※本記事は、株式会社ピアズ の有価証券報告書(第24期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ピアズってどんな会社?
通信業界の販売現場支援からスタートし、現在はオンライン接客やAI活用によるDX支援も展開する企業です。
■(1) 会社概要
2005年1月に有限会社ピアズとして商号変更し事業を開始しました。2019年6月に東証マザーズへ上場し、2020年11月には株式会社Qualiagramを設立してAIロープレ研修システム「mimik」の提供を開始しました。2022年4月の市場区分見直しに伴い東証グロース市場へ移行した後、2025年8月にはベルフェイスシステム株式会社を子会社化するなど事業拡大を進めています。
同グループの従業員数は連結413名、単体413名です。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社である3-SHINEで、第2位は代表取締役社長個人、第3位は取締役個人となっており、経営陣が株式の多くを保有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 3-SHINE | 45.44% |
| 桑野 隆司 | 2.66% |
| 吉井 雅己 | 2.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は桑野隆司氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 桑野 隆司 | 代表取締役社長 | 2005年1月に同社代表取締役社長に就任し現職。3-SHINE代表取締役社長等を兼任。 |
| 吉井 雅己 | 取締役 | 1998年コスモテレコム入社。同社専務取締役、経営企画部長等を経て、2020年Qualiagram代表取締役社長就任。2024年12月より現職。 |
| 栗田 智代 | 取締役 | 2005年大垣共立銀行入行。2009年に同社入社。2020年12月より現職。 |
社外取締役は、児玉英司(ボールキャピタル代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンサルティング事業」を展開しています。
■コンサルティング事業
通信キャリアや販売店(キャリアショップ、家電量販店等)に対し、運営課題や販売課題の解決策を提案するセールスプロモーション、店舗運営の省人化・無人化を支援するオンライン接客/セールス、AI技術を活用した人材育成支援を行うAIボーディングを提供しています。
収益は、顧客企業からのコンサルティングフィーや販売支援等の業務委託料、システムの利用料などから得ています。運営は主にピアズが行っているほか、連結子会社のQualiagramがシステム開発やコンサルティングを、ベルフェイスシステムがシステム開発等を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年9月期から2025年9月期までの業績推移です。売上高は拡大傾向にありましたが、直近では横ばいから微減となりました。経常利益および当期純利益は、2022年9月期以降黒字化し、安定した利益率を維持しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 38億円 | 56億円 | 62億円 | 61億円 |
| 経常利益 | 1億円 | 1億円 | 4億円 | 5億円 | 5億円 |
| 利益率 | 4.4% | 2.0% | 7.2% | 7.3% | 8.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | -1億円 | 2億円 | 5億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は前期比で減少しましたが、売上総利益および営業利益は増加しており、収益性が向上しています。特に営業利益率は改善傾向にあります。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 62億円 | 61億円 |
| 売上総利益 | 16億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.4% | 28.5% |
| 営業利益 | 5億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 7.7% | 9.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3億円(構成比29%)、支払報酬が2億円(同14%)を占めています。また、のれん償却額が1億円(同10%)計上されています。売上原価においては、労務費や外注費が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
同社は「コンサルティング事業」の単一セグメントです。当期の売上高は、コンサルティングを中心とした粗利の高い案件への注力や不採算事業の整理等により、前期比で微減となりました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| コンサルティング事業 | 62億円 | 61億円 |
| 連結(合計) | 62億円 | 61億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ピアズはコンサルティング事業を主軸とし、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加により黒字を確保しました。投資活動では、子会社株式の取得があったものの、貸付金の回収により支出を抑制しました。財務活動では、自己株式の取得や長期借入金の返済により資金を使用しました。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 7億円 |
| 投資CF | -1億円 | -1億円 |
| 財務CF | -7億円 | -8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「いつかの未来を、いつもの日々に~New Normal Acceleration」をパーパスに掲げています。ITを中心とした先端技術の社会実装を通じて社会の豊かさを実現することを目指し、実用性の高い技術を用いて販売現場の生産性を高めるコンサルティングを展開しています。
■(2) 企業文化
同社は「通信業界の販売現場で困っているスタッフを助けたい」という想いから事業を開始しました。社会の変化や顧客のニーズに合わせて、従来のオフライン支援からオンライン、AI活用へと柔軟にサービスを進化させる姿勢や、人材育成を中心とした組織強化を重視する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長と企業価値向上のため、収益力の強化と経営の効率化を図っています。重要な経営指標として、以下の数値を目標に掲げ、積極的かつ戦略的な投資ができる体制の強化に取り組んでいます。
* 売上高(成長率)
* EBITDA
■(4) 成長戦略と重点施策
パーパスの実現に向け、独自の提供価値や競争優位を確立し、得られた利益を再投資することで持続的な成長を目指しています。特に、新規事業領域への取り組みを強化し、M&Aや資本・業務提携を活用して収益源の多様化を図るとともに、経営基盤の安定化に向けた組織体制の強化を重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長や企業価値向上において人材を最も重要な経営資源と位置づけ、採用及び育成を重視しています。事業環境の変化に対応できる組織体制を強化するため、人材育成を中心とした組織強化を図るとともに、適宜組織体制の見直しを行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 31.7歳 | 2.2年 | 3,719,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 43.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 83.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 77.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 通信業界への依存
主要事業が通信業界に特化しており、同業界の技術革新や市場環境の変化が激しいため、これらに迅速に対応できない場合、事業存続や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定取引先への依存
売上高の過半数をNTTドコモグループが占めており、同グループとの取引関係が悪化したり、契約条件の変更や取引高の減少が生じた場合、財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
■(3) 競合との競争激化
通信業界のセールスプロモーション領域には多数の競合が存在しており、同社が培ってきたノウハウ等による優位性が維持できなくなった場合、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 人材の確保・育成
事業拡大に応じた十分な人材の確保や育成が進まない場合、あるいは人材の社外流出が生じた場合、事業展開や業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、代表取締役社長への依存度が高く、同氏が業務継続困難となった場合の影響も懸念されます。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。