プラスアルファ・コンサルティング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プラスアルファ・コンサルティング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場し、マーケティングやHR領域でのSaaS型ソリューション事業を展開しています。2025年9月期は売上高171億円、経常利益63億円で増収増益を達成しました。テキストマイニング技術を核とした「見える化」プラットフォームにより、企業のデータ活用を支援しています。


※本記事は、株式会社プラスアルファ・コンサルティング の有価証券報告書(第19期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プラスアルファ・コンサルティングってどんな会社?

自然言語処理技術をベースに、顧客の声や人事情報を「見える化」するSaaS型プラットフォームを提供。データ活用による価値創造を支援します。

(1) 会社概要

2006年に設立され、2008年にテキストマイニング「見える化エンジン」、2011年にマーケティングツール「カスタマーリングス」の提供を開始しました。2016年にはタレントマネジメントシステム「タレントパレット」をリリースし、事業を拡大。2021年に東証マザーズへ上場し、現在は東証プライム市場に上場しています。

連結従業員数は469名(単体344名)です。筆頭株主は創業者の三室克哉氏で、第2位は取締役副社長の鈴村賢治氏です。第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
三室 克哉 15.45%
鈴村 賢治 10.52%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.78%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は三室克哉氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
三室 克哉 代表取締役社長 野村総合研究所を経て、2007年よりイージーコンサルティング(現同社)取締役。同年10月より現職。
鈴村 賢治 取締役副社長タレントパレット事業本部本部長 野村総合研究所を経て、2007年より同社取締役。2015年10月より現職。
金子 若葉 常務取締役タレントパレット事業本部副本部長 山田薬品を経て、2007年に同社入社。2022年12月より現職。
野口 祥吾 取締役コーポレートストラテジー本部本部長 大和総研、ゴールドマン・サックス証券等を経て、2019年7月より現職。
竹内 孝 取締役情報システム担当 フィデス、東京ソフト等を経て、2007年に同社入社。2017年10月より現職。
中居 隆 取締役事業推進担当 野村総合研究所を経て、2016年に同社入社。2019年10月より現職。


社外取締役は、西村光治(弁護士)、水迫洋子(OD Lab代表社員)、武藤芳彦(元ユナイテッド・シネマ社長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「マーケティングソリューション」および「HRソリューション」事業を展開しています。

(1) マーケティングソリューション

テキストマイニングツール「見える化エンジン」や、統合マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を提供しています。「見える化エンジン」は顧客の声(VOC)を分析・可視化し、「カスタマーリングス」はCRMやマーケティングオートメーション機能により顧客行動を可視化・分析します。

主に導入先企業から月額利用料などのサブスクリプション収入を得る収益モデルです。また、初期導入費用やスポット収入も発生します。運営は主にプラスアルファ・コンサルティングが行っています。

(2) HRソリューション

タレントマネジメントシステム「タレントパレット」やスクールマネジメントシステム「ヨリソル」などを提供しています。「タレントパレット」は社員のスキルや評価等の人材情報を集約・分析し、科学的人事を支援します。子会社では新卒採用支援「キミスカ」やシフト管理「R-Shift」なども展開しています。

主に導入先企業から月額利用料などのサブスクリプション収入を得ています。「キミスカ」などは成果報酬型の収益も含みます。運営はプラスアルファ・コンサルティングのほか、子会社のグローアップやオーエムネットワークなどが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は着実な成長を続けており、それに伴い利益面でも拡大傾向にあります。特に直近では売上高、経常利益ともに大きく伸長しており、高い利益率を維持しながら事業規模を拡大させています。

項目 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 112億円 139億円 171億円
経常利益 37億円 45億円 63億円
利益率(%) 32.9% 32.6% 37.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 26億円 31億円 33億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、営業利益率も向上しており、効率的な経営が行われています。販管費も増加していますが、収益性の改善が進んでいます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 139億円 171億円
売上総利益 101億円 123億円
売上総利益率(%) 72.9% 72.2%
営業利益 45億円 64億円
営業利益率(%) 32.6% 37.3%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が17億円(構成比29%)、給料手当が8億円(同14%)を占めています。売上原価では、労務費が16億円(構成比41%)、経費が24億円(同59%)となっています。

(3) セグメント収益

HRソリューション事業が売上高、利益ともに大きく成長しており、全社の業績を牽引しています。マーケティングソリューション事業も安定的に推移していますが、成長率ではHRソリューション事業が上回っています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
マーケティングソリューション 38億円 38億円 17億円 17億円 44.5%
HRソリューション 101億円 132億円 41億円 59億円 44.8%
調整額 - - -12億円 -13億円 -
連結(合計) 139億円 171億円 45億円 64億円 37.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、本業で稼いだ資金で借入返済や投資を賄えている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 33億円 52億円
投資CF -10億円 -2億円
財務CF -5億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「お客様のビジネスにプラスアルファの価値を創造します。」をミッションに掲げています。世の中の膨大な情報を「見える化」し、ビジネスに役立つ「気付き」を提供することで価値を創造します。また、「見える化プラットフォーム企業を目指します。」をビジョンとし、創造力や生産性を向上させるソリューションにより様々な業界の変革を目指しています。

(2) 企業文化

同社は、プラスアルファの価値を生み出すことで「つきぬける感動」と「広がる可能性」を提供することを理念としています。社員同士は「勇気」「情熱」「思いやり」「地道な努力」を大切にし、強みを活かして成長し社会貢献できる仕事を優先し、常に「ポジティブな姿勢」でやり遂げることを重視しています。

(3) 経営計画・目標

同社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率を重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策

今後の成長に向け、タレントマネジメント領域への積極投資とHR分野への本格展開を進め、「科学的人事」を実現する機能強化や新サービス開発を行います。また、ビッグデータと分析テクノロジーのプラットフォーム戦略として、データ種類の拡充や分析機能の強化を推進します。さらに、コンサルティング力の強化による高付加価値化や、AI・テキストマイニングなどの技術力強化による機能差別化にも注力する方針です。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

持続的な成長のために優秀な人材の確保が不可欠と考えており、ビジョンに共鳴できる人材獲得のための積極的な採用活動を推進しています。また、入社後に定着して能力を発揮できるよう、研修の充実や職場環境の整備に努めています。社員一人ひとりの挑戦を促進し、強みを活かせる環境づくりを重視しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 31.6歳 4.2年 6,985,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.5%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 87.8%
男女賃金差異(正規雇用) 87.8%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男女賃金差異(非正規雇用)については、女性のパート・有期労働者がいないため、記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用の女性比率(34.8%)、年休取得率(76.0%)、外国籍従業員比率(4.1%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場動向による影響

SaaS型サービスへの需要は高いものの、経済情勢や景気動向の変化により顧客企業の投資マインドが減退した場合、同社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合との競争激化

独自の可視化技術や実績で差別化を図っていますが、資金力やブランド力を持つ競合他社や新規参入者が存在します。競争が激化した場合、事業及び業績に影響が出る可能性があります。

(3) 技術革新への対応遅れ

インターネット業界は技術変化が激しく、AIなどの新技術への対応が不可欠です。対応が遅れた場合の競争力低下や、予期せぬ開発投資の発生が業績に影響を与える可能性があります。

(4) システムトラブルの発生

サービスはインターネット経由で提供されており、自然災害、事故、サイバー攻撃等によるシステム停止や障害が発生した場合、サービスの信用低下や業績への悪影響が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。