※本記事は、株式会社アサカ理研 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アサカ理研グループは、電子部品屑などから貴金属を回収する貴金属事業、エッチング廃液を再生し銅を回収する環境事業、各種計測データ処理システムを開発・販売するシステム事業を展開しています。資源循環に貢献する技術を強みとしています。
単体従業員数は181名、連結従業員数は194名です。セグメントは貴金属事業、環境事業、システム事業、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、アサカ弘運(その他)などです。
同社グループは、リチウムイオン電池(LiB)再生事業の開始に向け、いわき工場への生産設備導入を進めています。2028年4月の量産稼働を目指し、設備投資額を総額95億円に増額しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アサカ理研は、貴金属やレアメタルの回収・資源化を通じて資源循環型社会の実現に貢献している企業です。同社グループは、社員一人ひとりが働きがいを感じ、健康で安心して活躍できる職場環境・組織風土の実現を目指し、人的資本経営に取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、長期的なキャリア形成を支援し、安定した環境で働くことを重視する社風がうかがえるものです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,609,086円 |
| 平均勤続年数 | 12.0年 |
| 平均年齢 | 41.5歳 |
| 単体従業員数 | 181人 |
| 連結従業員数 | 194人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.3% |
同社及び連結子会社は、確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)を採用しています。退職給付債務は3.2億円、年金資産は3.9億円となっています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中・長期的な発展のために人的資本経営を重視し、社員の能力向上と働きがいの向上を目指しています。すべての社員が健康で安心して活躍できる職場環境と組織風土の実現に取り組んでいます。
具体的には、新入社員から管理職、役員を対象に多様な研修プログラムを提供し、社員一人ひとりの能力や専門知識・技能を最大限に発揮できるよう支援しています。事業運営においては安全衛生を最優先事項とし、工場巡視による労働災害防止や健康診断を通じた従業員の健康管理を実施しています。
また、ワークライフバランスの充実にも力を入れており、有給休暇の計画的な取得推奨や育児に伴う休暇取得制度の導入など、従業員の事情に応じた柔軟な働き方が選択できる環境整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 80.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 85.4% |
人的資本経営・多様な働き方の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業等取得率(直近5事業年度平均) | 100% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アサカ理研グループは、貴金属のリサイクル、エッチング廃液の再生、各種計測データ処理システムの開発・販売を主軸とする事業を展開しています。都市鉱山からの貴金属回収や環境負荷低減に貢献する事業を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に3つの報告セグメントと「その他」の事業で構成されています。貴金属事業が収益の大部分を占めており、次いで環境事業、システム事業が続きます。
貴金属事業
プリント基板メーカーや歯科医院などから集荷した電子部品屑や廃棄品から、金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属を独自の技術で分離・回収し、販売または返却する事業です。回収した貴金属は精製され、主に国内の商社や電子材料メーカーに販売されています。
収益は、回収した貴金属の販売や、お客様への材料加工・返却から得ています。また、水晶関連業界で使用される治具の精密洗浄と有価金属回収、一次電池から回収・精製したリチウムの販売も行っています。
環境事業
プリント配線基板メーカーから使用済み塩化第二鉄廃液を引き取り、新液として再生し、副産物である銅を回収・販売する事業です。再生された塩化第二鉄液は再びメーカーに販売され、回収された銅粉は加工されて鉄鋼メーカー等に販売されます。
収益は、再生した塩化第二鉄液の販売と、副産物として回収される銅粉の販売から得ています。また、塩化第二銅廃液の再生や、再生工程で生じる塩化第二鉄液を凝集剤や還元剤として販売することも行っています。
システム事業
生産・検査現場の合理化・省力化を実現するシステムを構築し、開発・販売する事業です。検査機器のデータ収集・ネットワーク化や、国際規格の品質管理体制の構築・運用支援を通じて、お客様の品質管理を支援するシステムソリューションを提供しています。
収益は、品質管理システムなどの開発・販売から得ています。
その他の事業セグメント
この区分には、連結子会社のアサカ弘運が担う運輸事業や、金属成分含有量測定などの分析事業が含まれます。アサカ弘運株式会社は、主に貴金属事業および環境事業の運搬業務を行っています。
収益は、産業廃棄物収集運搬業や分析・評価サービスの提供から得ています。運営は、アサカ弘運が行っています。
同社グループの売上高は国内の外部顧客への販売が大部分を占めており、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えています。一方で、貴金属や非鉄金属を主要製品として取り扱っているため、金属相場や為替相場の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 貴金属事業 | 65.3億円 | 72.7億円 |
| 環境事業 | 12.0億円 | 12.0億円 |
| システム事業 | 2.2億円 | 2.0億円 |
| その他の事業セグメント | 16百万円 | 20百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながらも直近では増加に転じています。経常利益も同様に変動が見られましたが、当期は増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、直近で減少しています。
当連結会計年度の売上高は前期に比べて増加し、営業利益および経常利益も大きく増加しました。しかし、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に補助金収入による特別利益の計上があった反動で、当期は減少となりました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 80.7億円 | 85.9億円 | 82.9億円 | 79.7億円 | 86.9億円 |
| 経常利益 | 4.5億円 | 7.8億円 | 3.9億円 | 2.7億円 | 4.3億円 |
| 経常利益率 | 5.5% | 9.0% | 4.7% | 3.4% | 4.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.8億円 | 6.2億円 | 3.1億円 | 3.7億円 | 3.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 74.70 | 122.70 | 61.27 | 74.16 | 59.77 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期からわずかに減少しましたが、従業員1人あたりの営業利益は前期に比べて増加しています。これは、売上高の増加に加えて、事業運営の効率性が改善している傾向を示しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 45.5百万円 | 44.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.7百万円 | 2.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
当期は本業で資金を生み出しているものの、将来に向けた積極的な投資を行っているフェーズにあります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から低下し、プライム市場の製造業平均と比較すると低い水準にあります。ROE(自己資本利益率)も前期から低下し、プライム市場平均を下回っています。一方で、現金及び預金は前期から大きく増加しており、手元資金の厚みは増しています。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 46.5億円 | 49.3億円 |
| 自己資本比率 | 54.0% | 35.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.4% | 6.3% |
| 現金及び預金 | 15.2億円 | 41.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは収入となりましたが、前期と比較すると減少しています。これは主に棚卸資産や借入金地金の増加が影響しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したため、前期よりも支出が拡大しています。その結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が大きく増加したため、収入に転じています。同社グループは、事業拡大のための投資を積極的に進める一方で、借入れによる資金調達も活用している状況です。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.0億円 | 4.1億円 |
| 投資CF | △2.5億円 | △8.0億円 |
| 財務CF | △7.9億円 | 35.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.5億円 | △3.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主たる事業は、主要顧客が属する業界の需給変動幅が大きく、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、貴金属事業に係る仕入において特定の取引先への依存度が高い状況が続いており、競争激化に伴う利益率の低下もリスクとして認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
労働人口が減少する中で、優秀な人材の確保が困難になるリスクを認識しています。優秀な人材を確保できない場合、長期的な成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アサカ理研は、地球資源の有効活用と環境保全を重視し、資源の再生技術を事業の柱とする企業です。資源循環社会の実現に貢献する「市場創造型企業」として、独自の技術と豊かな創造性を発揮することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アサカ理研グループは、地球資源の有効活用と環境保全を重視し、資源の再生技術を事業の柱としています。長期ビジョンとして「新たな挑戦を通じて資源循環社会の実現に貢献できるNo.1企業になる」ことを掲げています。
同社グループは「市場創造型企業」として独自の技術で製品・サービスを開発し、社是である「豊かな創造性を発揮し、社会貢献を果たす」の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アサカ理研グループは、社是として「豊かな創造性を発揮し、社会貢献を果たす」ことを掲げています。人と地球の健全な未来のため、再生技術を活かした資源循環型社会の実現に貢献することを重視しています。
中長期的な発展には人的資本経営が重要であると捉え、すべての社員が働きがいを感じ、健康で安心して活躍できる職場環境・組織風土の実現を目指しています。社員一人ひとりの強みを最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
事業運営においては安全衛生を最優先事項とし、ワークライフバランスの充実も継続的に推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アサカ理研グループは、持続的な成長に向けた事業構造転換に取り組む中で、いくつかの重要課題を認識しています。
研究開発体制の強化として、新規事業創出のための研究開発に人的リソースを集中し、研究開発力の強化と開発期間の短縮を図っています。
また、会社を支える人材の活性化も重要なテーマです。事業環境や社会情勢の変化に対応するため、イノベーションを牽引する人材の採用・育成・評価・登用に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アサカ理研は監査等委員会設置会社であり、取締役会は社外取締役を含む監査等委員会によって監督機能が強化されています。経営上の意思決定と業務執行の監督を明確に分離した体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アサカ理研の筆頭株主は有限会社モラル・コーポレーションであり、発行済株式の4割以上を保有しています。この他、個人株主や金融機関が上位株主として名を連ねています。特定の株主グループが同社の経営に影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社モラル・コーポレーション | 41.82% |
| 白岩 政一 | 4.09% |
| 常陽銀行 | 3.58% |
| 東邦銀行 | 3.23% |
| 日本生命保険相互会社 | 2.88% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は山田浩太氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 浩太 | 取締役社長 (代表取締役) | 2012年4月同社入社。2014年4月ASAKARIKEN(M)SDN.BHD.取締役。2022年10月同社代表取締役社長より現職。 |
| 山田 慶太 | 取締役会長 (代表取締役) | 1973年4月同社入社開発担当。1994年11月同社代表取締役社長。2019年12月同社代表取締役会長より現職。 |
| 佐久間 良一 | 取締役 製造本部長 | 1981年4月同社入社。2015年4月同社執行役員製造本部長。2025年6月同社取締役製造本部長より現職。 |
| 佐久間 幸雄 | 取締役 最高技術責任者 | 1979年4月コビシ電機入社。1989年11月同社入社。2017年12月同社取締役最高技術責任者より現職。 |
社外取締役は、市川文子氏(元IHI物流産業システム取締役)、三崎秀央氏(関西大学ビジネスデータサイエンス学部教授・監査等委員)、髙野俊哉氏(ラボット・プランナー取締役副社長・監査等委員)、末代政輔氏(元アルバックテクノ取締役会長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、2015年12月18日に移行しました。監査等委員会は社外取締役を含む過半数で構成され、取締役会の監督機能を強化し、透明性の高い経営と迅速な意思決定を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アサカ理研の取締役(監査等委員を除く)の報酬は、固定報酬である「役員報酬基準額」、業績連動報酬である「業績評価額」、および非金銭報酬である「株式報酬」で構成されています。業績評価額は連結当期純利益などを勘案して決定され、株式報酬としては譲渡制限付株式報酬が導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.0億円 | 25.4百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 17百万円 | 4.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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