CRGホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

CRGホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。人材派遣や製造請負を行うHR関連事業と、事業者向け金融等のフィナンシャル事業を展開しています。直近の業績は、コールセンター向け派遣の需要縮小等の影響で減収となったものの、利益面では営業利益・経常利益ともに大幅な増益となり、当期純利益も黒字転換を果たしました。


#記事タイトル:CRGホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、CRGホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第12期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. CRGホールディングスってどんな会社?


人材派遣・紹介や製造請負を行う総合人材サービス企業です。「成長を愉しもう。」を理念に掲げています。

(1) 会社概要


1993年に株式会社ジリオンとして設立され、2013年に持株会社体制へ移行しCRGホールディングスが設立されました。2018年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たしています。2024年10月にはグループ内の人材派遣会社3社を合併し、株式会社ミライルとして新たに事業を開始しました。

同グループの連結従業員数は510名、単体では36名です。筆頭株主は同社取締役会長の井上弘氏で、第2位は同氏の資産管理会社であるレッドロックです。第3位には個人大株主が名を連ねており、創業家および役員による持株比率が高いオーナー系企業の特徴を持っています。

氏名 持株比率
井上 弘 27.70%
レッドロック 26.99%
古澤 孝 11.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小田康浩氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
井上 弘 取締役会長 1993年レッドロック代表取締役就任。2001年ミライル代表取締役社長などを経て、2013年同社代表取締役会長に就任。2019年より現職。
小田 康浩 代表取締役社長 2012年キャスティングロード(現ミライル)入社。同社CFO、管理本部長、CRGインベストメント代表取締役などを経て、2024年4月より現職。
三並 史典 取締役 2014年ジョブス(現ミライル)代表取締役就任。プロテクス代表取締役、同社執行役員、ミライル代表取締役社長などを経て、2024年12月より現職。


社外取締役は、半田純也(メンバーズ執行役員)、吉原直輔(元宝印刷常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「HR関連事業」および「フィナンシャル事業」を展開しています。

(1) HR関連事業


人材派遣、人材紹介、製造請負、その他BPO、障がい者雇用サポート、通訳翻訳などのサービスを顧客企業へ提供しています。主力の人材派遣では、コールセンター、事務、製造・物流軽作業、販売促進、エンジニアなど幅広い職種に対応しています。

収益は、派遣サービスや業務請負の対価として顧客企業から受け取る料金が主な源泉です。運営は、株式会社ミライルが人材派遣・紹介を、株式会社プロテクスが製造請負を、株式会社パレットが障がい者福祉サービスを、株式会社オシエテが通訳・翻訳事業をそれぞれ担当しています。

(2) フィナンシャル事業


事業者向けの金融サービスや、M&A仲介・投資サービスを展開しています。企業の資金繰りを支援する手形割引や不動産担保融資など、多様なニーズに対応した金融ソリューションを提供しています。

収益は、貸付金に対する利息や手数料収入などが主な源泉です。運営は、事業者向け金融業を営む株式会社クレイリッシュ(持分法適用会社)や、M&A・投資事業を行うCRGインベストメント株式会社が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は200億円前後で推移してきましたが、直近2期は減少傾向にあります。利益面では2023年9月期以降低迷していましたが、当期は経常利益が回復し、当期純利益も黒字転換しました。利益率は低い水準で推移しており、収益性の向上が課題となっています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 195億円 214億円 208億円 171億円 164億円
経常利益 5億円 5億円 1億円 0.4億円 2億円
利益率(%) 2.4% 2.2% 0.5% 0.3% 1.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.5億円 2.5億円 1.5億円 -1.5億円 1.5億円

(2) 損益計算書


売上高は減少したものの、売上原価の低減により売上総利益は増加し、営業利益率は改善しました。販管費も微増にとどまっており、効率的な事業運営が進められていることが伺えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 171億円 164億円
売上総利益 38億円 41億円
売上総利益率(%) 22.4% 25.0%
営業利益 0.9億円 3億円
営業利益率(%) 0.5% 1.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が12億円(構成比33%)、支払手数料が4億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


HR関連事業はコールセンター向け派遣の需要減などにより減収となりましたが、利益は倍増しました。フィナンシャル事業は売上高、利益ともに大幅に伸長し、全社の利益回復に貢献しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
HR関連事業 169億円 158億円 0.9億円 2億円 1.2%
フィナンシャル事業 2億円 6億円 1億円 2億円 34.3%
調整額 - - -1億円 -1億円 -
連結(合計) 171億円 164億円 0.9億円 3億円 1.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「事業検討型」のキャッシュ・フロー状態です。本業の営業キャッシュ・フローがマイナスとなる一方、資産売却等による投資キャッシュ・フローのプラスで資金を確保しています。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に営業貸付金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -18億円 -0.1億円
投資CF -15億円 19億円
財務CF 31億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「成長を愉しもう。」という基本理念を掲げています。これは、人も企業も持続的に成長するには成長を愉しむことが大切であり、新しいことへの挑戦を通じて成長できるという考えに基づいています。関わるすべての人を大切にし、誰もがいきいきと働ける社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、ステークホルダーとのコミュニケーションを図り、関係性を構築し、共に成長をしていく(Communication, Relation, Growing)という社名(CRG)に込められた想いを大切にしています。共に手を携えてより大きな組織、理想とする形を作り上げていこうという文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、持続的な成長と企業価値向上のため、収益力の強化と経営の効率化を図ることを目標としています。具体的には、売上高成長率および売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を目指して事業運営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


主力の人材派遣事業において、コールセンター等の顧客開拓や女性・シニア・グローバル人材の活用強化、常用型派遣による高スキル職種への展開を進めます。また、ITやAIを活用したマッチング精度向上や業務効率化により、サービスの高付加価値化と収益性向上を図ります。

製造請負事業では、生産性向上による顧客満足度の獲得と業務拡大を目指します。さらに、RPAやAIを活用したITソリューションの提供、障がい者福祉サービスや通訳・翻訳、宿泊管理などの多角的な事業展開を通じて、収益基盤の拡大と事業ポートフォリオの拡充に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的成長のために優秀な人材の確保と育成が不可欠であると認識しています。派遣スタッフに対しては専門性の高い教育・研修体制を強化し、正社員に対しては提案力やチーム力を向上させる教育を推進しています。また、ダイバーシティ推進として、女性、シニア、障がい者、グローバル人材などの多様な人材活用に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 40.4歳 8.5年 6,849,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.0%
男性育児休業取得率 57.1%
男女賃金差異(全労働者) 60.5%
男女賃金差異(正規雇用) 61.2%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※男性育児休業取得率は連結子会社(株式会社ミライル)の数値です。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の動向について


人材派遣紹介事業は、社会情勢や景気変動等の外部環境の影響を受けやすい性質があります。雇用環境の変動や市場環境が悪化した場合には、グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、新規事業の創出や経営効率の改善に取り組んでいます。

(2) 他社との競合について


人材派遣紹介業界には多数の競合企業が存在し、競争が生じています。人件費高騰分の価格転嫁等により収益性確保に努めていますが、同業他社間での価格競争により取引単価が低迷した場合には、経営成績に影響が出る可能性があります。

(3) 派遣スタッフの確保について


クライアントの要望に応えるためには、派遣スタッフの安定的な確保が重要です。求人媒体での募集やプロモーション活動を行っていますが、雇用情勢の変化等により必要な人材を十分に確保できない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 派遣料金について


人材派遣紹介事業では、派遣料金とスタッフ給与の差額が収益となります。給与水準の上昇や社会保険料負担増に合わせて派遣料金の値上げ交渉を行っていますが、これらが連動しない期間が長期化した場合、収益性が低下するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。