※本記事は、株式会社イルグルム の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
イルグルムは、国内有数のシェアを誇る広告効果測定ツール「アドエビス」を提供するマーケティングDX支援事業と、EC構築プラットフォーム「EC-CUBE」を提供するコマース支援事業をグループ各社とともに展開しています。データとテクノロジーを活用し、企業によるマーケティング活動とEC事業を多角的に支援しています。
イルグルムの単体従業員数は141名、連結従業員数は334名です。セグメントはマーケティングDX支援事業、コマース支援事業の2つです。
主な国内グループ会社は、イーシーキューブ(コマース支援事業)、スプー(マーケティングDX・支援事業)などです。
イルグルムグループは、2024年12月25日付でトピカの株式を追加取得し、また前連結会計年度末にはルビー・グループが連結対象となるなど、グループ体制の強化を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
イルグルムは、マーケティングDX支援事業などを展開する企業です。従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的若手が多く、活気のある組織であることがうかがえます。同社グループでは、働きがい創出と事業成長を目指し、多様な働き方を推進する取り組みも行っています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
イルグルムの従業員は、平均年齢34.7歳、平均勤続年数5.9年というデータを示しています。このことから、比較的若手が多く、活発な組織であることがうかがえます。同社では、従業員が力を存分に発揮し、ともに成長できる環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,257,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.9年 |
| 平均年齢 | 34.7歳 |
| 単体従業員数 | 141人 |
| 連結従業員数 | 334人 |
| 単体のグループ内比率 | 42.2% |
イルグルムは確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。一部の連結子会社では、確定拠出年金制度と中小企業退職金共済を採用しています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
イルグルムグループは、「働きがい創出と事業成長を目指すと共にDX支援によって顧客企業の成長にも貢献し、豊かな社会づくりの一助となる」というサステナビリティ戦略に基づき、人的資本に関する戦略を掲げています。基本方針として「一人一人が力を存分に発揮し、ともに成長できる組織へ」を掲げ、HRポリシーやリーダーシッププリンシプルといった具体的な行動指針を設けています。
この指針のもと、教育カリキュラムの充実や、相互理解と相乗効果を生むコミュニケーション機会の創出等に取り組むことで、持続的な人と組織の成長を目指しています。社内環境整備としては、リモートワーク制度や時差出勤・勤務時間変更制度の導入、育児休暇取得の推進、山ごもり休暇(長期休暇)制度など、ワークライフバランスを重視した施策を行っています。また、性別・年齢・国籍などのバックグラウンドを問わず、多様な従業員がパフォーマンスを発揮できる職場づくりを推進し、すべての従業員が活躍できる環境を整備しています。定期的に従業員に対してエンゲージメントサーベイを実施し、組織課題の見える化にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、公表義務の対象ではないため記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 24.1% |
多様性・登用
イルグルムは、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する指標として、管理職に占める女性労働者の割合を定めています。目標値は30.0%です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 24.1% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
イルグルムは、デジタルマーケティングとEC(電子商取引)の領域で、企業活動を支援するサービスを提供しています。データとテクノロジーを活用し、売り手と買い手の双方にとってより良い体験を創出することを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、マーケティングDX支援事業とコマース支援事業の二つのセグメントで事業を展開しています。国内のインターネット広告市場やEC市場の拡大を背景に、各事業でサービスを提供しています。
マーケティングDX支援事業
この事業は、インターネットにおける消費者行動を横断的に測定し、マーケティングに活用するためのクラウドサービス等を提供しています。主力サービスは広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」であり、その他にマーケティング・キャンペーン・マネジメント・プラットフォーム「アドエビスキャンペーンマネージャー」や運用型広告レポート自動作成ツール「アドレポ」なども提供しています。
収益は、これらのクラウドサービスの利用料や、動画マーケティングのコンテンツ制作・運用、プロジェクト管理ツールなどの提供から得ています。運営は、YRGLM VIETNAM Co., Ltd.、スプー、トピカ、ファーエンドテクノロジー及び彩などの関係会社が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しています。
コマース支援事業
この事業は、ECサイト構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」及びEC構築・運用支援サービス等を提供しています。EC事業者が直面する課題に対し、集客から物流に至るまで幅広い支援を行っています。
収益は、「EC-CUBE」と連携する各種サービス提供事業者からの決済手数料収入や、大規模ECサイトの構築・運用支援サービスから得ています。運営は、イーシーキューブ、ルビー・グループ及びKIMEI GLOBAL Co., Ltdなどの関係会社が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から大きく増加しています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、特定の地域への集中は見られません。また、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はありません。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| マーケティングDX支援事業 | 28.6億円 | 29.2億円 |
| コマース支援事業 | 7.8億円 | 20.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で継続的に増加傾向を示しています。経常利益は変動が見られるものの、直近の当連結会計年度では前期から増加となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度において損失を計上しています。これは、主に固定資産に係る多額の減損損失の計上や、のれんの償却額による特別損失が影響しています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは収入となっており、本業によるキャッシュ創出力は維持されている状況です。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29.6億円 | 33.3億円 | 36.3億円 | 36.4億円 | 49.3億円 |
| 経常利益 | 3.6億円 | 4.0億円 | 3.3億円 | 1.6億円 | 2.8億円 |
| 経常利益率 | 12.3% | 12.0% | 9.1% | 4.5% | 5.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.4億円 | 2.4億円 | 2.0億円 | 69百万円 | △1.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 37.96 | 37.70 | 31.39 | 11.14 | △22.98 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加となりました。
これらの指標の改善は、同社グループの売上高の増加と営業利益の増加が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 9.8百万円 | 14.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.4百万円 | 0.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
イルグルムグループは、本業で資金を生み出しながら、将来に向けた投資も進めている状況です。財務の健全性と資金の流れから、同社グループの現在地を確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
イルグルムの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。手元資金も増加傾向にあり、事業運営の安定性を示す要素となっています。一方で、ROEはマイナスとなっており、収益性の改善が今後の課題として挙げられます。これらの状況は、同社グループの雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 19.3億円 | 16.8億円 |
| 自己資本比率 | 53.3% | 51.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.6% | -7.9% |
| 現金及び預金 | 14.1億円 | 15.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
イルグルムグループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは増加しています。これは減損損失やのれん償却額の計上がある一方で、税金等調整前当期純損失を計上したことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産や有形固定資産の取得による支出が継続していますが、前期に比べて支出額は減少しています。
財務活動によるキャッシュフローは、前期の収入から当期は支出へと転じており、長期借入金の返済や子会社株式の取得による支出が主な要因です。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローはプラスに転換しており、本業で得た資金を投資に回しつつ、資金の余力も生み出している状況を示しています。この資金の流れは、同社グループが事業の成長を追求しながら、財務的な安定性も維持しようとしている姿勢を表しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして将来的な成長性にも期待が持てる状況です。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.9億円 | 5.9億円 |
| 投資CF | △4.9億円 | △1.9億円 |
| 財務CF | 0.5億円 | △2.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.0億円 | 4.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主力サービスである「アドエビス」関連の売上収益が全体の約44.2%を占めており、特定のサービスへの依存度が高い状況です。市場環境の変化や競合の増加が、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、インターネット広告市場およびEC市場の動向に事業が大きく左右されるため、新たな規制導入や技術革新、景気変動による需要縮小もリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の事業拡大や新規事業展開に伴い、継続的な人材の確保と育成が必要であると認識しています。求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営や新規事業の拡大に支障が生じ、同社グループの事業および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
イルグルムは、「Impact On The World」を経営理念に掲げ、データとテクノロジーを活用して企業のマーケティング活動を支援する企業です。プロダクト開発会社からビジネスパートナーへの変革を目指し、生成AIをはじめとする先端テクノロジーの活用と人財の成長を重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
イルグルムは、「Impact On The World」を経営理念に掲げ、関わるすべての人に良い影響を与え、それを世界規模で実現したいという創業以来の想いを大切にしています。
データとテクノロジーを活用して世界中の企業のマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せを創出することをビジョンとしています。
中期経営方針「VISION2027」では、プロダクト開発会社から、プロダクトと高い専門性を持つ人財によって顧客のビジネスを推進するビジネスパートナーへの変革を掲げています。
2026年9月期からは「コマースAI事業」と「マーケティングAI事業」を事業ドメインとし、生成AIをはじめとする先端テクノロジーを活用して顧客企業の生産性向上と競争力強化を支援する方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
イルグルムは、「一人一人が力を存分に発揮し、ともに成長できる組織へ」という基本方針のもと、HRポリシーやリーダーシッププリンシプルといった行動指針を設けています。
教育カリキュラムの充実やコミュニケーション機会の創出を通じて、持続的な人と組織の成長を目指しています。
社内環境整備では、リモートワーク制度や時差出勤・勤務時間変更制度、育児休暇取得の推進により、働く時間や場所に柔軟性を持たせています。
山ごもり休暇(長期休暇)制度を含め、ワークライフバランスを重視した施策を実施し、多様な従業員が活躍できる職場づくりを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営方針「VISION2027」で掲げるビジネスパートナーへの変革を実現するため、人的資本の大きな変革を課題としています。生成AIをはじめとするテクノロジーの進化に伴い、高度な専門性と創造性を兼ね備えた人財の獲得及び育成を重要な経営課題と位置付けています。
多様な働き方を支援する制度や環境の整備、人財の成長を促す教育の充実を図りながら、持続可能な雇用の創出と人的資本の価値向上に取り組んでいます。
研究開発では、生成AIの活用が事業領域で不可欠であるとし、AIを活用した独自サービスへの開発投資を積極的に行い、AI関連技術の研究開発及び提供を加速していく方針です。
グループ経営管理においては、AI企業として必要な組織能力を獲得するためのM&Aを模索し、「VISION2027」の実現に向けた最適な体制構築を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、経営における監督と執行の分離を明確化しています。取締役会は、社外取締役を含む6名で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
イルグルムは、代表取締役社長執行役員CEOである岩田進氏が筆頭株主となっています。上位の株主には複数の個人株主が名を連ねており、創業者が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岩田 進 | 42.59% |
| 福田 博一 | 12.43% |
| 又座 加奈子 | 5.31% |
| 山下 良久 | 1.09% |
| イルグルム従業員持株会 | 1.03% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員CEOは岩田進氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩田 進 | 代表取締役 社長執行役員 CEO | 2001年6月 同社設立 代表取締役社長、2019年12月 代表取締役・社長執行役員CEOより現職。 |
| 赤澤 洋樹 | 取締役 上席執行役員 CFO | 1999年4月 秋葉会計事務所入所、2016年10月 同社入社、2025年4月 取締役上席執行役員CFOより現職。 |
| 椎木 茂 | 取締役 | 1993年1月 プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社パートナー&常務取締役、2017年12月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、佐伯壽一氏(元神鋼ケアライフ代表取締役社長・監査等委員)、西野充氏(元ペンタックス執行役員・監査等委員)、大久保丈二氏(元プライスウォーターハウスコンサルタント常務取締役CFO・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、経営における監督と執行の分離を明確化しています。社外取締役は、客観的な立場から経営への助言と監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
イルグルムの役員報酬は、固定報酬と譲渡制限付株式報酬で構成されています。固定報酬は業績や貢献度を総合的に勘案して決定され、譲渡制限付株式報酬は役割や職責に応じて内規に基づき支給されます。監査等委員である取締役の報酬は、監査等委員会での協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 66百万円 | 21.8百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 21百万円 | 6.8百万円 |
なお、譲渡制限付株式報酬は、非金銭報酬等として交付された譲渡制限付株式報酬に係る当事業年度の費用計上額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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