※本記事は、株式会社CEホールディングス の有価証券報告書(第30期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. CEホールディングスってどんな会社?
電子カルテシステム「MI・RA・Is」シリーズを主力とする医療IT企業であり、持株会社体制のもとヘルスケア分野のDX支援を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1996年に札幌市で株式会社オネスト・エスとして設立され、1999年に電子カルテシステムの製品版を完成させました。2001年には東証マザーズへの上場を果たし、全国的な展開を加速させました。2013年には持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更するとともに、事業会社として株式会社シーエスアイを設立しました。2022年には東証の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しましたが、その後スタンダード市場を選択しています。
2025年9月30日現在、連結従業員数は443名です。なお、同社は純粋持株会社であるため、単体の従業員はいません。筆頭株主は創業者の杉本惠昭氏で、第2位は事業上の取引関係がある日本電気、第3位は投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 杉本 惠昭 | 9.77% |
| 日本電気 | 7.21% |
| UH Partners 3 | 6.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役会長CEO(最高経営責任者)は杉本惠昭氏、代表取締役社長COO(最高執行責任者)は新里雅則氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 杉本 惠昭 | 代表取締役会長CEO(最高経営責任者) | 1996年同社代表取締役社長。2003年より会長CEO。シーエスアイ会長を兼務し、グループ全体の経営を統括。 |
| 新里 雅則 | 代表取締役社長COO(最高執行責任者) | 日本電気出身。アイテック経営企画部門統括部長を経て2017年シーエスアイ取締役。2024年より現職。 |
| 松澤 好隆 | 専務取締役CRO(最高リスク管理責任者) | ジャパンケアサービス出身。2000年同社入社。管理本部長などを経て2021年より現職。デジタルソリューション取締役を兼務。 |
| 芳賀 恵一 | 常務取締役CSO(最高戦略責任者) | 富士銀行、サイバートラスト等を経て2015年シーエスアイ入社。経営企画室長などを歴任し2024年より現職。 |
| 田口 常仁 | 取締役CFO(最高財務責任者) | 日本電気、ラルズ等を経て2015年シーエスアイ入社。管理担当部長などを経て2021年より現職。 |
| 藤本 香 | 取締役CHRO(最高人事責任者) | キャリアバンク、ノヴェロを経て2014年シーエスアイ入社。総務グループ長などを経て2024年より現職。 |
社外取締役は、浅見英徳(日本電気社会公共ソリューション事業部門医療ソリューション統括部長)、出原丈二(元北海道トッパン・フォームズ代表取締役社長)、吉田周史(吉田周史公認会計士事務所代表)、星加美佳(札幌創成法律事務所代表弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ヘルスケアソリューション事業」および「マーケティングソリューション事業」を展開しています。
■(1) ヘルスケアソリューション事業
電子カルテシステム「MI・RA・Is」シリーズを中心に、様々なベンダーの部門システムやハードウェアを組み合わせ、主に中小病院向けに販売しています。また、医療情報システムの受託開発・運用管理、医療機関向け料金後払いシステムの販売なども行っています。さらに、患者が自身の疾患を管理し医師と情報共有を行うスマートフォンサービス「ドクターコネクト」の普及にも努めています。
収益は、医療機関からのシステム導入費用や保守・運用サービス料、受託開発費などが主な柱です。運営は主に株式会社シーエスアイが行っていますが、その他に株式会社エムシーエス、株式会社デジタルソリューション、株式会社Mocosukuなども各領域で事業を展開しています。
■(2) マーケティングソリューション事業
企業や組織向けのWebサイト再構築(リブランディング)やWebプロモーション支援(Web広告の企画・制作・運用、SNS含む)、デジタルマーケティング人材の育成などを行っています。また、公共・商業施設向けのデジタルサイネージの販売等も手掛けています。
収益は、顧客企業からのWeb制作費、プロモーション支援料、デジタルサイネージの販売代金などから構成されています。運営は主に株式会社デジタルソリューションおよび株式会社サンカクカンパニーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。特に当期は売上高が過去最高を更新しました。利益面では、経常利益が安定的に推移しており、当期は親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で大幅に増加し、高い利益率を記録しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 123億円 | 137億円 | 136億円 | 146億円 | 158億円 |
| 経常利益 | 9.1億円 | 10億円 | 13億円 | 12億円 | 14億円 |
| 利益率(%) | 7.4% | 7.6% | 9.2% | 7.9% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6.3億円 | 5.9億円 | 6.9億円 | 1.2億円 | 16億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。営業利益率は前期の7.9%から当期は8.9%へと改善しました。これは増収効果に加え、前期に計上した特別損失の影響で当期の償却費負担が減少したことなどが寄与しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 146億円 | 158億円 |
| 売上総利益 | 34億円 | 36億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.1% | 22.6% |
| 営業利益 | 11億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 7.9% | 8.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8.9億円(構成比41%)、役員報酬が2.3億円(同11%)を占めています。売上原価の内訳については詳細な記載がありませんが、システム開発に関わる労務費や外注費などが含まれていると考えられます。
■(3) セグメント収益
主力のヘルスケアソリューション事業は、電子カルテシステムの更新需要や大型案件の受注により増収増益となりました。マーケティングソリューション事業も受注増により増収となり、赤字幅が縮小しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヘルスケアソリューション事業 | 141億円 | 153億円 | 12億円 | 15億円 | 9.5% |
| マーケティングソリューション事業 | 4.1億円 | 5.0億円 | -0.5億円 | -0.1億円 | -1.6% |
| 連結(合計) | 146億円 | 158億円 | 11億円 | 14億円 | 8.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFは税金等調整前当期純利益の計上などによりプラスを維持しました。投資CFは子会社株式の売却益などによりプラスに転じ、財務CFは借入金の返済等によりマイナスとなりました。これは営業活動で得た資金と資産売却で得た資金を用いて借入返済を進める改善型のキャッシュ・フローです。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.5億円 | 9.9億円 |
| 投資CF | -6.3億円 | 3.9億円 |
| 財務CF | 5.7億円 | -1.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同グループは、医療を中心としたヘルスケア全般をITで支援し、それに関わる「国民の安心・安全な生活」や「社会や事業者が抱える課題解決」に寄与することで、企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同グループは「人は心に活き心に動く、人こそ企業なり」という言葉を掲げ、人材こそが社会に役立つ企業づくりの柱であると考えています。法令や社会規範の順守を徹底し、企業の社会的責任を果たすことを重視する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
同グループは、2026年9月期に向けた経営目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:150億円
* 営業利益:15億円(営業利益率10.0%)
* 親会社株主に帰属する当期純利益:8.7億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は中核事業である電子カルテシステムの「時間軸(来院前・後)」と「空間軸(自宅・薬局等)」を拡大した領域への参画を強化しています。また、拡大した領域の製品・サービスへのAI活用を推進し、医療従事者の生産性向上を目指しています。さらに、全国の販売・SIパートナーとの連携を強化することで、医療ITソリューションのトップベンダーを目指す方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、クラウドやAIなどの先端技術を活用した医療業界の課題解決のため、IT人材の確保と育成を重要な経営課題と位置付けています。今後は海外人材を含めた採用の強化や、社内教育体制の充実、外部専門人材との連携などを通じて、人材の質と量の両面での強化を図る方針です。また、働き方改革やエンゲージメント向上にも取り組み、魅力的な職場環境の提供に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社は純粋持株会社であり、提出会社に従業員が在籍していないため、平均給与等のデータはありません。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 製品・サービスの品質(システム障害)
自社製品の電子カルテシステムは他社製システムと組み合わせて提供しているため、自社・他社問わず品質に問題が生じた場合、対応コストが発生する可能性があります。また、システムの品質低下や機能強化の遅滞は競争力の低下を招く恐れがあります。これに対し、品質保証・管理体制の強化や各種認証の取得を通じて品質保全に努めています。
■(2) 人材の確保・育成
クラウドやAIなどの技術革新に対応するためのIT人材や、医療業界の専門知識を持つ人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、競争力が低下するリスクがあります。採用競争が激化する中、同社は海外人材を含めた採用強化や教育体制の充実、外部専門人材との連携などを進めています。
■(3) 情報セキュリティ
コンピューターウイルスの侵入やサイバー攻撃、人為的過誤などにより、重要データの漏洩やシステム改ざんが発生した場合、損害賠償や信用失墜のリスクがあります。特に医療機関を狙ったランサムウェア被害が増加していることから、セキュリティ教育の実施やネットワークの安全性向上、バックアップ体制の提案などを行っています。
■(4) 法規制等(政府の施策)
電子カルテシステムに対し、新たな仕様・規格等に関する法規制やガイドラインが課せられた場合、システム改変や体制整備のためのコストが発生する可能性があります。同社は行政機関や業界団体からの情報収集を行い、効率的かつ早期の対応ができるよう努めています。



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