※本記事は、株式会社FPG の有価証券報告書(第24期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. FPGってどんな会社?
「金融で未来を拓く」を掲げ、航空機リースや不動産を小口化した投資商品を組成・販売する金融サービス企業です。
■(1) 会社概要
2001年に設立され、匿名組合契約に関するアドバイザリー業務を開始しました。2010年に大阪証券取引所JASDAQ市場へ上場し、2012年には東京証券取引所市場第一部へ銘柄指定されました。2013年に不動産小口化商品の提供を開始し、事業を多角化しています。2022年の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しました。
同グループは連結従業員383名、単体309名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるHTホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業者を中心としたオーナーシップと、機関投資家による保有が特徴的な資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| HTホールディングス | 29.02% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.39% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性4名の計10名で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長代表執行役員は谷村尚永氏が務めています。取締役7名のうち5名が社外取締役であり、社外取締役比率は71.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷村 尚永 | 代表取締役社長代表執行役員 | 住商リース(現三井住友ファイナンス&リース)等を経て、2001年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2024年よりAND OWNERS代表取締役会長。 |
| 石黒 正 | 取締役 | 旧日本長期信用銀行、新生銀行(現SBI新生銀行)常務執行役、野村信託銀行専務執行役等を経て、2016年より同社取締役。 |
社外取締役は、大原慶子(弁護士)、迫本栄二(税理士)、田島穣(元三菱地所執行役常務)、正宗エリザベス(元在日オーストラリア大使館公使)、武藤華子(元ソニーIR部マネージャー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「リースファンド事業」「国内不動産ファンド事業」「海外不動産ファンド事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) リースファンド事業
航空機、船舶、海上輸送用コンテナ等を対象としたオペレーティング・リース事業を組成し、投資家へ提供しています。商品は主に匿名組合方式または金銭の信託方式で提供され、投資家は事業損益を取り込むことで税の繰り延べ効果等を享受します。
収益は、案件の組成や投資家への出資持分等の販売に伴い、特別目的会社(SPC)や投資家から受け取る手数料が中心です。また、管理業務の手数料も収受します。運営は主にFPGが行い、一部の海外子会社も関与しています。
■(2) 国内不動産ファンド事業
国内不動産を対象とし、信託機能を活用した不動産小口化商品を投資家に提供しています。投資家は不動産の運用によるインカムゲインや売却によるキャピタルゲインを享受できるほか、相続税や贈与税の税務メリットも期待できる商品です。
収益は、信託受益権の譲渡対価や、信託財産から受け取る各種手数料(管理報酬、売却時の手数料等)です。運営は主にFPGが行い、FPG信託が信託受託者として関与しています。
■(3) 海外不動産ファンド事業
米国不動産を対象とした集団投資事業案件を組成し、投資家に提供しています。任意組合方式で提供され、投資家は損益を取り込むことで税の繰り延べ効果等を享受できます。対象物件は集合住宅やオフィスビル等が中心です。
収益は、案件組成や任意組合出資持分の販売に伴う手数料、および事業運営業務や物件売却時の成功報酬等です。運営は主にFPGが行い、FPG証券が販売や投資一任業務を担当しています。
■(4) その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、M&Aアドバイザリー事業、プライベートエクイティ事業、航空事業、共同保有プラットフォーム事業等を行っています。
収益は、M&Aの仲介手数料や成功報酬、投資先の譲渡収益、航空運送事業による収益等から構成されています。運営はFPG、オンリーユーエア、AND OWNERS等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に直近2期で大きく伸長しています。利益面では、2024年9月期に過去最高益を記録しましたが、直近の2025年9月期は減益となりました。利益率は20%台で推移しており、高い収益性を維持していますが、直近では低下が見られます。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 149億円 | 592億円 | 711億円 | 1,078億円 | 1,298億円 |
| 経常利益 | 51億円 | 125億円 | 180億円 | 289億円 | 265億円 |
| 利益率(%) | 34.5% | 21.1% | 25.3% | 26.8% | 20.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 29億円 | 85億円 | 125億円 | 205億円 | 182億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の増加率を上回ったため、売上総利益は減少しました。また、販売費及び一般管理費も増加しており、結果として営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,078億円 | 1,298億円 |
| 売上総利益 | 383億円 | 360億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.6% | 27.8% |
| 営業利益 | 286億円 | 254億円 |
| 営業利益率(%) | 26.6% | 19.6% |
販売費及び一般管理費のうち、その他が54億円(構成比51%)、人件費が53億円(同49%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社のセグメント利益は、売上総利益です。
国内不動産ファンド事業が大幅な増収となり、全体の売上成長を牽引しました。一方、リースファンド事業は売上高が微増にとどまり、利益は減少しました。海外不動産ファンド事業は増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| リースファンド事業 | 293億円 | 298億円 | 261億円 | 231億円 | 77.6% |
| 国内不動産ファンド事業 | 751億円 | 960億円 | 97億円 | 101億円 | 10.5% |
| 海外不動産ファンド事業 | 27億円 | 35億円 | 24億円 | 31億円 | 88.3% |
| その他 | 7億円 | 4億円 | 2億円 | -3億円 | -67.6% |
| 連結(合計) | 1,078億円 | 1,298億円 | 383億円 | 360億円 | 27.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスの「改善型」です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -293億円 | 1,082億円 |
| 投資CF | 66億円 | 8億円 |
| 財務CF | 242億円 | -1,109億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は32.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「金融で未来を拓く」を企業理念に掲げています。「小口化」という仕組みによって新たな投資の選択肢を提案し、多くの顧客に本当に価値ある資産を届けることを目指しています。この理念のもと、企業価値の向上に努めています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「高い倫理観にもとづいた正攻法の企業活動」「お客様の最善の利益を勘案した誠実・公正な業務運営」「全ての関係者の人格や多様性の尊重」をコンプライアンス・ポリシーとして定めています。これらに基づき、健全な企業文化の構築に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、「毎期の増収増益を目指す」ことや、「配当性向(連結)50%を目安とする株主還元方針を維持」することなどをコミットメントとして掲げています。また、2026年9月期には過去最高益の更新を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、リースファンド・不動産ファンド(国内・海外)分野でのリーディングカンパニーとしての地位の維持・獲得や、第4の柱の構築を方針として掲げています。そのための戦略として、営業体制の拡充などの成長を支える体制の強化、DXの推進、グループリソースを活用した新たな商品サービスの創出、SDGsへの取り組みの継続を挙げています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、多様な価値観を尊重し合える人材の育成と、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を推進しています。具体的には、多様な人材の活躍推進、キャリア形成支援、仕事と生活の調和支援、企業風土・文化の創造を掲げ、あらゆる制度の公正な運用や能力開発支援に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 41.4歳 | 4.9年 | 10,187,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 57.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 27.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(38.7%)、女性採用比率(43.3%)、育児休業後の復職率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) リースファンド事業のリスク
オペレーティング・リース事業において、為替変動、賃借人の不履行、物件価格変動等により事業損益が悪化し、投資家の期待に沿えない場合、販売額の減少等により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、一時的に保有する出資持分の価値低下リスクもあります。
■(2) 国内不動産ファンド事業のリスク
経済環境の変化等により対象不動産の収益性が悪化した場合や、税制変更により投資メリットが減少した場合、販売額が減少し業績に影響を与える可能性があります。特に、令和8年度税制改正大綱による相続税評価額の見直し案などが影響する可能性があります。
■(3) 海外不動産ファンド事業のリスク
不動産市況や為替等の変化により投資家への配当等が悪化した場合、販売が減退する可能性があります。また、組成時に一時的に保有する出資持分について、譲渡までに経済環境の変化等で価値が下落し、評価損を計上するリスクがあります。



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