※本記事は、株式会社CRI・ミドルウェア の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月15日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
CRI・ミドルウェアグループは、ソフトウェア製品の許諾販売を主軸とする企業です。ゲーム業界向けの音声・映像関連ミドルウェアや画像最適化ソリューション、音響制作に加え、ゲーム業界以外のモビリティ、組込み、クラウドソリューション分野にも技術を展開しています。
単体従業員数は153名、連結従業員数は173名です。セグメントはゲーム事業、エンタープライズ事業、全社(共通)の3つです。
主な国内グループ会社は、ツーファイブ(ゲーム事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
CRI・ミドルウェアは、音と映像のミドルウェア開発を主軸とする企業です。同社グループは、ゲーム分野で培った技術をモビリティやオンラインコミュニケーション分野へと展開し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。このような事業展開を支えるため、多様な人材の活躍支援や能力開発に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
CRI・ミドルウェアでは、従業員が安心して長く活躍できる基盤作りに注力しており、平均勤続年数や平均年齢から、一定の定着傾向が見られます。多様な人材がそれぞれのライフステージの変化に対応しながら働き続けられるよう、各種制度の整備を進めていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,496,000円 |
| 平均勤続年数 | 7.1年 |
| 平均年齢 | 39.5歳 |
| 単体従業員数 | 153人 |
| 連結従業員数 | 173人 |
| 単体のグループ内比率 | 88.4% |
CRI・ミドルウェアは、確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。2025年4月には、従来の簡便法による退職一時金制度から確定拠出年金制度へ移行しました。国内の連結子会社は、確定拠出型の制度として中小企業退職金共済制度を採用しています。
なお、退職一時金制度は存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
CRI・ミドルウェアは、社会や顧客への価値提供の源泉となる優秀な人材の獲得と活躍支援を重視しています。新卒・中途問わず、性別等のあらゆる属性を問わない積極的な採用方針を掲げています。
社員の能力発揮を後押しするため、新入社員研修や階層別研修に加え、e-learning研修や社内有志によるライトニングトークの場を設けています。また、「やりたい!」という自主的なアイデアを発表するチャレンジ奨励制度や、資格取得手当の支給を通じて、従業員の自律的な学びと能力開発を支援しています。
安心して長く活躍できる基盤作りにも力を入れており、時間単位の年次有給休暇制度、小学校卒業まで利用できる育児短時間勤務制度、出産・育児休業取得制度などを整備し、ライフステージの変化に柔軟に対応できる環境を提供しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は、「女性の職業生活における活躍推進に関する法律」の規定に基づき算出されています。男性育児休業取得率および男女賃金差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.1% |
多様性・登用
提出会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性の採用の比率 | 20% |
育児・介護支援
提出会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児休暇取得人数 | 100% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
CRI・ミドルウェアグループは、主に「CRIWARE」と「OPTPiX」というブランドでソフトウェア製品の許諾販売を手がけています。これに関連する受託開発や音響制作も行っており、ゲーム業界とゲーム業界以外の幅広い分野に技術を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「ゲーム事業」と「エンタープライズ事業」の二つの報告セグメントで事業を展開しています。それぞれのセグメントは異なる顧客層と収益源を持ち、同社グループの技術力を多角的に活用しています。国内の外部顧客への売上高が大部分を占めており、特定の顧客への収益集中は見られません。
ゲーム事業
主にゲーム業界向けに、ゲーム開発をスムーズかつ効率的に行うための音声・映像関連ミドルウェアや画像最適化ソリューションの提供、音響制作を行っています。収益は、ミドルウェア/ツールと音響制作から得ています。運営は、当社、ツーファイブ、上海希艾維信息科技有限公司が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しました。
エンタープライズ事業
ゲーム事業で培った音声・映像関連の技術を活かし、主にゲーム業界以外の業界向けに、音声・映像関連ミドルウェアやソリューションの提供、関連する受託開発を行っています。特に、モビリティ分野、カラオケ機器や家電・IoT機器などの組込み分野、Web動画や静止画等に係る技術を取り扱うクラウドソリューション分野に注力しています。収益は、組込み、モビリティ、クラウドソリューションから得ています。運営は、当社が行っています。当連結会計年度の売上高は前期から増加しました。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| ゲーム事業 | 16.8億円 | 18.1億円 |
| エンタープライズ事業 | 14.9億円 | 16.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
CRI・ミドルウェアグループの過去5期間の業績推移を見ると、売上高は概ね増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、直近では増加傾向を示しています。
第22期においては、親会社株主に帰属する当期純利益が減少しましたが、これは固定資産に係る多額の減損損失の計上などが主な要因となっています。当連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも前期比で増加しました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 28.9億円 | 28.4億円 | 29.9億円 | 31.7億円 | 34.5億円 |
| 経常利益 | 3.4億円 | 1.4億円 | 3.8億円 | 3.8億円 | 5.7億円 |
| 経常利益率 | 11.6% | 4.9% | 12.7% | 12.1% | 16.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.0億円 | △3.4億円 | 2.3億円 | 3.0億円 | 4.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 36.71 | △62.23 | 43.77 | 58.27 | 80.51 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
CRI・ミドルウェアグループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しました。
これらの指標の改善は、同社グループの生産性が向上している傾向を示しています。これは、効率的な事業運営や技術力の活用が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.6百万円 | 19.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.2百万円 | 3.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社CRI・ミドルウェアは、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を背景に、安定した財務基盤を築いています。本業で着実に資金を創出し、将来に向けた投資も継続している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、自己資本比率が高く、手元資金も厚い状態を維持しています。当期の自己資本比率は69.3%であり、プライム市場の平均と比較しても高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も当期は10.8%と、プライム市場平均を上回る水準となっています。これらの状況から、同社グループは強固な財務基盤を維持しており、事業環境の変化にも耐えうる安定性を持っていることがうかがえます。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 37.7億円 | 41.0億円 |
| 自己資本比率 | 69.6% | 69.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.4% | 10.8% |
| 現金及び預金 | 36.3億円 | 42.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、前期から大きく増加し、資金を獲得しています。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少額などが資金の増加要因となったためです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得や有形固定資産の取得などにより、資金を使用しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより資金を使用しました。
当期のフリーキャッシュ・フローは前期から増加し、資金を獲得しています。同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、余剰資金を確保している状況です。これは、事業の成長性と雇用・給与の安定性を示すものと言えます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.3億円 | 8.5億円 |
| 投資CF | △0.1億円 | △1.4億円 |
| 財務CF | △0.8億円 | △1.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.2億円 | 7.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループのゲーム向け音声・映像関連製品は、国内市場において安定的な収益基盤となっているものの、他社が優位性の高い製品や代替技術を市場投入した場合には、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社グループは、ゲーム関連市場の拡大が期待される中国を中心に海外事業を展開しています。予期し得ない政策や法制度の変更、経済情勢の悪化、社会環境の変化、感染症の流行等により、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの製品開発は高い技術力が必要となるため、優秀なエンジニアの採用と育成が重要な課題です。人材獲得競争の激化等により、エンジニア採用に支障が生じたり、離職者が著しく増加した場合には、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
CRI・ミドルウェアは、独自の技術と革新的なアプローチで社会に貢献することを目指しています。同社グループがどのような価値観を大切にし、どのような未来を描いているのかをご紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
CRI・ミドルウェアの経営理念は「音と映像で社会を豊かに」です。設立以来、感動を伝える音声・映像関連の独自技術の研究開発を通じて、豊かな社会の創造に貢献する企業となることをめざしています。
中期的には、ゲーム事業で培った技術やノウハウ、知見、資金をエンタープライズ事業の研究開発や営業強化に投下し、事業領域を拡げ、同社グループ全体で飛躍的な成長をめざす方針です。2030年度までにモビリティ、ゲーム、オンラインコミュニケーションをコア事業とした事業構造への変革を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「音と映像で社会を豊かに」という企業理念のもと、音声・映像関連の研究開発を行い、その成果であるミドルウェア製品ブランド「CRIWARE」を様々な分野へ展開しています。持続可能な社会の実現に貢献するため、ゲーム分野で培った経験を基にモビリティ分野やオンラインコミュニケーション分野への事業拡大を推進しています。
社会や顧客への価値提供の源泉である人材の活躍を支援するため、多様な人材の獲得、社員の能力発揮を後押しする学びの支援、安心して長く活躍できる基盤作りを重視しています。選考においては、性別等のあらゆる属性を問わず積極的に採用する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループを取り巻く経営環境は、技術革新のスピードが速く、最新のトレンドが目まぐるしく変化する厳しい環境であると認識しています。このような環境の中、ゲーム事業で得られた技術やノウハウ、知見、資金をエンタープライズ事業の研究開発や営業強化に投下することで、同社グループ全体で飛躍的な成長をめざしています。
モビリティやオンラインコミュニケーションミドルウェア「CRI TeleXus(シーアールアイ テレクサス)」などへの継続投資に加え、次世代の新製品への積極的な技術開発投資を行っていく方針です。サステナビリティに関する方針や計画については、業務改革委員会の中に設けられたサステナビリティ分科会にて議論を行い、適時に定時取締役会や業務改革委員会に報告を実施しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社グループは、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能とコーポレート・ガバナンス体制の強化を図っています。執行役員制度を導入し、経営の監督と執行の分離を明確にしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、事業会社であるセガが筆頭株主となっています。また、代表取締役社長である押見正雄氏や、CRI・ミドルウェア従業員持株会も上位株主として名を連ねています。このように、事業パートナーや経営陣、従業員が主要な株主として同社グループを支えていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| セガ | 12.25% |
| 押見 正雄 | 7.86% |
| CRI・ミドルウェア従業員持株会 | 5.64% |
| 古川 憲司 | 3.57% |
| 松下 操 | 2.71% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は押見正雄氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 押見 正雄 | 代表取締役社長 | - |
| 鈴木 正彦 | 代表取締役会長 | 1981年コンピューターサービス株式会社(現SCSK株式会社)入社。同社取締役、常務取締役、専務執行役員、取締役副社長執行役員(CTO)などを歴任。2020年同社顧問を経て、2020年12月より同社取締役会長、2022年11月より代表取締役会長に就任し、2023年10月より現職。 |
| 櫻井 敦史 | 取締役専務執行役員 | - |
| 田中 克己 | 取締役常務執行役員 | - |
| 及川 直昭 | 取締役常務執行役員 | - |
社外取締役は、鈴木久和氏(元SCSK株式会社代表取締役副社長執行役員)、田中信重氏(住友生命保険相互会社年金事業部上席推進役・常勤監査等委員)、和藤誠治氏(TMI総合法律事務所パートナー・監査等委員)、田村奈央子氏(田村奈央子公認会計士事務所設立・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役は全員が社外取締役で構成されています。彼らは独立した立場から取締役の職務執行の監査を行い、コーポレート・ガバナンスの強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして機能するよう設計されています。業務執行取締役に対しては、固定報酬としての基本報酬と業績連動報酬が支給され、社外取締役には基本報酬のみが支払われます。報酬額の決定においては、透明性と公正性を確保するため、任意の報酬委員会が設置され、審議が行われています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 社外取締役 | 4名 | 26百万円 | 6.6百万円 |
なお、社外取締役のうち1名は、期中に取締役(監査等委員)から取締役(監査等委員を除く)へ異動しているため、取締役(監査等委員を除く)と取締役(監査等委員)の両方に報酬等が計上されています。
報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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