パルマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パルマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パルマは、東証スタンダードおよび名証メインに上場する企業で、セルフストレージ(トランクルーム)事業者向けのBPOサービスや施設開発販売を展開しています。当期は施設販売の減少により減収となりましたが、利益面では営業利益から当期純利益まで全ての段階で増益を達成しました。


※本記事は、株式会社パルマ の有価証券報告書(第58期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. パルマってどんな会社?


パルマは、セルフストレージ(レンタル収納スペース)業界において、滞納保証付きBPOサービスやITシステム、施設開発などを提供するインフラ企業です。

(1) 会社概要


同社は2006年に営業を開始し、セルフストレージ滞納保証付きBPO事業をスタートさせました。2013年にはWEB予約決済・在庫管理システム「クラリス」の提供を開始し、2015年に東証マザーズへ上場しました。2025年3月には東証スタンダード市場へ市場区分を変更し、同年5月には名証メイン市場にも上場を果たしています。

同社(単体)の従業員数は33名です。筆頭株主は事業会社であるディア・ライフで、第2位は同じく事業会社の日本郵政キャピタルです。ディア・ライフとは役員の兼任を含む関係性があり、日本郵政グループとは事業共創などの取り組みを行っています。

氏名 持株比率
ディア・ライフ 39.29%
日本郵政キャピタル 18.92%
阿部 幸広 3.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は木村純一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
木村 純一 代表取締役社長 2007年加瀬倉庫入社。同社代表取締役を経て、2023年パルマ入社。執行役員業務推進担当、TKS部長を歴任し、2023年12月より現職。
阿部 幸広 取締役会長 2004年ディア・ライフ設立・代表取締役。2009年パルマ代表取締役、2016年12月より現職。現在、アイディプロパティなどの代表取締役も兼務。
赤羽 秀行 取締役管理部長 2019年パルマ入社、管理部長就任。2021年執行役員管理部長を経て、2022年12月より現職。
上村 卓也 取締役 2007年ディア・ライフ入社。2009年パルマ取締役。現在、ディア・ライフ常務執行役員、アルシエ代表取締役社長などを兼務。2023年12月より現職。


社外取締役は、榎和志(リマネージ代表取締役社長)、斎藤聡(勝山高原開発代表取締役)、吉松こころ(HelloNews代表取締役)、後藤信秀(シーアールイー常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ビジネスソリューションサービス」および「ターンキーソリューションサービス」事業を展開しています。

(1) ビジネスソリューションサービス


セルフストレージ事業者向けに、滞納保証付きのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスや、ITソリューションを提供しています。具体的には、申込受付、入金管理、滞納督促、残置物撤去などの業務代行に加え、WEB予約決済・在庫管理システム「クラリス」や集客ポータルサイトの運営を行っています。

収益は、主にセルフストレージ利用者からの保証料や、事業者からの業務受託手数料、システム利用料などで構成されています。運営は主に同社が行っています。ITシステムの活用により、事業者の業務効率化と利用者の利便性向上を支援しています。

(2) ターンキーソリューションサービス


セルフストレージ施設の開発販売やコンサルティング、マスターリース(一括借上げ)などを行い、投資機会を創出しています。「Keep it」ブランドなどの施設開発、既存建物の改装、屋外コンテナ型施設の提案などを通じて、事業者や投資家のセルフストレージ事業参入を支援します。

収益は、開発したセルフストレージ施設の売却代金や、コンサルティングフィー、賃貸収入などで構成されています。運営は主に同社が行っています。短期的な販売だけでなく、自社運営を経て投資商品としての価値を高めてからの販売も推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は20億円台から30億円台の間で推移しており、変動が見られます。当期は減収となりましたが、経常利益および当期純利益は前期を上回る結果となりました。利益率は5%から8%程度で推移しており、一定の収益性を維持しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 36.4億円 27.8億円 23.5億円 28.1億円 23.1億円
経常利益 1.2億円 0.0億円 1.8億円 1.4億円 1.9億円
利益率(%) 3.3% 0.0% 7.5% 5.0% 8.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.8億円 0.3億円 1.1億円 0.8億円 1.2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は減少したものの、売上原価の低減により売上総利益は増加しました。これに伴い、売上総利益率は30%台から40%台へと改善しています。営業利益率も上昇しており、収益性の向上が見られます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 28.1億円 23.1億円
売上総利益 9.0億円 10.2億円
売上総利益率(%) 31.9% 44.0%
営業利益 1.2億円 1.5億円
営業利益率(%) 4.4% 6.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.0億円(構成比23%)、撤去費用が1.1億円(同13%)を占めています。売上原価においては、経費(主に賃借料や支払手数料)が12億円(構成比90%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


ビジネスソリューションサービスは、BPOサービスの受託件数やシステムの導入室数が増加し、増収増益となりました。一方、ターンキーソリューションサービスは、施設販売件数が目標を下回ったことなどから減収となりましたが、営業損失は縮小し、改善傾向にあります。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
ビジネスソリューションサービス 13.8億円 14.6億円 4.8億円 4.8億円 33.0%
ターンキーソリューションサービス 14.3億円 8.5億円 -1.8億円 -1.4億円 -16.9%
連結(合計) 28.1億円 23.1億円 1.2億円 1.5億円 6.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 0.9億円 -4.2億円
投資CF 0.1億円 0.3億円
財務CF -3.2億円 1.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「セルフストレージ業界で必要不可欠のインフラとなり、セルフストレージ業界とともに発展する」ことを経営理念に掲げています。この理念のもと、市場への貢献度と企業価値を向上させるため、サービス利用率の向上や、投資家・事業者が安心して投資できる施設運営力の強化を目指しています。

(2) 企業文化


同社は少数精鋭の組織体制であり、全社員が新たなことに挑戦できる環境整備を重視しています。社員の成長が企業成長に直結するという考えのもと、中途採用と新卒採用をバランスよく行いながら組織の活性化を図っています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「改革 2027」を策定しており、計画最終年度の2027年9月期に向けた定量目標を設定しています。サステナビリティへの貢献と事業成長の両立を目指し、資本効率の改善や株主還元の強化にも取り組んでいます。

* 売上総利益:18億円
* 営業利益:6億円
* ROE(株主資本利益率):10%
* 配当性向:40%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「BPOサービスの受託拡大」と「施設開発販売・賃貸事業の加速・拡大」を重点テーマとしています。賃料債務保証やWEB申込システムの普及、DX化による業務効率化を推進するとともに、遊休不動産の有効活用やコンテナ型施設の開発、賃貸事業の黒字化に注力しています。

* 賃料債務保証の受託残高20万件達成
* WEB申込システム等の累計登録室数10万室達成
* コールセンター業務の受託件数1万件達成

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、高度な専門知識や経験を持つ多様な人材の確保と育成を進めています。人事制度の改訂や研修の拡充、フレックスタイム制度の導入などを行い、個性を活かして働きやすい環境を整備することで、社員の成長と活躍を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 39.9歳 7.2年 4,226,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は従業員規模が小さいため、公表義務の対象ではない等の理由により、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況等の影響


セルフストレージ事業に特化したサービスを提供しているため、景気や不動産市況、金利動向などの影響を受けやすい特性があります。市場の低迷や供給過剰が発生した場合、利用者の減少や滞納増加、施設販売の長期化などが生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 求償債権の回収不能リスク


ビジネスソリューションサービスでは、利用者の使用料債務に対して連帯保証を行っています。滞納発生時に同社が立て替えを行いますが、その後の求償債権が全額回収できるとは限りません。予想を超える貸倒れが発生した場合、引当金の追加計上が必要となり、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 残置物撤去費用の発生リスク


契約解除時に利用者が荷物を残置した場合、同社が撤去費用を負担する契約となっています。経済環境の変化等により撤去発生率や費用が上昇した場合、業績に影響する可能性があります。また、重量物や危険物の撤去作業に伴う労働災害のリスクもあり、その補償費用が発生する可能性もあります。

(4) ターンキーソリューションサービスにおける業績変動


このサービスにおける売上は、不動産物件の売却金額が主であるため、金額が大きく、売却の有無によって四半期ごとの業績が変動しやすい傾向があります。天災や不測の事態による引渡しの遅延や、竣工時期のずれ込みが発生した場合、当該期の業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。