KLASS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

KLASS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

KLASSは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、インテリア内装施工機器や畳製造装置、産業用設備などの製造販売を手掛けています。直近の業績では、大型案件の端境期等の影響で減収となったものの、利益率の改善等により営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前期を大幅に上回る増益を達成しています。


※本記事は、KLASS株式会社の有価証券報告書(第77期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. KLASSってどんな会社?


インテリア内装施工機器や畳製造装置、産業用機器などの製造販売を展開するメーカーです。

(1) 会社概要


1948年に兵庫県で龍野ギヤー製作所として設立され、1966年に極東産機に商号変更しました。1986年にコンピュータ式畳製造システムを開発して販売を開始し、現在の主要事業の基盤を築きました。2020年に自動化システムの企画・開発を行うROSECCを子会社化し、2023年には現在のKLASSへ商号を変更しています。

従業員数は連結で293名、単体で283名です。筆頭株主は同社取締役のころ安憲司氏で、第2位はころ安英毅氏、第3位は大阪中小企業投資育成となっています。

氏名 持株比率
頃安 憲司 26.03%
頃安 英毅 9.27%
大阪中小企業投資育成 6.49%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は頃安雅樹氏が務めています。社外取締役の比率は22.2%(9名中2名)です。

氏名 役職 主な経歴
頃安 雅樹 代表取締役社長 文部科学省入庁、同庁課長補佐を経て、同社入社。常務、専務等を経て、1999年10月より現職。
前川 良一 常務取締役コンシューマ事業部長兼ソリューション&ネットワーク事業部長兼畳事業部管掌 関西情報センター入所を経て、同社入社。総務部長、コンシューマ事業部長等を経て、2024年10月より現職。
曽谷 雅俊 常務取締役管理本部長兼社長室長 みなと銀行入行を経て、同社入社。総務部長、管理本部長等を経て、2020年12月より現職。
矢野 太 取締役研究開発本部長兼産業機器事業部長兼食品機器事業部管掌 JFEプラントエンジ入社を経て、同社入社。研究開発本部長、産業機器事業部長等を歴任し、2019年12月より現職。
佐用 善彦 取締役インテリア事業部長兼営業管理本部長 同社入社後、インテリア事業部大阪営業所長、プロフェッショナル事業部門特販部長等を経て、2023年10月より現職。
頃安 憲司 取締役総合企画室長兼人事部管掌 同社入社後、執行役員総合企画室長、人事部長等を歴任し、2023年10月より現職。
前川 幹人 取締役常勤監査等委員 同社入社後、品質保証室長、資材部長等を歴任し、2017年12月より現職。


社外取締役は、中木照雄(元協立テストシステム社長)、菅原正雄(元ユー・コミュニティーホテル社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロフェッショナルセグメント」「コンシューマセグメント」「インダストリーセグメント」「ニュー・インダストリーセグメント」の事業を展開しています。

プロフェッショナルセグメント


内装施工業者や畳店向けに、インテリア内装施工機器・工具、畳製造装置を製造販売するほか、建築業界向けに見積・請求管理などのクラウドツールや大判プリンタなどのサービスを幅広く提供しています。

機器や資材、クラウドシステムサービスの販売を通じた対価を顧客から受け取ります。運営は同社が行っています。

コンシューマセグメント


BtoCビジネスとして、個人や法人向けに葬祭用畳や防音・防振床材等の特殊機能畳を販売するほか、太陽光発電システムの設置やリフォーム工事、自社所有の太陽光設備での売電事業を展開しています。

畳関連商品や太陽光発電システムの販売代金、および太陽光発電所での売電によって収益を得ています。運営は同社が行っています。

インダストリーセグメント


法人向けに、顧客仕様に応じた二次電池製造装置などの産業用機器や、飲食店向けのマルチディスペンサー等の厨房用省力化機器を開発・製造・販売しています。

産業用機械や食品機器などの専用装置の販売対価を、企業や飲食店から受け取ります。運営は同社が行っています。

ニュー・インダストリーセグメント


自動車業界を中心に、ウォータージェット技術やロボット制御技術を活かした各種自動化システムの企画・開発・販売を展開しています。

自動化設備や関連システムの販売対価を企業から受け取ります。運営は子会社のROSECCが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は90億円台で安定して推移しており、堅調な事業基盤を有しています。経常利益は一時的な減少が見られたものの、直近ではコスト管理や利益率の改善により再び増加に転じ、2億円台まで回復しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 92億円 97億円 99億円 98億円 96億円
経常利益 2.7億円 1.9億円 2.8億円 1.1億円 2.5億円
利益率(%) 3.0% 2.0% 2.9% 1.1% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.9億円 1.4億円 1.0億円 0.8億円 1.7億円

(2) 損益計算書


売上高は前年と比較してやや減少しましたが、売上総利益は増加し、利益率も改善しています。それに伴って営業利益は大きく伸びており、収益性の向上がうかがえます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 98億円 96億円
売上総利益 29億円 31億円
売上総利益率(%) 29.9% 32.1%
営業利益 1.2億円 2.7億円
営業利益率(%) 1.2% 2.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が8.7億円(構成比31%)、運賃が3.4億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


プロフェッショナルは販売価格見直しや構造改革提案で堅調に推移し、赤字幅が縮小しています。コンシューマは特殊機能畳等の販売が順調で黒字転換しました。ニュー・インダストリーは自動車業界向けの受注が好調で大幅な増益を達成しています。インダストリーは大型案件の端境期等により減収減益となりました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
プロフェッショナル 67億円 68億円 -1.8億円 -0.9億円 -1.3%
コンシューマ 7.1億円 7.5億円 -0.1億円 0.2億円 2.7%
インダストリー 17億円 12億円 2.8億円 2.4億円 19.6%
ニュー・インダストリー 6.6億円 8.4億円 0.3億円 0.8億円 9.9%
連結(合計) 98億円 96億円 1.2億円 2.7億円 2.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 7.1億円 4.0億円
投資CF -1.6億円 -1.1億円
財務CF -2.8億円 -4.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も31.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として、「職人さんの手仕事の自動化・省力化により、豊かな生活空間・快適な職場空間を創造する」「会社の品質は、人と商品の品質との認識の下、顧客満足による社員満足を達成する」「絶えず危機意識を持ち、平素から万全の備えに努めるとともに、情勢の変化を敏感に捉え、迅速かつ柔軟に対応する」を掲げています。

(2) 企業文化


行動指針として「意志を持って仕事をしよう」「疑問に思う気持ちを大切に」「一人ひとりが会社を育てよう」「変化することを楽しもう」「尊重し合える関係をつくろう」を定めています。主体的な行動や小さな違和感からの創意工夫を重んじ、働く仲間や顧客とともに挑戦を楽しむ文化を形成しています。

(3) 経営計画・目標


経営指標として、ROE(自己資本収益率)、売上高利益率(収益性)、総資産回転率(効率性)、財務レバレッジ(資金の効率性)を重視し、バランスの取れた企業価値の拡大を目指しています。中長期的な企業価値の向上を図るため、利益率や総資産回転率の改善によるROE向上を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


蓄積してきたユーザーや販売ルート、ITシステム等の「無形財」を活用したソフト・サービスの提供を成長させ、「2.4次産業型企業」への展開を推進しています。既存分野でのシェア維持に加え、自動化・省力化機器などの新市場への対応や、子会社とのシナジー創出、マーケティング力と開発力の強化を重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の育成と活力向上を重要課題とし、社員一人ひとりの能力向上を通じた組織力の強化を図っています。人事考課制度の刷新、タレントマネジメント委員会の設置、研修教育体制の充実、キャリア・プランの作成など、人事戦略の強化を通じて、既存市場でのシェア拡大や新市場開発、さらなる業績拡大を目指す方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 43.3歳 18.5年 5,450,793円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.0%
男女賃金差異(正規労働者) 72.4%
男女賃金差異(非正規労働者) 30.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した従業員に占める女性の割合(45.5%)、女性の平均育児休業取得期間(307日)、男性の平均育児休業取得期間(21.7日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅需要等の変動による影響


同社のインテリア事業や畳事業の製品は、新設住宅着工戸数の増減やリフォーム工事の動向に影響を受けます。新設住宅着工戸数が短期間で大幅に減少した場合、受注状況が悪化し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 畳需要の減少と畳店の事業縮小


住宅の洋風化などにより畳の需要が減少し、畳店の数も減少傾向にあります。同社はコンサルティングなどを通じて畳店の事業承継や発展を支援していますが、需要減少が深刻化した場合、畳製造装置の売上が減少し業績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 建物内装における工法変更


同社は壁紙糊付機の市場で圧倒的なシェアを占めていますが、将来的に建物の内装において壁紙貼り付け工法に代わる新しい工法が普及した場合、壁紙糊付機の市場が縮小し、同社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。