クラウドワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クラウドワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。日本最大級のオンライン人材マッチングプラットフォーム「クラウドワークス」等を運営し、DXコンサルティング事業も展開しています。2025年9月期は、マッチング事業の成長により売上高・営業利益ともに増加しましたが、のれん減損損失等の計上により親会社株主に帰属する当期純損失となりました。(154文字)


※本記事は、株式会社クラウドワークスの有価証券報告書(第14期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. クラウドワークスってどんな会社?


国内最大級のフリーランス人材プラットフォームを運営し、「個のためのインフラになる」を目指す企業です。

(1) 会社概要


2011年に設立され、翌2012年にクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を開始しました。2014年には東証マザーズ(現グロース)へ上場し、2015年にIT人材特化の「クラウドテック」を開始するなど事業を拡大しました。2021年に新ミッションを掲げ、2024年にはクラウドワークス コンサルティングを発足させています。

連結従業員数は760名、単体では346名です。筆頭株主は創業者の吉田浩一郎氏で、第2位はインターネット広告事業などを展開するサイバーエージェント、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。サイバーエージェントとは主要株主として資本関係があります。

氏名 持株比率
吉田 浩一郎 23.67%
サイバーエージェント 9.59%
日本カストディ銀行(信託口) 2.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長CEOは吉田浩一郎氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
吉田 浩一郎 代表取締役社長CEO パイオニア、リードエグジビションジャパン、ドリコムを経て、ZOOEEを設立し代表取締役に就任。2011年11月に同社を設立し、代表取締役社長CEOより現職。
大類 光一 取締役 日本電気、リクルートを経て同社に入社。執行役員、graviee代表取締役、同社取締役常務執行役員兼COOなどを歴任し、クラウドワークスコンサルティング代表取締役より現職。
月井 貴紹 取締役 日立テレコムテクノロジー、エムティーアイ、日本エンタープライズ等を経て同社に入社。執行役員、各グループ会社役員を歴任し、インゲート取締役より現職。


社外取締役は、竹谷祐哉(スコラ代表取締役社長)、増山雅美(ハイブリッドテクノロジーズ社外取締役)、新浪剛史(サントリーホールディングス代表取締役社長)、香月由嘉(ギフトホールディングス社外取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マッチング事業」、「ビジネス向けSaaS事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) マッチング事業


日本最大級のオンライン人材マッチングプラットフォーム「クラウドワークス」や、エージェントが仲介する「クラウドワークス エージェント」等を運営しています。企業と個人をマッチングさせ、エンジニアやクリエイター、副業希望者などに時間や場所にとらわれない働き方を提供しています。

プラットフォーム領域はシステム利用料等、エージェント領域は業務委託料および手数料が主な収益源です。運営は主に同社が行うほか、シューマツワーカー、ユウクリ、クラウドワークス コンサルティング等のグループ会社が各サービスを提供しています。

(2) ビジネス向けSaaS事業


企業向けの工数管理ツール「クラウドログ」を中心に、企業の生産性向上を支援するSaaSツールを提供しています。導入社数は累計900社を超え、大手企業を中心に利用が拡大しています。

顧客企業からのサービス利用料(サブスクリプション収入等)が主な収益源となります。運営は主に同社が行っています。

(3) その他


報告セグメントに含まれない新規開発事業などが該当します。具体的な事業内容は多岐にわたりますが、グループ全体の成長に寄与する取り組みを行っています。

収益源は各事業モデルにより異なります。運営は同グループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。経常利益も売上高の伸長に伴い増加基調を維持しています。一方、当期利益に関しては、直近では黒字を確保していましたが、2025年9月期は減損損失等の計上により赤字に転じています。

項目 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 106億円 132億円 171億円 227億円
経常利益 9億円 12億円 14億円 18億円
利益率(%) 9.0% 9.4% 8.1% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 12億円 9億円 -4.0億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。しかし、事業拡大に向けた投資や体制強化により販売費及び一般管理費が増加したほか、特別損失の計上が響き、当期は最終損失となりました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 171億円 227億円
売上総利益 78億円 96億円
売上総利益率(%) 45.9% 42.2%
営業利益 13億円 18億円
営業利益率(%) 7.8% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が26億円(構成比33%)、広告宣伝費が8億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のマッチング事業が売上高・利益ともに大きく伸長し、全社業績を牽引しています。ビジネス向けSaaS事業も増収となり、利益面でも黒字を確保しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
マッチング 162億円 214億円 14億円 18億円 8.2%
ビジネス向けSaaS 8億円 11億円 -0.7億円 0.5億円 4.9%
その他 1億円 1億円 0.6億円 -0.5億円 -45.2%
連結(合計) 171億円 227億円 13億円 18億円 7.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「積極型」(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 17億円 17億円
投資CF -24億円 -11億円
財務CF 10億円 15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていません(前期は14.4%)。財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.7%で市場平均をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「個のためのインフラになる」をミッションに掲げ、あらゆる個人が仕事を通じて輝ける環境の構築を目指しています。また、「人とテクノロジーが調和する未来を創り、個の幸せと社会の発展に貢献する」というビジョンを掲げ、IT人材およびコンサルティングサービスを提供しています。

(2) 企業文化


「投資と生産性向上を繰り返す業績拡大サイクル」を経営基盤としています。生産性向上ポリシーに基づき、ナレッジ共有コンテスト「PPP(Personal Purpose Pitch)」を実施するなど、部門横断的かつ全社最適で生産性向上に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


2023年に掲げた中期経営目標「YOSHIDA300」を継続しつつ、さらに高い長期目標を設定しています。

* 中期経営目標:売上高300億円、EBITDA 25億円
* 長期的目標:売上高1,000億円、営業利益100億円以上

(4) 成長戦略と重点施策


「コンサルの民主化」を掲げ、DXコンサルティングを第3の収益事業として確立することを目指しています。また、既存のマッチング事業においては不採算事業の整理を進め、高収益な事業構造への転換を図ります。

* DXコンサルティング事業への最大25.5億円の成長投資(2026年9月期)
* WACCを下回る不採算事業の撤退検討による経営資源の最適配分

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「個のためのインフラになる」というミッション実現のため、人への投資を重要課題としています。従業員の働く目的と社会的意義を接続し、個として活躍できる風土を整備するとともに、フルフレックスやフルリモートワーク、副業制度などを通じて多様なキャリアパスを支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 33.7歳 2.6年 6,425,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.2%
男女賃金差異(正規) 73.4%
男女賃金差異(非正規) 53.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の育児休暇取得率(183.3%)、女性の育児休暇復帰率(80.0%)、リファラルによる採用率(13.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業構造の変革に伴うリスク


AI技術の急速な発達やオフィス回帰による労働需要の変化に対応するため、DXコンサルティングへの投資や不採算事業の整理などの構造改革を進めています。これらの施策が計画通りに進捗しない場合や、市場の変化が想定を上回る場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 外部人材の獲得競争激化


事業運営において、高度な専門スキルを持つフリーランスや副業人材の確保が重要です。これらの人材の獲得競争が激化した場合、十分な人材を確保できず、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、ブランドの統一やワーカーへの報酬向上などの対策を講じています。

(3) プラットフォームの安全性・健全性


運営するプラットフォーム上で、個人情報の流出や違法行為、不正等のトラブルが発生するリスクがあります。これらの問題が生じた場合、サービスの信用力低下や賠償責任等により、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。AI活用による案件確認や監視体制の強化で対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。