※本記事は、アクセルマーク株式会社 の有価証券報告書(第33期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アクセルマークってどんな会社?
インターネット広告事業から出発し、現在はトレーディングカード事業やIoTヘルスケア事業などの新規領域へ積極的に展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1994年にキャラクター商品の企画等を目的として設立され、2000年にセプテーニグループ入りしました。2002年に広告事業を開始し、2008年に東証マザーズへ上場しました。その後、ゲーム事業の譲渡などを経て、2023年にトレーディングカード事業を開始しました。2025年には株式会社crafty等を子会社化しています。
2025年9月末時点の従業員数は連結50名、単体29名です。筆頭株主は新沼吾史氏で、第2位は資産管理業務を行う楽天証券、第3位は個人株主の瀬賀雅弥氏です。なお、筆頭株主については期中に異動が生じています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 新沼 吾史 | 7.69% |
| 楽天証券 | 2.31% |
| 瀬賀 雅弥 | 2.05% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松川裕史氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松川 裕史 | 代表取締役社長 | ナムコ、京セラコミュニケーションシステム等を経て、2020年同社入社。執行役員COOを経て2021年3月より現職。 |
| 村上 嘉浩 | 取締役 | 日本合同ファイナンス(現ジャフコグループ)入社。ブライダルネット(現IBJ)社長などを経て、2023年12月より現職。 |
社外取締役は、垣花直樹(元三菱UFJキャピタル代表取締役常務)、生駒成(元西武鉄道常勤監査役)、田中紀行(弁護士法人港国際法律事務所東京事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「広告事業」、「トレカ事業」および「その他事業」を展開しています。
■広告事業
インターネット広告媒体をネットワーク化した「ADroute」等の広告配信サービスや、他社サービスを用いた広告運用代行(トレーディングデスク)を提供しています。広告主に対して広告枠や運用サービスを提供し、また、これまでの実績を活かしたシステム開発受託も行っています。
収益は、広告主から受け取る広告枠販売手数料や運用手数料、システム開発の受託料などから構成されます。運営は主にアクセルマークと、2025年に子会社化したスパイラルセンスが行っています。
■トレカ事業
トレーディングカード専門店「cardéria池袋店」の店舗運営や、ECオリパ(オリジナルパック)サービスブランド「アイリストレカ」を通じたオンライン販売を行っています。トレーディングカードの販売および買取を主な事業内容としています。
収益は、店舗およびオンラインでのトレーディングカード販売による代金です。運営はアクセルマークおよび、ECオリパサービス「アイリストレカ」を運営する株式会社craftyが行っています。
■その他事業
IoTヘルスケア領域において、他社製品に同社のシステムを組み合わせたソリューションを提供しています。また、新たにビューティー&ウェルネス事業を開始し、ECコスメやサプリメント領域への展開を進めています。
収益は、IoTヘルスケアソリューションの提供対価や、美容・健康関連商品の販売収益等です。運営はアクセルマークおよびアクセルメディカ株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社は2025年9月期より連結財務諸表を作成しているため、当期の数値のみを表示します。当期は成長戦略として掲げるトレカ事業およびヘルスケア事業への投資を進めましたが、広告事業における需要変動や先行投資の影響もあり、経常損失、当期純損失を計上しています。
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 売上高 | 10億円 |
| 経常利益 | -7億円 |
| 利益率(%) | -69.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -8億円 |
■(2) 損益計算書
2025年9月期より連結決算へ移行したため、当期の数値のみを表示します。売上原価率が高く、さらに販管費の負担により営業損失となっています。
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 売上高 | 10億円 |
| 売上総利益 | 1億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.8% |
| 営業利益 | -5億円 |
| 営業利益率(%) | -53.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が2.0億円(構成比32%)、地代家賃が0.7億円(同11%)、支払手数料が0.7億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
2025年9月期より連結決算のため、当期の数値のみ記載します。全てのセグメントでセグメント損失を計上しています。広告事業は需要低迷、トレカ事業は店舗出店や子会社化に伴う体制構築、その他事業は新規事業立ち上げ費用等が影響しています。
| 区分 | 売上(2025年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 広告事業 | 6.4億円 | -1.3億円 | -19.7% |
| トレカ事業 | 3.0億円 | -1.6億円 | -53.0% |
| その他事業 | 0.4億円 | -0.7億円 | -201.3% |
| 調整額 | - | -1.6億円 | - |
| 連結(合計) | 9.7億円 | -5.2億円 | -53.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローがマイナスとなる一方、新株予約権の行使等による財務キャッシュ・フローが大幅なプラスとなっており、将来の成長に向けた投資資金を外部調達で賄う「勝負型」の状況です。
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 営業CF | -5億円 |
| 投資CF | -2億円 |
| 財務CF | 11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)はデータなしですが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.1%でグロース市場の平均を大きく下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、『「楽しい」で世界をつなぐ』を経営理念に掲げています。インターネット技術の進化により生まれた新しいビジネス構造の中で、つながりから生まれる価値を最大化するために、様々なサービスの開発・運営に取り組むことを使命としています。
■(2) 企業文化
経営理念を永続的に達成するため、「成長スピードの追求」「顧客満足の向上」「効率的な事業運営」という3つの観点を常に強化し、事業生産性を最大化することを基本方針としています。また、営業利益を重要な経営指標として捉え、収益性を重視する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
「収益基盤の強化」および「生産性の高い事業体制の構築」による利益率の改善を重要な経営課題としています。具体的な数値目標として、営業利益を重要な経営指標として掲げ、全事業において事業生産性の最大化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
トレカ事業およびヘルスケア分野を基盤としたビューティー&ウェルネス事業を新たな柱として育成し、高利益率の事業構造への転換を図ります。トレカ事業では店舗・ECの連携強化、ヘルスケアでは自社ブランド立ち上げ等を推進します。また、暗号資産を活用した財務戦略も推進し、企業価値向上を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業成長の源泉である「人材」の力を最大限に引き出すことを重視しています。多様な働き方を尊重した柔軟な雇用形態の整備や人事制度の見直しを進めるとともに、従業員の能力向上を目指して新たなスキルの習得や将来を担う人材への投資を積極的に推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 34.2歳 | 7.8年 | 5,950,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 継続企業の前提に関する重要事象等
前事業年度に続き当連結会計年度においても重要な営業損失、経常損失、当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。同社は利益確保体制の強化、新株予約権発行による資金調達、収益構造の改善等の対策を講じていますが、現時点では重要な不確実性が認められます。
■(2) トレカ関連のサービスについて
トレカ市場は拡大基調にありますが、拡大スピードの鈍化や市場縮小が起きた場合、業績に影響する可能性があります。また、商品の在庫リスクや、店舗出店計画の遅れ、賃貸借契約の更新不可や賃料上昇などが事業展開の阻害要因となる可能性があります。
■(3) IoTヘルスケア関連のサービスについて
美容・ウェルネス市場は成長が見込まれていますが、想定通りの成果が出ない場合、業績に影響を与える可能性があります。また、提携先との関係変化や提携先の経営悪化、製品の品質問題が発生した場合には、多額の費用負担や信用の低下を招くリスクがあります。
■(4) 暗号資産の運用について
同社は財務戦略の一環として暗号資産を保有する方針ですが、サイバー攻撃による消失リスクや、市場価格のボラティリティ(価格変動)による評価損益の発生が、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。



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