リンクバル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リンクバル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場し、イベントECサイト「machicon JAPAN」やマッチングアプリ「CoupLink」等の運営を行う企業です。当期はイベントEC事業の減収等が響き減収となりました。利益面では経常損失、当期純損失を計上しており、赤字決算が続いています。


※本記事は、株式会社リンクバル の有価証券報告書(第14期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リンクバルってどんな会社?


イベントECサイト「machicon JAPAN」やマッチングアプリを運営し、出会いの場を提供する企業です。

(1) 会社概要


2011年に設立され、街コンイベントECサイト「machicon JAPAN」の運営を開始しました。2015年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たし、2016年にはマッチングアプリ「CoupLink」をリリースしました。2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行し、2023年にはAI事業を行う子会社MiDATAを設立するとともに、1対1で出会えるカフェ「1on1 for Singles」の運営を開始しました。

同グループの従業員数は連結で58名、単体で48名です。筆頭株主はKazyで、第2位は創業者の吉弘和正氏、第3位は個人株主です。

氏名 持株比率
Kazy 38.98%
吉弘 和正 22.33%
森 亮太 2.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は吉弘和正氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
吉弘 和正 代表取締役社長 2008年Hamilton Lane Japan合同会社設立。2011年同社設立代表取締役社長就任。2018年より現職。
松岡 大輔 取締役人事総務部 担当兼 財務経理部 部長兼 経営企画室 室長 2006年アライアンス入社。2012年同社入社。事業本部事業開発部部長、社長室室長、執行役員などを経て2022年より現職。
高橋 邦臣 取締役プラットフォーム事業部 部長 2006年スパイシーソフト入社。2018年同社入社。オンラインマッチング事業部部長、プラットフォーム事業本部本部長を経て2024年より現職。
尾崎 庸介 取締役イベントクリエイト事業部部長 2007年丸井グループ入社。2024年12月同社取締役就任。2025年より現職。


社外取締役は、苅安高明(苅安総合法律事務所代表)、伴直樹(NB&パートナーズ代表取締役社長)、塩幡勝典(塩幡公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インターネットサイト運営事業」を展開しており、提供サービスに基づいて以下の通り区分されます。

イベントECサイト運営サービス


独身男女向けの恋活・婚活イベント情報を掲載するECサイト「machicon JAPAN」の運営や、イベントの企画・運営を行っています。また、1対1で交流できる店舗型サービス「1on1 for Singles」も提供しています。これらは、ユーザーがイベントを検索・予約できるプラットフォームとしての機能と、リアルな出会いの場を提供する機能を併せ持ちます。

収益は、イベント参加者からの参加料、「machicon JAPAN」への掲載企業からの掲載料や送客手数料、商品プロモーションを行う企業からの協賛金、および「1on1 for Singles」の店舗利用者からの利用料等から成り立っています。運営は主にリンクバルが行っています。

WEBサイト運営サービス


恋愛情報を発信する「KOIGAKU」、オンラインマッチングアプリ「CoupLink」、カップル専用アプリ「Pairy」を提供しています。「KOIGAKU」は恋愛に関するコラム等を配信し、「CoupLink」は「machicon JAPAN」と連動したマッチング機会を提供します。「Pairy」はカップルの思い出共有アプリです。

収益は、「KOIGAKU」への広告掲載企業からの広告料、「CoupLink」および「Pairy」の有料会員からの会費等によって構成されています。運営は主にリンクバルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間において、売上高は減少傾向にあります。利益面では経常損失、当期純損失を計上しており、赤字が続いています。経常損失の幅は縮小しましたが、当期純損失は特別損失の計上等により拡大しました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 9.7億円 9.1億円
経常利益 -1.2億円 -0.8億円
利益率(%) -12.8% -9.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.2億円 -2.0億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も減少しました。営業損失を計上していますが、販売費及び一般管理費の削減により、損失幅は前期と比較して縮小しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 9.7億円 9.1億円
売上総利益 7.7億円 6.9億円
売上総利益率(%) 79.2% 76.0%
営業利益 -1.2億円 -0.9億円
営業利益率(%) -12.8% -9.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.0億円(構成比26%)、広告宣伝費が2.0億円(同25%)を占めています。売上原価は売上原価合計に対し100%の構成比となります。

(3) セグメント収益


イベントECサイト運営サービスは減収となりました。一方、WEBサイト運営サービスは増収となりました。全体としては減収となっています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
イベントECサイト運営サービス 6.8億円 6.1億円
WEBサイト運営サービス 2.9億円 3.0億円
連結(合計) 9.7億円 9.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる末期型です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -1.1億円 -1.2億円
投資CF 0.0億円 -0.3億円
財務CF -0.0億円 -0.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-21.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「出会いをつくる。」をミッションに掲げています。出会いの創出を通じて社会課題の解決と人々の幸福の実現を目指し、オンライン・オフラインを融合させた出会いの総合プラットフォームを展開しています。高品質かつ高付加価値のサービス提供により利用者満足度の向上に努めています。

(2) 企業文化


同社は「リンクバル行動規範」を制定し、法令・定款および社会規範の遵守を徹底しています。また、常に時代に先行した発想や行動を追求し続けることが持続的な成長に重要であると考えており、多様な思考を持った人材の確保と維持、コミュニケーション環境の提供を重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


2026年9月期以降は、「集客エンジンの強化」と「エコシステム戦略の確立」を軸に成長を加速させることを目指しています。また、AI領域を中長期的な成長ドライバーと位置づけ、市場シェアの拡大と安定的な収益基盤の確立を図ることを掲げています。さらに、東京証券取引所グロース市場の上場維持基準のうち「時価総額」基準の充足を重要課題としています。

(4) 成長戦略と重点施策


「machicon JAPAN」では自社企画イベントによる集客強化と他社主催イベントへの波及効果を狙います。「CoupLink」では他サービスとの相互送客強化とAI活用による安全性向上を図ります。「1on1 for Singles」では新規出店と顧客体験向上を推進します。また、子会社MiDATAを中心にAI事業への投資を強化し、産学官連携を通じて新たな収益の柱へと成長させる方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様化する事業環境に対応するため、専門性の高い人材の確保・育成を推進しています。グループ全体での人材採用の強化、教育研修制度の拡充、多様な働き方を実現する人事制度の整備を通じて、従業員が最大限の能力を発揮できる組織づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 32.8歳 5.4年 5,175,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境について


晩婚化や未婚化の進行、少子高齢化による人口減少などにより、婚活市場における需要や価値観が多様化しています。同社グループのサービスが利用者のニーズや価値観の変化に対応できず、競合他社に対して魅力あるサービスを提供できなかった場合、利用者が減少し、事業や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競争環境について


同社はイベントECサイト「machicon JAPAN」等で高い知名度を有していますが、資本力やブランド力を持つ競合他社が参入し、競争が激化する可能性があります。新たなビジネスモデルやシステム開発によって顧客が流出したり、対抗措置のためのコストが増加したりすることで、事業や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 検索エンジン最適化(SEO対策)への対応


同社サイトへの流入は大半が大手検索エンジン経由であり、SEO対策によって検索上位表示を実現しています。しかし、検索エンジンのアルゴリズム変更等によりSEO対策の効果が低下した場合、サイトの集客力が落ち、チケット販売機会の減少などにつながり、事業や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定サイトへの高い依存度


同社グループは「machicon JAPAN」を基軸とした事業を展開しており、同サイトへの依存度が高い状態です。サイトの改修や改善が利用者や顧客に受け入れられなかった場合、集客力の低下や会員数の減少を招き、事業や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。