#記事タイトル:リネットジャパングループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、リネットジャパングループ株式会社 の有価証券報告書(第26期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リネットジャパングループってどんな会社?
インターネット特化型のリユース事業と、小型家電リサイクル事業を展開。さらに障がい福祉事業を行うソーシャルケア事業を成長の柱とする企業グループです。
■(1) 会社概要
同社は2000年7月に株式会社リサイクルブックセンターとして設立されました。2013年3月にリネットジャパン株式会社(現リネットジャパンリサイクル)を設立し、翌2014年1月には小型家電リサイクル法に基づく認定事業者を取得しました。2016年12月に東証マザーズへ上場し、2020年8月にはグループホーム事業を目的としてリネットジャパンソーシャルケア株式会社を設立しています。
連結従業員数は254名、単体では28名です。筆頭株主は代表取締役社長グループCEOの黒田武志氏で、第2位は資産管理会社と思われる合同会社TKコーポレーションです。また、同社取締役が代表を務める企業も大株主に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 黒田 武志 | 21.45% |
| 合同会社TKコーポレーション | 9.56% |
| 引字 圭祐 | 4.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長グループCEOは黒田武志氏です。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 黒田 武志 | 代表取締役社長グループCEO | 1989年4月トヨタ自動車入社。2000年7月同社設立、代表取締役社長。リネットジャパンリサイクル代表取締役、ネットオフ代表取締役等を兼務し、2024年10月よりRJソーシャルケアグループ取締役。 |
| 小野田 剛久 | 取締役(常勤監査等委員) | 1990年4月イノアックコーポレーション入社。2008年9月同社入社、管理部執行役員。経理部長、内部監査室長を経て、2024年12月より現職。 |
社外取締役は、高橋義孝(個人経営コンサルタント)、髙橋理人(元楽天常務執行役員)、原陽年(アーゲル・コンサルティング取締役)、中井英一(中井ビジネスコンサルタント代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「リユース・リサイクル事業」、「ソーシャルケア事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) リユース・リサイクル事業
リユース事業では、「NETOFF」ブランドで中古本・ゲームソフト・ブランド品等の宅配買取・販売を行っています。小型家電リサイクル事業では、国からの認定に基づき、使用済パソコン等の小型電子機器を宅配便で回収するサービスを提供しています。データ消去などのオプションサービスも展開しています。
主な収益源は、中古商品の販売代金、および小型家電回収時のデータ消去等のオプションサービス料や回収資源の売却益です。運営は、主に子会社のネットオフ、リネットジャパンリサイクル、ネットオフ・ソーシャルが行っています。
■(2) ソーシャルケア事業
知的・精神障がいのある方を対象としたグループホームの運営や、就労継続支援B型事業所を通じた就労支援を行っています。また、日本の介護人材不足に対応するため、福祉領域に特化した海外人材(技能実習生等)の送り出し事業にも取り組んでいます。
収益は、障がい福祉サービスに基づく給付費や利用者からの利用料、および海外人材の送り出しに伴う手数料等が中心です。運営は、子会社のリネットジャパンソーシャルケア、RJソーシャルケア東京、RENET (CAMBODIA) HR CO.,LTD.などが行っています。
■(3) その他
カンボジアにおいて、貧困層や弱者向けに生活基盤となる資金を供給するマイクロファイナンス事業などを展開してきましたが、海外金融事業からの撤退を進めています。
収益源は金融事業による収益ですが、既に撤退方針に従い事業を縮小しています。運営は子会社のMOBILITY FINANCE (CAMBODIA) PLC.などが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上収益は2024年9月期まで拡大傾向にありましたが、2025年9月期は減収となりました。利益面では、2024年9月期に大きな損失を計上しましたが、2025年9月期には黒字転換を果たし、V字回復の傾向を示しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 78億円 | 86億円 | 111億円 | 117億円 | 104億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 8億円 | 1億円 | -12億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | 6.5% | 9.8% | 1.2% | -10.1% | 4.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 5億円 | -4億円 | -19億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高は減少したものの、販売費及び一般管理費の大幅な削減等により、営業損益および経常損益が黒字化しています。コスト構造の見直しが進み、収益性が改善していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 117億円 | 104億円 |
| 売上総利益 | 81億円 | 78億円 |
| 売上総利益率(%) | 69.5% | 75.2% |
| 営業利益 | -13億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | -10.8% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が22億円(構成比29%)、広告宣伝費が13億円(同17%)、支払手数料が12億円(同15%)を占めています。売上原価においては、商品仕入等が主な内訳となっています。
■(3) セグメント収益
リユース・リサイクル事業は増収増益となり、全社の収益を牽引しました。一方、ソーシャルケア事業は減収となりましたが、黒字転換を果たしています。その他事業は撤退方針により規模が縮小しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| リユース・リサイクル事業 | 78億円 | 85億円 | 9億円 | 11億円 | 12.8% |
| ソーシャルケア事業 | 28億円 | 20億円 | -6億円 | 1億円 | 5.0% |
| その他 | 10億円 | 0.0億円 | -7億円 | -0.3億円 | -1049.9% |
| 調整額 | - | - | -9億円 | -8億円 | - |
| 連結(合計) | 117億円 | 104億円 | -13億円 | 3億円 | 2.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7億円 | 1億円 |
| 投資CF | -13億円 | -2億円 |
| 財務CF | -9億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は80.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は13.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ビジネスを通じて”偉大な作品”を創る」を経営理念に掲げています。収益と社会性の両立を目指し、本業のビジネスの中に社会貢献の仕組みを組み込むことで、後世に永く受け継がれる社会的役割を果たすことを目指しています。
■(2) 企業文化
「ビジネスの力で社会課題を解決する」ことを重視しています。特に、環境(Environment)と福祉(Society)が相互に作用し合いシナジーを生み出す「ESモデル」の展開を掲げ、都市鉱山リサイクルと障がい者雇用・支援を連携させるなど、社会性のある事業テーマに積極的に取り組む文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は成長途上の段階であると認識しており、事業活動の成果を示す「営業収益」および「経常利益」を重視する指標としています。特に、経営資源を有効活用し高付加価値を生み出す測定値として、経常利益の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「ビジネスの力で社会課題を解決する」ことを目指し、小型家電リサイクル事業とソーシャルケア事業のシナジーを最大化させる「ESモデル」の展開を加速させます。小型家電リサイクルでは自治体連携の拡大や学校での回収プログラムを推進し、ソーシャルケアでは中度・重度障がい者向けグループホームの開設や福祉領域に特化した外国人材事業の拡大を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
専門性の高い事業分野に対応するため、高いノウハウや経験を持つ人材、特にデジタルマーケティングを含むIT人材の育成と獲得を重視しています。また、国籍・年齢・性別を問わず優秀な人材を確保するとともに、障がい福祉事業の拡大観点から、障がいのある方の積極的な雇用拡大や就労訓練機会の提供にも努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 40.5歳 | 3.1年 | 6,013,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 47.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 55.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 83.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(7.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 中古商品の仕入について
リユース事業では中古商品の買取が収益を左右しますが、新品と異なり仕入量の調整が困難です。ネット配信の普及によるメディア・ソフト市場の縮小や、競合他社との競争激化により、安定的な商品確保が困難になる可能性があります。また、盗品やコピー商品が含まれるリスクもあり、これらが顕在化した場合は業績や信用に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動に関するリスク
同社グループは海外連結子会社を有しており、財務諸表作成時に外貨建て金額を円換算するため、為替相場の変動影響を受けます。為替予約取引等でヘッジを行っていますが、完全に回避できるものではなく、予期せぬ相場変動があった場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 小型家電リサイクル法の認定取消リスク
小型家電リサイクル事業は、関連法に基づく認定を受けて運営されています。役員の罰金刑など法で定められた欠格要件に該当した場合、認定が取り消されるリスクがあります。認定が取り消された場合、事業継続が困難となり、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 海外事業に関するリスク
カンボジア等で事業を展開しており、現地の政治体制の変動、経済成長の鈍化、法規制の変更、予期せぬ自然災害等のカントリーリスクが存在します。これらの事象が発生した場合、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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