※本記事は、Retty株式会社 の有価証券報告書(第15期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Rettyってどんな会社?
実名型口コミにより信頼性の高い飲食店情報を提供するグルメプラットフォーム「Retty」を運営する企業です。
■(1) 会社概要
2010年に設立し、翌年「Retty」をリリースしました。2020年にマザーズへ上場し、2022年にグロース市場へ移行しています。同年、じげん及び同社CEOの平尾丈氏と資本業務提携を締結しました。実名型口コミを強みに利用者数を伸ばし、飲食店支援と広告事業を柱に成長を続けています。
従業員数は単体で87名です。筆頭株主は創業者の武田和也氏で、第2位は資本業務提携先であるじげんの代表取締役社長・平尾丈氏、第3位はベンチャーキャピタル等の投資事業組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 武田 和也 | 22.46% |
| 平尾 丈 | 18.98% |
| YJ2号投資事業組合 | 10.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.0%です。代表取締役執行役員CEOは武田和也氏が務めています。取締役会における社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 武田 和也 | 代表取締役執行役員CEO | 2006年ユビキタス・エクスチェンジ入社、ネットエイジを経て、2010年同社設立、代表取締役社長。2022年より現職。 |
| 川野 寛治 | 取締役執行役員 | 2004年テレウェイブリンクス入社。2016年同社入社、マネージャー、執行役員を経て2022年より現職。 |
| 長束 鉄也 | 取締役執行役員 | 2006年DOWAホールディングス入社。フラクタリストを経て、2010年同社設立・取締役。2023年より現職。 |
社外取締役は、平尾丈(じげん代表取締役社長)、三鴨麻佑子(三鴨公認会計士事務所所長)、森一生(代官山綜合法律事務所代表)、上原祐香(プレミアアンチエイジング執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「実名型グルメプラットフォーム「Retty」運営事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 飲食店支援サービス
全国の飲食店情報を閲覧できる実名型グルメプラットフォーム「Retty」を通じ、飲食店向けにオンラインでの販促サービスや予約システムを提供しています。実名口コミによる信頼性の高い情報提供と、SNS機能を通じたファン作りを強みとしています。
契約した飲食店(有料店舗)からの毎月定額のサービス利用料(サブスクリプション)と、オンライン予約数に応じた従量課金が主な収益源です。運営は同社が行っています。
■(2) 広告コンテンツ
「Retty」のユーザー基盤や蓄積データを活用した広告ソリューションおよびコンテンツソリューションを提供しています。ブランド認知向上を目指す広告主への広告掲載や、他社メディアへの飲食店データ提供などを行っています。
広告主からの広告掲載料や、データ連携基盤「Food Data Platform」を利用するクライアントからの月額利用料などを収益源としています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は15億円から19億円の範囲で推移していますが、利益面では赤字が続いていました。しかし、2025年9月期においてはコスト削減等の効果により、経常利益および当期純利益が黒字化を達成しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 19億円 | 17億円 | 16億円 | 16億円 | 16億円 |
| 経常利益 | -4億円 | -8億円 | -5億円 | -1億円 | 0.1億円 |
| 利益率 | -18.4% | -44.0% | -34.4% | -6.0% | 0.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -4億円 | -9億円 | -6億円 | -1億円 | 0.1億円 |
■(2) 損益計算書
2024年9月期から2025年9月期にかけて、売上高は増加し、営業損益は赤字から黒字へ転換しました。売上総利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 16億円 | 16億円 |
| 売上総利益 | 11億円 | 11億円 |
| 売上総利益率 | 70.2% | 70.1% |
| 営業利益 | -1億円 | 0.2億円 |
| 営業利益率 | -5.8% | 1.2% |
販売費及び一般管理費のうち、販売促進費が3.4億円(構成比30%)、給料及び手当が3.3億円(同29%)を占めています。売上原価では、経費が1.7億円(構成比35%)、広告・コンテンツ制作費が1.6億円(同33%)となっています。
■(3) セグメント収益
飲食店支援サービスはネット予約数の増加に伴う従量課金の伸びにより増収となりました。広告コンテンツもナショナルクライアント等の受注が好調で増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 飲食店支援サービス | 12億円 | 12億円 |
| 広告コンテンツ | 4億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 16億円 | 16億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、事業活動を円滑に実行できるよう、適正な水準の資金の流動性の維持及び確保を最優先としております。
営業活動では、主に前払費用や売上債権、契約資産の増加により資金を使用しました。投資活動では、無形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動では、長期借入金の返済により資金を使用しました。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1億円 | -0.4億円 |
| 投資CF | -0.0億円 | -1億円 |
| 財務CF | -1億円 | -1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「新たな食体験を創り上げ、人生をもっとHappyに。」をビジョンに掲げています。食という生活に密着した領域でテクノロジーを駆使して新しい価値を創造し、実名型グルメプラットフォーム「Retty」を通じて人々が最適な食と巡り合える機会を創出することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は創業時より、社内外を取り巻く「人」に関してカルチャーを重要視して経営を行っています。ビジョンにある「Happy」を実現するため、多様な人材が個性や能力を発揮できる環境整備や、生産性向上を通じた労働環境の改善等に積極的に取り組む姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「Retty」の価値を測る指標として「ネット予約人数」、飲食店支援サービスにおいては「お店会員店舗数」を重要指標としています。また、通期黒字の維持・拡大に向けた収益性の向上を急務と認識し、筋肉質なコスト体制の維持と売上拡大の両立を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的成長に向け、「Retty」の利便性向上によるネット予約利用者数の増加、および営業体制の拡充を掲げています。特に直販組織の強化による売上拡大や、AIをはじめとした先端技術への投資による技術力向上に注力します。また、飲食店DXを支援するプロダクト展開により、集客以外の領域への貢献も目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ビジョンの実現に向け、多様な人材が個性や能力を発揮できる環境の整備を進めています。また、生産性向上を通じた労働環境の改善等、様々な社会課題の解決に向けて積極的に取り組んでいます。開発者比率の維持や優秀な技術者の育成にも注力する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 32.8歳 | 5.1年 | 5,903,049円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 34.6% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 89.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 85.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 99.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、開発者比率(30%程度)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外食市場及び広告市場の変動
同社は国内の外食市場・広告市場で事業を展開しており、景気後退や感染症の流行等により顧客である飲食店の収益が悪化した場合、販促費削減等を通じて同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合他社との競争激化
グルメ情報サービス分野には複数の競合が存在します。実名口コミによる信頼性で差別化を図っていますが、競争激化により参画店舗数や広告受注が減少した場合、業績に影響が生じる可能性があります。
■(3) 検索エンジンへの集客依存
「Retty」の利用者の多くはGoogle等の検索エンジンを経由しています。SEO対策やアプリ誘導等のリスク分散を行っていますが、検索エンジンのアルゴリズム変更等により集客力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 投稿コンテンツの管理
実名口コミを特徴としていますが、不適切な投稿や飲食店情報の誤りによりトラブルが発生した場合、信頼性や評判の低下を招き、事業運営に支障をきたす可能性があります。



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