※本記事は、株式会社フィックスターズ の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フィックスターズは、「Speed up your AI」をスローガンに掲げ、高度なソフトウェア開発技術をAI領域で活用し、顧客のAI開発・活用を支援しています。マルチコアやアクセラレータ、量子コンピュータなど多種多様なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を提供しています。
単体従業員数は279名、連結従業員数は334名です。セグメントはSolution事業、SaaS事業の2つです。
主な国内グループ会社は、Fixstars Autonomous Technologies(Solution事業)、Smart Opinion.3(SaaS事業)などです。
直近では、株式会社Drone Autopilot Labが2025年7月に解散を決議し、同年11月に清算結了しています。また、株式会社Siderも2025年2月に清算結了し、連結子会社から除外されました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
フィックスターズは、ソフトウェア技術を核に事業を展開しており、専門性の高いエンジニアが活躍する環境です。給与水準は業界や事業特性を反映した傾向が見られ、働き方においては人材育成と多様性を重視する姿勢がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数と平均年齢から、比較的若手から中堅層の従業員が中心となって活躍している傾向が見られます。人材の定着感については、平均勤続年数から一定の期間在籍する従業員がいることが示唆されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,908,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.0年 |
| 平均年齢 | 36.1歳 |
| 単体従業員数 | 279人 |
| 連結従業員数 | 334人 |
| 単体のグループ内比率 | 83.5% |
同社グループでは、確定拠出年金制度を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、優秀なエンジニアを競争力の源泉と位置づけ、人材育成に注力しています。これまで培ったソフトウェア高速化技術に関する社内ナレッジを共有する仕組みを、社内研修・教育制度として整備し、人材の育成を図っています。
また、性別、国籍、年齢、障がい、入社経路に関係なく必要な人材を採用する方針です。多様な人材の活躍が重要であると考えており、今後も継続して多様な人材の採用、育成、登用を行っていくとしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異は、それぞれ女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 70.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 88.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 87.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 100.0% |
任意開示指標と目標
人材育成等の施策やデータ管理は現在提出会社を中心に運用されており、指標及び目標は提出会社のものを記載しています。今後グループ全体への展開を進めていく方針です。
| 指標 | 2025年9月期実績 | 目標 |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.0% | 2027年9月期 20% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 70.0% | 2027年9月期 100% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
フィックスターズは、「Speed up your AI」をスローガンに掲げ、高度なソフトウェア開発技術をAI領域に応用し、顧客のAI開発と活用を支援する事業を展開しています。多種多様なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を通じて、先進的な研究機関や企業を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、大量データの高速処理が求められる産業分野に注力し、主に「Solution事業」と「SaaS事業」の二つのセグメントで事業を推進しています。これらの事業を通じて、顧客の課題解決とビジネス支援を行っています。
Solution事業
Solution事業では、大量データの高速処理を可能にするソフトウェア開発・高速化サービスと、関連するハードウェアを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組み込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しています。
収益は、ソフトウェア開発・高速化サービスおよびハードウェアの提供から得ています。当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて増加しています。
SaaS事業
SaaS事業では、Solution事業で培った知見を広く社会に活用してもらうことを目指し、複数のサービスをSaaSとして提供しています。量子コンピューティングクラウド「Fixstars Amplify」や乳がんAI画像診断支援プログラム「METIS Eye」、AI開発・運用プラットフォーム「Fixstars AIBooster」などを展開しています。
収益は、これらのSaaSサービスの提供から得ています。当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて大きく増加しています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が中心となっています。主要な顧客としては、キオクシア株式会社や株式会社ネクスティエレクトロニクスからの売上高が一定の割合を占めています。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| Solution事業 | 76.8億円 | 91.7億円 |
| SaaS事業 | 3.2億円 | 4.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で継続的に増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、売上高の成長に伴い堅調に推移しています。
当連結会計年度においては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前連結会計年度から増加しました。特に親会社株主に帰属する当期純利益は、連結子会社の清算結了による一時的な税負担軽減もあり、大きく伸びています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 55.0億円 | 63.1億円 | 70.4億円 | 80.0億円 | 96.2億円 |
| 経常利益 | 9.6億円 | 16.9億円 | 20.8億円 | 23.1億円 | 25.8億円 |
| 経常利益率 | 17.5% | 26.8% | 29.5% | 28.8% | 26.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.4億円 | 10.8億円 | 14.5億円 | 14.9億円 | 19.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 16.64 | 33.53 | 45.01 | 46.39 | 60.34 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度において前連結会計年度から増加しました。また、従業員1人あたり営業利益も前連結会計年度から増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。
これらの指標の改善は、事業規模の拡大と効率的な経営が両立していることを示しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 25.0百万円 | 28.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.2百万円 | 7.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社フィックスターズグループは、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を背景に、安定した財務基盤を築いています。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も継続している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
フィックスターズグループの財務基盤は、高い自己資本比率とROE、そして潤沢な手元資金によって特徴づけられています。自己資本比率はプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、財務の安定性を示しています。ROEもプライム市場平均を大幅に超える高い水準を維持しており、効率的な資本活用がうかがえます。現金及び預金も増加傾向にあり、事業運営における資金の厚みがある状態です。これらの指標は、同社グループが安定した経営基盤の上で事業を展開していることを示しています。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 69.4億円 | 85.2億円 |
| 自己資本比率 | 77.1% | 83.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 24.2% | 26.0% |
| 現金及び預金 | 48.6億円 | 51.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を投資や株主還元に充てている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは増加しており、本業で着実に利益を上げていることがうかがえます。これは主に税金等調整前当期純利益の計上によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や敷金及び保証金の差入による支出があり、将来に向けた事業基盤の強化や拡大への投資を行っていることが示されています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や配当金の支払いにより減少しており、健全な財務運営と株主還元が行われていることがわかります。フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金が投資を上回るため、資金繰りに余裕がある状態です。これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営と成長投資を両立しており、雇用や給与の安定性につながる財務的な健全性を示しています。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 16.6億円 | 19.8億円 |
| 投資CF | △1.7億円 | △6.3億円 |
| 財務CF | △12.4億円 | △10.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 14.9億円 | 13.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、キオクシア株式会社への売上割合が当連結会計年度で17.1%と高い水準にあります。キオクシア株式会社向けのプロジェクトが変更または中止となり、売上が大きく減少した場合には、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業はエンジニア等のヒューマンリソースに大きく依存しており、今後の事業拡大に伴い、専門化・高度化が進むと想定されています。優秀な人材を十分に確保できなかった場合や、エンジニア等の退職者が一時的に多数発生した場合には、同社グループの事業拡大が制約を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フィックスターズは、ソフトウェア技術を核に、社会貢献と社員の幸福を追求する企業です。技術力を活かした事業展開を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「ソフトウェア技術を通じて全社員の幸福およびすべてのお客様の成功を追求しフィックスターズの技術を活かして全世界のしあわせ向上に貢献すること」を経営理念としています。経営の効率化と継続的な事業拡大を通じて企業価値を向上し続けることを目標としています。ソフトウェア産業における「Winner takes all」というビッグトレンドを背景に、創業来培ってきた低レイヤソフトウェア技術やソフトウェア高速化技術の役割が増大していると認識しています。ソフトウェア開発・高速化サービスを中心とした安定成長と新規事業開発を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループの競争力の源泉は優秀なエンジニアであり、人材の確保と育成を重視しています。豊富なソフトウェア高速化技術に関する社内ナレッジを共有する仕組みとして、社内研修・教育制度を整備しています。また、プロフェッショナル職制度を設け、エンジニアとしてのキャリアパスを支援しています。性別、国籍、年齢、障がい、入社経路に関係なく必要な人材を採用し、多様な人材の活躍を重要視する企業風土です。サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置し、代表取締役社長が議長を務めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中長期的な成長のため、新製品の開発と研究開発に継続して投資しています。また、量子コンピューティングクラウド「Fixstars Amplify」などのSaaS型自社プロダクトを展開し、継続型ビジネスの拡大に取り組んでいます。優秀な人材の確保と育成、知名度とブランド価値の向上も重要な課題です。セキュリティの強化と内部管理体制の強化を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
フィックスターズは、取締役会と監査役会を設置しており、社外役員が経営の監督と監査を担う体制を構築しています。経営会議も定期的に開催され、迅速な意思決定と業務執行の効率化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
フィックスターズの株主構成を見ると、代表取締役社長である三木聡氏が筆頭株主となっています。上位には海外の金融機関や信託銀行も名を連ねており、幅広い投資家層に支えられていることがうかがえます。創業者が主要な株主として経営を支える体制です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三木 聡 | 10.75% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505025 | 9.92% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.76% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長執行役員は三木聡氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三木 聡 | 代表取締役 社長 執行役員 | 2002年8月㈲フィックスターズ設立代表取締役。2002年10月同社へ組織変更し代表取締役社長CEOに就任。Fixstars Solutions, Inc. CEOなどを歴任し、現職。 |
| 堀 美奈子 | 取締役 執行役員 管理本部長 | 2001年4月㈱アガスタ入社。2007年5月同社入社、管理本部長。2007年12月同社取締役管理本部長に就任し、現職。 |
| 蜂須賀 利幸 | 取締役 執行役員 Solutionカンパニープレジデント | 1998年7月アルテック㈱入社。2007年7月同社入社、営業本部長。2021年12月同社取締役Solutionカンパニープレジデントに就任し、現職。 |
| 松田 佳希 | 取締役 執行役員 SaaSカンパニープレジデント | 2011年3月東京大学物性研究所助教。2013年6月同社入社。2024年12月同社取締役SaaSカンパニープレジデントに就任し、現職。 |
社外取締役は、石井真氏(ソニーLSIデザイン代表取締役社長)、樺島弘明氏(エル・ティー・エス代表取締役社長)、榎本ゆき乃氏(横浜綜合法律事務所パートナー)、野澤俊通氏(THECOO取締役メンバーサクセス本部長)、鉢嶺登氏(デジタルホールディングス取締役ファウンダー)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役5名を含む9名で構成されています。社外取締役は経営全般に対して客観的かつ公正な意見を述べ、取締役の業務執行の適法性を監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
フィックスターズの役員報酬は、取締役(社外取締役を除く)に対しては、月例の固定報酬である基本報酬に加え、連結経常利益に連動する業績連動報酬、そして中長期的な企業価値向上を目的とした譲渡制限付株式報酬で構成されています。社外取締役には、独立性を確保するため業績に左右されない固定報酬が支給される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 2.5億円 | 63.7百万円 |
| 社外役員 | 9名 | 30百万円 | 3.3百万円 |
同社グループの役員報酬の総額は2.8億円であり、対象となる役員は合計13名です。
個人別報酬が開示されている役員は、三木聡氏(総額1.25億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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