ブランジスタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブランジスタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のブランジスタは、電子雑誌「旅色」などのメディア事業や、著名人の写真・動画を活用したプロモーション支援、ECサイト運営支援を展開する企業です。2025年9月期は、プロモーション支援事業の好調により売上高・利益ともに過去最高を更新し、3期連続の増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ブランジスタ の有価証券報告書(第25期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月15日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブランジスタってどんな会社?


電子雑誌「旅色」の発行や、著名人の肖像素材を活用した企業向けプロモーション支援を行うクリエイティブ企業です。

(1) 会社概要


2000年にイデアキューブとして設立され、2007年に電子雑誌「旅色」を創刊しました。2011年に現社名へ変更し、2015年に東証マザーズへ上場しています。2020年には持株会社体制へ移行し、2022年にはタレントを活用した新サービス「アクセルジャパン」を開始しました。

2025年9月30日時点で連結従業員数は307名、単体では14名です。筆頭株主は親会社のNEXYZ.Groupで53.00%を保有し、第2位は証券会社、第3位は創業者の近藤太香巳氏です。

氏名 持株比率
NEXYZ.Group 53.00%
SBI証券 2.23%
近藤 太香巳 2.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岩本恵了氏が務めています。社外役員比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
岩本 恵了 代表取締役社長 1997年ネクシィーズ入社。2002年イデアキューブ(現同社)社長。2013年より現職。
井上 秀嗣 取締役 2001年ネクシィーズ入社。2020年ブランジスタメディア社長、2022年ブランジスタエール社長より現職。
木村 泰宗 取締役 2002年ネクシィーズ入社。2018年ブランジスタソリューション社長、2020年デジタルリスクマネジメント社長より現職。
吉藤 淳 取締役 1997年ネクシィーズ入社。同社取締役等を経て、2024年より管理本部長。
澤田 裕 取締役 2004年ネクシィーズ入社。メディア編成本部長を経て、2025年旅色トラベル社長より現職。
近藤 太香巳 取締役 1987年日本電機通信創業。NEXYZ.Group代表取締役社長兼グループ代表。SBIネオメディアホールディングス副会長。
鴨志田 慎一 取締役(監査等委員)<常勤> 1977年全国教育産業協会入社。ネクシィーズ監査役等を経て、2023年より現職。


社外取締役は、本間憲(レプロエンタテインメント社長)、杉本佳英(弁護士)、久保田記祥(デルフィーコンサルティング社長)、安藤文豪(バルニバービ社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロモーション支援事業」「メディア事業」「ソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

プロモーション支援事業


初期費用不要かつ月額定額制で著名タレントの写真・動画を使用できるプロモーションツール「アクセルジャパン」を提供しています。企業の採用活動やサービス販促にタレント素材を活用できるほか、経営者同士の交流の場も提供しています。

収益は主に契約企業からの月額利用料金です。運営は主にブランジスタエール、ブランジスタメディア、ブランジスタソリューションが行っています。

メディア事業


無料で読める電子雑誌「旅色」をはじめ、多様なジャンルの電子雑誌を制作・発行しています。また、雑誌内での予約機能提供や、クライアント企業のブランド価値向上につながる誌面づくりを行っています。

収益源は、宿泊施設、飲食店、自治体などからの広告掲載料です。運営は主にブランジスタメディアと旅色トラベルが行っています。

ソリューション事業


クライアント企業の戦略に合わせたウェブサイト制作・運営や、ECサイト支援サービスを提供しています。ECサイト一元管理ASP「まとまるEC店長」のほか、TikTok Shop運用支援なども行っています。

収益源は、サービスを利用する契約企業からの月額業務受託費用や利用料金です。運営は主にブランジスタソリューションが行っています。

その他


台湾および香港に設立した海外現地法人を通じて事業を展開しています。日本国内で蓄積したノウハウを活かし、現地に進出する日系企業や現地企業に対してソリューションサービスを提供しています。

収益は企業からのサービス対価です。運営は博設技股份有限公司(台湾)および博設技股份香港有限公司(香港)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、利益ともに右肩上がりの成長トレンドにあります。特に2023年9月期以降は利益率が大きく向上し、2025年9月期には売上高52億円、経常利益11億円を達成しました。3期連続で増収増益を記録しており、高い収益性を維持しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 33億円 34億円 46億円 48億円 52億円
経常利益 3.7億円 2.6億円 6.0億円 9.4億円 11.2億円
利益率(%) 11.1% 7.7% 13.2% 19.6% 21.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.1億円 1.8億円 5.8億円 6.1億円 6.6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も向上しています。営業利益および営業利益率も上昇しており、収益性が高まっていることがわかります。コストコントロールと売上拡大が両立している状況です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 48億円 52億円
売上総利益 36億円 38億円
売上総利益率(%) 74.8% 72.4%
営業利益 10億円 12億円
営業利益率(%) 19.7% 22.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9億円(構成比35%)、広告宣伝費が3億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


プロモーション支援事業が「アクセルジャパン」の新規獲得や契約更新の好調により大幅な増収増益となり、全社の成長を牽引しています。メディア事業は微減収ながら増益を確保し、ソリューション事業は増収減益となりました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
プロモーション支援事業 17億円 21億円 7億円 9億円 44.2%
メディア事業 21億円 21億円 3億円 3億円 14.4%
ソリューション事業 10億円 10億円 2億円 1億円 14.3%
その他 0.7億円 0.8億円 0.5億円 0.5億円 60.4%
調整額 - - -2億円 -2億円 -
連結(合計) 48億円 52億円 10億円 12億円 22.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で稼いだ現金を元手に、借入金を返済しつつ、投資も自力で賄う健全型です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 3億円 6億円
投資CF -2億円 -0.6億円
財務CF -6億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「CONNECT with COMMUNITY」を企業理念に掲げています。独自のサービスを通じて、企業・団体・地域といった様々なコミュニティと、人・もの・情報をつなぎ、活気あふれる地域社会の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


あらゆる企業の生産活動に貢献できる会社であり続けるため、社員一人一人が「プロモーションの専門家集団」として行動することを重視しています。また、クライアント企業の一員として共に成長し、マーケティング力・技術力・解決力などのノウハウを駆使して社会に貢献する姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、収益性を高めながら継続的な事業拡大を行うことを目標とし、2026年9月期の連結業績見通しとして以下の数値を掲げています。

* 売上高:5,600百万円
* 営業利益:1,450百万円
* 経常利益:1,420百万円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:850百万円

(4) 成長戦略と重点施策


「地方創生への貢献」をミッションに掲げ、各事業で成長戦略を推進しています。プロモーション支援事業では地域金融機関との連携強化や自治体への導入促進を図り、メディア事業では自治体タイアップ広告の拡充や予約機能の追加による新サービスを展開します。ソリューション事業ではTikTok Shop運用支援等の新サービス拡大に取り組みます。

* プロモーション支援事業:2026年9月期売上高2,500百万円
* メディア事業:2026年9月期売上高2,000百万円
* ソリューション事業:2026年9月期売上高1,000百万円

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


国内外での業容拡大に向け、優秀な人材の確保と育成を最重要課題としています。新卒採用による安定的な増員に加え、専門知識を持つ人材の中途採用や海外での採用を行っています。また、多様化する社員のパフォーマンスを最大化するため、評価制度の見直しや教育制度の充実、社内環境の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 37.1歳 8.1年 5,200,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 26.2%


※男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異は、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。数値は連結会社のものです。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性比率(55.0%)、係長級にある者に占める女性労働者の割合(50.7%)、採用した労働者に占める女性労働者の割合(71.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 著名人を起用したサービスについて


同社は多数の著名人を起用したサービスを展開していますが、同社のイメージ悪化や起用タレントの不祥事等により起用が困難になった場合、あるいは競合他社の類似サービスが優位性を持った場合、顧客減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、タレント側との連携強化やサービス価値の向上に努めています。

(2) 検索エンジンへの集客依存


同社のサービス、特に電子雑誌「旅色」は検索エンジン経由の利用者が多いため、検索エンジンの上位表示方針変更などが集客に悪影響を与える可能性があります。このリスクに対し、SEO対策に加え、独自のコンテンツ配信や旅行プラン提案を通じて、検索に依存しない定常的な利用者の拡大を図っています。

(3) 市場動向について


インターネット広告市場は成長していますが、規制導入や景気悪化により企業の広告支出が削減された場合、同社の業績に影響が出る可能性があります。これに対し、柔軟な対応体制の整備や、景気動向に合わせた多様な市場へのアプローチ可能なサービスの創出を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。