レオクラン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レオクラン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社はスタンダード市場に上場しており、医療機関等の新築・移転支援や医療機器販売を行うメディカルトータルソリューション事業を主力としています。遠隔画像診断や給食事業も展開しています。直近の業績は、主力事業での大型案件増加等により売上高は前期比8.5%増、経常利益は同70.5%増と増収増益でした。


※本記事は、株式会社レオクラン の有価証券報告書(第25期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レオクランってどんな会社?


医療機関の設立・運営支援から医療機器販売、遠隔画像診断、給食サービスまで、医療・福祉分野を総合的にサポートする企業です。

(1) 会社概要


2001年1月に大阪府吹田市で設立され、2007年3月には遠隔画像診断サービスを行う京都プロメドを設立しました。2019年10月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2022年4月の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。2025年10月にはファスキアホールディングスの株式を取得し子会社化しています。

2025年9月30日現在の従業員数は連結155名、単体123名です。筆頭株主は創業者の関係会社と思われる株式会社A&Mで、第2位は投資事業有限責任組合、第3位も投資事業有限責任組合となっています。創業者である杉田昭吾氏個人も株式を保有しています。

氏名 持株比率
A&M 33.69%
UH Partners 2投資事業有限責任組合 7.45%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.49%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は竹内 興次氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
竹内 興次 代表取締役社長 西本産業(現 キヤノンメドテックサプライ)を経て2001年同社入社。営業副本部長、大阪支店長、営業本部長、常務取締役を経て、2024年10月より現職。
杉田 昭吾 代表取締役会長 西本産業(現 キヤノンメドテックサプライ)を経て、メディカル・トータル・プランナー設立。2001年同社設立とともに代表取締役社長に就任。2024年10月より現職。
山田 敏史 取締役営業本部長兼大阪営業統括部統括部長 2002年同社入社。大阪支店営業1部部長、大阪プロジェクト統括部統括部長、執行役員等を経て、2024年12月より現職。
田上 誠二 取締役営業推進統括部統括部長兼営業推進1部部長 2002年同社入社。大阪支店営業2部部長、営業推進統括部統括部長、執行役員等を経て、2025年10月より現職。
西本 篤史 取締役管理本部長 西本産業(現 キヤノンメドテックサプライ)を経て2016年同社入社。大阪支店営業3部部長、アカウント営業部部長、管理本部副本部長を経て、2025年10月より現職。


社外取締役は、尾﨑 健治(元フクダ電子専務取締役)、小笠原 士郎(御堂筋税理士法人社員・ファウンダー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディカルトータルソリューション事業」、「遠隔画像診断サービス事業」および「給食事業」を展開しています。

メディカルトータルソリューション事業


医療機関、健診施設、介護・福祉施設等に対し、新築・移転・増改築時の医療機器選定等のコンサルティングを行います。設計段階からの技術支援、予算・スケジュール管理をワンストップで提供し、医療機器、医療設備、医療情報システム等を販売します。

収益は、顧客である医療機関等から医療機器等の販売代金やコンサルティング料、保守・メンテナンス料を受領します。運営は主にレオクランが行うほか、子会社の医療開発研究所、L&Gシステム、関連会社のTUホームケアも事業を営んでいます。

遠隔画像診断サービス事業


医療機関で撮影されたCTやMRI等の医用画像を、放射線診断専門医が遠隔で診断し、情報提供を行うサービスです。専門医不足や偏在の課題に対応し、常時専門医が常駐する読影センターにて緊急の画像診断にも対応できる体制を整えています。

収益は、依頼元の医療機関から画像診断サービス料を受領します。運営は連結子会社である京都プロメドが行っています。

給食事業


介護・福祉施設等に向けた給食サービスです。「クックチル」システムを活用し、セントラルキッチンで集中調理した製品を配送する「おかず販売」と、施設の厨房に職員を配置して食事を提供する「業務受託サービス」を行っています。

収益は、サービス提供先の施設から給食サービスの対価を受領します。運営は連結子会社であるゲイト(ブランド名:クックレオ)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は2022年9月期をピークに一度減少しましたが、直近では回復傾向にあります。利益面では、経常利益率が1〜2%台で推移しており、2024年9月期に低下しましたが、2025年9月期には改善しています。当期純利益も同様の傾向を示し、直近では増益となりました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 263億円 298億円 266億円 198億円 215億円
経常利益 6.0億円 7.1億円 4.3億円 1.8億円 3.1億円
利益率(%) 2.3% 2.4% 1.6% 0.9% 1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.9億円 4.4億円 2.7億円 1.4億円 1.5億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高は増加し、売上総利益、営業利益ともに増加しています。特に営業利益率は改善傾向にあります。売上原価率や販管費率のバランスが変化し、利益率の向上に寄与していることが伺えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 198億円 215億円
売上総利益 26億円 27億円
売上総利益率(%) 13.2% 12.8%
営業利益 1.8億円 2.9億円
営業利益率(%) 0.9% 1.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が9億円(構成比38%)、賞与引当金繰入額が1.0億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のメディカルトータルソリューション事業は大型案件の増加等により増収増益となりました。遠隔画像診断サービス事業も読影診断数の増加で堅調に推移しています。給食事業は前期の解約影響等で減収減益となりました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
メディカルトータルソリューション事業 186億円 203億円 0.9億円 3.1億円 1.5%
遠隔画像診断サービス事業 7.8億円 8.2億円 0.7億円 0.7億円 8.4%
給食事業 4.2億円 4.1億円 0.1億円 0.1億円 2.2%
連結(合計) 198億円 215億円 1.8億円 2.9億円 1.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CF、投資CF、財務CFがいずれもマイナスの末期型(本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的)となっています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 0.3億円 -0.9億円
投資CF 1.0億円 -6.2億円
財務CF -1.0億円 -1.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、「利他利己」「INNOVATION & CREATION」「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」を企業理念とし、「企業理念に基づいて、社業の発展を図り、顧客との共存を維持し、社会に貢献しつづける存在でありたい」という経営理念を掲げています。医療・福祉・保健の分野で問題解決に寄与するエキスパートとして、また未来への付加価値を創造するパイオニアとして社会貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同グループは経営原則として、「会社の発展と社員の幸せの一致を図る」「家族を含めた人が財産であり、人を大切にする企業集団であり続ける」を掲げています。従業員にとって働きやすい職場であることが何よりも重要であると考え、人材育成や職場環境づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指し、事業拡大の観点から売上高を重要な経営指標と位置づけています。また、強固な経営基盤および高利益体質を構築するため、収益性を評価する指標として売上総利益率および経常利益率を重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


メディカルトータルソリューション事業では、案件数の確保と「トータルパックシステム」(基本計画から開院までをトータルで支援すること)の供給量増大、コンサルティング力・営業力の強化、IT部門等の高付加価値ビジネスの推進に取り組みます。また、グループ会社間のシナジー発揮、M&Aによる事業基盤強化、外部リソースを活用した新規事業開発も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


医療機器専門商社として、専門知識を持つ人材やプロジェクトマネージャーの確保・育成を重要課題としています。OJTを中心とした実践経験による能力開発に加え、社内研修や外部研修、資格取得奨励などを行います。また、「人を大切にする企業集団」として、仕事と育児・介護の両立支援や女性活躍支援など、多様な働き方ができる職場環境の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 39.2歳 8.9年 6,828,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有年次有給休暇の取得率(65.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制について


同社グループが取り扱う医療機器の販売等は医薬品医療機器等法等の規制を受けており、高度管理医療機器販売業・貸与業許可等の許認可が必要です。これまで許認可の取消し等は受けていませんが、法令違反等により許認可が取り消された場合、グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 医療施設等の施設需要の動向について


主力事業であるメディカルトータルソリューション事業は、医療機関等の移転新築・増改築案件を中心に展開しています。医療行政、厚生予算、建築費の動向などにより、各年度における大型案件の受注が増減し、これに伴い業績が変動する可能性があります。

(3) 業績の変動について


医療機関への機器一括販売は金額が多額であり、かつ取引先の会計年度の関係で売上が3月や9月に集中する傾向があります。このため、四半期ごとの売上高が偏ることがあり、特定の四半期の業績のみで通期の業績を見通すことは困難です。また、大型案件のスケジュール重複時には人員配置の限界が事業拡大の制約となる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。