シイエム・シイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シイエム・シイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シイエム・シイは、東証スタンダード市場および名証メイン市場に上場する、マニュアル制作や業務効率化支援を行う企業です。マニュアル制作の「Manuals」と業務支援等の「Knowledge」を主要事業とします。直近決算では、売上高は前期比6.5%減の183億円、営業利益は9.4%減の27億円で減収減益となりました。


※本記事は、株式会社シイエム・シイ の有価証券報告書(第64期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シイエム・シイってどんな会社?


マニュアル制作事業を祖業とし、現在は技術情報を活用した業務効率化支援やシステム開発等を展開しています。

(1) 会社概要


同社は1962年に名古屋市で設立され、図面文書などのマイクロフィルムサービスを開始しました。2008年にJASDAQ市場へ上場を果たし、2011年には丸星(現・CMCエクスマニコム)を完全子会社化して事業基盤を拡大しました。2018年には研究開発拠点としてCMC GROUP NAGOYA BASEを開所しています。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場および名証メイン市場に上場しています。

同社グループは連結従業員数825名、単体従業員数375名で構成されています。筆頭株主は創業家一族の佐々香予子氏で、第2位は光通信KK投資事業有限責任組合、第3位は株式会社ササコーポレーションとなっています。

氏名 持株比率
佐々 香予子 24.42%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.59%
株式会社ササコーポレーション 6.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は佐々幸恭氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
佐々 幸恭 代表取締役社長 1992年入社。取締役第2営業本部長、専務執行役員などを経て2011年より現職。
近藤 幸康 取締役執行役員、COO、CIO 2003年入社。常務執行役員メディア事業本部長、取締役専務などを経て2025年10月より現職。
杉原 修巳 取締役執行役員、CFO、管理本部長 三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)出身。2015年同社執行役員管理本部長を経て2023年10月より現職。


社外取締役は、大武健一郎(元国税庁長官)、保々雅世(元マイクロソフト業務執行役員)、田村富美子(パレモ・ホールディングス社外取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「Manuals&Knowledge事業」の単一セグメントにおいて、「Manuals」「Knowledge」「その他」の3つの分類で事業を展開しています。

(1) Manuals


顧客企業の製品や業務に関する情報を体系化し、マニュアル(取扱説明書や修理書など)として提供するサービスです。製品・技術情報に対する深い理解に基づき、利用目的に合わせて情報を整理・制作します。主に製造業などの企業が顧客となります。

収益は、顧客企業からのマニュアル制作費やデータ制作費として受け取ります。運営は、同社およびCMCエクスマニコム、CMC Solutionsなどのグループ会社が行っています。

(2) Knowledge


顧客の業務プロセスにおける課題解決や効率化を支援するサービスです。具体的には、製品・サービスの検証・企画・調査、イベントの企画・運営、研修会の運営、システム開発、人材派遣などを提供しています。先端技術を活用し、顧客体験価値の最大化を図ります。

収益は、業務委託料、イベント運営費、システム開発費、人材派遣料などとして顧客企業から受け取ります。運営は、同社およびCMC Solutions、メイン、CMCエクスマニコムなどのグループ会社が行っています。

(3) その他


上記に含まれない事業として、情報活用の基盤となるソフトウエアのライセンス販売やハードウエア販売などを行っています。

収益は、ソフトウエアやハードウエアの販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に同社およびグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は180億円から190億円台で推移してきましたが、当期は前期比で減少しました。一方で利益面では、経常利益は30億円前後で安定しており、利益率は13%から17%台へと上昇傾向にあります。当期の売上高は183億円、経常利益は32億円となりました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 173億円 179億円 185億円 195億円 183億円
経常利益 24億円 30億円 29億円 32億円 32億円
利益率(%) 14.0% 16.5% 15.6% 16.3% 17.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 16億円 18億円 20億円 27億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成です。売上高は195億円から183億円へ減少しましたが、売上総利益率は37.3%から37.8%へと微増しました。営業利益率は15.2%から14.8%へとやや低下しています。売上減少に伴い営業利益も減少しましたが、コストコントロールにより一定の利益率を維持しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 195億円 183億円
売上総利益 73億円 69億円
売上総利益率(%) 37.3% 37.8%
営業利益 30億円 27億円
営業利益率(%) 15.2% 14.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比28%)、役員報酬が4億円(同9%)を占めています。知識集約型の事業であるため、人件費の割合が高くなっています。

(3) セグメント収益


事業分類ごとの売上高状況です。主力のKnowledge事業は顧客のデータ利活用支援等が拡大し増収となりましたが、Manuals事業は製品モデルサイクルや販売計画の変更等が影響し、大幅な減収となりました。その他事業も減収となり、全体としては減収となりました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
Manuals 84億円 65億円
Knowledge 103億円 110億円
その他 8億円 8億円
連結(合計) 195億円 183億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはプラス、財務CFはマイナスとなっており、営業活動で得た資金と資産売却等による資金で借入返済や株主還元を進める改善型の傾向にあります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 21億円 23億円
投資CF -31億円 4億円
財務CF -6億円 -16億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「情報価値のサステナビリティを目指して」をパーパスとして掲げています。顧客企業の製品・業務を深く理解し、情報を体系化することで、「必要な時に、必要とする情報を、最適な方法で」届け、関わる人々の心を動かす価値を提供し、社会全体の情報価値向上サイクルの実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「CMC GROUP Way」を行動基軸としています。グループ共通の価値観に基づき行動することで、「人とデータの共生で、くらしをもっと楽しく」する未来の実現を目指しています。価値の源泉である「人財」を中心に置き、理念を体系化した経営を行っています。

(3) 経営計画・目標


同社は2025年9月期から2027年9月期までの3カ年中期経営計画において、「2030年を見据え、人とデータの共生を支える情報活用の基盤を拡げる」を基本方針としています。具体的な経営指標として、翌期の予想営業利益を掲げています。

* 2026年9月期 営業利益:30億円

(4) 成長戦略と重点施策


ビジネスモデル変革の好機と捉え、情報を最適な方法で提供する「データプラットフォーム型」ビジネスの実現を目指しています。AI技術を活用した情報提供の革新、QCD機能とイノベーション機能の組織的分離、M&Aやアライアンスによる機能獲得を推進します。また、ビジネスデザイン力を備えた人財育成にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは「人」を最大の財産と位置づけ、データプラットフォーム型ビジネスを支える人財の育成に取り組んでいます。マインドセット、リテラシー向上、キャリアプランのサイクルを通じて自律的なキャリア形成を支援し、多様性を尊重しつつ、AI技術活用とビジネスデザイン力を備えたプロフェッショナル人財の育成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 43.4歳 17.2年 6,299,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 4.5%
男性労働者の育児休業取得率 60.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 78.9%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 78.2%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 85.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ストレスチェック受験率(97%)、有給休暇取得率(86%)、ノー残業デー実施率(81%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 研究開発や事業開発に関するリスク


事業変革に向けた研究開発や事業開発に注力していますが、投資対効果の判断や競合製品の出現、商材の上市失敗などにより、開発コストが回収できず、業績に影響を与える可能性があります。このため、定期的な進捗管理や組織再編による推進体制強化を行っています。

(2) 優秀な人財の育成・確保に関するリスク


事業変革を支える人財の育成と確保が計画通りに進まない場合、業績に影響を与える可能性があります。これに対応するため、必要となる人財・スキルの再定義や採用・教育の体系化を進め、AI技術活用とビジネスデザイン力を備えた人財育成に取り組んでいます。

(3) 生成AIなど技術革新に関するリスク


生成AI等の技術革新により情報の価値や提供方法が変化する中、これに適応できなければ既存サービスの競争力低下を招く可能性があります。同社は生成AI技術の最大活用を掲げ、研究開発に取り組むことでリスク軽減を図っています。

(4) 特定の取引先への高い依存に関するリスク


売上高のうちトヨタ自動車に対する割合が2025年9月期において26.7%と高く、同社との取引状況が業績に影響を与える可能性があります。リスク軽減のため、モビリティ以外の市場への事業展開にも取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。