※本記事は、株式会社バンク・オブ・イノベーション の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
バンク・オブ・イノベーションは、スマートフォンアプリ関連事業を展開しています。同社グループは、Google LLCやApple Inc.が運営するプラットフォーム上で、主にゲームとその他サービスを提供しています。
単体従業員数は194名、連結従業員数は247名です。同社グループはスマートフォンアプリ関連事業の単一セグメントとなっています。
主な国内グループ会社は、Koiniwa(「恋庭」の開発・運営)、バンク・オブ・インキュベーション(新規事業の開発)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
バンク・オブ・イノベーションは、スマートフォンアプリ関連事業を展開する企業です。従業員の平均年齢が30代前半と比較的若く、活気のある職場環境がうかがえます。人材の定着と新たな才能の流入がバランスしている傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
バンク・オブ・イノベーションでは、従業員の平均年齢が30代前半であり、比較的若い組織構成となっています。平均勤続年数は5年台後半であり、人材の定着と新たな人材の流入がバランスしている傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,794,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.8年 |
| 平均年齢 | 33.3歳 |
| 単体従業員数 | 194人 |
| 連結従業員数 | 247人 |
| 単体のグループ内比率 | 78.5% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
バンク・オブ・イノベーションでは、変化の激しいインターネット市場において、優秀な人材の確保と定着を経営の重要な基盤と位置付けています。従業員一人ひとりが能力を発揮し、仕事と生活の調和を図れるよう、働きやすい雇用環境の整備に注力しています。具体的には、社内実態調査や他社事例を参考にしながら、運用制度の検討・導入、現行制度の見直しに取り組む方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率は、当事業年度の該当者が存在しないため「-」で表示されています。連結子会社は法定開示の公表義務の対象ではないため、記載は省略されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 78.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 67.1% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性平均勤続年数 | 5.1年 |
| 女性平均勤続年数 | 6.5年 |
| 男女とも平均勤続年数目標 | 7年以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
バンク・オブ・イノベーションは、スマートフォンアプリの開発と運営を主軸とするエンターテイメント企業です。人々の心に残るサービスを創出し、スマートフォンアプリ関連事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、Google LLCやApple Inc.などが運営するプラットフォームを通じてスマートフォンアプリを提供しています。アプリは基本的に無料で利用できますが、より便利に利用するためのアイテムを有料で販売することで収益を得ています。
主力サービスは自社オリジナルのRPGアプリである「ゲーム」と、ゲームアプリ以外の「その他サービス」に分類されます。ゲーム分野では、自社IPを活用した『メメントモリ』などのRPGアプリを提供しており、他社への著作物利用許諾によるロイヤリティーも売上として計上しています。その他サービスとしては、連結子会社であるKoiniwaが開発・運営する『恋庭』を提供しています。
同社グループは「ゲームに対して積極的なユーザー層」を主要顧客とし、自社IPかつグローバル配信を前提とした開発を進めています。ユーザー動向の分析やKPI変動要因の把握、新機能の実装後の推移分析などを継続的に行うことで、サービスの長期運営に取り組んでいます。プロモーションにおいては、設定予算内で費用対効果が高いと判断した施策を実施し、データ分析に基づくPDCAサイクルを遂行しています。
収益の地域別構成を見ると、日本国内からの売上が大半を占めていますが、海外からの売上も一定程度存在しています。また、売上高の多くはApple Inc.とGoogle LLCという特定の決済代行事業者を通じて計上されています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で大きく変動しています。売上高は一時的に大きく伸長した時期がありましたが、その後は減少傾向にあります。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、過去に損失を計上した時期もありましたが、直近の2期は黒字を維持し、当期は増加しています。
当連結会計年度においては、主力タイトルである『メメントモリ』が年間を通じて貢献したものの、経年の影響により売上高は減少しました。しかし、広告出稿における費用対効果を考慮し、大規模なCM出稿を控えたことで広告宣伝費が大きく減少し、結果として利益が拡大する形となりました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21.3億円 | 24.3億円 | 213億円 | 136億円 | 124億円 |
| 経常利益 | △8.0億円 | △10.2億円 | 49.2億円 | 13.6億円 | 21.9億円 |
| 経常利益率 | △37.6% | △41.8% | 23.1% | 10.0% | 17.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △5.4億円 | △8.4億円 | 32.9億円 | 8.9億円 | 13.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △141.28 | △217.96 | 823.09 | 224.59 | 339.99 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から増加する傾向を示しています。これは、売上高が減少したものの、広告宣伝費の抑制などにより利益率が改善したことが影響していると考えられます。
従業員数は開発体制強化に伴い増加しており、組織規模が拡大する中で、利益創出の効率性が向上していることがうかがえます。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 68.4百万円 | 50.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.7百万円 | 8.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、主力タイトルの売上減少があったものの、広告宣伝費の抑制により利益を拡大させています。本業で資金を生み出し、財務基盤を強化している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は73.2%であり、プライム市場の製造業平均46.8%、非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しています。また、ROE(自己資本利益率)は26.3%と、プライム市場平均の9.4%を大きく上回っています。
現金及び預金は41.9億円に増加しており、手元資金が厚い状態です。これらの財務指標は、同社グループが安定した財務基盤を築いていることを示しており、事業運営における堅実性がうかがえます。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 44.7億円 | 58.2億円 |
| 自己資本比率 | 77.0% | 73.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 22.0% | 26.3% |
| 現金及び預金 | 23.0億円 | 41.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは28.7億円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や未収消費税等の減少、法人税等の還付によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは1.2億円の収入となりました。これは主に定期預金の払戻による収入があったためです。
財務活動によるキャッシュ・フローは1.9億円の支出となりました。これは長期借入金の返済による支出が主な要因です。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローは29.9億円のプラスとなっており、本業で得た資金を投資に回しつつも、余剰資金を生み出している優良な状態を示しています。同社グループは本業で安定的に資金を創出し、財務的な健全性を保ちながら事業を運営していることがうかがえます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △17.2億円 | 28.7億円 |
| 投資CF | △4.3億円 | 1.2億円 |
| 財務CF | △4.6億円 | △1.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △21.4億円 | 29.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、売上の大部分を「メメントモリ」に依存しており、2025年9月期連結売上高の94.5%を占めています。今後、既存タイトルの収益が想定よりも大きく下回った場合、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、スマートフォンゲーム市場は海外メーカーの参入等により競争が激化しています。新たな法的規制や通信事業者の動向によって市場の成長が阻害されるような要因が重なった場合、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後更なる業容拡大に対応するため、優秀な人材の確保・育成を継続的におこなっていくことが重要な課題であると認識しています。人材獲得競争の過熱化や人材不足が見込まれる状況の中で、有能な人材が流出するリスクも想定されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
バンク・オブ・イノベーションは、スマートフォンゲームアプリを中心に、人々の心に深く刻まれるエンターテイメントを創造することを目指しています。同社グループは、高品質なサービス提供を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
バンク・オブ・イノベーションは、「ロマン (世界で一番『思い出』をつくるエンターテイメント企業)」と「企業信念 (良いものは必ず評価される)」を企業理念として掲げています。同社グループは、この理念のもと、スマートフォンゲームアプリを中心に高品質なサービスを提供することで、株主価値の最大化と企業価値の向上を目指しています。
長期的な視点では、「20年先、30年先にも残るような価値あるIP」を創出することを重要視しており、一本のヒットタイトルにとどまらず、長く人々の心に残るIPの創造に強い意欲を持っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
バンク・オブ・イノベーションは、「良いものづくり」を企業風土の根幹に置いています。経営陣と従業員が互いに尊重し合いながら開発を進めることを重視し、「品質最優先」を最重要事項としています。
開発期間に期限を設けず、品質に納得したタイミングでの配信を目指す方針を掲げ、質の高いサービスの開発に取り組んでいます。また、優秀な人材の確保と定着を経営・事業基盤の安定化に不可欠と認識しており、従業員一人ひとりが能力を発揮し、仕事と生活の調和を図れる働きやすい雇用環境の整備に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
バンク・オブ・イノベーションは、スマートフォンゲーム市場の競争激化に対応するため、いくつかの経営課題に取り組んでいます。一つは「優秀な人材の確保」であり、市場の変化やユーザーの多様化に迅速に対応できるよう、人材の獲得と育成を強化しています。
具体的には、社内研修の強化や福利厚生の充実を図るとともに、オリジナリティのあるヒットタイトルを継続的に提供することで採用力を高める方針です。また、事業活動を通じてコーポレートブランドを高め、企業としての魅力を訴求することも重要視しています。
さらに、「サービスの安全性及び健全性の強化」として、オンラインゲーム業界で提起されるリアル・マネー・トレードや不適切な確率表示、未成年課金などの問題に対し、法的規制や業界団体の自主規制を遵守しています。
「システム管理体制の強化」では、多数のユーザーが快適にサービスを利用できるよう、システム基盤と管理体制の強化を進めています。
そして、「組織体制の強化」として、持続的な成長を支える内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実を図り、リスク管理の徹底と業務の効率化を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
バンク・オブ・イノベーションは、取締役会及び監査等委員会設置会社です。取締役会と経営会議で機動的な意思決定を行い、監査等委員である社外取締役で構成される監査等委員会が客観的な監査を通じてコーポレート・ガバナンスの実効性を確保しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
バンク・オブ・イノベーションの株主構成を見ると、代表取締役社長である樋口智裕氏が筆頭株主となっています。また、取締役人事部長の田中大介氏も上位株主の一人であり、経営陣が同社の主要な株主として名を連ねていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 樋口 智裕 | 43.85% |
| 田中 大介 | 7.04% |
| 楽天証券 | 3.84% |
| SBI証券 | 3.72% |
| Cygames | 1.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は樋口智裕氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 樋口 智裕 | 代表取締役社長 | 2006年1月 同社設立 代表取締役社長より現職。2019年11月 ㈱Koiniwa設立 代表取締役社長より現職。2022年11月 ㈱バンク・オブ・インキュベーション設立 代表取締役社長より現職。 |
| 田中 大介 | 取締役人事部長 | 2006年1月 同社監査役。2007年4月 同社取締役。2017年3月 同社取締役 人材開発部長。2021年12月 同社取締役 人事部長より現職。 |
| 河内 三佳 | 取締役CFO経営管理部長 | 2008年3月 監査法人トーマツ入所。2013年10月 同社入社 経営管理部長。2014年12月 同社取締役CFO 経営管理部長より現職。 |
社外取締役は、熊倉安希子氏(熊倉公認会計士事務所所長・監査等委員)、深町周輔氏(フォーサイト総合法律事務所弁護士・監査等委員)、櫻田厚氏(元モスフードサービス会長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社です。監査等委員である社外取締役が監査等委員会を構成し、客観的な監査を通じてコーポレート・ガバナンスの実効性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
バンク・オブ・イノベーションの役員報酬は、誠実な経営の実現と中長期的な株主価値向上を促すことを基本方針としています。監査等委員でない取締役の報酬は、業務内容や実績を考慮した固定報酬で、指名・報酬委員会の答申を経て取締役会で決定されます。
監査等委員である取締役の報酬は、職責や業務分担を考慮した固定報酬で、監査等委員である取締役の協議により決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 71百万円 | 23.7百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 11百万円 | 3.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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