インティメート・マージャー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インティメート・マージャー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インティメート・マージャーは、グロース市場に上場するデータプラットフォーム企業です。国内最大級のデータマネジメントプラットフォーム(DMP)を活用し、マーケティング支援やデータ分析サービスを展開しています。直近の業績は売上高34億円、経常利益2.3億円と増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社インティメート・マージャー の有価証券報告書(第13期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. インティメート・マージャーってどんな会社?


同社は、約4.7億のオーディエンスデータを保有する国内最大級のDMP「IM-DMP」を基盤に、データ活用による企業の意思決定支援を行うテック企業です。

(1) 会社概要


同社は、2013年にフリークアウト(現フリークアウト・ホールディングス)とPreferred Infrastructureの合弁により設立されました。2019年に東証マザーズへ上場し、2021年にはポストCookieに対応した広告ネットワークの提供を開始しています。現在はデータ活用領域を金融やセールステック等の「クロステック(X-Tech)」領域へも拡大しています。

現在の従業員数は連結で57名(単体57名)です。筆頭株主は同社の元親会社であり現在も関係会社であるフリークアウト・ホールディングスです。第2位は同社代表取締役社長の簗島亮次氏、第3位は証券会社のSBI証券となっています。

氏名 持株比率
フリークアウト・ホールディングス 40.10%
簗島 亮次 13.60%
SBI証券 2.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は簗島亮次氏が務めています。取締役3名のうち1名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
簗島 亮次 代表取締役社長データビジネス事業本部長コーポレート・コミュニケーション室長管理本部長 グリーを経て、2013年同社設立に伴い代表取締役社長に就任。クレジットスコア代表取締役社長を兼任し、2024年より同社管理本部長も務める。
木村 祐一 取締役開発本部長 ヤフー(現LINEヤフー)、グリー、PayPayを経て、2019年同社入社。開発本部長を務め、2021年より取締役開発本部長。


社外取締役は、寺門峻佑(TMI総合法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DMP事業」を展開しています。具体的には以下のサービスを提供しています。

(1) データマネジメント・アナリティクスサービス


データインフラとして、AI活用や効率的な広告配信のためのデータ提供を行っています。企業のWebサイト来訪者のデータを同社のデータベースと照合し、属性分析やペルソナ作成を可能にします。また、競合社員やボットなどのコンバージョンしないユーザーを除外するフィルタリングや、AIが学習しやすい「AI-Readyデータ」の提供も行っています。

収益は、主にクライアント企業や提携パートナーからのデータ利用料やサービス提供料として受け取っています。運営は主にインティメート・マージャーが行っています。

(2) マーケティング支援サービス


同社のDMPが保有するデータを活用した広告配信サービスを提供しています。効果的な広告配信のためのコンサルティングから運用までをワンストップで提供するほか、Cookie規制に対応した共通IDソリューション「IM-UID」を活用した「IMポストCookieアドネットワーク」も展開しています。

収益は、広告配信にかかる費用やコンサルティング料、運用手数料等をクライアント企業から受け取っています。運営は主にインティメート・マージャーが行っています。

(3) その他のサービス


成果報酬型ディスプレイ広告運用サービス「Performance DMP」や、企業リスト生成サービス「Select DMP」を提供しています。「Performance DMP」ではコンバージョンしやすいユーザーを抽出して成果獲得を支援し、「Select DMP」では商品購入ニーズの高い企業群を抽出してリスト化します。

収益は、成果獲得件数に応じた成果報酬や、サービス利用料としてクライアント企業から受け取っています。運営は主にインティメート・マージャーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に拡大傾向にあります。特に当期は売上高が34億円、経常利益が2.3億円となり、利益面でも大きく伸長しました。当期純利益も前期比で大幅な増益を達成しており、成長軌道に乗っていることが読み取れます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 20億円 28億円 30億円 30億円 34億円
経常利益 0.4億円 0.9億円 1.4億円 0.9億円 2.3億円
利益率(%) 2.0% 3.3% 4.7% 2.9% 6.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.3億円 0.8億円 1.0億円 0.5億円 1.5億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は約25%から約26%へと改善傾向にあります。営業利益については、増収効果により前期の0.9億円から2.3億円へと大幅に増加し、営業利益率も2.9%から6.8%へと向上しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 30億円 34億円
売上総利益 7億円 9億円
売上総利益率(%) 24.9% 26.4%
営業利益 0.9億円 2.3億円
営業利益率(%) 2.9% 6.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3億円(構成比41%)、その他が1億円(同23%)を占めています。売上原価においては、媒体費が23億円(構成比91%)と大半を占めており、広告枠の仕入コストが主要な費用となっています。

(3) セグメント収益


同社はDMP事業の単一セグメントですが、ソリューションごとの売上動向を見ると、データマネジメント・アナリティクスやPerformance DMPが好調に推移しました。特にポストCookieソリューションへの需要増加が寄与しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
DMP事業 30億円 34億円
連結(合計) 30億円 34億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

インティメート・マージャーのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

同社は、本連結会計年度において、主に税金等調整前当期純利益により、営業活動で資金を創出しました。投資活動では、有形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動では、自己株式の取得により資金を使用しました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 0.1億円 2.2億円
投資CF -0.0億円 -0.0億円
財務CF 0.0億円 -2.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「データを用いて人々の意思決定を簡単にする」というミッションを掲げています。「データによる意思決定」はシンプルで効率的であるとの考えに基づき、この仕組みを確立し世の中に広めることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「お客様が抱える課題を解決するためのデータ活用の専門家でありたい」「データをシンプルかつ正しい方法で価値に変換していきたい」「データに関わった人達に楽しさや幸せを感じてもらいたい」という3つの価値観を軸としています。これらを基に、様々な領域でデータを使った効率化を行うことを使命としています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、継続的な事業拡大と企業価値向上のため、「売上高」及び「営業利益」を重要指標として定めています。具体的な数値目標としての中期経営計画等は記載されていませんが、これらの指標の向上を通じて成長を目指す方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、生成AIの普及を好機と捉え、ビジネスモデルを労働集約的な運用代行から、スケーラブルな「データインフラ提供型」へと転換する方針です。また、Cookie規制に対応した共通IDソリューション「IM-UID」の導入加速や、生成AIが学習しやすい「AI-Readyデータ」の提供を通じて、金融・セールス等のクロステック領域への展開を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は今後の成長のために、多様で優秀な人材の確保が不可欠と認識しています。ソーシャルメディア等を活用した採用の多様化により専門性や資質を備えた人材を登用するとともに、研修制度の充実等の教育体制整備を進め、人材の定着と能力の底上げを図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 31.4歳 3.6年 6,517,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、リモートワーク比率(90%)、生成AI補助制度利用率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客ニーズの変化とインハウス化


広告配信の自動化により、顧客企業の間で広告運用を自社で行う「インハウス化」が進んでいます。これにより運用代行への需要が減少し、データ基盤そのものへのニーズが高まっています。同社はこの変化に対応していますが、予期せぬニーズ激変等によりデータ付加価値を維持できなくなった場合、競争力低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット及びデータ活用市場の動向


同社はデータマネジメントプラットフォームを事業基盤としていますが、プライバシー保護規制の強化やCookie利用制限など、市場環境の変化による影響を受ける可能性があります。特に「ポストCookie」対応やAI市場における新たな法規制が発生した場合、同社の事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

(3) 特定の人物への依存


代表取締役社長である簗島亮次氏は、DMPやWebマーケティングに関する豊富な知識と経験を有し、事業運営で重要な役割を果たしています。同社は権限委譲や人材育成を進めていますが、同氏が業務を継続困難になった場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。