グローバルキッズCOMPANY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グローバルキッズCOMPANY 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グローバルキッズCOMPANYは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、首都圏を中心に認可保育所等を運営する子育て支援事業を展開しています。2025年9月期は、公定価格の上昇やM&Aによる規模拡大などが寄与し増収となりましたが、減損損失の計上等により減益となりました。


※本記事は、株式会社グローバルキッズCOMPANY の有価証券報告書(第10期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グローバルキッズCOMPANYってどんな会社?


首都圏を中心に認可保育所などの保育施設を運営する子育て支援事業大手です。M&Aによる規模拡大も進めています。

(1) 会社概要


2006年に中正雄一氏が東京都認証保育所を開園し、同年グローバルキッズを設立したのが始まりです。2015年に持株会社体制へ移行し、2016年に東証マザーズへ上場しました。2019年に現在の商号へ変更し、2025年にはアソシエ・アカデミーを完全子会社化して運営施設数が200を超えました。

連結従業員数は3,358名、単体では16名です。筆頭株主は代表取締役社長である中正雄一氏の資産管理会社である株式会社なかやで、第2位株主は中正雄一氏本人です。第3位には日本生命保険相互会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
なかや 41.35%
中正雄一 5.83%
日本生命保険相互会社 4.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名(監査役含む)の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は中正雄一氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
中正 雄一 代表取締役社長 2006年グローバルキッズ代表取締役社長。2015年同社代表取締役社長。2023年GKS代表取締役社長より現職。
須郷 達也 代表取締役副社長 元ピジョン執行役員子育て支援事業部長。2013年ジャクパ入社、同社社長を経て2019年グローバルキッズ入社。2024年同社代表取締役副社長執行役員より現職。


社外取締役は、石井光暢(エコグリーンホールディングス代表取締役)、中山マヤ(元ELCジャパン常務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「子育て支援事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 子育て支援事業


首都圏(東京都、神奈川県など)を中心に、認可保育所、東京都認証保育所などの独立認定保育所、認定こども園、小規模保育施設を運営しています。また、小学生を対象とした学童クラブや児童館の運営も手掛けており、2025年9月末時点で合計209施設を展開しています。

収益は、国や自治体から支払われる施設型給付費や委託費、運営費補助金と、利用者から直接受け取る保育料や利用料から構成されています。運営は主に連結子会社であるグローバルキッズ、おはようキッズ、アソシエ・インターナショナルなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあります。利益面では、2022年9月期に赤字を計上しましたが、その後黒字回復しています。2025年9月期は増収ながらも、減損損失の計上などにより当期利益は減少しました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 235億円 244億円 251億円 264億円 270億円
経常利益 11億円 12億円 3億円 8億円 8億円
利益率(%) 4.9% 4.8% 1.3% 3.1% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 -3億円 -0.6億円 2億円 0.7億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は増加しましたが、売上原価率の上昇等により利益率は横ばいから微減となりました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 264億円 270億円
売上総利益 27億円 27億円
売上総利益率(%) 10.1% 9.9%
営業利益 8億円 9億円
営業利益率(%) 3.0% 3.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6億円(構成比34%)、業務委託費が1億円(同7%)を占めています。売上原価については内訳の詳細な記載がありません。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、前期比で売上高は増加しています。これは人事院勧告に伴う公定価格の上昇などが寄与したものです。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
子育て支援事業 264億円 270億円
連結(合計) 264億円 270億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 15億円 16億円
投資CF -3億円 -21億円
財務CF -13億円 19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.9%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、企業理念として「子ども達の未来のために」を掲げています。また、ビジョンとして「2030 トリプルトラスト」を掲げ、2030年に職員と保護者と地域に最も信頼される存在になり、子ども達の育ちと学びの社会インフラになることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「職員と保護者と地域に最も信頼される存在」になることを目指し、安心安全の担保を最優先課題と位置づけています。また、サステナビリティへのコミットメントを持ち、子育て支援事業を通じて社会課題の解決や持続可能な社会の構築へ寄与することを重視する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、「2030 トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略の中で、2030年9月期における目標計画として以下の数値を掲げています。

* 連結EBITDAマージン:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、安心安全確保の仕組み整備や、保育の質向上を目指したイエナプランの導入を進めます。また、東京都及び横浜市を中心としたM&Aによる規模拡大や、習いごと教室などの新規事業による収益ソースの多様化を図ります。さらに、ICT戦略による業務効率化や、経営戦略と連動した人事戦略による人材確保・育成を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営戦略と連動した人事戦略を掲げ、施策実行に必要なスキル・経験を持った人材の確保を目指しています。メンター制度の導入等による育成やミスマッチを回避した採用を進めるほか、生産性向上による働きやすい環境を整備し、選ばれる組織作りを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 48.5歳 6.9年 8,477,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。なお、以下の数値は連結子会社である株式会社グローバルキッズの実績です。

項目 数値
女性管理職比率 83.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 86.7%
男女賃金差異(正規雇用) 87.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 93.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 少子化や待機児童減少等に伴う園児数の減少


2025年4月時点で待機児童数が減少し、出生数も減少するなど外部環境が変化しています。東京都は人口流入が続いていますが、将来的には想定した園児数の獲得が困難となり、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 関連法規制等の改正等


子ども・子育て支援制度において、国や自治体の方針改正により補助金の削減や株式会社による保育所開設の制限等がなされた場合、業績に影響を与える可能性があります。また、関連法規制の制定・改廃等により事業活動が制約を受ける可能性もあります。

(3) 施設運営に際しての事故等


施設運営において園児や児童の安全に万全の体制で臨んでいますが、重大な事故等が発生した場合、事業停止命令や訴訟、風評被害等により、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 人材確保


保育の質維持向上のため、保育士等の確保が急務ですが、予定した人材の確保に遅れ等が生じた場合、既存施設の運営や新規開設に遅延を及ぼし、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。