人・夢・技術グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

人・夢・技術グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、建設コンサルタント事業を主力とする持株会社です。橋梁設計等に強みを持ち、サービスプロバイダ事業も展開しています。2025年9月期の連結業績は、売上高460億円(前期比15.5%増)、経常利益27億円(同54.2%増)と増収増益でした。


#記事タイトル:人・夢・技術グループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、人・夢・技術グループ株式会社の有価証券報告書(第4期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 人・夢・技術グループってどんな会社?


建設コンサルタント事業を中核に、インフラサービスの高度化や再生可能エネルギー事業などを展開する持株会社です。

(1) 会社概要


同社グループの起源は1968年の有限会社長大橋設計センタ(後の長大)設立に遡ります。2011年に基礎地盤コンサルタンツをグループ化し、事業基盤を拡大しました。2021年、長大が単独株式移転により人・夢・技術グループを設立し上場しました。2022年に東証プライム市場へ移行した後、2025年にスタンダード市場へ移行しています。

2025年9月30日時点の連結従業員数は2,150名、単体従業員数は129名です。大株主構成は、筆頭株主が資産管理業務を行う信託銀行、第2位が同社の社員持株会、第3位がグループ会社の創業者に関係する有限会社となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.41%
人・夢・技術グループ社員持株会 10.62%
有限会社ピーシー 6.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は永冶 泰司氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
永冶 泰司 代表取締役社長 1980年長大橋設計センター入社。長大取締役事業推進本部長、同社代表取締役社長最高執行役員などを経て、2021年10月より現職。長大の会長執行役員も務める。
野本 昌弘 代表取締役副社長 1983年長大橋設計センター入社。長大取締役常務執行役員海外事業本部長などを経て、2024年12月より現職。長大代表取締役社長最高執行役員も務める。
野村 英雄 取締役副社長 1994年基礎地盤コンサルタンツ入社。同社取締役執行役員営業本部長などを経て、2024年12月より現職。同社代表取締役社長社長執行役員も務める。
塩釜 浩之 常務取締役経営企画担当 1990年長大入社。同社取締役常務執行役員経営企画本部長などを経て、2021年10月より現職。基礎地盤コンサルタンツ取締役なども兼任。
加藤 聡 上席取締役社長室担当 兼 健康支援室担当 兼コーポレート・ガバナンス担当 1997年旺文社入社。マッコーリーキャピタル証券会社などを経て2009年長大入社。同社取締役上席執行役員経営管理本部長などを経て、2025年10月より現職。
柴田 尚規 取締役(監査等委員) 1983年長大橋設計センター入社。長大内部統制機構統轄部長、同社監査役などを経て、2023年12月より現職。


社外取締役は、二宮 麻里子(弁護士)、酒井 之子(桃山学院大学特任准教授)、岡田 直子(ネットワークコミュニケーションズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルタント事業」、「サービスプロバイダ事業」および「プロダクツ事業」を展開しています。

(1) コンサルタント事業


橋梁や道路、河川等の社会インフラに関わる調査・計画・設計・施工管理等を行うほか、ITを活用した情報サービスや環境・新エネルギー分野のコンサルティングも提供しています。国や地方自治体が主な顧客です。

収益は、顧客からの業務委託料として受け取ります。運営は主に株式会社長大、基礎地盤コンサルタンツ株式会社、株式会社長大テック、株式会社エフェクト等が担当しています。

(2) サービスプロバイダ事業


道路や公共施設の運営、PPP/PFI事業、オンデマンド交通システム、再生可能エネルギー発電事業などを展開しています。

収益は、施設の運営収入や売電収入、サービス利用料等から得ています。運営は主に株式会社長大、順風路株式会社、株式会社南部町バイオマスエナジー等が担当しています。

(3) プロダクツ事業


建設用資材(エコ商品)の販売やレンタル、情報システムの販売・ASPサービスなどを提供しています。

収益は、商品の販売代金やレンタル料、システム利用料として受け取ります。運営は主に株式会社長大が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2023年9月期から2025年9月期にかけて、売上高は着実に増加傾向にあります。利益面では、2024年9月期に一時的な減少が見られましたが、2025年9月期には大きく回復し、経常利益率も向上しています。当期純利益についても、2024年9月期は赤字となりましたが、翌期には黒字転換を果たしています。

項目 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 398億円 398億円 460億円
経常利益 32億円 18億円 27億円
利益率(%) 8.0% 4.4% 5.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 -1.9億円 16億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は概ね安定的に推移しています。営業利益については、2025年9月期において大幅な増益を達成しており、営業利益率も改善しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 398億円 460億円
売上総利益 112億円 128億円
売上総利益率(%) 28.2% 27.9%
営業利益 18億円 27億円
営業利益率(%) 4.5% 5.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が34億円(構成比33%)、賞与が9億円(同8%)を占めています。売上原価においては、外注費等の経費が含まれます。

(3) セグメント収益


主力のコンサルタント事業が売上高・利益ともに全体の大部分を占めており、前期比でも増収増益となっています。サービスプロバイダ事業も増収増益を達成しました。一方、プロダクツ事業は減収となりましたが、黒字を維持しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
コンサルタント事業 383億円 443億円 110億円 125億円 28.3%
サービスプロバイダ事業 8億円 10億円 2億円 2億円 22.1%
プロダクツ事業 8億円 7億円 1億円 1億円 10.2%
調整額 -1億円 -1億円 -0億円 -0億円 -
連結(合計) 398億円 460億円 112億円 128億円 27.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

人・夢・技術グループのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や賞与引当金、業務未払金の増加があったものの、売上債権の増加や法人税等の支払いにより、使用超過となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出により、使用超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済や配当金の支払い等があったものの、短期借入れや長期借入れ、社債の発行による収入がそれを上回り、収入超過となりました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 10億円 -11億円
投資CF -8億円 -6億円
財務CF 8億円 10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人が夢を持って暮らせる社会の創造に技術で貢献する。」という経営理念を掲げています。この理念に基づき、国内外において人権を尊重し、関係法令や国際的ルールを遵守しながら、持続可能な社会の創造に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「人」「夢」「技術」をモットーとしています。多様な人材が互いに協働できる組織風土を醸成し、社員一人ひとりの個性と能力を最大限に発揮できる環境整備を推進しています。また、健康経営宣言を制定し、社員の心身の健康保持・増進にも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、長期経営ビジョン2030の実現に向けた第2フェーズとして、中期経営計画「持続成長プラン2025」を推進しています。

* 連結売上高:430億円
* 連結営業利益:22億円
* 連結従業員数:約2,400人

(4) 成長戦略と重点施策


「持続成長プラン2025」では、国土基盤整備・保全分野の強化に加え、環境・新エネルギー分野および地域創生分野の新たな事業分野としての確立を基本方針としています。また、次期中期経営計画「持続成長プラン2028」を見据え、ICTの活用や海外事業の拡大、M&Aによる体制強化にも注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、持続的な成長に向けて、多様な人材が「働きがい」を持てる環境づくりを推進しています。長時間労働の改善や多様な働き方を可能にする環境整備を進めるとともに、グループ会社間の連携による採用強化を図っています。また、研修プログラムやジョブローテーション制度など、人材育成のための制度拡充にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 46.5歳 14.1年 7,843,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.6%
男性育児休業取得率 77.8%
男女賃金差異(全労働者) 68.3%
男女賃金差異(正規雇用) 68.6%
男女賃金差異(非正規) 47.8%


※上記数値は主要子会社である株式会社長大の実績です。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(6.2%)、法定残業時間超過者(0人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 官公庁への依存


同社グループの売上高の約6割は、国土交通省を含む官公庁向けが占めています。そのため、公共事業投資額の縮減や受注単価の下落等が継続した場合には、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、民間市場の開拓や海外事業の拡大を進め、多様な市場からの収益力強化に取り組んでいます。

(2) 法的規制


事業活動において、独占禁止法や建設業法など様々な法規制の適用を受けています。法令違反が発生した場合、指名停止等の処分や社会的信用の失墜により、業績に重要な影響を与える可能性があります。特に官公庁からの受注が多い子会社では、独占禁止法遵守マニュアルの策定やコンプライアンス教育の実施など、管理体制を強化しています。

(3) 成果品に関する契約不適合責任


成果品のミスにより重大な不具合や契約不適合責任が発生した場合、または行政処分を受けた場合、業績に影響する可能性があります。主要子会社ではISO9001に基づく品質保証システムを導入し、業務レビューや内部監査によるチェック体制を強化しています。また、損害賠償責任保険にも加入しています。

(4) 業績の季節的変動


主要顧客である官公庁への納期が年度末に集中するため、売上高が第2および第4四半期に偏重する傾向があります。このリスクに対し、民間市場や海外事業の拡大による事業ポートフォリオの分散を図るとともに、発注者への協力要請などを通じて業績の平準化に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。