※本記事は、株式会社MTG の有価証券報告書(第30期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. MTGってどんな会社?
美容・健康ブランド「ReFa」「SIXPAD」などを展開し、企画開発から製造・販売までを手掛けるファブレスメーカーです。
■(1) 会社概要
1996年に愛知県で設立され、2009年に主力ブランド「ReFa」を立ち上げました。その後、2015年に「SIXPAD」ブランドを開始し、2018年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場しました。近年では、2020年にスマートリング事業を行う株式会社EVERINGを連結子会社化するなど、BEAUTY・WELLNESS領域以外への事業展開も進めています。
2025年9月30日時点の従業員数は、連結で1,514名、単体で877名です。筆頭株主は代表取締役社長の松下剛氏であり、第2位は資産管理会社であるMマネジメント、第3位も同様にMコーポレーションとなっています。創業者が大株主として経営をリードする体制が続いています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 松下 剛 | 27.97% |
| Mマネジメント | 20.37% |
| Mコーポレーション | 16.19% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は松下剛氏です。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松下 剛 | 代表取締役社長 | 1996年1月にエムティージーブレイズ(現同社)を設立し、代表取締役社長に就任。2018年には五島の椿を設立し代表取締役に就任するなど、グループ全体の経営を牽引。現在に至る。 |
| 井上 祐介 | 取締役営業部門管掌役員 | アンドライブ(現MTGプロフェッショナル)代表取締役などを経て、2014年に同社入社。執行役員を経て2015年より取締役。MTG FORMAVITAの代表取締役も兼任し、営業部門を管掌。 |
| 田島 安希彦 | 取締役管理部門管掌役員 | ウィザス取締役経営管理本部長、カクヤスグループ代表取締役社長などを歴任。2023年に同社顧問となり、現在は取締役として管理部門を管掌。 |
| 長谷川 徳男 | 取締役(監査等委員) | LIXIL技術統括部知的財産室長などを経て、2013年に同社入社。執行役員知的財産・法務本部本部長などを歴任し、2025年3月より常勤の監査等委員である取締役に就任。 |
社外取締役は、黒田武志(リネットジャパングループ代表取締役社長)、石田宗弘(三宅坂総合法律事務所パートナー)、飯田亜子(飯田亜子公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ダイレクトマーケティング事業」「プロフェッショナル事業」「リテールストア事業」「グローバル事業」「スマートリング事業」および「その他」事業を展開しています。
■ダイレクトマーケティング事業
主に一般消費者を対象として、同社および他社のECサイト、新聞広告などを通じた直接販売を行っています。また、テレビ通信販売事業者への卸売販売も実施しており、インターネット通信販売やカタログ販売もこの事業に含まれます。
収益は、主に一般消費者への商品販売代金や、通信販売事業者への卸売による売上から得ています。運営は主にMTGが行っています。
■プロフェッショナル事業
美容室やエステティックサロン、宿泊施設などを通じた販売を行っています。美容室やサロン運営事業者への卸売販売に加え、メンバーズオンラインショップ「B happy」での取次販売、宿泊施設への設備販売、ショッピングセンター等での一般消費者への直接販売も展開しています。
収益は、各事業者への卸売代金や一般消費者からの商品販売代金などから構成されています。運営はMTGおよびMTGプロフェッショナルが行っています。
■リテールストア事業
百貨店、ショッピングセンター、免税店、量販店、専門店などを通じた販売を行っています。運営事業者への卸売販売のほか、同社が運営する小売店舗での対面販売を通じて一般消費者へ直接商品を販売しています。
収益は、店舗運営事業者への卸売代金や、直営店等での消費者からの商品販売代金となります。運営はMTGおよびMTG FORMAVITAが行っています。
■グローバル事業
海外市場における販売を行っています。海外グループ会社のECサイトや現地のECサイトを通じた一般消費者への直接販売、および海外の販売代理店、美容専門店、百貨店運営事業者への卸売販売を展開しています。
収益は、海外消費者からの販売代金や海外事業者への卸売代金から得ています。運営はMTGおよび、中国、台湾、米国、韓国などの海外現地法人が担っています。
■スマートリング事業
非接触式のスマートリング(近距離無線通信を搭載した指輪)の製造販売を行っています。このリングはショッピングや飲食時の決済を可能とするもので、資金決済業務も事業に含まれます。
収益は、スマートリングの端末販売代金などが主な源泉となります。運営はMcLEAR LIMITEDおよびEVERINGが行っています。
■その他事業
椿を原料とした製品の製造販売、EV車両を中心としたモビリティ販売、海外旅行事業などを行っています。また、ベンチャー投資事業もこのセグメントに含まれます。
収益は、製品や車両の販売代金、旅行手配料など多岐にわたります。運営はMTG、ブレイズ、Bnext、五島の椿、MTG Ventures、ジェイエスティなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2021年9月期以降、右肩上がりで成長を続けており、特に直近の2025年9月期は前期比で大幅な増収となりました。利益面でも、経常利益は一時的な変動がありつつも、2025年9月期には100億円を超える水準へと急拡大しています。当期純利益も同様に過去最高益を記録しており、収益性が大きく向上している傾向が見て取れます。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 428億円 | 490億円 | 602億円 | 719億円 | 988億円 |
| 経常利益 | 42億円 | 37億円 | 42億円 | 37億円 | 107億円 |
| 利益率(%) | 9.8% | 7.6% | 6.9% | 5.1% | 10.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 56億円 | 27億円 | 20億円 | 23億円 | 79億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の大幅な伸長に伴い、売上総利益が約1.4倍に増加しています。営業利益率も前期の4.6%から10.8%へと大きく改善しており、本業の収益力が飛躍的に高まっていることがわかります。増収効果が固定費等の負担を吸収し、利益率の向上に寄与している様子がうかがえます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 719億円 | 988億円 |
| 売上総利益 | 431億円 | 620億円 |
| 売上総利益率(%) | 60.0% | 62.8% |
| 営業利益 | 33億円 | 107億円 |
| 営業利益率(%) | 4.6% | 10.8% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費及び販売促進費が135億円(構成比26%)、給与が51億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期は主要な国内事業であるダイレクトマーケティング、プロフェッショナル、リテールストアの各事業が大幅な増収増益となり、全社の成長を牽引しました。特にリテールストア事業は売上が約1.5倍、利益は約1.7倍と顕著に伸びています。一方、グローバル事業とスマートリング事業は減収または損失計上となりましたが、その他事業は増収で黒字転換を果たしました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダイレクトマーケティング事業 | 292億円 | 378億円 | 66億円 | 106億円 | 28.1% |
| プロフェッショナル事業 | 192億円 | 248億円 | 25億円 | 44億円 | 17.8% |
| リテールストア事業 | 195億円 | 304億円 | 21億円 | 36億円 | 11.9% |
| グローバル事業 | 17億円 | 15億円 | -6億円 | -5億円 | -32.7% |
| スマートリング事業 | 2億円 | 5億円 | -11億円 | -4億円 | -77.4% |
| その他事業 | 21億円 | 39億円 | -2億円 | 4億円 | 11.3% |
| 連結(合計) | 719億円 | 988億円 | 37億円 | 107億円 | 10.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスであり、営業活動で得た資金に加え、外部からの調達資金も合わせて積極的に投資を行っている「積極型」です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 78億円 |
| 投資CF | -45億円 | -113億円 |
| 財務CF | 2億円 | 19億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「一人ひかる 皆ひかる 何もかもひかる」を企業理念として掲げています。「一人ひかる」は従業員一人ひとりが夢を持ち輝くこと、「皆ひかる」はその輝きがステークホルダーへ波及すること、「何もかもひかる」は地球環境や社会の発展に貢献し、世界中の人々を健康で豊かにすることを意味します。また、事業ビジョンとして「VITAL LIFE」を掲げ、世界中の人々の健康で美しく生き生きとした人生の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営の哲学であり全従業員の行動指針となる「光フィロソフィ」を重視しています。これは企業理念を基に策定されたもので、判断のよりどころとなるものです。また、部門別採算制度をベースとした「グループ経営方式」を採用し、組織をプロフィットセンターに分けて運営することで、市場の変化に即応し、全従業員が経営に参画する「全員経営」の文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、安定的な高収益・高成長を目指すための重要な経営指標として「売上高」および「経常利益」を掲げています。具体的な数値目標は明示されていませんが、売上の向上とコストの最適化を図るとともに、グループ経営方式による部門別採算制度の確立や人材育成を通じた企業価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的な成長に向けて、「光フィロソフィ」を根幹とした経営と経営システムの強化を掲げています。事業面では、「ReFa」「SIXPAD」等の主力ブランドへ経営資源を集中投下し、マーケティングと研究開発を推進します。また、リピート顧客獲得のためのストックビジネス強化や、産官学連携による研究開発の強化にも取り組みます。海外戦略では管理体制の強化による早期黒字化を目指し、サステナビリティ推進による社会貢献と事業成長の両立を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「一人ひかる」の理念のもと、従業員が夢を持ち輝ける環境づくりを重視しています。具体的には、部門別採算制度を用いた「グループ経営方式」により、組織を小さな経営ユニットに分け、リーダーに経営を任せることで経営者意識を持つ人材を育成しています。また、「光フィロソフィ」をベースとした「全員経営」を推進し、全従業員が経営に参画し、やりがいを持って働ける体制の構築を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 38.0歳 | 6.0年 | 6,813,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.6% |
| 男性育児休業取得率 | 46.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 81.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(4.19)、係長及び管理職に占める女性の割合(26.4%)、取締役及び執行役員に占める女性の割合(12.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 消費者ニーズへ適合しないリスク
同社は新規ブランドや商品の開発、マーケティング活動を行っていますが、これらは不確実性を伴います。開発した商品が消費者ニーズに適合せず、意図した成果が得られない場合、売上や利益に影響し、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ニーズに合わなくなった既存商品の撤退も継続的に行っています。
■(2) 特定のブランド及び商品への依存リスク
同社は「ReFa」や「SIXPAD」など特定のブランドや商品に偏らない事業展開を目指していますが、新規ブランド育成には不確実性が伴います。これらが計画通りに成長せず、特定の収益源への依存度が高いまま推移した場合、予期せぬ市場変化等の影響を受けやすくなり、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定人物への依存リスク
創業以来、代表取締役社長である松下剛氏が事業推進やブランド形成において重要な役割を果たしています。同氏が何らかの理由で業務を継続できなくなった場合、事業運営に支障をきたし、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、組織的な経営体制の構築や後継者育成を進めています。
■(4) サプライチェーンに関するリスク
国内外のパートナー企業から部材や商品を供給されていますが、自然災害、政情不安、倒産等により供給が滞る可能性があります。また、原材料価格の高騰により調達コストが上昇する恐れもあります。これらの事象が発生した場合、商品の安定供給や利益率に影響し、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。



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