4億円のプラスとなっています。これは、同社グループが事業活動を通じて安定的に資金を生み出していることを示しています。
一方、投資活動によるキャッシュフローは△1.7億円のマイナスとなり、前期のプラスから転じています。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得や無形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは△3.0億円のマイナスで、配当金の支払いや長期借入金の返済が行われています。
結果として、フリーキャッシュフローは△0.2億円のマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。これは、将来の成長に向けた積極的な投資フェーズにあることを示しており、長期的な視点での成長性や、それに伴う雇用・給与の安定性への期待につながります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.1億円 | 1.4億円 |
| 投資CF | 0.1億円 | △1.7億円 |
| 財務CF | △4.3億円 | △3.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.2億円 | △0.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
ICグループは、特定の販売先への依存度が高い状況です。株式会社日立システムズをはじめとする日立グループ会社への販売が、2025年9月期売上高のおよそ50%を占めています。同グループ会社との取引が縮小された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、経済環境の変化に伴うIT投資動向もリスクとして挙げられています。ITソリューション事業及びITサービス事業はIT投資動向の影響を受けるため、経済環境の悪化や景気低迷により顧客企業のIT投資意欲が減退した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
ICグループは、人員の拡充に関するリスクを認識しています。ビジネスモデルである「顧客密着型ソリューションサービス」において、優秀なIT技術者の確保と育成が重要であると考えています。今後、必要な人員の拡充が計画どおりに進展しない場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ICグループは、情報処理サービスを通じて社会に貢献し、株主や社員とともに成長することを目指しています。どのような価値観や文化のもとで事業を展開しているのかを見ていきましょう。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ICグループは、「情報処理のサービスを以って、社会に奉仕します。」「企業の理念に賛同、投資頂いた株主様に奉仕します。」「組織と共に成長を続ける社員に奉仕します。」を企業理念としています。この理念に基づき、あらゆるステークホルダーとともに発展し、継続的な経営成長と企業価値の向上を目指しています。
2022年9月には長期ビジョン「VISION 2031」を策定し、より多くの社会課題や顧客課題の解決を進め、「価値創造型IT企業グループ」への変革をゴールとしています。このビジョン実現に向け、中期経営計画「co-creation Value 2025」に続き、2026年9月期からは「Growing Beyond 2028」を推進し、「成長基盤の強化」に注力する計画です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ICグループは、経営理念として掲げる「社会への奉仕」「株主様への奉仕」「社員への奉仕」の3つのミッションに基づき、事業活動を行っています。特に「社員が幸せになること」を経営理念の一つとし、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、明るく活力ある企業集団であり続けるため、魅力あふれる職場環境の構築に注力しています。
グループ行動基準では「環境への配慮と社会貢献」を定めており、社員が責任ある社会の一員として環境負荷の低減に努めています。多様な人材の確保と育成を重視し、「コンスタントかつ計画的な採用」を基本方針として、新卒・中途採用の拡大や女性社員の採用比率向上を積極的に推進しています。社員が活き活きと健全に働ける職場を実現するため、次世代育成支援対策や長時間労働の抑制、健康経営の推進、社員エンゲージメント施策にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ICグループは、継続的な企業成長のために高収益事業の創出を急務と認識しています。自社保有技術の活用に加え、M&Aを含む社外リソースの活用を積極的に行い、早期での事業化を目指しています。
また、外部環境の変化に対応するため、中期経営計画に基づき、事業の拡大と持続的成長のための機能・基盤強化の戦略を推進しています。将来の成長に向けた積極的な投資を継続していく方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ICは監査等委員会設置会社であり、取締役会は社外取締役を含む監査等委員である取締役によって構成されています。また、経営の監督機能と業務執行機能を分離するため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ICは、一般財団法人IC齋藤育英会が筆頭株主として同社を支えています。また、IC従業員持株会も上位株主として名を連ねており、安定した資本構成を形成していることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 一般財団法人IC齋藤育英会 | 15.55% |
| IC従業員持株会 | 7.84% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 4.61% |
| スカラ | 3.36% |
| 史 海 波 | 2.96% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は齋藤良二氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 齋 藤 良 二 | 代表取締役社長 | 1980年11月同社入社。2013年12月取締役ソリューション開発本部長、2019年12月代表取締役社長執行役員に就任し、現職。 |
| 三 澤 昇 平 | 代表取締役副社長 | 2002年4月同社入社。2019年12月代表取締役副社長執行役員事業戦略本部長兼事業開発室長に就任。2025年10月より代表取締役副社長執行役員として現職。 |
| 池 田 貴 志 | 取締役ソフトウエアソリューション本部長 | 1994年4月同社入社。2013年10月ITソリューション開発本部第1部長、2019年12月取締役上席執行役員ソフトウエアソリューション本部長に就任し、現職。 |
| 鈴 木 直 人 | 取締役インフラソリューション本部長 | 1994年4月同社入社。2015年10月ITソリューション事業テクニカル運用本部第1部長、2025年12月取締役執行役員インフラソリューション本部長に就任し、現職。 |
社外取締役は、中田裕規氏(弁護士・永田町法律事務所・監査等委員)、小林靖弘氏(コバ代表取締役・MMB代表取締役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、複数の社外取締役を含む監査等委員会が客観的・中立的な監視を行っています。また、執行役員制度を導入することで、経営の意思決定と監督機能、業務執行機能の分離を図り、機動的で効率的な経営体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ICの役員報酬は、役員区分によって構成が異なります。取締役(監査等委員を除く)に対しては、固定報酬、賞与、譲渡制限付株式報酬が支給されます。一方、監査等委員である取締役の報酬は固定報酬のみで構成されています。賞与は連結売上高と連結営業利益の達成率を評価指標としており、業績連動のインセンティブが組み込まれています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.1億円 | 27.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 9.6百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 3百万円 | 1.4百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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