※本記事は、株式会社カナミックネットワーク の有価証券報告書(第25期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. カナミックネットワークってどんな会社?
医療・介護・健康情報を共有するICTプラットフォームを提供し、超高齢社会の課題解決を目指す企業です。
■(1) 会社概要
2000年に設立され、ケア情報共有システムのサービスを開始しました。2016年に東証マザーズへ上場し、2018年には東証一部(現プライム市場)へ市場変更を果たしています。2022年にはフィットネス事業を行うアーバンフィットを子会社化し、2024年にはシンガポールのIT企業を完全子会社化するなど、事業領域とエリアの拡大を進めています。
2025年9月末時点の従業員数は連結310名、単体68名です。筆頭株主は創業者である取締役会長の資産管理会社であるSHOで、第2位は現社長の山本拓真氏、第3位は信託銀行となっており、創業家が主要株主として名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SHO | 28.82% |
| 山本 拓真 | 14.09% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は山本拓真氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 拓真 | 代表取締役社長 | 富士通システムソリューションズ(現富士通)を経て2005年同社入社。2014年より現職。 |
| 山本 洋子 | 代表取締役副会長 | 希望社を経て2002年同社入社。取締役副社長、代表取締役社長を経て2014年より現職。 |
| 山本 景士 | 取締役副社長企画制作部部長 | アマナイメージズ(現アマナ)を経て2008年同社入社。常務取締役等を経て2024年12月より現職。 |
| 山本 稔 | 取締役会長 | 2000年同社設立。代表取締役社長を経て2007年より現職。SHO代表取締役を兼任。 |
| 石川 竜太 | 取締役開発部部長 | 日本コンピュータ開発、富士通システムソリューションズを経て2009年同社入社。2014年より現職。 |
| 若林 賢也 | 取締役管理部部長 | SFCG、アイフィスジャパンを経て2015年同社入社。2018年より現職。 |
社外取締役は、垣添忠生(日本対がん協会会長)、二川一男(元厚生労働事務次官)です。
2. 事業内容
同社グループは、「医療・介護クラウドプラットフォーム事業」「健康寿命延伸事業」および「ソリューション開発事業」を展開しています。
■(1) 医療・介護クラウドプラットフォーム事業
自治体、医師会、介護事業者向けに、多職種間連携を可能にする地域連携型クラウドサービス「カナミッククラウドサービス」などを提供しています。また、ユーザーである医療介護従事者向けに広告配信を行うプラットフォームサービスも展開しています。
収益は、主にクラウドサービスの利用料や、広告主からの広告掲載料等から得ています。運営は同社および康納美克(大連)科技有限公司が行っています。
■(2) 健康寿命延伸事業
「健康寿命の延伸」を目的とし、24時間営業のフィットネスジム「アーバンフィット24」の運営およびフランチャイズ展開を行っています。リアル店舗を通じた運動・栄養・休養のサービスを提供しています。
収益は、ジム会員からの会費やフランチャイズ加盟店からのロイヤルティ等から得ています。運営は主に株式会社アーバンフィットが行っています。
■(3) ソリューション開発事業
Ruby言語によるシステム開発や、企業の基幹業務領域に対するクラウド型バックエンドシステムの導入コンサルティングなどを提供しています。Webサービスの企画・開発や保守運用も手掛けています。
収益は、顧客企業からのシステム開発受託費やコンサルティング料、メンテナンス料から得ています。運営は主に株式会社Ruby開発およびTHE WORLD MANAGEMENT PTE LTDが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面でも経常利益、当期利益ともに増加基調を維持しており、高い利益率を確保しながら成長しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21億円 | 25億円 | 37億円 | 50億円 | 55億円 |
| 経常利益 | 8.3億円 | 9.8億円 | 11億円 | 14億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 39.9% | 39.2% | 29.5% | 28.9% | 29.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5.8億円 | 6.9億円 | 8.5億円 | 9.9億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、高い収益性を維持しています。営業利益率も高水準で推移しており、本業の収益力が底堅いことを示しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 50億円 | 55億円 |
| 売上総利益 | 31億円 | 35億円 |
| 売上総利益率(%) | 61.4% | 64.3% |
| 営業利益 | 14億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 28.7% | 29.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が5億円(構成比25%)、役員報酬が3億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントともに増収増益となっています。主力事業である医療・介護クラウドプラットフォーム事業は、ストックビジネスの積み上げにより堅調に推移しました。健康寿命延伸事業は店舗数増加により増収、ソリューション開発事業はM&A効果もあり大幅な増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 医療・介護クラウドプラットフォーム事業 | 34億円 | 36億円 | 14億円 | 15億円 | 41.8% |
| 健康寿命延伸事業 | 11億円 | 12億円 | 0.7億円 | 2億円 | 13.2% |
| ソリューション開発事業 | 5億円 | 7億円 | 0.5億円 | 0.8億円 | 10.6% |
| 調整額 | △0.2億円 | △0.7億円 | △0.4億円 | △1億円 | - |
| 連結(合計) | 50億円 | 55億円 | 14億円 | 16億円 | 29.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFで得た資金の範囲内で投資を行い、借入金の返済も進めていることから、健全型のキャッシュ・フロー状態と言えます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | 13億円 |
| 投資CF | △3億円 | △7億円 |
| 財務CF | △6億円 | △7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「超高齢社会の地域包括ケアをクラウドで支える」を経営理念としています。また、「人生を抱きしめるクラウド」で人と社会に貢献するというビジョンを掲げ、医療・介護・健康情報をクラウドでつなぐことで、質の高いサービスの提供と健康寿命の延伸を目指しています。
■(2) 企業文化
「大地に根を張り、常に大きく成長し続ける樹」のように、顧客のネットワークの中に根付き共に発展することを目指しています。時代の開拓者かつ証人であるために、医療・介護ネットワーク業界の先駆者として常に最善を尽くすことを経営の基本方針としています。
■(3) 経営計画・目標
収益性を重視する観点から「営業利益」を目標数値として掲げています。具体的な数値目標としては、翌連結会計年度において以下の目標を設定しています。
* 営業利益:20.5億円(当連結会計年度実績比27.6%増)
■(4) 成長戦略と重点施策
医療・介護業界のプラットフォームとしての地位を確立しつつ、今後はリアル店舗を活用したデータビジネスを含めたヘルスケアプラットフォームの構築を推進します。クラウドサービスの拡大、ビッグデータ解析事業、海外市場の開拓、フィンテック事業などに注力し、積極的なM&Aも活用しながら成長を目指す方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、持続的な成長を実現するための鍵を「人財」と位置づけています。「カナミックネットワークグループの持続的成長」と「社員のWell‐being実現」の両立を目標に、個の力を最大限に引き出し、挑戦し学習し続ける組織を目指しています。多様な働き方やエンゲージメント向上にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 43.4歳 | 7.7年 | 5,648,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 60.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 97.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 介護保険制度の改正について
同社のクラウドサービスは介護保険法の影響を強く受けます。法改正や介護報酬の見直しに対応するためのシステム開発が必要となり、対応の遅れや市場動向の変化が業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 他社との競合について
医療・介護分野のクラウドサービス市場には複数の競合が存在し、新規参入も予想されます。競争激化によりシェア拡大が困難になった場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
■(3) システム障害について
サービス提供の基盤であるITインフラに自然災害、事故、不正アクセス等による障害が発生した場合、サービスの停止や信頼性の低下を招き、業績に深刻な影響を与える可能性があります。



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