※本記事は、株式会社インタートレードの有価証券報告書(第27期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. インタートレードってどんな会社?
金融機関向けのシステム開発を中核に、ITソリューションやヘルスケア分野へも事業領域を広げる企業です。
■(1) 会社概要
1999年に金融機関向けシステム開発を目的に設立され、2004年に東証マザーズへ上場しました。その後、2012年に現在のビジネスソリューション事業やヘルスケア事業を開始し、多角化を推進しています。2015年に市場第二部へ変更後、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は91名、単体では85名です。筆頭株主は社長の西本一也氏で、第2位は金融ソリューション事業等を行うジャパンインベストメントアドバイザーです。創業者が経営をリードしつつ、事業会社との資本関係も構築しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 西 本 一 也 | 18.74% |
| ジャパンインベストメントアドバイザー | 10.00% |
| 尾 﨑 孝 博 | 3.21% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は西本一也氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西 本 一 也 | 代表取締役社長 | 1999年1月同社設立とともに代表取締役社長就任。デジタルアセットマーケッツ代表取締役も兼任。2018年10月より現職。 |
| 尾 﨑 孝 博 | 取締役 | 1999年1月同社設立とともに取締役副社長就任。代表取締役社長などを歴任し、2018年10月より現職。 |
| 阿 久 津 智 巳 | 取締役ビジネスソリューション事業本部長 | 勧角証券(現みずほ証券)、富士通を経て2002年入社。ITソリューション事業本部長などを歴任し、2013年12月より現職。 |
| 内 藤 敏 裕 | 取締役ヘルスケア事業本部長 | 日本勧業角丸証券(現みずほ証券)、東洋証券を経て2013年入社。インタートレードヘルスケア代表取締役社長も兼任。2019年12月より現職。 |
社外取締役は、平石智紀(アクリア代表取締役)、大久保淳一(DFG代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「金融ソリューション事業」「ビジネスソリューション事業」「ヘルスケア事業」および「その他」事業を展開しています。
■金融ソリューション事業
証券会社やFX会社等の金融機関を主な顧客とし、証券ディーリングシステム、外国為替証拠金取引システム、暗号資産プラットフォーム等の開発および保守サービスを提供しています。また、WEB3領域におけるインフラシステムの開発も進めています。
収益は、システム導入時の開発費やライセンス利用料、保守運用費として顧客企業から受領します。運営は主にインタートレードが行い、デジタルアセットマーケッツやAndGoが関連事業を展開しています。
■ビジネスソリューション事業
一般事業会社を対象に、ITサポートおよびグループ経営管理ソリューション等の開発・販売を行っています。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するシステム基盤の構築を担っています。
収益は、システムの開発・導入費用や、経営管理ソリューション『GroupMAN@IT e²』等の利用料として顧客企業から受領します。運営はインタートレードおよび子会社のビーエス・ジェイが行っています。
■ヘルスケア事業
機能性食材である「ハナビラタケ」を使用した健康食品や化粧品等の開発および販売を行っています。特に更年期女性をターゲットとしたフェムケア市場に向けた商品展開に注力しています。
収益は、一般消費者や販売代理店への製品販売代金として受領します。運営はインタートレードおよび子会社のインタートレードヘルスケアが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は20億円前後で推移していましたが、直近2期は18億円台へとやや縮小傾向にあります。利益面では、前期より経常損失および当期純損失を計上しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22億円 | 21億円 | 20億円 | 18億円 | 18億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | 0.6億円 | 0.0億円 | -1.6億円 | -2.1億円 |
| 利益率(%) | 1.0% | 3.0% | 0.1% | -8.6% | -11.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.9億円 | 2.0億円 | 1.6億円 | -1.0億円 | 0.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高はほぼ横ばいで推移していますが、売上原価の増加により売上総利益および利益率が低下しています。この結果、営業損益は前期の黒字から当期は赤字へと転じており、コスト構造の見直しが必要な状況がうかがえます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 18億円 | 18億円 |
| 売上総利益 | 7億円 | 5億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.3% | 29.8% |
| 営業利益 | 0.8億円 | -0.1億円 |
| 営業利益率(%) | 4.3% | -0.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.4億円(構成比25.0%)、役員報酬が0.9億円(同15.5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の金融ソリューション事業は増収となったものの、利益率の高いライセンス利用料の減少等により減益となりました。ビジネスソリューション事業は減収に加えコスト増により赤字転落、ヘルスケア事業も引き続き損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金融ソリューション事業 | 14億円 | 15億円 | 4億円 | 4億円 | 26.7% |
| ビジネスソリューション事業 | 3億円 | 3億円 | 0.2億円 | -0.3億円 | -11.8% |
| ヘルスケア事業 | 1億円 | 1億円 | -0.5億円 | -0.5億円 | -48.8% |
| 連結(合計) | 18億円 | 18億円 | 0.8億円 | -0.1億円 | -0.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.8億円 | -0.1億円 |
| 投資CF | -1.2億円 | -2.5億円 |
| 財務CF | 0.7億円 | -0.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-12.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様視点での行動」「好奇心と勇気」「迅速な判断と誠実な対応」「『人』と『人とのつながり』を大切に」を経営理念として掲げています。常に知識と技術を研鑽し、これからの時代に必要とされる商品およびサービスを生み出し、提供することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念に基づき、顧客ニーズを的確かつ迅速に把握し、システムへ反映するフィードバックサイクルを重視しています。また、部門横断的な人材流動性の向上や、ベテランと若手によるナレッジシェアリングを推進し、組織全体で技術革新に適応しようとする姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、金融ソリューション事業、ビジネスソリューション事業、ヘルスケア事業のそれぞれの事業で安定的な受注を確保し、再成長フェーズへの転換を果たすことを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
金融ソリューション事業では、次世代インフラシステム『Spider Digital Transfer』を収益の柱にすべく開発と営業を強化し、WEB3領域への展開を進めます。ヘルスケア事業では、機能性表示食品の届出が受理された「ITはなびらたけ」を活用し、更年期女性をターゲットとした商品展開を加速させます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、会社と従業員がともに成長することを目指し、自ら学び成長する機会を提供することを基本方針としています。目標管理制度によるフィードバックや、スキル向上を目的としたeラーニング、資格奨励金制度を実施しています。また、テレワークや法定以上の育児・介護休暇制度を導入し、多様な人材が活躍できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 40.6歳 | 11.8年 | 5,833,000円 |
※全社(共通)は、管理部門の従業員であります。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法令改正、変更等に関するリスク
各事業において金融商品取引法、労働者派遣法、薬機法など多くの法令規制を受けます。これら法令の改正や解釈の変更等により事業環境が急変した場合、同社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。
■(2) 証券業界の動向に関するリスク
主力である証券ディーリングシステムは株式市況の影響を大きく受けます。市況変動等により証券会社等のIT投資方針が変更された場合、受注動向や業績に影響が出る可能性があります。
■(3) プロジェクト管理に関するリスク
大規模なシステム開発プロジェクトにおいて、想定を超える顧客要望等により納期の遅延や費用の増加が生じた場合、業績等に影響を与える可能性があります。
■(4) システム及びサービスの不具合に関するリスク
提供するシステム等に不具合が生じ、顧客に損害を与えた場合、損害賠償請求や信用力の低下を招き、業績等に影響を与える可能性があります。



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