※本記事は、株式会社ミラタップ の有価証券報告書(第47期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ミラタップってどんな会社?
住宅設備・建築資材のEC販売を主力とし、複雑な流通プロセスを排した「ワンプライス」での提供が特徴です。
■(1) 会社概要
1979年に建築資材の輸入販売を目的に設立され、2000年に住宅設備機器・建築資材のインターネット通信販売を開始しました。2013年に東証マザーズへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しました。2024年10月には株式会社サンワカンパニーから現社名へ商号変更し、同年12月にSUVACO事業等を譲受しています。
2025年9月30日現在、連結従業員数は289名(単体289名)です。筆頭株主は創業家一族とみられる山根良太氏で、第2位は代表取締役社長の山根太郎氏、第3位は資産管理会社とみられる株式会社ジェイアンドエルデザインとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山根 良太 | 11.40% |
| 山根 太郎 | 9.70% |
| ジェイアンドエルデザイン | 9.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は山根太郎氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山根 太郎 | 代表取締役社長 | 伊藤忠商事入社を経て2014年に同社入社し商品部長。同年6月より現職。グッドニュース、オンデックの社外取締役を兼任。 |
| 津﨑 宏一 | 取締役副社長 | 間組、ユーエスシーを経て2016年に同社入社。管理、経営企画、人事、拠点事業などの要職を歴任し、2023年10月より現職。 |
| 小菅 正伸 | 取締役 | 関西学院大学商学部教授、同大学副学長などを歴任。竹中工務店社外監査役などを経て、2015年12月より現職。 |
社外取締役は、小菅正伸(関西学院大学副学長)、出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)、財部友希(グラッドキューブ専務取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住設・建材EC事業」および「住宅事業」を展開しています。
■(1) 住設・建材EC事業
設計事務所や工務店等の建築のプロおよび一般施主に対し、住宅設備機器や建築資材を「ワンプライス」でEC販売しています。ECの弱みを補完するため、東京・大阪など全国主要都市にショールームを展開し、実物確認や内装提案を行っています。
収益は、顧客への商品販売代金となります。運営は主に同社が行っています。
■(2) 住宅事業
建売住宅、注文住宅、リノベーションおよび住宅設計サービスを展開しています。独自の「デザインコード」を加盟工務店に提供する「ASOLIE」や、家づくりプラットフォーム「SUVACO」の運営も行っています。
収益は、住宅販売代金や加盟店からの手数料等が主な源泉です。運営は同社が行っています(なお、建売住宅等を手掛けていた株式会社ベストブライトは2025年9月に全株式が譲渡されました)。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年9月期から売上高は増加傾向にあり、2025年9月期には168億円に達しました。一方で、利益面では黒字を維持してきましたが、直近の2025年9月期は営業損失および経常損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益もマイナスとなりました。
| 項目 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 133億円 | 155億円 | 161億円 | 168億円 |
| 経常利益 | 9.4億円 | 10.4億円 | 8.0億円 | -2.9億円 |
| 利益率(%) | 7.1% | 6.7% | 4.9% | -1.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7.1億円 | 4.1億円 | 6.3億円 | -4.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は赤字に転じました。特に販売費及び一般管理費の増加が著しく、利益を圧迫する要因となりました。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 161億円 | 168億円 |
| 売上総利益 | 57億円 | 58億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.3% | 34.9% |
| 営業利益 | 8.3億円 | -2.8億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | -1.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が14億円(構成比22%)、広告宣伝費が12億円(同19%)、倉庫費が5億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
住設・建材EC事業は増収を確保しましたが、認知拡大のための広告宣伝費増加等により減益となりました。住宅事業は建築コスト高騰等の影響を受けつつも増収となりましたが、赤字幅が拡大しました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 住設・建材EC事業 | 145億円 | 151億円 | 15億円 | 6億円 | 4.0% |
| 住宅事業 | 16億円 | 16億円 | -0.8億円 | -1.2億円 | -7.2% |
| 連結(合計) | 161億円 | 168億円 | 8億円 | -3億円 | -1.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**パターン:勝負型**
本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.4億円 | -0.6億円 |
| 投資CF | -4.2億円 | -7.3億円 |
| 財務CF | -4.0億円 | 0.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-14.6%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は30.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「くらしを楽しく、美しく。」を経営理念とし、人々のくらしをより良いものにするという普遍的な願いの実現を目指しています。EC販売により流通プロセスを簡素化し、高品質な商品を適正価格で提供することで、フェアな市場を作り出し、世界の人々のくらしで最も必要とされる企業集団を目指しています。
■(2) 企業文化
デザインコンセプトとして「ミニマリズム」を掲げ、シンプルで洗練された美しいデザインを極めています。また、人材マネジメント方針として、チャレンジの推奨(失敗を学びに変える)、フィードバックの重視、実績と具体的行動による評価、多様な価値観の尊重などを掲げ、全社で団結できるチームワーク醸成を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
負債・資本のバランスとコストを意識した経営を行い、事業規模の拡大と収益性の向上を通じて中長期的な企業価値向上を目指しています。重要な経営指標として、以下の3つを掲げています。
* 売上高(事業規模の指標)
* 売上高営業利益率(収益性の指標)
* 投下資本利益率(ROIC)(投下資本の効率的運用の指標)
■(4) 成長戦略と重点施策
「国内事業の収益基盤強化」「海外事業の成長拡大」「新事業の創造」「経営基盤の強化」を重点課題としています。国内では認知拡大やECプラットフォームのリプレイス等による売上・利益改善を図り、海外では現地法人や代理店を活用してブランド浸透を目指します。また、ASOLIEネットワークの拡大やM&Aによる新事業創造も推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「世界の人々の『くらし』で最も必要とされる企業集団」を目指し、人的資本戦略を重要視しています。目指す企業文化・組織風土の確立、優秀な人材の獲得・育成、セクショナリズムの廃止と協働関係の構築をテーマとし、フレックスタイムや在宅勤務等の柔軟な働き方の整備や、視座の高いリーダー人材の育成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 37.3歳 | 5.5年 | 4,852,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではない項目については、記載を省略しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建築業界の商慣習との相反
同社の住設・建材EC事業は、ウェブサイト等で販売価格を明示し、誰でも同一条件で購入できる「ワンプライス」を採用しています。これは、相対取引で価格が決定される建築業界の商慣習とは異例の手法であり、中間業者の介在余地をなくす等の影響があることから、業界の反発等により事業成長が阻害される可能性があります。
■(2) 競合の出現と競争激化
特定のジャンルではなく住宅内装設備関係を幅広く取り扱うEC事業者は少ないものの、EC市場の拡大により参入企業の増加が考えられます。同社より優れた商品や模倣商品を供給する競合が現れた場合、競争力が低下し経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、主力であるオリジナル商品のデザイン模倣リスクもあります。
■(3) 海外輸入商品の独占状態
ヨーロッパからの輸入商品には、書面による独占販売契約ではなく現地の商慣習に基づき同社のみが取り扱っているものがあります。予測し得ない事態により現在確保している独占状態を喪失した場合、商品の独自性が損なわれ、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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