パラカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パラカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パラカは東京証券取引所プライム市場に上場し、時間貸駐車場「paraca」の開拓と運営管理を主力事業としています。直近の業績は、新規駐車場の開設が進み、売上高176億円、経常利益29億円と増収増益を達成しました。保有駐車場への積極投資により基盤収益の拡大を図っています。


※本記事は、パラカ株式会社の有価証券報告書(第29期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. パラカってどんな会社?


時間貸駐車場の企画・運営を行う企業です。土地を借りる「賃借」と自社で持つ「保有」の両輪で展開しています。

(1) 会社概要


1997年にパルクとして設立され、時間貸駐車場の運営を開始しました。2004年に東証マザーズへ上場し、2013年には東証一部へ市場変更を果たしました。2016年に現社名へ変更し、2017年には本社を東京都港区愛宕へ移転しています。2022年の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しました。

同社の従業員数は単体112名です。筆頭株主は事業会社の伊藤忠商事であり、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。伊藤忠商事とは資本業務提携を行っており、持分法適用関連会社となっています。

氏名 持株比率
伊藤忠商事 22.01%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.89%
リョウコーポレーション 6.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役は内藤宗氏と内藤亨氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
内藤 宗 代表取締役執行役員社長 野村不動産を経て2020年に入社。開発本部長などを歴任し、2022年より代表取締役執行役員社長。2025年4月より現職。
内藤 亨 代表取締役執行役員会長 野村證券、ゴールドマン・サックス証券を経て1997年に同社を設立し社長に就任。2015年より会長。


社外取締役は、檜森隆伸(元シーズンズ・コンサルティング社長)、横山和樹(元アコム・公認会計士)、澤井孝一郎(元フェリカネットワークス副社長)、採澤友香(弁護士)、岡本秀彰(伊藤忠商事建設・不動産部門長)です。

2. 事業内容


同社グループは、駐車場の開拓と運営管理に関連する事業を展開しており、報告セグメントは単一ですが、事業区分として「賃借駐車場」「保有駐車場」「その他」に分類しています。

(1) 賃借駐車場事業


土地オーナーから土地を借り受け、同社が駐車場設備を設置して運営管理を行うビジネスです。初期投資を抑えつつ、都市部を中心に時間貸駐車場を展開しています。契約期間終了後は更新または解約となります。

収益は、駐車場の利用者から受け取る時間貸駐車料金(一部月極を含む)です。運営は主にパラカが行っています。売上から土地賃借料や運営管理費を差し引いたものが利益となります。

(2) 保有駐車場事業


同社が自社で土地を取得し、駐車場として運営管理を行うビジネスです。土地オーナー都合による解約リスクがなく、長期安定的な収益が見込める「基盤収益」として位置づけられています。

収益は、利用者からの駐車料金収入です。運営は主にパラカが行っています。土地賃借料が発生しないため利益率が高く、資産価値向上によるメリットも享受できます。

(3) その他事業


駐車場の運営管理以外に、保有不動産の賃貸や、駐車場内での自動販売機設置、遊休地を活用した太陽光発電事業などを展開しています。

収益は、テナントからの賃料収入、飲料メーカーからの販売手数料、電力会社への売電収入などです。運営はパラカが行い、駐車場の付加価値向上や収益源の多角化を図っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な右肩上がりで推移しており、規模拡大が続いています。利益面でも、経常利益と当期純利益ともに増加傾向にあり、特に直近の第29期では過去最高の売上高と利益を更新しています。利益率も10%台後半と高い水準を維持しており、収益性の高さがうかがえます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 118億円 130億円 148億円 164億円 176億円
経常利益 16億円 20億円 27億円 28億円 29億円
利益率(%) 13.4% 15.7% 18.4% 16.9% 16.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 14億円 18億円 18億円 20億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は30%台を維持しており、安定した収益構造が見て取れます。営業利益も増加しており、販管費のコントロールと事業拡大のバランスが取れていることがわかります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 164億円 176億円
売上総利益 49億円 54億円
売上総利益率(%) 30.1% 30.3%
営業利益 30億円 33億円
営業利益率(%) 18.4% 18.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比27%)、地代家賃が3億円(同12%)を占めています。売上原価においては、地代家賃が95億円(構成比78%)と大半を占めており、賃借駐車場の運営コストが主な要因です。

(3) セグメント収益


同社は「時間貸駐車場の開拓と運営管理に関連する事業」の単一セグメントであり、セグメント利益は開示していませんが、事業区分別の売上高を開示しています。主力の賃借駐車場が堅調に推移しています。また、保有駐車場も二桁成長を記録しており、積極的な投資の効果が表れています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
賃借駐車場 141億円 150億円
保有駐車場 26億円 29億円
その他事業 6億円 6億円
連結(合計) 164億円 176億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ現金を元手に、借入金も活用しながら積極的な投資を行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 22億円 30億円
投資CF -45億円 -43億円
財務CF 21億円 14億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「日本の駐車場不足を解消し、快適なクルマ社会を実現すること」を経営の基本方針としています。必要な場所により多くの駐車場を供給し、解約されにくい駐車場を増やすことで、社会インフラとしての責任を果たし、健全なクルマ社会の発展に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は「永遠のあと百年」を企業理念として掲げています。これは、常に現状に満足せず、「永遠の未完成、これ完成なり」という精神で、100年先も存続し得る会社を目指す姿勢を表しています。また、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の持続可能性向上を重視し、森林保全活動などを通じて社会貢献にも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は具体的な数値目標を定めていませんが、ストック型ビジネスモデルの特性上、良質な物件を積み重ねることを重視しています。特に以下の3つの指標を重要視しています。

* 基盤収益(保有駐車場、不動産収入、太陽光発電等)の拡大
* 売上総利益額及び売上総利益率の向上
* 車室残高(管理車室数)の継続的な増加

(4) 成長戦略と重点施策


同社は安定的な財務基盤を背景に、高収益かつ解約リスクのない「保有駐車場」への投資を積極化しています。保有駐車場を核として周辺に賃借駐車場を展開するドミナント戦略を推進し、地域一番を目指します。また、業務の「標準化」と営業支援システムの活用により、効率的な運営と営業力の強化を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「標準化」を推進し、OJTや研修を通じて個々のオペレーションスキルと営業力の向上を図っています。また、性別や国籍等を問わない積極的な採用を行い、社員が高い意欲を持って働けるよう、柔軟な働き方の導入や資格取得支援制度などを整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 32.8歳 6.3年 6,037,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※「労働者の男女の賃金の差異」については、同社は女性活躍推進法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(82.7%)、育児休業等を取得しなかった男性労働者数(0名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業用地の確保について

同社の事業拡大には駐車場用地の継続的な確保が不可欠です。地価の上昇や不動産市場の活況により土地所有者の選択肢が増え、用地確保が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、同社は保有駐車場の積み上げや市場動向の注視を行っています。

(2) 土地所有者との賃貸借契約が解約される可能性について

主力である賃借駐車場事業は、土地所有者からの借り受けで成り立っています。契約期間満了後や所有者の意向により多数の契約が解約された場合、経営成績に影響を与える可能性があります。同社は土地所有者との定期的な意思疎通を図り、信頼関係の構築に努めています。

(3) 借入金について

保有駐車場の用地取得資金の多くを金融機関からの長期借入金で調達しています。金利情勢の急激な変化は財務状態に影響を与える可能性があります。同社は借入期間の長期化や固定金利での調達を進めることで、金利変動リスクの低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。