アズーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アズーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アズームは東証プライムに上場し、月極駐車場サブリースを中心とした遊休資産活用事業とビジュアライゼーション事業を展開する企業です。2025年9月期の売上高は135億円(前期比27.9%増)、経常利益は26億円(前期比42.7%増)となり、大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社アズーム の有価証券報告書(第16期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アズームってどんな会社?


月極駐車場ポータルサイト「CarParking」の運営やサブリース事業を主力とする、不動産テック企業です。

(1) 会社概要


同社は2009年に設立され、月極駐車場紹介サービスおよびサブリースサービスを開始しました。2018年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2025年にはグロース市場からプライム市場へと市場区分を変更しています。近年では、3DCG制作を行うCGworksの設立や、ベトナムでの開発拠点設立など、事業領域と組織の拡大を進めています。

同グループは連結従業員数455名、単体342名の体制で運営されています。筆頭株主は代表取締役の資産管理会社であるパノラマで、第2位は創業社長の菅田洋司氏本人です。経営陣による持株比率が高く、オーナーシップの強い資本構成となっています。

氏名 持株比率
パノラマ 33.90%
菅田洋司 14.08%
日本カストディ銀行(信託口) 8.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は菅田洋司氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
菅田洋司 代表取締役社長 タジマリフォーム、日本駐車場開発を経て、2009年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2019年よりCGworks取締役も兼任。
鈴木雄也 取締役 ワークスメディアを経て、2009年に同社入社。テクノロジー担当取締役やベトナム子会社代表、ダイバース代表取締役などを歴任。
高橋祐二 取締役 2013年に同社入社。営業担当取締役を経て、2021年より鉄壁の代表取締役を兼任。現在はセールス部門を管掌。
馬場涼平 取締役 新日本有限責任監査法人を経て、2016年に同社入社。管理部長、管理本部長を歴任し、現在は経営管理本部長としてコーポレート部門を管掌。


社外取締役は、小久保崇(弁護士)、露木輝治(元ポッカサッポロフード&ビバレッジ取締役)、島村和也(弁護士・公認会計士)、吉川朋弥(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「遊休資産活用事業」および「ビジュアライゼーション事業」を展開しています。

遊休資産活用事業


月極駐車場に特化したポータルサイト「CarParking」を運営し、駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」や、オーナーから空き駐車場を借り上げてユーザーに転貸する「月極駐車場サブリースサービス」を提供しています。また、レンタルスペース予約システム「スマート空間予約」や、子会社による賃料保証、人材紹介サービスなども展開しています。

主な収益源は、紹介サービスにおける手数料収入と、サブリースサービスにおける賃料収入です。運営は主にアズームが行っており、賃料保証サービスは子会社の鉄壁、人材紹介はダイバースが担当しています。

ビジュアライゼーション事業


3DCG技術を活用し、建物や空間の完成イメージをグラフィックデータとして制作・販売するほか、VR技術を用いた空間デザインサービスを提供しています。主な顧客はディスプレイ業界、建築・内装業界、不動産業界などです。

収益は、グラフィックデータ制作や空間デザインサービスの対価として顧客から受け取る制作費等が中心です。運営は子会社のCGworksが主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加しており、直近の2025年9月期には135億円に達しました。経常利益も順調に拡大し、利益率も上昇傾向にあります。当期利益についても右肩上がりで推移しており、高い成長性と収益性を維持していることが読み取れます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 50億円 64億円 83億円 105億円 135億円
経常利益 5.1億円 8.7億円 13億円 18億円 26億円
利益率(%) 10.2% 13.6% 15.5% 17.3% 19.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.3億円 5.6億円 7.7億円 12億円 16億円

(2) 損益計算書


直近2期間において、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は40%台前半で推移し、営業利益率も前期の17.3%から19.4%へと改善しました。事業規模の拡大とともに収益性が向上する好循環が続いています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 105億円 135億円
売上総利益 44億円 57億円
売上総利益率(%) 41.9% 42.3%
営業利益 18億円 26億円
営業利益率(%) 17.3% 19.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が13億円(構成比41%)、賞与引当金繰入額が0.8億円(同2%)を占めています。人員増強に伴い人件費が増加していますが、売上成長がそれを上回っています。

(3) セグメント収益


主力の遊休資産活用事業は、ポータルサイトへの問い合わせ増加やサブリース台数の拡大により、大幅な増収増益となりました。ビジュアライゼーション事業も市場環境の堅調な推移を受け、増収および黒字転換を果たしています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
遊休資産活用事業 103億円 132億円 18億円 26億円 19.6%
ビジュアライゼーション事業 2.1億円 2.5億円 -0.0億円 0.2億円 8.3%
連結(合計) 105億円 135億円 18億円 26億円 19.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持しており、本業で現金を創出しています。一方で、投資活動はマイナスとなっており、成長のための投資を行っています。財務活動によるキャッシュ・フローはプラスで、株式発行や自己株式処分による資金調達を行っています。これらは「積極型」のパターンと言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 13億円 19億円
投資CF -2.5億円 -4.6億円
財務CF -1.1億円 12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は34.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「不動産×IT」を軸に、「世界から「もったいない」をなくそう」という企業理念を掲げています。この理念のもと、空き駐車スペースなどの遊休不動産の活用を通じて顧客と都市を豊かにし、ITを用いたソリューションを提供することで持続的な成長を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、不動産業界の既成概念にとらわれず、顧客が真に求めているものを追求する姿勢を重視しています。また、ITを活用して遊休不動産の問題を解決し、世の中にある「もったいない」を一つ一つ解決していくことで社会貢献を目指す価値観を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は持続的な成長に向けて、売上高、営業利益および成長率を重視する方針を掲げています。具体的な重要指標(KPI)として、月極駐車場紹介サービスではポータルサイトにおける問い合わせ件数および掲載物件情報数、月極駐車場サブリースサービスではマスターリース台数およびサブリース台数(稼働率)を設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、主力事業である駐車場サービスの強化・拡大として、ポータルサイト「CarParking」のデータベース強化や営業拠点の拡充による事業規模拡大を推進しています。また、周辺領域への進出として、レンタルスペース予約システム「スマート空間予約」や人材紹介事業の拡大、ビジュアライゼーション事業におけるVR技術や生成AIの活用にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は事業の成長のために、優秀な営業人材の確保および育成を重要な課題と位置づけています。また、サービスの安定提供のためにエンジニアの確保・育成にも注力しています。採用力の向上や社内研修の充実、福利厚生面の整備を通じて、人材の定着と組織力の強化を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 27.9歳 2.7年 4,363,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.2%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.5%
男女賃金差異(正規) 88.3%
男女賃金差異(非正規) 18.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制や訴訟に関するリスク


駐車場事業は「駐車場法」や「道路交通法」などの法的規制の影響を受けます。現時点では直接的な影響はありませんが、将来的な法改正や自動車利用の制限につながる規制強化があった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業活動に伴う訴訟リスクも内在しています。

(2) 自然災害・気候変動などのリスク


同社は全国の主要都市を中心にサービスを展開していますが、地震等の大規模災害が発生した場合、管理運営する物件の破損や閉鎖により事業活動に支障が生じる可能性があります。これに対し、支店展開による人員配置を行い、リスクの分散に努めています。

(3) 駐車場市場変化のリスク


ガソリン価格高騰等による自動車保有台数の減少や、競合他社との競争激化、駐車場オーナーとの契約解約の増加などがリスク要因となります。特にサブリース事業では、空き区画が発生した場合でもオーナーへの賃料支払いが継続するため、稼働率の低下が収益を圧迫する可能性があります。

(4) ITシステムのリスク


主力サービスの基盤はインターネット通信網に依存しており、通信断絶やサーバーへのアクセス集中によるシステム障害が発生した場合、サービスの安定提供が困難になります。また、集客の多くを外部検索エンジンに依存しているため、検索エンジンの表示方針変更が集客効果に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。