FOOD & LIFE COMPANIES 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

FOOD & LIFE COMPANIES 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の回転寿司チェーン最大手。「スシロー」を中核に、「京樽」「みさき」「杉玉」などのブランドを国内外で展開しています。2025年9月期の連結業績は、売上収益が前期比19.0%増、営業利益が同54.4%増となり、過去最高を更新する大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社FOOD & LIFE COMPANIES の有価証券報告書(第11期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. FOOD & LIFE COMPANIESってどんな会社?


回転寿司チェーン「スシロー」を主力に、国内および海外で多角的なブランドを展開する持株会社です。

(1) 会社概要


1984年に株式会社すし太郎として設立され、2000年に旧株式会社あきんどスシローへ商号変更しました。2003年の東証二部上場後、2009年にMBOにより上場廃止となりましたが、2015年に持株会社体制へ移行し、2017年に東証一部へ再上場を果たしました。2021年には株式会社京樽を完全子会社化するとともに、現社名へ変更し、グローバルな食のインフラ企業を目指して事業を拡大しています。

2025年9月30日時点で、連結従業員数は11,720名、単体従業員数は333名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に資産管理を行う日本カストディ銀行(信託口)です。第3位は米国に拠点を置くステート・ストリート・バンク・アンド・トラスト・カンパニーとなっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.89%
日本カストディ銀行(信託口) 5.38%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 3.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長CEOは山本雅啓氏が務めています。取締役会における社外取締役の比率は75.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 雅啓 代表取締役社長CEO 2000年アサツーディ・ケイ入社。電通を経て、2023年同社専務執行役員。あきんどスシロー代表取締役会長等を歴任し、2024年12月より現職。
水留 浩一 取締役 1991年電通入社。ローランド・ベルガー日本法人代表、日本航空副社長等を経て、2015年同社社長。2024年12月より現職。


社外取締役は、近藤章(元株式会社国際協力銀行総裁)、三宅峰三郎(元キユーピー株式会社社長)、蟹瀬令子(元イオンフォレスト社長)、高月禎一(元株式会社ワールド取締役)、平真美(公認会計士・税理士)、大村恵実(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内スシロー事業」、「海外スシロー事業」、「京樽事業」、「国内杉玉事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 国内スシロー事業


国内において回転すしチェーン「スシロー」およびテイクアウト専門店を展開しています。高品質な食材の提供と、ITシステムを活用した効率的な店舗運営により、幅広い層の顧客に支持されています。

収益は、来店客への飲食提供およびテイクアウト販売による対価として受け取ります。運営は主に子会社の株式会社あきんどスシローが行っています。

(2) 海外スシロー事業


韓国、台湾、シンガポール、香港、タイ、中国大陸、インドネシア、マレーシア、米国などにおいて、回転すし「スシロー」の店舗を展開しています。日本の回転すしのクオリティを海外市場へ提供しています。

収益は、各国の店舗における飲食提供およびテイクアウト販売による対価として受け取ります。運営は、Sushiro Korea, Inc.やSushiro Taiwan Co., Ltd.など、各国に設立された現地子会社が行っています。

(3) 京樽事業


持ち帰りすし専門店「京樽」、回転寿司「回転寿司みさき」「海鮮三崎港」などを展開しています。伝統的な上方鮨から江戸前鮨まで、多様なニーズに対応した商品を提供しています。

収益は、店舗での商品販売および飲食提供による対価として受け取ります。運営は主に子会社の株式会社京樽が行っています。

(4) 国内杉玉事業


寿司居酒屋「鮨・酒・肴 杉玉」を展開しています。寿司と日本酒を中心としたメニューを提供し、食事と飲酒の両方の需要を取り込む業態です。

収益は、直営店における飲食提供による対価や、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入等として受け取ります。運営は主に子会社の株式会社FOOD & LIFE INNOVATIONSが行っています。

(5) その他事業


上記報告セグメントに含まれない事業として、スシロー未来型万博店や商品在庫の外部販売などを行っています。

収益は、当該事業における商品販売やサービス提供の対価として受け取ります。運営は株式会社あきんどスシローなどのグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は継続的に増加しており、特に直近では大幅な増収を達成しています。利益面では、一時的な変動はあるものの、最新期には営業利益、税引前利益ともに過去最高水準まで回復・成長しており、利益率も改善傾向にあります。当期利益も順調に推移しており、成長軌道に乗っていることが伺えます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 2,408億円 2,813億円 3,017億円 3,611億円 4,296億円
税引前利益 216億円 76億円 99億円 217億円 338億円
利益率(%) 9.0% 2.7% 3.3% 6.0% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 132億円 36億円 80億円 146億円 229億円

(2) 損益計算書


売上収益の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移しており、コストコントロールが効いていることがわかります。営業利益は前期間と比較して大きく伸長しており、営業利益率も改善していることから、収益性が高まっていることが読み取れます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 3,611億円 4,296億円
売上総利益 2,053億円 2,450億円
売上総利益率(%) 56.9% 57.0%
営業利益 234億円 361億円
営業利益率(%) 6.5% 8.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が1,146億円(構成比55%)、減価償却費及び償却費が357億円(同17%)を占めています。売上原価の内訳は、食材費等が大部分を占めています。

(3) セグメント収益


国内スシロー事業は堅調に推移し、海外スシロー事業は大幅な増収増益で全社の成長を牽引しています。京樽事業は黒字転換を果たし、国内杉玉事業も増収となりました。全体として、海外事業の成長と国内事業の収益性向上が業績拡大の主要因となっています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
国内スシロー事業 2,382億円 2,659億円 142億円 180億円 6.8%
海外スシロー事業 921億円 1,314億円 72億円 163億円 12.4%
京樽事業 240億円 235億円 -4億円 0.6億円 0.3%
国内杉玉事業 69億円 83億円 1億円 0.6億円 0.8%
その他事業 0.7億円 7億円 0.7億円 -4億円 -54.3%
調整額 -1億円 -2億円 21億円 20億円 -
連結(合計) 3,611億円 4,296億円 234億円 361億円 8.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 563億円 644億円
投資CF -241億円 -254億円
財務CF -343億円 -292億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」というVISIONを掲げています。回転寿司レストランチェーンを中核事業とし、それぞれの地域で顧客に喜ばれ、一層必要とされる店作りを目指すことで、株主に対する利益の最大化を図ることを基本方針としています。

(2) 企業文化


創業以来「うまさ」にこだわり、それを維持することを最大の優位性としています。高品質な食材の仕入れ、鮮度管理の徹底、店内調理へのこだわり、きめ細やかな清掃・接客を重視しています。また、効率化を追求しつつも、あえて手間をかける店内調理に磨きをかけ、本格的なすしの味を提供することで他社との差別化を図る姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2026年9月期の経営指標として以下の数値を掲げています。これは外部環境の変化と自社の業績動向を鑑み、中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)を見直した結果設定されたものです。

* 売上高:4,850億円
* 営業利益:405億円(営業利益率8.4%)

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向け、国内スシロー事業では都市部への新規出店や既存店の収益力強化を推進します。具体的には、地域特性に応じたサービス提供、アプリ活用による顧客ロイヤリティ向上、店内調理の強化などに取り組みます。また、海外事業の拡大を重要な成長要素と位置づけ、東アジア、東南アジア、北米等への展開を加速させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人件費の上昇を人的資本への戦略的な投資と捉え、人的資本経営を推進しています。具体的には、「人財育成」「働きがいある処遇」「働きやすい環境」に重点を置き、サクセッションプランの推進、教育・研修の充実、報酬制度の改定、キャリア形成支援、DE&Iの推進などに取り組んでいます。多様な人材の個性を活かし、企業価値向上につなげる方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 41.3歳 3.7年 8,927,507円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.5%
男性育児休業取得率 85.7%
男女賃金差異(全労働者) 68.4%
男女賃金差異(正規) 71.9%
男女賃金差異(非正規) 95.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者の割合(18.1%)、障がい者雇用率(3.29%)、外国籍従業員数(195人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢と消費動向の変化


店舗の多くが日本国内にあるため、国内景気や消費税率変更等の影響を受けます。特に雇用水準の変化による可処分所得の減少や、為替相場の変動(円安)による鮮魚類の仕入コスト増加は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、消費者の嗜好が変化し、同社の店舗コンセプトやメニューから乖離した場合も影響が懸念されます。

(2) 業界における競合激化


外食産業全体やテイクアウト・宅配サービス等との競合に加え、低価格回転寿司業界内での競争も激化しています。人口減少による市場成長の鈍化や店舗数増加に伴う自社競合の可能性もあります。価格競争への対応や、マーケティング戦略が奏功しない場合、来店客数や売上が減少し、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 食品の安全性と衛生管理


食の安全は最重要事項ですが、食中毒や異物混入等の事故が発生するリスクを完全に排除することは困難です。これらの事案が発生した場合、あるいは風評被害が生じた場合、同社の信用やブランドイメージが毀損され、業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、法規制違反による行政処分やコスト増加のリスクもあります。

(4) 原材料調達と価格変動


魚介類や米などの食材価格は、天候、自然災害、需要増加、為替変動等の要因により変動します。これら原材料の調達困難や価格高騰が発生し、コスト上昇分を価格転嫁できない場合、利益が圧迫される可能性があります。また、価格改定により顧客離れが生じ、売上が減少するリスクもあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。