ディ・アイ・システム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ディ・アイ・システム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する独立系システムインテグレーターです。システムインテグレーション事業と教育サービス・セキュリティソリューション事業を柱に展開しています。直近の業績は、DX推進によるIT投資需要を背景に、売上高・利益ともに拡大し増収増益を達成しています。


※本記事は、ディ・アイ・システムの有価証券報告書(第29期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ディ・アイ・システムってどんな会社?


独立系情報サービス企業として、システム開発やインフラ構築、IT教育サービスをワンストップで提供しています。

(1) 会社概要


1997年にソフトウエア開発を目的に有限会社として設立され、2003年に教育サービス業務を開始しました。2013年にアスリーブレインズを子会社化して体制を強化し、2018年にJASDAQ(スタンダード)市場へ上場を果たしました。その後も2022年にウイーズ・システムズを子会社化し、セキュリティソリューション業務を開始するなど、事業領域を拡大しています。

連結従業員数は739名、単体では684名体制です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるNAMで、第2位は個人株主、第3位は従業員持株会となっています。安定した株主構成のもと、独立系企業としての経営体制を維持しています。

氏名 持株比率
NAM 35.34%
吉原 孝行 4.60%
ディ・アイ・システム社員持株会 4.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性4名の計10名で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長は富田健太郎氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
富田 健太郎 代表取締役社長営業本部長、ITインフラソリューション事業部担当、DXソリューション事業部担当 2001年同社入社。営業本部長、常務取締役を経て、2019年より現職。アスリーブレインズ代表取締役社長を兼務。
長田 光博 取締役会長 1980年経営情報センター入社。1997年に同社(有限会社)を設立し社長に就任。2019年代表取締役会長を経て、2025年より現職。
関亦 在明 代表取締役副社長業務推進部長、財務本部・管理本部担当 アクセンチュアを経て2004年同社入社。管理本部長、専務取締役等を歴任し、2025年より現職。ステップコム取締役副社長を兼務。
大塚 豊 常務取締役経営企画本部担当 シー・エス・イーを経て2000年同社入社。内部監査室長、執行役員、取締役経営企画本部長等を歴任し、2025年より現職。
吉本 史朗 取締役システムインテグレーション事業部長 フルノシステムズを経て2001年入社。西日本事業部長、技術本部長等を歴任し、2021年より現職。
杉田 誠一郎 取締役ビジネスインテグレーション事業部長 2004年入社。ネットワークインテグレーション部長、ビジネスサポート部長を経て、2023年より現職。
仲 麻衣子 取締役 USEN、三菱UFJトラストビジネスを経て、2025年より現職。


社外取締役は、筒井佳子(弁護士)、片岡詳子(弁護士)、龍田有理(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システムインテグレーション事業」および「教育サービス・セキュリティソリューション事業」を展開しています。

(1) システムインテグレーション事業


通信・金融・流通・医療・官公庁など幅広い業種に対し、業務用アプリケーションの設計開発やインフラシステムの設計構築、運用保守業務を提供しています。顧客の要望に応じ、スクラッチ開発やパッケージ利用によるシステム提案を行うほか、サーバーやネットワーク等のIT基盤構築も手掛けています。

収益は、顧客からのシステム開発やインフラ構築、運用保守の対価として得ています。契約形態は派遣・準委任契約による常駐型や請負契約による一括受託型があります。運営は主に同社が行っていますが、連結子会社のステップコムも一部事業を担っています。

(2) 教育サービス・セキュリティソリューション事業


IT研修の企画・実施やコンサルティングを行う教育サービスと、セキュリティ製品の開発・販売を行うセキュリティソリューションを提供しています。教育サービスでは新入社員や中堅社員向けの技術研修を行い、セキュリティ分野では金融機関等を対象にログ管理製品などを提供しています。

収益は、企業からの研修受講料やカリキュラム開発費、およびセキュリティ製品のライセンス料や保守料から得ています。運営は、教育サービス分野を主にアスリーブレインズが、セキュリティソリューション分野をウイーズ・システムズが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで成長を続けています。経常利益も売上拡大に伴い増加傾向にあり、安定した利益率を維持しています。DX需要の取り込みやストックビジネスの積み上げにより、順調に事業規模を拡大させていることが読み取れます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 47億円 55億円 62億円 68億円 72億円
経常利益 2.1億円 2.9億円 3.4億円 3.4億円 3.6億円
利益率(%) 4.5% 5.2% 5.4% 5.0% 5.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.5億円 1.6億円 2.2億円 2.1億円 2.1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。利益率も安定しており、本業の収益力は維持されています。営業利益についても増益を確保しており、事業成長に伴うコスト増を吸収しながら利益を創出している状況です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 68億円 72億円
売上総利益 13億円 15億円
売上総利益率(%) 19.6% 20.4%
営業利益 3.4億円 3.6億円
営業利益率(%) 5.0% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.9億円(構成比26%)、役員報酬が1.7億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


システムインテグレーション事業は、DX推進を背景とした企業のIT投資需要を取り込み、売上・利益ともに増加しました。教育サービス・セキュリティソリューション事業も、IT人材育成需要の高まりやセキュリティ製品の販売好調により、大幅な増収増益を達成しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
システムインテグレーション事業 62億円 65億円 11億円 13億円 19.7%
教育サービス・セキュリティソリューション事業 6億円 8億円 2億円 3億円 32.7%
連結(合計) 68億円 72億円 3億円 4億円 4.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで本業から現金を創出できており、その資金で投資を行い、借入金の返済や配当支払いを行っている健全型です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 1.7億円 3.0億円
投資CF -0.7億円 -2.2億円
財務CF -1.3億円 -1.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「コンピュータ関連業務を通じて無限の夢を創造する、無限の夢を実現する」を経営理念として掲げています。最新のIT技術動向を把握し、顧客との対話を通じて要望やシステムを深く理解した上で、最適な技術サービスを提案・提供することで社会への還元を目指す方針です。

(2) 企業文化


「顧客要望に対して最適なシステム提案を行う」という方針のもと、独立系企業としての強みを活かした柔軟な提案を重視しています。また、社員の多様性や個性を尊重し、安心して生き生きと働ける職場環境の整備を進めるとともに、常に新しい技術を習得し変化し続けることができる人材育成の風土を持っています。

(3) 経営計画・目標


さらなる事業規模拡大を目指し、重要な指標として社内研修のコース数・研修時間や、新卒・中途採用人数を設定しています。また、内部管理体制の充実度として事務処理件数、営業力強化として顧客リピート率や新規顧客数を重視し、事業拡大と投資のバランス管理のため、営業利益率を重要な指標と位置づけています。

* 2028年9月期目標:売上高100億円
* 2028年9月期目標:営業利益10億円
* 2028年9月期目標:営業利益率10.0%

(4) 成長戦略と重点施策


DX推進やAI技術の活用拡大を背景に、多様化する市場ニーズに対応できる体制づくりを強化します。具体的には、元請け案件の拡大や新技術分野への進出、AI活用教育プラットフォームの開発等による高収益モデルの確立、および積極的な採用とエンジニア育成による技術力強化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業規模拡大のため、優秀な人材の確保と育成を重視しています。教育サービスで培ったノウハウを活用し、意欲ある人材を早期にエンジニアへ育成する体制を構築しています。また、Web面接やテレワーク導入により広域からの採用を強化するとともに、国籍・年齢・性別を問わないダイバーシティ推進や、社員満足度向上による定着率改善に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 30.4歳 6.2年 4,544,237円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.9%
男性育児休業取得率 72.7%
男女賃金差異(全労働者) 79.2%
男女賃金差異(正規) 79.9%
男女賃金差異(非正規) 32.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用人数(45名)、中途採用人数(31名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境に関するリスク


事業は技術革新と密接に関連しており、急激な技術動向の変化への対応遅延が業績に影響する可能性があります。また、景気動向の影響を受けやすく、顧客企業のIT投資縮小や延期がリスク要因となります。参入障壁が低いため、競合増加による競争激化も懸念されます。

(2) 当社グループ事業に関するリスク


一括請負型開発における見積り精度の問題や技術的要因により不採算プロジェクトが発生する可能性があります。また、システム開発における個人情報漏洩やシステムトラブル、協力会社の確保困難、長時間労働の発生などが、信用失墜や損害賠償請求を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定顧客への依存について


NTTドコモビジネスグループへの売上依存度が比較的高く、2025年9月期で14.6%を占めています。取引額の拡大とともに他顧客の開拓も進めていますが、同グループとの取引が大幅に減少した場合や取引継続が困難になった場合、業績に影響が出る可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。