ヒューマンクリエイションホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヒューマンクリエイションホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のIT企業。エンジニア派遣やシステム受託開発、コンサルティングを行うシステムソリューションサービス事業を展開しています。業績は売上高89億円(前期比24.8%増)、経常利益7.7億円(同22.8%増)と増収増益で、M&A等により事業規模を拡大しています。


※本記事は、株式会社ヒューマンクリエイションホールディングスの有価証券報告書(第9期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヒューマンクリエイションホールディングスってどんな会社?


システム開発の上流から下流までを一気通貫で支援するIT企業グループです。M&Aにより事業領域を拡大し、成長を続けています。

(1) 会社概要


同社グループの起源は1974年設立のバンキング・システムズに遡ります。2016年に純粋持株会社として同社が設立され、グループ体制へ移行しました。2019年にアセットコンサルティングフォースを設立、セイリングを子会社化するなど体制を強化し、2021年に東証マザーズ(現グロース)へ上場。その後もヒューマンベース、コスモピア、TARAなどを連結子会社化し、事業領域を広げています。

2025年9月末時点の従業員数は連結914名、単体14名です。筆頭株主は従業員持株会で、第2位は光通信系の投資事業組合です。第3位の日鉄ソリューションズとは資本業務提携を結んでおり、事業上の連携関係にあります。

氏名 持株比率
HCHグループ従業員持株会 8.03%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.23%
日鉄ソリューションズ 5.09%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は富永邦昭氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
富永 邦昭 代表取締役社長 ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)出身。2016年より同社代表取締役社長。グループ会社のブレーンナレッジシステムズやTARAの代表取締役、セイリング等の取締役も兼務。
下田 昌孝 常務取締役 税理士登録後、東京リーガルマインド等を経て2015年バンキング・システムズ入社。2020年より同社常務取締役。コスモピア代表取締役社長等を兼務。
河邉 貴善 取締役管理本部長 ポーラ出身。2017年同社入社。2020年より取締役管理本部長。グループ各社の監査役も兼務。中小企業診断士。
音吉 元樹 取締役 日興証券、PwC、オリックス、三井物産を経て2021年同社入社。TARA代表取締役等を務め、2025年6月より同社取締役。


社外取締役は、島田容男(コンピタント税理士法人代表社員)、仁井見達樹(エレファントフライ・コンサルティング創業者)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システムソリューションサービス事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

システムソリューションサービス事業


システムインテグレーターやメーカー等から受託した企業向け社内システム構築等の案件にエンジニアを派遣し、開発・保守を行います。また、エンドユーザーから直接受託するシステム構築も行います。主要顧客は金融、製造、通信など多岐にわたり、上流のコンサルティングから開発、保守運用、BPOまでをグループ各社が連携して提供しています。

収益は、主に顧客企業との派遣契約または請負契約に基づく対価として受け取ります。運営は、コンサルティングを担うアセットコンサルティングフォース、開発を担うブレーンナレッジシステムズ、保守運用のセイリング、ERP領域のヒューマンベース、BPOのコスモピア、AIソリューションのTARA、M&A仲介のHCフィナンシャル・アドバイザーなどが分担して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 50億円 58億円 65億円 72億円 89億円
経常利益 4.6億円 5.5億円 7.0億円 6.3億円 7.7億円
利益率(%) 9.2% 9.4% 10.8% 8.8% 8.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.1億円 3.1億円 1.2億円 1.7億円 3.0億円


売上高は5期連続で増加しており、事業規模の拡大が続いています。利益面では、2024年9月期に一時的な減少が見られましたが、2025年9月期には回復し、経常利益は過去最高水準となっています。利益率は8〜10%程度で推移しています。

(2) 損益計算書

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 72億円 89億円
売上総利益 21億円 27億円
売上総利益率(%) 29.0% 30.4%
営業利益 6.3億円 7.8億円
営業利益率(%) 8.8% 8.7%


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は約1.4ポイント改善しました。販管費も増加していますが、増収効果により営業利益率は前年並みを維持しています。

販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.4億円(構成比28%)、支払手数料が3.0億円(同15%)を占めています。採用活動費の増加やM&A関連費用などが販管費増加の要因となっています。

(3) セグメント収益


同社はシステムソリューションサービス事業の単一セグメントであるため、全社の売上高推移を記載します。M&Aや技術者派遣の単価向上などにより、売上高は前期比で大きく伸長しました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
システムソリューションサービス事業 72億円 89億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**積極型**:営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 5億円 10億円
投資CF -0.0億円 -9億円
財務CF -5億円 3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は28.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Technology × Human = Future Creation(ITと人財で未来を創造する)」を企業理念として掲げています。主に人財を育成・拡充することでシステムソリューションサービス事業を拡大し、技術力・規模ともに業界の首位グループとなることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は創業以来、ITを通じて「人としてのあり方」を追求してきました。一人では限界があることも、仲間と協力し高め合うことで無限の可能性が広がると考えています。「人」を一番の財産と考え『人財』と表現し、人を育てることや成果を分かち合うことに喜びを感じる企業グループを目指しています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画において、コンサルティングや受託開発を手掛ける子会社群とブレーンナレッジシステムズの受託案件を合わせた「戦略領域」の売上高を重要指標としています。また、エンジニアの保有人数、稼働率、平均契約単価の向上も重視しています。

* 戦略領域売上高:36億円(2025年9月期実績)
* 保有人数:773人(2025年9月期末実績)
* 稼働率:98.6%(2025年9月期実績)
* 平均契約単価:66.7万円(2025年9月期実績)

(4) 成長戦略と重点施策


独自のグループ体制を活かし、システム開発全工程へのサービス提供と上流工程の開拓を目指しています。

* **戦略領域におけるM&A推進**:成長が見込まれるデジタルビジネスプロフェッショナルサービス市場において、M&Aや業務提携を活用し成長を加速させます。
* **エンジニア集団の保有と活用**:グループ内で全工程に対応可能なエンジニアを保有し、フレキシブルに提供します。特にコンサルティング等の高収益な上流工程の獲得拡大を目指します。
* **好循環サイクルの創出**:上流案件への参画、効率的な配置と教育、スキルアップ、単価向上のサイクルを回し、売上・利益の成長を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「業界有数の人財数」「業界有数の技術力」「オリジナルの制度に基づく人財育成力」を課題とし、採用強化や教育プログラムの拡充に取り組んでいます。成果だけでなく行動を重視した評価制度や、独自の研修・eラーニング等により、エンジニアやコンサルタントのスキルアップと定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 45.2歳 4.0年 6,542,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 88.8%
男女賃金差異(正規雇用) 89.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 76.3%


※数値は連結子会社であるブレーンナレッジシステムズのものです。女性管理職比率は有価証券報告書に記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自然災害等によるリスク

地震、台風等の災害や感染症の流行、システム障害等が発生した場合、事業活動が制限され業績に影響を与える可能性があります。

(2) 法的規制等に関するリスク

主力事業は労働者派遣法等の規制を受けており、法令違反や許可の取消し等が発生した場合、事業遂行に支障が生じる可能性があります。法令改正への対応により負担が増加する可能性もあります。

(3) 企業の買収等に関するリスク

M&Aを推進していますが、買収後の経営統合が順調に進まない場合や、人材流出等により期待したシナジーが得られない可能性があります。また、のれんの減損処理が必要となった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。