デコルテ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

デコルテ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のスタジオ運営企業。フォトウエディングやアニバーサリーフォト等のサービスを提供する「スタジオ事業」を主力とし、フィットネスジムも運営しています。2025年9月期の連結業績は、売上収益60億円(前期比8.2%増)、営業利益3億円(同34.3%増)の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社デコルテ・ホールディングス の有価証券報告書(第9期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. デコルテ・ホールディングスってどんな会社?


フォトウエディング等のサービスを提供するスタジオ事業を中核とし、フィットネスジム運営も展開する企業です。

(1) 会社概要


2001年に前身となる旧デコルテが設立され、エステ事業を開始しました。その後、2016年に現法人が設立され、2017年に旧法人を吸収合併。2018年には持株会社体制へ移行し、スタジオ事業等を分社化しました。2021年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、2025年4月にはIBJと資本業務提携契約を締結しています。

2025年9月30日時点で、連結従業員数は469名(単体27名)です。大株主構成については、筆頭株主は事業提携先であるIBJ、第2位は創業者の小林健一郎氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。なお、2025年12月にIBJによる公開買付けが成立し、同社が親会社となる予定です。

氏名 持株比率
IBJ 32.96%
小林 健一郎 5.46%
日本カストディ銀行(信託口) 3.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名(HTML補完含む)の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は新井 賢二氏が務めています。社外取締役比率は42.9%(取締役4名中2名)です。

氏名 役職 主な経歴
新井 賢二 代表取締役社長 元東京美装興業常務取締役経営企画室長。キャス・キャピタルを経て2017年同社取締役、2022年12月より現職。
新 敬史 取締役管理部ゼネラル・マネージャー 元ニッセンGEクレジット取締役CFO、元おやつカンパニー執行役員経営管理本部長、元ライフドリンク・カンパニー取締役。2023年12月より現職。


社外取締役は、中曽根 玲子(國學院大學法学部教授)、松岡 洋平(A.T. カーニー スペシャリストプリンシパル)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スタジオ事業」および「その他」事業を展開しています。

スタジオ事業


フォトウエディング(結婚写真の前撮り・別撮り)およびアニバーサリーフォト(子供・家族写真)の撮影サービスを提供しています。屋内専用スタジオでの撮影や、景勝地等でのロケーション撮影を行い、衣装レンタル、着付け、ヘアメイク、撮影までをワンストップで手掛けます。

収益は、顧客から受け取る撮影基本料、衣装代、アルバムや撮影データ等の商品代金から構成されています。運営は、連結子会社のデコルテが担っており、首都圏の「スタジオAQUA」や関西圏の「スタジオTVB」など、地域ごとに異なるブランド名で店舗を展開しています。

その他


パーソナルトレーニングを中心とするフィットネスジム「40minutes」を運営しています。個々の利用者に合わせたトレーニングプログラムの提供や、施設の運営管理を行っています。

収益は、利用者から受け取る会費やパーソナルトレーニング料等から構成されています。運営は、スタジオ事業と同様に子会社のデコルテが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年9月期から2025年9月期までの業績を見ると、売上収益は46億円から60億円へと拡大基調にあります。利益面では、2022年9月期に税引前利益13億円を記録しましたが、その後は投資等の影響もあり利益水準が変動しています。直近の2025年9月期は前期比で増収増益となり、利益率は回復傾向を示しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 46億円 53億円 59億円 56億円 60億円
税引前利益 7.4億円 13億円 7.6億円 1.2億円 2.0億円
利益率(%) 16.0% 23.8% 13.0% 2.2% 3.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.7億円 10億円 4.9億円 1.1億円 1.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上収益は56億円から60億円へと増加しています。売上総利益率も33.0%から34.4%へと改善しました。営業利益は2.2億円から2.9億円へ増加し、営業利益率も向上しています。収益性の改善が進んでいることが読み取れます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 56億円 60億円
売上総利益 18億円 21億円
売上総利益率(%) 33.0% 34.4%
営業利益 2.2億円 2.9億円
営業利益率(%) 3.9% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当などの人件費関連(役員報酬、従業員給付)が約22億円(構成比約39%)、支払手数料が7.4億円(同13%)を占めています。売上原価においては、人件費関連や地代家賃などが主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


スタジオ事業は、フォトウエディングの撮影件数増加や客単価向上により増収増益となりました。一方、その他(フィットネス)事業は、一部店舗の閉店影響等により減収となり、営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
スタジオ事業 56億円 60億円 2.3億円 3.2億円 5.3%
その他 0.4億円 0.3億円 -0.1億円 -0.2億円 -80.8%
連結(合計) 56億円 60億円 2.2億円 2.9億円 4.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.0%で市場平均(2.9%)を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.4%で市場平均(43.3%)を下回っています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 7.2億円 14億円
投資CF -2.1億円 -2.6億円
財務CF -11億円 -10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「Happiness」「Beauty」「Wellness」をテーマに掲げています。店舗を通して独自の価値観を明確に提示し、幸福を感じてもらえる顧客を一人でも多く増やすことを目的としています。顧客の「想い」に寄り添い、株主の信頼を得ながら社会貢献できる経営の確立を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、スタジオ事業において「フレームを超える感動を」を行動指針とし、「新しい感動体験をつくり、文化として浸透させる」を使命としています。既成のサービスにはない、「こんなサービスがあったらいいな」という考えを形にしていくことを意識し、顧客の幸福に寄り添う姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2028年9月期までの中期経営計画において、「フォトウエディングサービスのさらなる成長」と「ライフフォトカンパニーの礎を創る」の2点をテーマとして掲げています。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「調整後営業利益」による評価を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


フォトウエディング事業では、送客提携の強化や未出店地域・高ポテンシャル市場への出店を進め、市場シェア拡大と収益性改善を図ります。ライフフォト領域では、アニバーサリーフォトの成長に加え、M&Aを活用したブランド展開や成人式などの新領域への進出を検討し、生涯顧客化に向けた取り組みを強化しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


フォトグラファーやメイクアップアーティストを外注に依存せず自社で正社員として雇用し、専門部署による技術研修を通じてプロフェッショナル人材を育成しています。技術等級に応じた目標設定を行い、品質の安定化を図るとともに、地方を含む各エリアでの安定した人員確保のために現地採用も強化しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 37.7歳 5.1年 4,787,581円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.3%
男女賃金差異(正規) 68.3%
男女賃金差異(非正規) -


※男女賃金差異(非正規)は、該当する労働者がいないため記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社員の女性比率(81.0%)、管理職に占める女性労働者の割合(連結子会社)(56.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 少子化・婚姻組数の減少


国内の少子高齢化や婚姻組数の長期的な減少傾向は、ブライダル市場全体の縮小要因となります。フォトウエディング需要は拡大傾向にありますが、予期せぬ事態により需要が大きく減少した場合、グループの財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合他社との競争


資本力、店舗開発力、価格競争力などで優れた競合他社が存在する場合や、新規参入による競争激化が懸念されます。競合がより優れたサービスや低価格戦略を展開した場合、受注水準の維持が困難となり、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 売上収益の季節変動


フォトウエディングサービスは、紅葉や桜の時期である秋と春に需要が集中する傾向があります。一方で人件費や地代家賃などの固定費は通年で発生するため、利益が第1四半期および第3四半期に偏重します。繁忙期に天候不順等が発生した場合、業績に影響が出る可能性があります。

(4) 特定サービスへの依存


同社グループの売上収益および利益は、フォトウエディングサービスへの依存度が高くなっています。市場自体は成長を見込んでいますが、当該市場の成長が鈍化した場合や環境変化があった場合、グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。