情報企画 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

情報企画 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

情報企画はスタンダード市場に上場し、金融機関向けシステム開発および不動産賃貸事業を展開する企業です。主力の信用リスク管理システム等が好調で、売上高38億円、経常利益15億円と増収増益を達成しています。無借金経営に近い強固な財務基盤と高い利益率を維持し、安定成長を続けています。(138文字)


※本記事は、株式会社情報企画 の有価証券報告書(第39期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 情報企画ってどんな会社?


情報企画は、金融機関向けの信用リスク管理システム等の開発・販売を主力とし、不動産賃貸も行う企業です。

(1) 会社概要


同社は1986年に大阪市で設立され、金融・税務・会計のパッケージソフト開発を開始しました。1997年には法人格付システムを開発・納入し、2003年に東証マザーズへ上場しました。その後、2013年に不動産賃貸事業を開始し、2022年4月の市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しています。

2025年9月末時点の連結従業員数は154名(単体137名)です。大株主構成は、筆頭株主が創業者で会長の松岡仁史氏、第2位は投資事業組合、第3位は従業員持株会となっています。安定的な株主基盤のもと、金融機関向けシステム開発の専門企業として事業を展開しています。

氏名 持株比率
松岡 仁史 26.44%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.14%
情報企画従業員持株会 4.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中谷 利仁氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
松岡 仁史 代表取締役会長 1981年アーサーアンダーセン公認会計士共同事務所入所。1986年同社設立・取締役。社長を経て2024年12月より現職。公認会計士。
中谷 利仁 代表取締役社長 1998年カナデン入社。2001年同社入社。システム部長、システム統括担当、常務取締役等を経て2024年8月より現職。
松岡 勇佑 取締役 2007年シンプレクス・テクノロジー入社。あずさ監査法人を経て同社入社。財務担当、社長等を経て2024年8月より現職。公認会計士。
松井 敬嗣 取締役営業本部長営業統括担当 2004年土屋組入社。同年同社入社。東京営業部営業部長等を経て2022年12月より現職。
緒方 一生 取締役システム統括担当管理担当 2003年同社入社。大阪システム2部部長、執行役員を経て2023年12月より現職。
望月 良洋 取締役(監査等委員) 1987年スタット・コンピュータ入社。同社入社後、大阪システム2部部長、管理部長等を経て2023年12月より現職。


社外取締役は、清原 大(公認会計士・税理士)、浅川 敬太(弁護士・医師)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システム事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。

(1) システム事業


システムインテグレーション部門とシステムサポート部門で構成されています。銀行や信用金庫等の金融機関に対し、信用リスク管理や融資支援、総務・経理業務支援システムの企画・開発・販売を行っています。また、販売したシステムの保守、データ提供、入力代行業務も提供しています。

収益は、金融機関からのシステム販売代金、カスタマイズ料、保守運用料、データ更新料などで構成されています。運営は同社および連結子会社のダンクが行っています。主力製品には「担保不動産評価管理システム」や「法人格付システム」などがあり、金融機関のリスク管理業務を支援しています。

(2) 不動産賃貸事業


手許資金の有効活用と安定的な収益獲得を目的に、大阪府内で不動産賃貸事業を展開しています。保有物件は賃貸マンション5棟、立体駐車場1棟、賃貸オフィス1棟、賃貸店舗2件の計9物件で構成されています。

収益は、テナントや入居者からの賃料収入です。運営は連結子会社のアイピーサポートが行っています。システム事業の季節変動や景気変動の影響を補完し、グループ全体の安定収益源としての役割を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績は、売上高、利益ともに右肩上がりの成長を続けています。売上高は32億円台から38億円台へ拡大し、経常利益も12億円台から15億円台へと順調に推移しています。経常利益率は約40%という極めて高い水準を維持しており、高収益体質であることが読み取れます。

項目 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 32.3億円 35.3億円 36.1億円 38.4億円
経常利益 12.4億円 14.0億円 14.5億円 15.4億円
利益率(%) 38.5% 39.6% 40.1% 40.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 8.8億円 9.7億円 9.9億円 10.5億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加傾向にあります。売上総利益率は約66%と高く、営業利益率も40%前後で安定しています。コストコントロールが機能しており、売上増が効率よく利益に結びついていることが分かります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 36.1億円 38.4億円
売上総利益 24.1億円 25.4億円
売上総利益率(%) 66.7% 66.0%
営業利益 14.3億円 15.4億円
営業利益率(%) 39.5% 40.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.3億円(構成比23%)、役員報酬が1.4億円(同14%)、賃借料が1.3億円(同13%)を占めています。売上原価は売上高に対して約34%の水準です。

(3) セグメント収益


主力のシステム事業は、大手金融機関や信用金庫向けのシステム受注が好調で増収増益となりました。不動産賃貸事業も物件取得により売上が増加しています。両事業ともに高い利益率を確保しており、特にシステム事業は連結利益の太宗を占めています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
システム事業 34.0億円 36.0億円 14.1億円 14.8億円 41.3%
不動産賃貸事業 2.2億円 2.5億円 0.2億円 0.5億円 21.1%
連結(合計) 36.1億円 38.4億円 14.3億円 15.4億円 40.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

情報企画は、事業運営に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としており、借入に頼らず自己資金で設備投資等を行っています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、システム事業における新規システム開発への投資を継続することで、将来の収益基盤強化に繋げています。投資活動によるキャッシュ・フローは、研究開発費としてシステム事業における新規システムの開発に充てられています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入を行わず自己資金を活用していることから、大きな動きは見られません。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 12.1億円 11.5億円
投資CF -8.4億円 -6.8億円
財務CF -3.0億円 -3.3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「私たちは常に前向きです」を企業理念として掲げています。その上で、「お客様に役立つ企業、社会に役立つ企業をめざす」「専門性の高い精鋭企業として常にトップを走り続ける」「独自の価値を生み出すONLY ONE企業をめざす」といった6つの項目を経営理念として定めています。

(2) 企業文化


同社は「専門性の高い精鋭企業」を目指しており、会計・税務・金融に特化した専門家集団であることを重視しています。また、「個人の夢を実現できる自由闊達な企業風土」や「個性ある、優秀な人々が集う広場」としての役割も担うとしており、社員一人ひとりの成長と挑戦を推奨する風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は安定的な成長を目指す企業として、以下の2点を目標とすべき経営指標(KPI)として掲げ、企業価値の最大化を目指しています。

* 売上高営業利益率:30%以上(実績41.8%)
* 一人当たり売上高:2,000万円以上(実績2,580万円)

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「金融機関の信用リスク管理分野のリーディングカンパニー」として、大手銀行への販売注力や、リスク管理から営業推進に係るシステムへの展開を進めています。また、総務・経理業務向けシステムや、生成AI等の技術革新に対応した新サービス開発にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は専門性の高い人材確保のため、新卒・第二新卒に加え、中途の即戦力採用を強化しています。人材育成では、新人研修や階層別研修、外部研修への派遣を通じてスキル向上に投資しています。また、HR部を創設し、多様な働き方の導入や福利厚生の充実を進め、長期的に安心して働ける環境整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 33.5歳 9.1年 6,149,553円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.7%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※男性育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、公表義務に基づく公表項目として選択しておらず公表していないため、記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員に占める女性社員の割合(29.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営成績の季節変動


システムインテグレーション部門の売上は、顧客である金融機関の決算期(9月、3月)に納品が集中するため、第2四半期および第4四半期に偏る傾向があります。また、システムサポート部門も特定の時期に売上が集中する特性があります。

(2) 特定の取引先への依存


売上高の9割以上が金融機関向けであり、特に地方銀行や信用金庫等が主要顧客です。金融機関のシステム投資は法的・制度的な要請や景気に左右されるため、行政方針の転換等により顧客の投資動向が変化した場合、業績に影響が生じる可能性があります。

(3) 競合について


信用リスク管理や総務経理システムには複数の競合が存在します。同社は専門知識やノウハウを活かして差別化を図っていますが、競合他社や新規参入との競争激化により、事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

(4) 人材の確保について


安定的な成長には、会計・税務・金融に精通した専門家や優秀なエンジニア、営業人材の確保が不可欠です。新卒・中途採用を強化していますが、人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、事業展開に影響が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。