※本記事は、株式会社サイバー・バズ の有価証券報告書(第20期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. サイバー・バズってどんな会社?
ソーシャルメディアマーケティング事業を主力とし、インフルエンサーネットワークを活用した広告・PR支援を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2006年にサイバーエージェントの子会社として設立され、ブログプロモーション事業を開始しました。2015年にInstagram領域へ進出し、2019年に東京証券取引所マザーズ(現グロース)市場へ上場しました。その後、HR事業やライブ配信関連の新規事業を開始し、2025年にはセレスと資本業務提携契約を締結しています。
同社の連結従業員数は202人、単体では161人です。筆頭株主は社長の高村彰典氏で、第2位はポイントサイト運営やスマートフォン関連事業を行うセレス、第3位はインターネット広告大手のサイバーエージェントとなっており、事業会社との関係性が強い資本構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 高村彰典 | 29.96% |
| セレス | 19.14% |
| サイバーエージェント | 14.91% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は高村彰典氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 高村 彰典 | 代表取締役社長 | 1999年サイバーエージェント入社。2005年同社取締役、2010年10月より現職。 |
| 岩田 真一 | 取締役 | みずほ銀行等を経て、2024年データセクション代表取締役社長CEO兼CFO就任。2024年12月より現職。 |
| 三木 佑太 | 取締役 | 2010年サイバーエージェント入社、サイバー・バズ出向。2019年12月より現職。 |
| 膽畑 匡志 | 取締役 | 2001年サイバーエージェント入社。同社社長室長等を経て、2021年12月より現職。 |
| 都木 聡 | 取締役 | 野村證券等を経て、2005年セレス設立・代表取締役社長就任。2025年12月より現職。 |
社外取締役は、蓮見麻衣子(エバーリッチアセットマネジメント代表)、都賢治(税理士法人アルタス代表社員)、吉羽真一郎(潮見坂綜合法律事務所パートナー)、松本浩介(KLab社外取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「SMM事業」「ライブ配信プラットフォーム事業」および「その他」事業を展開しています。
**(1) SMM事業**
インフルエンサーネットワーク「NINARY」「Ripre」を活用したプロモーションや、企業のSNSアカウント運用代行、SNS広告運用を行っています。顧客は化粧品、日用品、食品メーカーなどの企業が中心です。
収益は、クライアント企業からの広告掲載料、制作費、アカウント運用代行費などが主な柱です。また、自社メディア「to buy」を通じた成果報酬型の収益も含まれます。運営は主にサイバー・バズと子会社のソーシャルベースが行っています。
**(2) ライブ配信プラットフォーム事業**
アーティストやタレントと1対1でオンライントークができるアプリ「WithLIVE」や、オンラインイベントのチケット販売、グッズ販売機能などを提供しています。芸能事務所やレコード会社などが主な顧客です。
収益は、ユーザーによるポイント購入やチケット・グッズ販売の手数料収入などが中心です。運営は子会社のWithLIVEが行っています。
**(3) その他**
HR事業として、SNSマーケティング人材に特化した転職支援サービスや、プロコーチによる1on1コーチングサービス「ONEサポ」などを展開しています。
収益は、人材紹介成立時の紹介手数料などが主な柱です。運営は子会社のBuzzJobが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2024年9月期は、売上高が前期を下回ったものの、利益面では大幅な改善が見られました。前期に計上された多額の損失からの回復が進み、経常利益および当期純利益ともに黒字転換を果たしています。利益率はプラスに転じ、収益性が回復傾向にあります。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 32億円 | 43億円 | 58億円 | 75億円 | 71億円 |
| 経常利益 | 0.0億円 | 1.7億円 | 4.1億円 | -17.1億円 | 3.4億円 |
| 利益率(%) | 0.2% | 4.0% | 7.2% | -22.9% | 4.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.5億円 | 0.3億円 | 2.2億円 | -20億円 | 3.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少しましたが、売上総利益率は若干低下しつつも維持されています。特筆すべきは営業損益の大幅な改善で、前期の巨額赤字から黒字へと転換しました。コストコントロールや貸倒引当金繰入額の減少などが寄与していると考えられます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 75億円 | 71億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 27億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.9% | 37.8% |
| 営業利益 | -17億円 | 3.5億円 |
| 営業利益率(%) | -23.0% | 4.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比43%)、支払手数料が2.5億円(同11%)を占めています。前期に計上された多額の貸倒引当金繰入額がなくなり、販管費全体が大幅に圧縮されました。
■(3) セグメント収益
主力のSMM事業は売上が減少したものの、利益は黒字を確保しました。ライブ配信プラットフォーム事業は増収増益となり、成長を見せています。その他事業(HR事業等)も増収となり、黒字化しています。全社費用等の調整額が利益を圧迫していますが、各事業セグメント自体は利益を生み出しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| SMM事業 | 70億円 | 66億円 | 15億円 | 12億円 | 18.0% |
| ライブ配信プラットフォーム事業 | 3.5億円 | 4.2億円 | 0.3億円 | 0.3億円 | 7.0% |
| その他 | 0.9億円 | 1.0億円 | -0.7億円 | 0.2億円 | 23.2% |
| 調整額 | - | - | -32億円 | -9億円 | - |
| 連結(合計) | 75億円 | 71億円 | -17億円 | 3.5億円 | 4.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -9.3億円 | 2.7億円 |
| 投資CF | -6.5億円 | 4.3億円 |
| 財務CF | 7.5億円 | 0.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は98.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「コミュニケーションを価値に変え、世の中を変える。」というミッションを掲げています。時代の流れを見極め、成長市場に合わせた事業展開を行い、消費者へ新しい「発見」や「体験」などの価値を生み出し続けていくことを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、ソーシャルメディアを用いた事業拡大が期待できる新規領域への積極的な投資を重視する姿勢を持っています。SMM事業で得た収益を、HR事業やライブ配信プラットフォーム事業などの新規領域に再投資し、収益化を実現することで、大幅な売上・利益成長および企業価値の向上を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、経営上目標とする客観的な指標として以下の2つを重視しています。
* 売上高
* 広告粗利
インフルエンサーを活用したマーケティング手法を中心に、クライアントの幅広いニーズに対応するソリューションを提供することで、これらの最大化を図る方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的な成長のため、自社サービスの強化と新規事業の拡充を重点施策としています。SMM事業では、TikTok Shop対応の「WESELL」や講談社との共同メディア「MYPE」などを開始しました。ライブ配信事業では、イベントチケットやグッズ販売まで一気通貫で提供するソリューションを強化し、収益機会の増大を図ります。また、優秀なエンジニア人材の確保や、サービスブランドの知名度向上に向けたプロモーション活動にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人的資本を重要視し、男女の区別なく社員が活躍できる環境整備を進めています。人材定着のため、家賃補助やフレックスタイム制度などのライフサポートに加え、資格取得支援やチャレンジ管理職制度などのキャリア支援を充実させています。また、次世代経営人材の育成に向けた社長直轄の研修なども実施しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 29.5歳 | 3.6年 | 5,957,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員定着率(80.0%)、女性管理職比率(31.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
**(1) 業界動向と景気変動の影響**
インターネット広告市場は拡大傾向にありますが、景気変動により広告主の予算が削減されるリスクがあります。マクロ経済の悪化や主要産業の環境変化があった場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
**(2) インフルエンサーへの依存と管理**
SMM事業では有力なインフルエンサーの確保が重要です。信頼関係の低下により確保が困難になった場合や、インフルエンサーによる不適切な投稿(炎上、法令違反、ステルスマーケティング等)が発生した場合、ブランドイメージの毀損や業績への悪影響が生じる可能性があります。
**(3) 技術革新とサービスの陳腐化**
インターネット広告技術の進化は速く、多くの競合が存在します。保有するサービスや技術が陳腐化し、クライアントのニーズやトレンド変化に対応できなくなった場合、競争力が低下し業績に影響を与える可能性があります。
**(4) プラットフォームの規約変更と動向**
事業はInstagram、X、TikTok等のSNSプラットフォームに依存しています。ユーザーの利用動向の変化や、プラットフォーム側の規約・アルゴリズム変更により従来の広告手法が使用できなくなった場合、業績に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。