シェアリングテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シェアリングテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(グロース市場)に上場し、『暮らしのお困りごと』事業として、ライフサービスのマッチングサイト運営等を展開しています。直近の業績は、売上収益が増収、営業利益・税引前利益ともに増益となる一方で、法人所得税費用の増加等により当期利益は減益となりました。


※本記事は、シェアリングテクノロジー株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. シェアリングテクノロジーってどんな会社?


『暮らしのお困りごと』を解決するポータルサイト運営と、全国の加盟店をつなぐマッチングサービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


2006年に株式会社リッツとして設立され、2012年にWEB事業を開始しました。2015年に総合プラットフォーム「生活110番」の運営をスタートし、事業を拡大しています。2017年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たし、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しました。

同グループ(連結)の従業員数は229名、シェアリングテクノロジー(単体)では163名です。筆頭株主は外国法人のAVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCで、第2位、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
AVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLC 14.84%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.89%
日本カストディ銀行(信託口) 6.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは片山善隆氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
片山 善隆 代表取締役CEO 三井住友銀行、高木製作所、アイシン・エィ・ダブリュ(現アイシン)を経て2018年に同社入社。執行役員、取締役COOなどを歴任し、2025年12月より現職。
森吉 寛裕 取締役会長 ジャフコ(現ジャフコ グループ)を経て2018年に同社入社。取締役CFO、代表取締役共同経営者、代表取締役CEOを歴任し、2025年12月より現職。
植田 栄作 取締役 2010年に同社に入社。2018年8月より現職。
原田 千秋 取締役監査等委員 日本電装(現デンソー)入社後、コロンビア大学MBA取得、米国公認会計士登録。DENSO DO BRASIL LTDA.事務統括役員などを経て2021年6月より現職。


社外取締役は、淺井啓雄(公認会計士・税理士)、善利友一(弁護士・弁護士法人代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「『暮らしのお困りごと』事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

**『暮らしのお困りごと』事業**
ポータルサイト「生活110番」や専門性の高いバーティカルメディアサイトを運営し、鍵の交換、水漏れ修理、害虫駆除など、日常生活のトラブルを解決するサービスを提供しています。ユーザーからの問い合わせを自社コールセンターで受け付け、ニーズに適した加盟店を紹介するマッチングサービスを行っています。

収益は、加盟店からユーザーへのサービス提供完了時に発生する「成果報酬型」や、ユーザーを紹介した時点で発生する「紹介報酬型」の手数料収入が中心です。また、一部で自社施工も行っています。運営は主にシェアリングテクノロジーが行っており、子会社のアズサポートも事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は過去5期間で継続的に拡大しており、直近では86億円規模に達しています。利益面では、かつて損失を計上していた時期もありましたが、その後は黒字転換し、高い利益率を維持しています。直近の当期利益は14億円となり、安定した収益基盤を確立しつつあります。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 35億円 44億円 62億円 75億円 86億円
税引前利益 -12億円 4億円 12億円 18億円 21億円
利益率(%) -32.6% 8.8% 19.8% 23.9% 24.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -11億円 5億円 13億円 15億円 14億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上収益の増加に伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は90%を超える高い水準を維持しており、プラットフォームビジネスの特徴が表れています。営業利益率も20%台半ばと高い収益性を確保しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 75億円 86億円
売上総利益 69億円 79億円
売上総利益率(%) 91.6% 91.5%
営業利益 18億円 21億円
営業利益率(%) 23.9% 24.2%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が36億円(構成比62.0%)、人件費が11億円(同18.0%)を占めています。売上原価では、業務委託費が2.0億円(構成比26.8%)、その他経費が1.7億円(同22.7%)となっています。

(3) セグメント収益


同社は「『暮らしのお困りごと』事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の比較はありません。事業全体として、WEB集客の強化や加盟店ネットワークの拡充などにより、売上収益は前期比で増加しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
Total 75億円 86億円 18億円 21億円 24.2%
連結(合計) 75億円 86億円 18億円 21億円 24.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動でキャッシュを獲得し、投資活動は抑制的で、借入金の返済や自己株式の取得等の財務活動を行っていることから「健全型」と言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 23億円 20億円
投資CF -0.1億円 -4億円
財務CF 0.0億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は31.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社はミッションとして「新たな仕組みで、安心な暮らしを、」を掲げています。「お困りごと」が発生した際に少しでも早く安心を提供し、同社のサービスがあることで安心して暮らせる世界を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「ミッション&バリュー」に基づき、従業員の資質向上と能力開発を行う方針を持っています。具体的なバリューの文言は記載されていませんが、企業理念や風土に合った人材の登用を進めることや、コンプライアンスを重視した企業行動を推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、ミッションに沿った目標の達成状況を判断するための重要な指標として「売上収益」を重視しています。具体的な数値目標としての記載はありませんが、継続的な発展と経営基盤の安定を図る方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、WEBを中心とした集客力の向上、優良な加盟店ネットワークの拡充、基幹システム『Mover』の強化を重点施策としています。また、顧客満足度の向上や内部管理体制の強化、自社施工の取り組みも推進し、事業基盤の確立とさらなる事業拡大を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


さらなる成長のために優秀な人材の確保と組織体制の強化が不可欠と認識しています。企業理念や風土に合った人材の採用を進めるとともに、教育体制の整備による人材の定着と能力の底上げを図っています。また、システム安定稼働のための技術系人材や、自社施工推進のための施工人材の確保・育成にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 31.0歳 4.3年 4,954,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.7%
男女賃金差異(正規雇用) 75.4%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※非正規雇用の差異については、算定に該当する従業員が在籍していないため記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、コールセンター職でのリーダー職以上の女性比率(95.2%)、コールセンター女性比率(87.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 検索エンジンへの集客依存


同社サイトへの集客は検索エンジン経由が多くを占めています。SEO対策を実施していますが、検索エンジンの表示アルゴリズム変更等により検索結果での表示順位が低下した場合、集客力が低下し、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合との競争激化


同事業は加盟店ネットワーク構築等により高い参入障壁があるものの、市場拡大に伴い新規参入や既存競合との競争が激化する可能性があります。特に特定地域やサービスに特化した競合の出現により競争環境が変化した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 加盟店の確保と品質維持


サービスを提供する加盟店の品質は顧客満足度に直結します。当社基準による審査等で厳選していますが、加盟店のサービス品質低下や離脱による供給不足が生じた場合、サービス提供が困難となり、経営成績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。また、加盟店による事故発生時のリスクもあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。