アミファ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アミファ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、100円ショップ向けのライフスタイル商品の企画・製造仕入・卸販売を主要事業としています。直近の業績は、イベント関連商品や定番商品の販売が好調で、売上高は88億円(前期比2.8%増)と過去最高を更新し、経常利益、当期純利益ともに黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社アミファの有価証券報告書(第55期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アミファってどんな会社?


100円ショップ等の均一価格ショップ向けに、デザイン性の高い文具や雑貨などのライフスタイル商品を企画・卸販売する企業です。

(1) 会社概要


1973年にフジ産業として設立され、織物資材の販売を開始しました。1999年に100円ショップ向けライフスタイル商品の販売へ進出し、2019年にJASDAQ(スタンダード)へ上場しました。2022年の市場区分見直しにより東京証券取引所スタンダード市場へ移行し、2023年には創業50周年を迎えました。

同社(単体)の従業員数は86名です。筆頭株主は代表取締役社長の藤井愉三氏の資産管理会社であるウィステリアウェルで、第2位はアミファ従業員持株会、第3位は事業会社のウイルコホールディングスとなっています。

氏名 持株比率
ウィステリアウェル 32.80%
アミファ従業員持株会 1.76%
ウイルコホールディングス 1.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は藤井愉三氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
藤井愉三 取締役社長(代表取締役) 1982年同社入社。1995年より社長を務める。2024年よりアミファ・デザイン・アート振興財団代表理事を兼務。
藤井俊行 専務取締役 1982年同社入社。1991年取締役を経て、1995年より現職。
三井直美 取締役人事総務部長 法律事務所、バロックジャパンリミテッドを経て2020年同社入社。2022年より現職。


社外取締役は、米田康三(元平田機工社長)、阿部正典(元西華産業監査役)、山田昭(弁護士)、髙山昌茂(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ライフスタイル商品事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ワンプライス商品事業


ギフトラッピング、デザイン文具、キッチン・テーブルウエアなどを中心に、主に100円ショップなどの均一価格ショップで販売される商品を企画・供給しています。最終消費者は、日用品としてだけでなく、暮らしを楽しむ嗜好品としてこれらの商品を購入しています。

主な収益源は、セリアや大創産業などの小売業者や卸売業者に対する商品の卸売による売上です。運営は主に同社が行っています。「amifa」ブランドの自社商品と、顧客ブランド(PB)商品の双方を取り扱っています。

(2) プチプライス商品事業


希望小売価格が100円を超える価格帯の商品群です。アパレルメーカー等へのOEM供給や、文具・知育玩具・コスメ等の一般小売向け商品を展開しています。デザイン力やノウハウを活かし、付加価値の高い商品提供を行っています。

収益は、OEM受託による売上や、一般小売ルートでの商品販売による売上で構成されています。運営は主に同社が行っています。この分野はワンプライス商品事業で培った強みを活かし、新たな収益柱としての成長が期待されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は47億円から88億円へと拡大基調にあります。第54期には円安等の影響で赤字を計上しましたが、第55期には売上高が過去最高を更新し、経常利益および当期純利益も黒字に回復しました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 47億円 59億円 81億円 86億円 88億円
経常利益 2.6億円 2.6億円 2.0億円 -2.9億円 2.4億円
利益率(%) 5.5% 4.4% 2.5% -3.3% 2.7%
当期純利益(親会社所有者帰属) 1.7億円 2.2億円 1.5億円 -2.8億円 1.9億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に加え、売上原価率の改善が見られます。販売費及び一般管理費は前期比で減少し、営業利益率はマイナスからプラスへ転換しました。コスト管理と売上拡大の両面から収益性が向上しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 86億円 88億円
売上総利益 24億円 29億円
売上総利益率(%) 28.4% 32.5%
営業利益 -3.0億円 2.7億円
営業利益率(%) -3.5% 3.1%


販売費及び一般管理費のうち、発送運賃が7億円(構成比26%)、業務委託費が5億円(同18%)を占めています。売上原価に関しては、当期商品仕入高が57億円(売上原価合計に対し95%)を占めており、外部からの商品調達が原価の大半を構成しています。

(3) セグメント収益


ライフスタイル商品事業の単一セグメントですが、商品群別に見ると、主力等のワンプライス商品は堅調に推移し、プチプライス商品は前期比で大幅な増収となりました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
ワンプライス商品 81億円 82億円
プチプライス商品 5億円 6億円
連結(合計) 86億円 88億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業キャッシュ・フローがプラスで、投資および財務キャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た現金を借入返済や投資に回す健全型と言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 4.4億円 5.3億円
投資CF -0.4億円 -0.3億円
財務CF -5.6億円 -3.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「We are smile producers!」を企業理念として掲げています。アートやデザインを日常に取り入れ、顧客が自ら工夫して楽しめる商品を提案することで、「ワクワク」や「笑顔」を届けることを目指しています。また、パーパスとして「自由なアイディアとピースフルなモノづくりですぐ近くのワクワクを、ひとりひとりに。」を再定義し、ステークホルダーからの信頼に応えつつ、社会で必要とされる企業であり続けることを方針としています。

(2) 企業文化


同社は従業員がやりがいと愛情を持ち、笑顔で働くことができる「smile working company」であることを目指しています。意欲ある者には成長機会を提供し、貢献に対しては適切な処遇を実現することを重視しています。また、プロフェッショナル集団への進化を掲げ、従業員一人ひとりが能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


創業50周年を機に策定した成長戦略「GO NEXT 50」に基づき、売上高100億円の早期実現と、将来的な300億円企業を目指しています。また、経営指標として以下の数値目標を掲げ、持続的な成長と株主還元に取り組んでいます。

* 株主資本利益率(ROE):8%以上
* 配当性向:30%以上
* 株主資本配当率(DOE):3%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、「NB・PBの強化」「プロフェッショナル集団への進化」「経営インフラの強化」を重点戦略としています。商品ポートフォリオの最適化により収益性の高い商品群を育成するとともに、企画から販売までの期間短縮を図り、トレンド変化への対応力を高めます。また、サプライチェーンの強化やICT基盤の強化を通じて、生産性向上とコスト競争力の維持を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「Smile Working」の指針のもと、理念に共感する人材を採用し、多様性を尊重しつつキャリア採用を中心に進めています。人材育成では、階層別研修やリカレント教育を通じて従業員の成長を支援し、実力に基づく評価制度を運用しています。また、フレックスタイム制や在宅勤務制度などの柔軟な働き方を推進し、ワークライフバランスの向上と心身ともに健康で働ける環境整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 39.3歳 6.9年 5,531,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 53.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.0%
男女賃金差異(正規) 75.8%
男女賃金差異(非正規) 33.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用管理職比率(100.0%)、外国人労働者(3.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の販売先への依存


同社の売上高の大部分は、セリア(51.6%)および大創産業(21.5%)などの主要な均一価格ショップ向けが占めています。これら主要顧客との取引関係の変化や契約終了が生じた場合、同社の業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替変動リスク


同社の商品は約94%が海外企業からの仕入・調達であり、主に米ドル建てで決済を行っています。そのため、為替相場の急激な変動により仕入価格が上昇し、それを販売価格に転嫁できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) サプライチェーンと地政学的リスク


商品の多くを海外の協力工場に委託生産しているため、現地の病災害や政情不安等のカントリーリスクの影響を受ける可能性があります。また、原材料費の高騰や物流の混乱により、商品供給の遅延やコスト増加が発生するリスクがあります。

(4) 競合と市場環境の変化


参入障壁が比較的低い業界であるため、競合他社の参入や市場環境の変化により競争が激化する可能性があります。同社の商品開発力やコスト競争力が競合を下回った場合、または消費者の嗜好変化に対応できない場合、業績に影響が出る可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。