※本記事は、ジョルダン株式会社 の有価証券報告書(第46期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジョルダンってどんな会社?
経路検索サービス「乗換案内」を主力とし、ソフトウエア開発やインターネット広告事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1979年に株式会社ジョルダン情報サービスとして設立され、1989年に現社名へ変更しました。2003年に大阪証券取引所ニッポン・ニュー・マーケット―「ヘラクレス」(現・東証スタンダード)に上場しています。2018年にはMaaS事業等の展開に向けJ MaaS株式会社を設立するなど、事業領域を拡大しています。
2025年9月30日時点で、連結従業員数は178名、単体従業員数は141名です。筆頭株主は創業者の佐藤俊和氏で発行済株式の半数超を保有しており、第2位は同社取締役の坂口京氏、第3位は従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐 藤 俊 和 | 51.52% |
| 坂 口 京 | 6.55% |
| ジョルダン従業員持株会 | 4.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は佐藤俊和氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐 藤 俊 和 | 代表取締役社長社長執行役員営業本部長 | 1979年12月ジョルダン情報サービス(現ジョルダン)設立、代表取締役社長。コンパスティービー、J MaaS、悟空出版の代表取締役社長を兼務。2025年4月より同社営業本部長を兼務。 |
| 坂 口 京 | 取締役 | 1979年12月同社入社、取締役。開発本部長、執行役員等を経て、2011年10月より研究開発部長。 |
| 玉 野 博 昭 | 取締役 | 三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)を経て、1998年1月サンクネット設立、代表取締役。2022年3月アウトシェア設立、代表取締役。2022年12月より同社取締役。 |
| 東 寺 浩 | 取締役執行役員企画営業本部長 | 1993年8月ゼストプロ設立、代表取締役社長。2007年1月同社入社、執行役員企画営業部長。2012年4月より執行役員企画営業本部長。2024年12月より取締役。 |
社外取締役は、東條巌(長城コンサルティング社外取締役)、馬野耕至(CS日本特別顧問)です。
2. 事業内容
同社グループは、「乗換案内事業」「マルチメディア事業」「ソフトウエア事業」「ハードウエア事業」および「その他」事業を展開しています。
■乗換案内事業
「乗換案内」のPC・スマートフォン向け製品の販売、経路検索サービスの提供、広告枠の販売、旅行の取扱等を行っています。一般個人向けのほか、法人向けには旅費精算システムへの組み込みや交通機関向けソリューションなどを提供しています。
主な収益源は、モバイル向け有料サービスの利用料、広告主からの広告掲載料、旅行商品やモバイルチケットの販売収入などです。運営は主にジョルダンが行っているほか、広告販売をコンパスティービー、旅行手配等をイーツアー、MaaS関連をJ MaaSなどが担当しています。
■マルチメディア事業
ニュースサイト等のコンテンツ提供や書籍の出版を行っています。同社の主要事業領域である位置や移動、ICT分野に関する内容を取り上げるなど、乗換案内事業との相乗効果を図っています。
書籍の販売代金やコンテンツ提供料などが収益源となります。運営は主にジョルダンおよび子会社の悟空出版が行っており、広告代理業としてコンパスティービーも関与しています。
■ソフトウエア事業
顧客の要求事項に基づく各種ソフトウエアの企画・設計・開発・保守業務の受託を行っています。特に「乗換案内」に関連した法人内システムや、公共交通・地域情報に関連する案件などに取り組んでいます。
顧客企業からの受託開発費や保守料が収益となります。運営はジョルダンのほか、子会社のゼストプロ、ジェイフロンティア、若尓丹(上海)軟件開發有限公司が行っています。
■ハードウエア事業
ハードウエアの販売および保守業務、ドローンスクールの運営等を行っています。ソフトウエア事業と連携した拡販や、市場拡大に対応した事業領域の拡大を目指しています。
顧客からの製品販売代金や保守料、スクール運営に伴う収入等が収益となります。運営は主に中国の子会社である杰昱(上海)信息技術有限公司や、持分法適用会社のKiwi、エアーズが行っています。
■その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、情報関連機器のリース事業等を行っています。
リース先からのリース料などが収益源となります。運営は主に子会社の有限会社プロセスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年9月期から2025年9月期までの業績を見ると、売上高は26億円から30億円の範囲で推移しています。利益面では、2023年9月期と2024年9月期に経常損失および当期純損失を計上しましたが、2025年9月期は経常利益2.6億円、当期純利益2.6億円となり、黒字回復を果たしています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 26.1億円 | 26.5億円 | 30.0億円 | 29.3億円 | 28.3億円 |
| 経常利益 | 1.5億円 | 2.0億円 | 0.7億円 | -1.7億円 | 2.6億円 |
| 利益率(%) | 5.8% | 7.4% | 2.2% | -5.7% | 9.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.6億円 | 1.3億円 | -2.4億円 | -1.2億円 | 2.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は減少したものの、売上原価および販売費及び一般管理費がともに減少し、営業損益が大幅に改善しました。特に売上総利益が増加し、各段階利益の黒字化に寄与しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 29.3億円 | 28.3億円 |
| 売上総利益 | 11.8億円 | 12.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.3% | 44.4% |
| 営業利益 | -1.9億円 | 0.5億円 |
| 営業利益率(%) | -6.5% | 1.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が4.0億円(構成比33%)、支払手数料が0.8億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
乗換案内事業は売上高が微減となりましたが、法人向け事業における原価減少等により利益は倍増しました。ソフトウエア事業は研究開発費の増加等により赤字転落しました。ハードウエア事業は関連会社の連結除外等により販管費が減少し、黒字化しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 乗換案内事業 | 24.0億円 | 23.4億円 | 1.7億円 | 3.6億円 | 15.3% |
| マルチメディア事業 | 0.1億円 | 0.0億円 | -0.1億円 | -0.1億円 | -502.1% |
| ソフトウエア事業 | 3.3億円 | 3.0億円 | 0.1億円 | -0.3億円 | -8.9% |
| ハードウエア事業 | 1.8億円 | 1.8億円 | -0.7億円 | 0.2億円 | 12.1% |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 | -0.0億円 | -0.0億円 | -5.8% |
| 調整額 | -0.9億円 | -1.7億円 | -3.0億円 | -3.0億円 | - |
| 連結(合計) | 29.3億円 | 28.3億円 | -1.9億円 | 0.5億円 | 1.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスであることから「健全型」に分類されます。本業で得た現金を投資に回しつつ、借入金の返済や配当支払いを行っている状態です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | 3.2億円 |
| 投資CF | -1.6億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -1.1億円 | -0.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は83.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「自社こそが最強の開発集団である」を基本スタンスとする「もの作り」の集団として、ICT技術を背景とした独創的な構想力に基づく「もの」を世に問い、社会の進展に貢献することを目指しています。ライフスタイルを変える「サービス」と思考に影響を与える「情報」を提供し、より便利な未来の実現を追求しています。
■(2) 企業文化
斬新な企画や新しい技術にチャレンジする集団であるべく、「『個』を大切にする」「最新の技術に敏感である」「持てるエネルギーのすべてを商品にぶつける」の3つを基本理念としています。個性を活かせるワークスタイルを尊重し、学習・コミュニケーションの場を提供することで、各個人の自己実現とグループの発展を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
長期的には資本効率の観点から自己資本利益率(ROE)を目標指標としています。また、中期的には収益性の確保のため、売上高、営業利益および経常利益の絶対額を重視しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
ライフスタイルを変える「サービス」と思考に影響を与える「情報」の提供を基本にビジネス拡大を目指しています。「乗換案内」の機能強化に加え、MaaSやスマートシティなどの周辺領域への展開を加速させ、「移動に関するNo.1 ICTカンパニー」としての地位確立を図ります。また、インバウンド対応やAI技術活用による新たな付加価値提供も推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中核人材の多様性確保が成長に不可欠と考え、採用活動において女性・外国人・地方拠点を重視する方針です。育成・登用においては性別や国籍等に関係なく個々の能力や実績を重視しています。また、子育て中の従業員への支援や外国人従業員等の住居確保、地方拠点の強化などを通じ、多様な人材が継続して勤務できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 43.3歳 | 12.8年 | 5,134,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 「乗換案内」事業への依存
同社グループの売上高の大部分は乗換案内事業が占めており、業績は同製品・サービスの動向に大きく依存しています。特にモバイルやPC向けサービスのアクセス数を基盤とした有料サービスや広告収入等が主要な収益源であるため、利用者数の減少や競争力低下が生じた場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 経路検索サービスの競合激化
経路検索市場には複数の有力な競合企業が存在し、近年は地図サービスとの融合や大手インターネット企業による機能強化が進んでいます。差別化のための機能強化等が想定通りに進まない場合や、競争環境の激化により、事業展開および経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 時刻表データ等の利用に関する契約
「乗換案内」の時刻表データは主に株式会社交通新聞社との契約に基づき提供を受けています。契約終了や内容変更、相手先の方針変更等によりデータの円滑な利用が困難になった場合、サービスの価値低下や費用負担の増加を招き、経営成績に影響を与える可能性があります。
■(4) 技術者の確保と育成
新しい技術への対応が常に求められる事業において、競争力確保には優秀な技術者とその開発体制が不可欠です。主要な技術者の退職等や、必要な人材を十分に確保・育成できなかった場合、将来の事業展開が制約を受ける可能性があります。



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