Amazia 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Amazia 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。フリーミアム型マンガアプリ「マンガBANG!」を主力とするエンターテイメント事業を展開しています。2025年9月期は、主力アプリの広告収益減少などが響き減収となりました。利益面では、先行投資の影響もあり営業損失および当期純損失を計上しています。


※本記事は、株式会社Amazia の有価証券報告書(第16期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Amaziaってどんな会社?

フリーミアム型マンガアプリ「マンガBANG!」の運営を主力とする企業です。近年はオリジナル作品の制作や越境ECなど新規事業にも注力しています。

(1) 会社概要

2009年に設立され、2014年に主力サービスとなるフリーミアム型マンガアプリ「マンガBANG!」の提供を開始しました。2018年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たしています。その後、2021年にはオリジナルレーベル「マンガBANGコミックス」を創刊、2024年には子会社Amazia Linkを設立するなど事業を拡大しています。

連結従業員数は53名、単体では38名です。筆頭株主は創業者の佐久間亮輔氏で、第2位は取締役CTOの江口元昭氏です。また、第3位には電子書籍取次大手で資本業務提携関係にある株式会社メディアドゥが名を連ねています。

氏名 持株比率
佐久間 亮輔 36.49%
江口 元昭 24.33%
メディアドゥ 2.13%

(2) 経営陣

同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は佐久間亮輔氏です。取締役5名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐久間 亮輔 代表取締役社長 ジャフコ、シーエー・モバイル(現 CAM)戦略投資室長、イデアコミュニケーション代表取締役を経て、2009年同社設立し現職。
江口 元昭 取締役CTOサービス開発部マネージャー フューチャーシステムコンサルティング(現 フューチャーアーキテクト)、イデアコミュニケーション取締役を経て、2009年同社設立し現職。
神津 光良 取締役CFO 監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)、野村證券出向を経て、2017年より現職。WithLinks取締役等を兼任。


社外取締役は、村野慎之介(元パラダイムシフト取締役)、中野玲也(森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「エンターテイメント事業」、「ITソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) エンターテイメント事業

スマートフォン向けフリーミアム型マンガアプリ「マンガBANG!」やWeb版「マンガBANGブックス」の企画・運営を行っています。また、オリジナルマンガ制作や海外向けマンガアプリ、越境ECサイト「Fandom Tokyo」の運営も手掛けています。

アプリ内での課金収入および広告主からの広告料収入が主な収益源です。また、電子書籍の販売やオリジナル作品の版権収入、ECでの商品販売収入も得ています。運営は主にAmaziaが行い、海外版アプリ等は株式会社Amazia Linkが担当しています。

(2) ITソリューション事業

IT業界の人材不足解消を目指し、エンジニア人材を顧客企業へ提供するSES(システムエンジニアリングサービス)事業を展開しています。また、SEOメディアの運営やポイ活アプリ「PetWalk」の企画・運営も行っています。

SES事業では顧客企業からの業務委託料を、メディア・アプリ事業では広告主からの成果報酬型広告収益を得ています。運営は株式会社Amazia Linkが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近2期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では、広告市況の悪化や先行投資の影響により経常損失および当期純損失が続いていますが、赤字幅は縮小しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 36億円 28億円
経常利益 -4.0億円 -3.6億円
利益率(%) -11.2% -12.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -5.9億円 -3.7億円

(2) 損益計算書

売上高の減少に伴い売上総利益も減少しており、売上総利益率は約20%となっています。販売費及び一般管理費は抑制されていますが、依然として負担が重く、営業損失の状態が続いています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 36億円 28億円
売上総利益 10億円 6億円
売上総利益率(%) 26.9% 20.3%
営業利益 -4.0億円 -3.6億円
営業利益率(%) -11.2% -12.7%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が3.3億円(構成比35.5%)、給与手当が2.1億円(同21.9%)を占めています。売上原価の多くは電子書籍のロイヤリティ等が占めていると考えられます。

(3) セグメント収益

エンターテイメント事業が売上の大半を占めており、コスト抑制などにより当期はわずかながら黒字を確保しました。ITソリューション事業は立ち上げ段階であり、先行投資の影響で赤字となっています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
エンターテイメント事業 36億円 28億円 -0.5億円 0.1億円 0.2%
ITソリューション事業 0.0億円 0.5億円 -0.2億円 -0.5億円 -89.7%
調整額 - - -3.3億円 -3.2億円 -
連結(合計) 36億円 28億円 -4.0億円 -3.6億円 -12.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フローともにマイナスとなっており、手元資金を活用して事業運営と先行投資を行っているフェーズです。財務キャッシュ・フローはゼロであり、当期において新たな資金調達や返済は発生していません。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -3.4億円 -4.5億円
投資CF -0.8億円 -0.2億円
財務CF 0.0億円 0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-36.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「世界にチャレンジするインターネットサービスを創る」を経営理念として掲げています。日常で生まれるスキマ時間を充実できる質の高いサービスや事業を創出し、絶えず変化するインターネット分野で新しい楽しさや便利さを生み出し続けることを目指しています。

(2) 企業文化

同社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、新たな事業領域への挑戦を重視しています。また、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生の構築に努め、自律性を促すチーム制を採用することで、個人のパフォーマンスを最大化させる組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標

同社グループは、成長期において事業規模の拡大を重視しており、「売上高」を重要な経営指標としています。現在は2025年9月期を先行投資期間と定め、2026年9月期以降の再成長と黒字化を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策

同社は、主力サービスの収益性改善と新規事業の育成により、成長性と収益性のバランスを図る方針です。具体的には、「マンガBANG!」の利益確保、オリジナルマンガ制作の拡大、SESや越境ECなどの新規事業立ち上げに注力しています。

* アプリ外課金の導入による決済手数料削減
* WEBTOONを含むオリジナル作品の制作強化とIP展開
* SES事業および越境ECサイト「Fandom Tokyo」への先行投資継続
* M&Aの積極的な活用と優秀な人材の確保・育成

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は事業拡大のため、特にエンジニアや編集者の採用に力を入れています。また、生産性向上のための生成AI利活用教育や、社内教育制度の整備、多様な働き方を実現する職場環境の改善に取り組んでいます。グローバルに活躍できる優秀な人材の確保と育成を重要課題としています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 37.6歳 4.1年 6,547,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男女賃金差異については、提出会社及び連結子会社が公表義務の対象ではないため、有価証券報告書には記載がありません。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) マンガアプリ事業について

電子書籍市場は拡大基調にあるものの、競合が激しく、法制度や規制による参入障壁も低い状況です。市場拡大の鈍化、競争激化による顧客単価の伸び悩み、法制度の改定などが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) アプリ広告の動向について

同社のマンガアプリは多くの広告主等へ広告掲載を委託しており、経済状況や市況、広告主の経営状況により収益性が変動します。広告出稿意欲の減衰や広告単価の下落が生じた場合、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(3) プラットフォーム運営事業者の動向について

売上の大半はアプリを通じた課金および広告であり、Apple Inc.やGoogle Inc.への依存度が高くなっています。これらの事業者の戦略転換、手数料率の変動、方針変更によるアプリ削除などが生じた場合、業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 越境EC事業について

取り扱うホビー関連商品は流行の変化が速く、景気の影響を受けやすい傾向があります。需要動向への対応遅れや販売計画との乖離による在庫の陳腐化、各国の法令や為替変動、関税などの問題に対処できない場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。