サカイホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サカイホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する同社グループは、再生可能エネルギー事業と移動体通信機器販売を中核に、葬祭、保険代理店事業などを展開する多角化企業です。直近の業績は、売上高170億円(前期比9.9%増)、経常利益13億円(同0.7%増)となり、増収増益で着実に推移しています。


※本記事は、株式会社サカイホールディングスの有価証券報告書(第35期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サカイホールディングスってどんな会社?


再生可能エネルギー事業と携帯ショップ運営を主軸に、葬祭や保険など多角的に事業を展開するホールディングカンパニーです。

(1) 会社概要


1991年に株式会社エスケーアイとして設立され、携帯電話販売代理店事業を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たした後、2013年には太陽光発電事業へ進出し事業の多角化を推進しています。2017年には持株会社体制へ移行し、現在の商号である株式会社サカイホールディングスへ変更しました。2022年の市場区分見直しにより、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

同グループの従業員数は連結で438名、単体で35名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は株式会社サンワで発行済株式の45.24%を保有しており、第2位はアイデン株式会社、第3位は株式会社サカイとなっています。上位株主による持株比率が高く、安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
サンワ 45.24%
アイデン 3.43%
サカイ 3.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は朝田康二郎氏が務めています。取締役4名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
朝田 康二郎 代表取締役社長 2003年野村證券入社。三菱UFJメリルリンチPB証券などを経て、2022年同社代表取締役社長に就任。グループ各社の会長職等を兼任し、2022年12月より現職。
中野 喜夫 取締役 1988年木曽路入社。同社人事本部長兼人事部長などを経て、2022年同社入社。人財戦略部長、執行役員を務め、2025年11月より現職。


社外取締役は、片山義浩(アスカ常務取締役ロボットシステム事業部長)、秋葉一行(秋葉法律会計経営事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「再生可能エネルギー事業」「移動体通信機器販売関連事業」「保険代理店事業」「葬祭事業」「不動産賃貸・管理事業」「ビジネスソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 再生可能エネルギー事業


太陽光発電所で発電した電気を電力会社に販売する事業です。固定価格買取制度(FIT制度)に基づき、20年間にわたり固定された売電単価で安定的な収益確保を目指しています。

収益は、電力会社への売電により売電代金を受け取るモデルです。運営は、親会社であるサカイホールディングスおよび連結子会社のエスケーアイ開発株式会社が行っています。

(2) 移動体通信機器販売関連事業


一般ユーザーを対象に、ソフトバンク等の移動体通信キャリアが提供する携帯電話端末の販売や回線契約の取次を行う事業です。店舗運営を通じた対面サービスにより、地域のDX化を支える拠点としての役割も担っています。

収益は、端末販売代金および通信サービスの契約成約に伴い通信キャリアから受け取る手数料からなります。運営は主に連結子会社の株式会社エスケーアイが行っています。

(3) 保険代理店事業


保険会社からの委託を受け、医療保険など第三分野の保険商品を募集・販売する事業です。従来の電話販売に加え、訪問販売の拡大など販売手法の多様化に取り組んでいます。

収益は、顧客が支払う保険料に応じた手数料を保険会社から受け取るモデルです。運営は連結子会社の株式会社セントラルパートナーズが行っています。

(4) 葬祭事業


「ティア」ブランドのフランチャイズ加盟店として、愛知県の知多・西三河エリアを中心に葬儀会館を運営しています。葬儀の施行全般から、忌明け法要や年忌法要などのアフターフォローまで請け負っています。

収益は、葬儀の施行や法要の請負代金を個人顧客から受け取るモデルです。運営は連結子会社のエスケーアイマネージメント株式会社が行っています。

(5) 不動産賃貸・管理事業


不動産物件(駐車場)の賃貸借募集および一般利用者への提供を行う事業です。名古屋市千種区にて大型立体駐車場を運営しています。

収益は、契約者からの月極賃貸料および一般利用者からの時間貸し使用料です。運営は連結子会社のエスケーアイ開発株式会社が行っています。

(6) ビジネスソリューション事業


法人企業を対象に、スマートフォンや光回線サービスの販売、契約取次を行う事業です。DX需要を背景に、業務効率化やコスト削減に関するコンサルティング営業を強化しています。

収益は、通信キャリアからの手数料およびサブスクリプション型の有償サポート料などです。運営は連結子会社の株式会社エスケーアイが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は151億円から170億円へと緩やかに拡大傾向にあります。経常利益も11億円台から13億円台へと推移しており、安定的な収益性を維持しています。当期純利益については変動が見られるものの、全体として黒字基調を継続しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 151億円 142億円 148億円 155億円 170億円
経常利益 11億円 12億円 12億円 13億円 13億円
利益率(%) 7.6% 8.1% 8.3% 8.5% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 1億円 5億円 10億円 8億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は36.4%から37.6%へと改善しました。営業利益についても増益を確保し、営業利益率は8.6%を維持しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 155億円 170億円
売上総利益 56億円 64億円
売上総利益率(%) 36.4% 37.6%
営業利益 14億円 15億円
営業利益率(%) 9.1% 8.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が17億円(構成比34%)、業務委託費が6億円(同12%)、販売促進費が6億円(同11%)を占めています。積極的な営業活動に伴い、販売促進費や業務委託費が増加傾向にあります。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力の移動体通信機器販売関連事業が増収を牽引しました。一方、利益面では再生可能エネルギー事業が最大の稼ぎ頭となっており、高い利益率を維持しています。ビジネスソリューション事業も大幅な増益を達成しました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
再生可能エネルギー事業 24億円 24億円 11億円 12億円 49.0%
移動体通信機器販売関連事業 107億円 121億円 4億円 4億円 3.6%
保険代理店事業 7億円 7億円 1億円 1億円 8.8%
葬祭事業 10億円 10億円 2億円 2億円 16.9%
不動産賃貸・管理事業 1億円 1億円 0.1億円 0.1億円 18.0%
ビジネスソリューション事業 6億円 8億円 0.3億円 1億円 12.2%
連結(合計) 155億円 170億円 14億円 15億円 8.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業での営業キャッシュ・フローがプラス、投資キャッシュ・フローがプラス、財務キャッシュ・フローがマイナスとなる「改善型」のパターンを示しています。営業活動による収入に加え、資産売却等による収入で借入金の返済を進めている状況がうかがえます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 16億円 20億円
投資CF -1億円 1億円
財務CF -21億円 -20億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は22.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「時代のニーズに先駆けて常に挑戦し、未来志向の価値創出と、持続可能な事業・社会を実現する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、再生可能エネルギー事業や地域社会へのインフラ提供を通じて、カーボンニュートラルの実現やSDGsの達成に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、変化の激しい通信業界において「人」を最も大切にし、会社にとって一番大切なのは「社員」であるという価値観を持っています。一緒に働く社員がやりがいを感じられるよう、常に新しいことを取り入れたり、年齢に関係なく意見を言える環境を整えることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、連結売上高、連結経常利益、および1株当たり当期純利益(EPS)を重視しています。また、各事業部門においては、発電量や販売数などの管理指標にも注力しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、コア事業である再生可能エネルギー事業において、新たな投資機会の模索や系統用蓄電池への投資検討を進めています。また、移動体通信機器販売関連事業では、ドミナント戦略による店舗運営効率の向上や法人向けコンサルティング営業の強化を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、コンプライアンス意識の向上や組織力の強化を目的に、全社的な研修体系図を策定し、eラーニングや階級別研修を実施しています。また、従業員の仕事と育児の両立を支援するため、「働くパパママ応援制度」を拡充し、育児短時間勤務の期間延長やベビーシッター利用割引券の導入などを行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 37.7歳 10.7年 5,202,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。なお、以下の数値は連結子会社である株式会社エスケーアイの実績です。

項目 数値
女性管理職比率 29.0%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.1%
男女賃金差異(正規雇用) 85.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 79.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 再生可能エネルギー事業の変動リスク


再生可能エネルギー事業は、20年間の固定価格買取制度(FIT制度)により安定的な売電収入が見込める一方、天候や気候の大幅な変動、自然災害、出力制御などにより発電量が減少し、収益が変動する可能性があります。また、関連法令の改正等が事業環境に影響を与える可能性もあります。

(2) 通信キャリアとの取引条件変更リスク


移動体通信機器販売関連事業およびビジネスソリューション事業は、通信キャリアからの手数料収入が収益の柱となっています。手数料の金額や条件はキャリアの事業方針により変更されることがあり、大幅な条件変更が発生した場合、同社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 市場競争と顧客ニーズの変化


移動体通信業界や葬祭業界では、新規参入や競争激化が進んでいます。通信業界ではオンライン契約の普及や端末価格の高騰による買い替えサイクルの長期化、葬祭業界では家族葬の増加や単価下落などが課題となっており、市場環境や顧客ニーズの変化に対応できない場合、業績に影響が出る可能性があります。

(4) 個人情報の管理リスク


携帯電話販売、保険代理店、葬祭事業などにおいて、多くの個人情報を取り扱っています。情報漏洩防止のための対策を講じていますが、万が一、個人情報の紛失や漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求などにより、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。