※本記事は、CSSホールディングス の有価証券報告書(第41期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. CSSホールディングスってどんな会社?
同社グループは、ホテル・レストラン向けの業務請負を主力とする企業グループです。
■(1) 会社概要
1984年、ホテル等の食器洗浄業務請負を目的としてセントラルサービスシステムを設立。2002年にJASDAQ市場へ上場を果たしました。2008年には純粋持株会社体制へ移行し、現社名であるCSSホールディングスへ商号変更しています。2022年の市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は613名、提出会社(単体)は3名です。筆頭株主は創業者の同族者が所有する有価証券管理信用口である信託銀行で、第3位は資産管理等を行うユニヴァ・アセット・マネジメントです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(リテール信託口) | 13.38% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(リテール信託口) | 13.26% |
| ユニヴァ・アセット・マネジメント | 11.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は水野克裕氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 水野 克裕 | 代表取締役社長 | 1985年リクルート入社。ユニヴァ・キャピタル・ジャパン等を経て、ユニヴァ・マルシェ代表取締役などを歴任。2021年より現職。 |
| 野口 緑 | 代表取締役 | 1984年同社取締役。代表取締役会長などを経て、2020年より現職。 |
| 峠 幸久 | 取締役 | 1980年高輪プリンスホテル入社。センダン代表取締役等を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、越智敦生(公認会計士越智会計事務所所長)、永辻航(弁護士)、山河和博(元オーエム計画社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スチュワード事業」「フードサービス事業」「空間プロデュース事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) スチュワード事業
ホテルやレストラン、テーマパーク等における食器洗浄を中心としたスチュワード管理業務や厨房清掃業務を提供しています。顧客はホテル業界が中心であり、食器管理のプロフェッショナルとして、宴会メニューに合わせた食器の準備から洗浄、保管、メンテナンスまでを一貫して請け負っています。
収益は、顧客であるホテルやレストラン等から受け取る業務委託料等から成ります。運営は主にセントラルサービスシステムが行っています。
■(2) フードサービス事業
従業員食堂やホテル内レストラン、高齢者施設等における給食運営サービスを提供しています。企業の福利厚生施設や学校法人、社会福祉法人など幅広い顧客に対し、食事の提供や食堂運営の受託を行っています。
収益は、施設運営の委託元や利用者から受け取る給食運営受託料や飲食代金等から成ります。運営は主にセンダンが行っています。
■(3) 空間プロデュース事業
映像、音響、放送、セキュリティーに関するシステムの設計・施工・販売に加え、BGM演出や香りによる空間プロデュースを提供しています。金融機関向けの監視カメラシステムや、ホテル・商業施設向けの音響映像設備などを取り扱っています。
収益は、機器の販売代金や施工料、BGM聴取サービスの利用料等から成ります。運営は東洋メディアリンクス、音響特機、Mood Media Japan等が行っています。
■(4) その他
報告セグメントに含まれない事業として、グループ全体の総務・人事・経理管理事業等を行っています。
収益は、グループ会社からの経営管理料等が中心です。運営は主にCSSビジネスサポート等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大しており、直近5期間で94億円から195億円へと倍増しています。利益面でも、経常利益は3.4億円から7.4億円へと伸長し、利益率も改善傾向にあります。特に直近では、インバウンド需要の回復等を背景に増収増益を達成しており、成長基調が継続しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 94億円 | 109億円 | 148億円 | 176億円 | 195億円 |
| 経常利益 | 0.3億円 | 0.8億円 | 3.1億円 | 6.3億円 | 7.4億円 |
| 利益率(%) | 0.4% | 0.7% | 2.1% | 3.6% | 3.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.0億円 | 1.0億円 | 1.1億円 | 1.5億円 | 2.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で約19億円増加し、195億円となりました。売上総利益も増加し、売上総利益率は16.2%から16.5%へと改善しています。営業利益は1.2億円増加して7.2億円となり、営業利益率も向上しました。増収効果が利益増に寄与しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 176億円 | 195億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 32億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.2% | 16.5% |
| 営業利益 | 6.0億円 | 7.2億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 3.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当等が10億円(構成比38%)、役員報酬が2億円(同8%)を占めています。売上原価については、人件費や食材費等が含まれています。
■(3) セグメント収益
スチュワード事業は新規開業や既存契約の適正化により増収増益となりました。フードサービス事業は売上が伸長したものの、食材費高騰等の影響で減益となりました。空間プロデュース事業は金融機関向け案件等が好調で増収増益を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| スチュワード事業 | 85億円 | 94億円 | 5.4億円 | 5.6億円 | 5.9% |
| フードサービス事業 | 39億円 | 46億円 | 1.0億円 | 0.9億円 | 2.0% |
| 空間プロデュース事業 | 52億円 | 55億円 | 2.2億円 | 3.1億円 | 5.7% |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 | 0.2億円 | 0.2億円 | 210.6% |
| 調整額 | - | - | -2.9億円 | -2.7億円 | - |
| 連結(合計) | 176億円 | 195億円 | 6.0億円 | 7.2億円 | 3.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で稼いだ資金で借入金の返済や配当支払いを行い、投資も手元資金で賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.1億円 | 7.1億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | -4.2億円 | -4.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「質の高い“おもてなし”の創造」を理念とし、お客様に「最適なサービス」を提供するための環境を実現することを経営方針の柱としています。ミッションとして「Support the Hospitality」を掲げ、人々の夢や感動、安心の質を高め、活力に満ちた社会の実現を約束しています。
■(2) 企業文化
「Go Beyond!」をバリュー&スローガンとして掲げています。これは、お客様・社会・株主の期待や、昨日までの自分自身を超えようという気持ちを土台とし、「すべきこと」「できること」「やりたいこと」の重なりを増やして、成長を加速する機会を自ら創り出すという共通の価値観を示しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年度からの中長期経営計画「Go Beyond! next20」において、既存事業の堅実な収益を新たな顧客価値提供への投資に振り向ける方針を掲げています。新たな取り組みの展開とリスク・課題への対応により、企業価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
スチュワード事業では、社内資格刷新による教育強化やDX・AI活用、外国人・高齢者の雇用促進を進めています。フードサービス事業では、人材エンゲージメント向上やライフケア分野の展開を図りつつ、コスト高騰への対応として価格交渉を継続します。空間プロデュース事業では、サブスク型ビジネスへの転換やグループ連携強化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
お客様満足向上のため、採用力強化と定着促進、教育制度の充実に注力しています。多様な人材の活躍を重視し、外国人や高齢者の雇用機会拡大、女性管理職比率向上に取り組んでいます。また、安全で快適な職場環境を実現するため、衛生委員会の開催やハラスメント防止対策など、リスク管理とコンプライアンスを徹底しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 53.3歳 | 13.9年 | 7,918,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.2% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 80.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 89.1% |
※男性育児休業取得率については、提出会社は公表義務の対象ではないため記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、シニア従業員雇用率(18.0%)、パート・アルバイト永年勤続表彰者数(237名)、有給休暇平均取得日数(9.0日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 請負事業者の責任について
スチュワード管理事業等において業務請負を行っており、作業の完了や完成に関して顧客に対し責任を負っています。業務遂行中の労働災害や器物破損等の損害についても責任を負うため、想定を超える費用負担が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 主要取引先業界の事業環境
主要顧客であるホテル・レストラン業界の事業環境が悪化した場合、契約金額の引き下げ要求や契約終了につながる可能性があります。また、顧客の経営破綻等により債権回収が困難になった場合、業績に悪影響を与えるリスクがあります。
■(3) 人材の確保
労働集約的な事業を展開しており、必要な正社員やパートタイマーを確保できない場合や、退職率が上昇した場合には、事業運営に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 衛生管理について
給食管理事業において食中毒等が発生した場合、営業停止や顧客からの契約解除、社会的信用の失墜につながり、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。衛生管理マニュアルの徹底や検査実施等により防止に努めています。



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